『敗者のゲーム』を読めば、
- 投資とは、誰にでもできる簡単なゲームなのだ
ということが分かります。
この本には、
- 「儲けてやる!」と努力することでリターンが減っていく理由
- プロ投資家であろうとも、市場平均に勝つことが容易ではない理由
- 猛者が集まる株式市場で、個人投資家が勝つための方法
- 個人投資家でもプロ投資家に勝つことができる理由
- 投資人生の終盤で成功するためのアドバイス
などが解説されており、一言でまとめると『サラリーマン投資家が、株式投資で勝つための最良の方法』を教えてくれます。
しかし、多くのサラリーマン投資家は、この方法を知らず、
- 『必要以上に複雑な投資』をして、それによってリターンを減らしている
という残念な行動をしています。
そこで、読者たちのリターンを少しでもあげるべく、『敗者のゲーム』に書かれている『投資で勝つための方法』を紹介していきたいと思います。
とはいえ、『敗者のゲーム』はかなりのボリュームがありますし、むずかしい単語も多いので、重要なところを抜粋・要約しながら
- 読書に慣れていない方
- 投資の単語に慣れていない方
にも分かりやすく伝わるよう紹介していきたいと思います。
この記事の前半では敗者のゲームの内容を順序だてて紹介していき、後半には個別エピソードや豆知識、著者チャールズ・エリスの紹介などをしていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
投資の世界は、ガムシャラに頑張るだけでは泥沼に落ちていく危険な世界です。
『敗者のゲーム』を参考に、『敗者になってしまう行動』を学び、それを回避することで、投資での成功をつかみ取り、ゆとりある生活への第一歩を進んでいきましょう。
<目次>
- 『敗者のゲーム』の要約
- プロの運用機関であっても8割は市場平均に負けている
- プロの投資家の大半が市場平均に勝つことは不可能だ
- 以前の株式投資は「勝者のゲーム」だった
- 個人投資家のライバルは圧倒的能力をもつプロ投資家
- インデックスファンドとは
- インデックス投資でリターンを上げるためのポイント
- 『敗者のゲーム』を読んで、無駄な努力を削り、リターンを上げる
- 『敗者のゲーム』は投資家にとって必読書
- 知っていると役に立つ豆知識やエピソード
- 最後に:敗者のゲームを広めたい
『敗者のゲーム』の要約
チャールズ・エリスは、1985年に『敗者のゲーム』の初版を発刊して市場平均に勝ち続けることの難しさを指摘し、投資業界に衝撃を与えました。
そして、発行部数は100万部をこえ、発刊から30年以上たったいまでも多くの人に愛読されている名著です。
『敗者のゲーム』に書かれている内容をざっくりと要約すると、
- 頑張って市場に勝とうとすると、むしろ”敗者”となってしまうぞ!
- それどころか、適当にインデックス投資をしているだけで、平均的なプロ投資家のリターンを超えられるぞ!
の2点に集約されます。
チャールズ・エリスは、株式市場で取引をする投資家のことを『アマチュアのテニスプレイヤー』に例え、
プロのテニスプレイヤーは長いラリーのすえ、強力で正確なショットを放ち、敵の届かないところへ打ち込んで勝利をつかむ。
すなわち、勝者の力によって勝敗を決める「勝者のゲーム」と言える。
しかし、アマチュアのテニスはこれとは全く異なる。
「素晴らしいショット」や「エキサイティングな長いラリー」は見られず、ショットによって敵を打ちのめすのではなく、墓穴を掘って相手に得点をあたえる。
すなわちアマチュアのテニスは、「敗者のミス」がゲームの勝敗を決める要因となる、『敗者のゲーム』と言える。
と話しています。
つまり、整理すると
- できる限りミスをしないことが勝者への道だ
- 勝とうと努力することで、逆に敗者になってしまう
と言っており、これが投資の世界にも当てはまることを『敗者のゲーム』の中で、実例をあげながら解説していきます。
というわけで、チャールズ・エリスの調査によって明らかになった『投資が敗者のゲームである根拠』を紹介してきたいと思います。
プロの運用機関であっても8割は市場平均に負けている
あなたは、
- プロ投資家の8割は敗者である
という事実を知っていますか?
『敗者のゲーム』では、
1年間の成績では約6割の(アクティブファンドの)運用マネージャが市場平均に劣り、
10年間の成績では約7割、20年間の成績では8割のマネージャが市場に負けている。
と、実際のデータを分析して得られた『ほとんどのプロ投資家は、市場平均に負けている』という調査結果を紹介しています。
(「『プロの投資家の8割が、平均点を下回っている』っておかしくない?」という疑問もあるでしょうが、それは後ほど紹介していきます)
『市場平均』とは、『日経平均』や『TOPIX』『NYダウ平均』などのことで、簡単に書くと
- すべての投資家の平均点
と言えるもので、ほとんどの投資家は『市場平均を超えるリターンを手に入れる!』ことを目標に投資をしています。
(平均以下のリターンを狙う人なんていないでしょう)
株式市場には、『プロ』や『素人』の投資家がいるため、普通に考えれば
「プロの投資家(アクティブファンド)は、株式市場の平均点よりは高い点がとれるはず」
と思いがちですが、現実はそうではありませんでした。
さらに驚くべきことに、
- 投資する期間が長くなればなるほどに、プロの投資家が市場平均に負ける確率があがっていく
という事実も判明しています。
投資には『運』が大きくからんでくるので、普通に考えると
- 投資する期間が長くなればなるほど、運の影響が減っていく
- つまり、投資期間が長くなれば『本来の実力に見合ったリターン』になる
わけなので、この結果からは
- プロの投資家は、『市場平均=平均的な投資家』よりも劣る実力しかない
ということが分かります。
この結論は、2021年に公開された野村アセットマネジメントのファンドマネジャーらによる『バリュー投資の再考』という論文からも明らかで、論文の中で
- 『1年先の企業の業績を正確に予想できる』という驚くべき能力を持っていたところで、市場平均を超えるのは難しい
と結論付けています。
この結論に対して不思議に思う人もいるでしょうが、残念ながら事実です。
そして、『プロの投資家が市場平均に勝てない』のには理由があり、『敗者のゲーム』では
プロの投資家(機関投資家)による取引は、取引所取引の95%を占めている。
すなわち「市場平均」とは「機関投資家の平均」 であるため、機関投資家全体としては、自分自身に打ち勝つことはできない。
と解説しています。
ここからが『敗者のゲーム』の中でも最も重要なパートですので、詳しく見ていきましょう。
プロの投資家の大半が市場平均に勝つことは不可能だ
つまり、敗者のゲームでは、
- 市場の投資家のほとんどはプロ投資家であるため、プロ投資家の半分は市場平均に負けて、もう半分は市場平均に勝つ
と言っているわけです。
しかし、これだけでは『プロの投資家と市場平均は同じ程度のリターンとなる』としかなりませんが、プロの投資家には『取引手数料』や『運用によるコスト』が大きくのしかかってくる現実があるのです。
投資家は、株を売り買いするたびに「売買手数料」を証券会社に支払っています。
つまり、
- 『投資の成績(株の売買による利益)』そのものは市場平均と同じであったとしても、手数料の分だけ市場に負ける
という悲しい結果となるのです。
具体的には、「A株を100万円で買って、翌日100万円で売却」すると、投資そのものによる損益は発生しませんが、実際は手数料の分だけ資産を減らしているわけです。
よって、
- 手数料を支払った分だけ市場平均を超えるリターンを取らない限り、投資家のリターンは市場平均を下回る
- そして、取り引きの回数が多ければ多いほど、リターンが減っていく
ことになるわけです。
これがプロ投資家であったとしても、市場平均には勝てない(むしろ負ける)大きな理由です。
とくにプロ投資家は『顧客からお金を預かって運用している』わけなので、少しでも大きなリターンを上げるべく、つねに優れた投資先を探し、魅力の薄れた投資先から資金を移し変えています。
つまり、頻繁に取引をしている(手数料を払っている)わけです。
例え、プロ投資家が『手数料は痛手であるので、あまり売買しない方がよい』と理解していたとしても、『ずーっと売買しない』という選択をすることはできません。
なぜなら、お客さんから
「儲けるためにお金を預けてるのに、ぜんぜん売買しないなんて、やる気あるのか?何のためにお金を預けていると思っているんだ?」
と責められるためです。
こういった事情からも『プロであるがゆえに多くの売買をしなければならず、多くの手数料を払うせいで、市場平均を下回るリターンしか手に入らない』という状況にあり、
それが、『リターンを上げようと努力すればするほど、リターンを押し下げていく』という『敗者のゲーム』を作り上げているわけです。
とはいえ、現状では上記のように『敗者のゲーム』となっている株式投資ですが、以前は「勝者のゲーム」だったことは知っておく必要があります。
以前の株式投資は「勝者のゲーム」だった
『敗者のゲーム』の中では、1960年代まで「株式投資は勝者のゲームであった」と解説しています。
その理由として、
- 1960年代は、個人投資家がマーケットの90%を占めていた。
- 企業が発信する情報は、すべての人に同時に届けられていなかった。
- インターネットがなかったので、投資に有効な情報を知る人が少なかった。
をあげています。
つまり、1960年代は
- プロ投資家しか知らない情報があった
- プロ投資家が残り90%の個人投資家をカモにしていた
ために、まともなプロ投資家であれば、市場平均を超えるリターンを手に入れることができていたわけです。
しかし、前述した通り、昨今ではその状況が変わっており「プロ投資家による取引が95%」となっています。
すなわち、プロ投資家であっても、プロ投資家をカモにできるだけの能力がなければ、市場平均以上のリターンを得ることができない、という時代となっているわけです。
そして、この『市場平均を超えるリターンを得るためには、プロ投資家をカモにするだけの能力が必要』なのは、個人投資家にも言えることです。
個人投資家のライバルは圧倒的能力をもつプロ投資家
しかし、残念ながら個人投資家がプロ投資家に勝つことは容易ではありません。
というのも、いまどきのプロ投資家には
- 『投資家』という高報酬な仕事を目指して、世界の一流大学でトップの成績をとった天才ばかりが集まる
という状況にあるため、個人投資家がこういった天才に勝つためには、『バツグンの投資センス』や『圧倒的な努力』が必要なためです。
実際に過去50年で、
- プロによる運用資産額は、10倍に増加
- プロによる資産運用の手数料率は、5倍以上に増加
に変化しており、それによって
- プロ投資家の報酬はほぼ10倍に増加
しているため、以前にも増して「優秀な頭脳」がプロ投資家に集まっています。
そして、個人投資家が個別株の投資によって市場平均に勝つためには、「プロ投資家達:優秀な頭脳集団」を超える成績を取る必要があるわけです。
さらに書くと、この優秀な頭脳集団は、日々の働いている時間(8時間くらい)をすべて投資の実務・勉強についやしているわけなので、サララーマン個人投資家が『仕事が終わった後に株の勉強をする』のとは段違いの時間を投資にかけているのです。
このことからも、
- 『プロ投資家をカ超えられるほどの能力』を身に付けることは、ほとんどの個人投資家には無理
だと言わざるを得ません。
しかし、「プロ投資家を超える能力」を身に付けることができなかったとしても、「プロ投資家と同程度か、それを少し上回る程度」の成績を取ることが可能な方法があります。
その方法が「インデックスファンドへの投資」です。
インデックスファンドとは
「インデックスファンド」とは、市場平均と同じ成績になることを目標としたファンドで、ザックリ言うと
- すべての銘柄にバランスよく投資することで、市場平均とほぼ同じ成績が取れる投資法
です。
参考記事:インデックス投資のメリットとは【初心者でも平均点が取れる】
すべての銘柄に投資するため、『有望な銘柄を選ぶ』という『株式投資に必要なスキル』は不要ですし、
『バランスよく』に関しても、各銘柄の時価総額に応じた金額をわりふるだけなので、その計算式さえ覚えてしまえば、バカでも再現可能な投資法です。
しかし、個人でインデックス投資をやろう思うと、膨大な資産が必要となる(世界中の全銘柄を買わなければならない)ため、個人投資家からお金を集めているインデックスファンドに投資するわけです。
『敗者のゲーム』では、インデックスファンドの有利な点を以下のとおり挙げています。
相対的に高いリターン
全体の80%のアクティブファンドは市場平均に勝てず、勝てる20%を探すのは困難であるため、インデックスファンドに投資することで比較的高いリターンを容易に得られる。
低いコスト
アクティブファンドの10分の1程度の低いコスト(手数料等)で運用できる。
コストの大きさは投資成績に直結する。
不安や後悔を感じなくて済む
相場動向や投資戦略・ファンドの選択といった判断がほとんど不要で、「自分の選択に間違いはないのか」といった不安に悩まされることがない。
上述した通りの『シンプルな投資法』であるからこそ、低いコストで並みのリターン(だが、多くのアクティブファンドより高いリターン)を得られ、下手に凝った投資をしないことで、「判断を誤ってしまった!」といった後悔を避けることができます。
といった感じで、優秀なインデックスファンドですが、この優秀さを漏れなく活用するためには、長期に渡ってインデックス投資を続ける必要があります。
インデックス投資でリターンを上げるためのポイント
それは、タイミングを計った短期的な売買をすることは、リターンを押し下げる効果があるからです。
株価は『特定のタイミングで一気に上昇するケースが多い』ため、その瞬間を逃してしまう(その時に株を持っていない)と得られるはずだったリターンを逃すことになります。
そして、その『一気に上昇するタイミング』は、全ての投資家が予想しようとしているわけですが、ここまで解説してきた通り、
- プロ投資家でさえ、市場平均を超えるリターンを得られない
- つまり、プロ投資家でさえ、株価の推移を予想することはできな
- よって、プロ投資家でも『株価が上がっていくタイミング』を読めない
となり、平凡な個人投資家が、『一気に上昇するタイミングを逃さないよう、うまいタイミングで売買をする』というのは不可能です。
である以上、『何があっても売らない=長期に渡ってインデックス投資を続ける』ことが、資産を大きくするための方法だというわけです。
そして、『敗者のゲーム』の中では、『一気に上昇するタイミング』を逃すことのダメージを以下の通りまとめています。
市場平均では、1980~2008年の25年間で11.1%の年間リターンが得られたが、
株価を大きく上げたベスト10日を逃すと、年間リターンは8.6%にまで低下し、
ベスト20日を逃すと6.9%に、ベスト30日を逃すと5.5%にまで低下する。
これは驚くべき調査結果です。
25年にも渡る長期の中で『重要な(株価を大きく上げた)10日間』に株を保有していなかっただけで、平均年間リターンが2.5%も下がるという衝撃の結果です。
※年間リターンの差が資産に及ぼす影響の大きさは今の3千円は将来の3千万円(投資による複利の効果をグラフ化)をご参照ください。
チャールズエリスは、この『資産を大きく増やした日』を『稲妻が輝く瞬間』と表現し、『タイミングを計った投資』をしている投資家が、運悪くこの『稲妻が輝く瞬間』を逃してしまった場合、かなりのリターンを失うことになります。
そのことからチャールズ・エリスは『敗者のゲーム』で「売買するタイミングを計ることは危険」と説いているわけです。
さらに言うと、『タイミングを狙った投資』とは、
- 「今の株価は割高だ」と思ったら売る(「割安だ」と思ったら買う)
行為なわけですが、市場参加者のほとんどがプロ投資家である以上、『今の株価=プロ投資家たちが妥当がと考えている株価の平均』であるため、
- 割高・割安の判断を正しくするためには、プロ投資家を超える判断能力が必要
と言え、個人投資家にとって荷の重い判断であることは間違いありません。
よって、
- インデックス投資に賭け
- タイミングを計らずに持ち続ける
ことが『個人投資家が資産を最大化する手段』であると言えるわけです。
さて、ここまで敗者のゲームの内容を要約してお伝えしてきましたが、あくまでも『要約』です。
これだけで満足頂ければそれはそれで幸いですが、できれば
- 投資初心者
- 個別株投資で苦戦している人
といった方々は是非とも実際に本を手に取ってもらいたいと思っています。
『敗者のゲーム』を読んで、無駄な努力を削り、リターンを上げる
一般的に「投資とは、大変な努力をすることで、やっとリターンが手に入るようになる厳しい世界」と思われがちです。
しかし、ここまで『敗者のゲーム』を解説させてもらった通り、それは完全なる誤解です。
ここまで解説させてもらった通り、『敗者のゲーム』では
- 個別株投資で市場平均に勝つことがいかに難しいか
を、繰り返し追及しており、
- 無理せずにインデックス投資をすることが賢い選択
だと説いています。
すなわち、『投資初心者』や『個別株投資が上手くいかない人』であったとしても資産を確実にふやしていく方法を見つけられ、『大切な資産を減らしてしまう』という失敗を回避することが可能となる方法を教えてくれているわけです。
しかし、敗者のゲームは、『完全なる投資初心者』には少しばかり荷が重い(専門的な単語がちょこちょこ出てくる)内容となっているため、真っ先にこの本をお勧めする対象者は
- 投資暦が1年程度の人
- 投資について熱心に勉強してこなかった人(株価収益率、機関投資家、ファンダメンタル、スタグフレーション、といった単語にピンとこない人)
といったレベルの投資家になります。
とはいえ、著書『敗者のゲーム』の内容を知っているかどうかは、『投資によるリターンに大きな影響をおよぼす』ことは間違いないため、投資初心者の方にも是非チャレンジしてもらいたい本となっています。
また、本を読むのが苦手な方であれば、この記事を繰り返し読んでもらえるだけでも、大きな効果が期待できますので、ぜひ活用ください。
『敗者のゲーム』は投資家にとって必読書
ここまで記事にさせてもらった通り、『敗者のゲーム』には巷でもよく語られている『投資に関する鉄則』が具体的なデータを使用して証明されています。
これらを『知っている』だけでなく『理解する』ことで、自身の投資スキルをより確実なものとし、将来の資産形成に役立てることが可能です。
『敗者のゲーム』では、他にも
- インデックスファンドが「ドリームチーム」である理由
- 株式投資によって確実に利益が得られるまでの期間
- 効率的なポートフォリオとは
- 個人投資家にとっての課題
- 資産家のためのアドバイス
- それでも市場平均に勝ちたい人に向けて
- 優れた投資家が守っている基本原則
等々についても記載されており、『全ての投資家にとっての必読書』と言え、とくに投資初心者~中級者にお勧めの一冊です。
『敗者のゲーム』は、「投資で大儲けしたい」という目標を達成する役には立ちませんが、
- 自分の資産をコツコツとおおきくする
- プロ投資家の平均並みに儲ける
ためには大いに役に立ってくれます。
『本を読むこと』を投資と考えると、読書ほど”低いコスト”で”高いリターン”が期待できる投資はそうそうありません。
『たった数時間』を読書に投資するだけで、あなたの投資リターンが向上する手助けとなり、さらに、安定したメンタルで投資を続けることもでき、多くの人が持っていないマネーリテラシーを手に入れることも可能です。
『お金に困らない豊かな生活』を実現するためにも、読書の力を活用しましょう。
なお、本ブログの筆者は、2005年から投資を始め、大きな資産を作ることに成功しています。
その理由の一つに『年間100冊という大量の本を読み続けている』があると考えていますが、大量に読んでいる本の中でも『敗者のゲーム』は、全ての投資家に”絶対に”読んで欲しい本としてお勧めしている本です。
実際に、アメリカだけでも100万部以上が売られており、今でも多くの人に読まれているロングセラー本で、時代をとわず投資家からの厚く信頼されています。
投資で失ったお金を取り戻すのは大変です。
まずは『敗者とならない方法』を学び、安定した投資パフォーマンスを手に入れましょう。
さてここからは、ここまででは紹介しきれなかったエピソードや、著者チャールズ・エリスの紹介をさせてもらいます。
知っていると役に立つ豆知識やエピソード
「ミスター・マーケット」と「ミスター・バリュー」
繰り返しになりますが、敗者のゲームでは、
- インデックスファンドに長期投資することで、市場平均を超えるリターンが手に入る
と主張しています。
つまりは、
- 長期的には株価が右肩上がりである
- だから余計なことをする必要がない
と言っているわけです。
下のグラフは1900年~の株価の推移で、これを見れば『株価が右肩上がり』というのは一目瞭然です。
しかし、『長期的には上がっていく』と予想できても、短期的な動きを理解することは簡単ではありません。
敗者のゲームでは、その理由を『ミスター・マーケット』、『ミスター・バリュー』という仮想の人物を使って説明しています。
ミスター・マーケットは、精神的に不安定な気分屋で、
ミスター・バリューは、その反対に落ち着いた人物です。
ミスター・マーケットは、
- 予想外の収益や配当を発表する
- 予想外のインフレをちらつかせる
- 予想外の事件が発生したことを知らせる
などをして、投資家の気を引こうとしています。
また、投資家の家を頻繁にたずねてきて、
ある日に「A社の株を100万円で買わないかい?」と声をかけてきたかと思ったら
次の日に「A社の株を105万円で買わないかい?」と、コロコロと値段を変えながらやってきます。
反対に、ミスター・バリューは、
- 世の中にどんなことが起きても、タンタンと働き続ける
ために、投資家に注目されることは少ないです。
そして「A社の株は100万円だ」と主張し、この値段はそう簡単には変わりません。
説明するまでもないかもしれませんが、この二人は、
- ミスター・マーケットは、株式市場
- ミスター・バリューは、企業の価値
を指しています。
ミスター・マーケットの行動は予想不能で、投資家の多くは、ミスター・マーケットの不安定さに翻弄され、必要のない取引を繰り返すことでリターンを押し下げていきます。
その結果、安定しているミスター・バリュー(企業価値)に負けてしまうわけです。
ミスター・マーケットの動きが予想できない以上、『長期的には右肩上がり』である実績を信じ、インデックスファンドに長期投資することが最善な手段であることは間違いなさそうです。
時間を梃子(てこ)にすれば、リターンを巨大化できる
投資において『時間』は最大の武器となります。
投資は『どれだけ努力しても報われないモノ』ではありますが、『時間をかければかけるほどリターンが大きくなるモノ』でもあります。
インデックス投資によるリターンは、平均すると年利5%~7%程度になります。
つまり、100万円投資していたとすれば、1年間で5~7万円程度のリターンとなります。
これは「投資で大きく儲けたい!」と思っている方からしたら、満足のいくリターンではないかもしれません。
しかし、投資には『複利』の力を働かせることが可能です。
『複利』の力を活用すれば、先ほど紹介したグラフにある通り、
- 120年にわたってインデックス投資をすれば、資産が12877倍になる
と、圧倒的なリターンを手に入れることができます。
これは、
- 100万円投資していたとすると、128.77億円の資産を手に入れた
ということです。
『120年』という投資期間は現実的ではないにせよ、『時間』を味方にすることでリターンを巨大化できることがお分かり頂けたでしょうか。
また、『株式投資は、長期間続けていくことでリターンが収斂(平均に回帰)していく』という特徴もあります。
株式への投資によるリターン(インフレ調整後)は、
- 1年だけ投資した場合、1年間の収益率はプラス53.4%~マイナス37.3%になる
と、かなりのブレ幅があり、『ギャンブル』に見えてしまうかもしれません。
しかし、これを続けていくと、
- 25年間投資を続けると、1年あたりの収益率はプラス12%~プラス3%になる
と、安定してプラスリターンが得られるようになります。
これも『時間』という武器を活用することのメリットです。
よって、
- 投資家は、できるだけ早く、できるだけ多くの資産を投資することが、リターンを最大化するための方法
だと言えるわけです。
リスクを取らなければリターンは得られない
「できるだけリスクを取らずに大きなリターンが欲しい」
というのが、全ての投資家の本音でしょう。
しかし、リスクなくてしてはリターンは得られません。
投資家にとっての主なリスクは以下の4つです。
- 価格(株価)のリスク
- 金利リスク
- 事業リスク
- 倒産リスク
高い株価で購入してしまえば、損失を被りますし、
金利が予想よりもタックなれば株価は下がりますし、
投資先が業績不振になればリターンは得られませんし、
最悪、倒産もありうる
というわけです。
さらに、この中でも『避けられるリスク』と『避けられないリスク』に分かれます。
『価格リスク』『金利リスク』は、投資をする上では避けられないリスクですが、
『事業リスク』『倒産リスク』は、投資をしながらでも避けられるリスクです。
(そろそろ『リスク』がゲシュタルト崩壊してきたところでしょうかw)
そして、『避けられるリスク』に手を出すことで、はじめて大きなリターンを狙うことができるようになります。
『事業リスク』『倒産リスク』を取って一つの銘柄に集中投資をすれば、
- 企業の業績によっては、数倍・数十倍のリターンが期待できる
- 破産すれば、資産がゼロになる
となり、
反対に、『事業リスク』『倒産リスク』を避けてインデックス投資をすれば、
- どれだけ調子がよくても、数十パーセントのリターンしか得られない
- 最悪の事態が起きても、数十パーセントの損失しか発生しない
となります。
また、インデックス投資をするにしても、
- 『価格リスク』を取って、大金をまとめて投資すれば、大きなリターンが狙える
- 『価格リスク』を避けて、ドルコスト平均法でコツコツと投資すればリターンは安定化する
となります。
つまり、
- 投資において、リスクを取ることでしかリターンを大きくすることはできない
というわけです。
投資家の中でさえ、
「この商品に投資すれば、ゼロリスクで大きなリターンが狙えますよ!」
という、あり得ない提案に乗ってしまう方がいます。
しかし、残念ながらそんな商品は存在しません。
『リターンを得るためにはリスクを負わなければならない』というあたり前の事実を肝に銘じておく必要がありそうです。
著者のチャールズ・エリスについて
本書の著者であるチャールズ・エリス(Charles D. Ellis)はアメリカで活躍する投資コンサルタントで、自身ががアクティブ投資家として活躍していた時の経験を元に、インデックス投資の有益さを説いています。
経歴を簡単に紹介します。
- 1937年、マサチューセッツ州ボストンのロクスベリー生まれ
- フィリップスエクセターアカデミー(世界で最も権威のある中等学校の一つ)を卒業
- 1959年にイェール大学にて芸術史の学士を取得
- 1963年にハーバードビジネススクールを卒業
- ボストンの公共ラジオ局であるWGBHに短期間だけ勤務
- 陸軍に勤務
- ロックフェラー家の個人資産の運用を担当
- 投資銀行(Donaldson、Lufkin&Jenrette(DLJ))に所属
- 1972年にグリニッジアソシエイツ(金融に関する国際戦略コンサルティング会社)を設立
- 1975年に『敗者のゲーム』の元となる『TheLoser'sGame』を執筆。
- 1977年に『TheLoser'sGame』がGraham&Doddを受賞
- 2001年~2009年は、ヴァンガード社のディレクターを務める
チャールズ・エリスは、元々は優秀なアクティブ投資家でした。
しかし、様々な経験を得て『インデックス投資が有利である』という結論に至りました。
そのチャールズ・エリス渾身の一冊である『敗者のゲーム』は、他の類似本よりも圧倒的に説得力が高い内容となっています。
最後に:敗者のゲームを広めたい
といった感じで、投資家にとってド定番の名著『敗者のゲーム』を長々と紹介させてもらいました。
投資をしていると、つい
「あっちの商品の方が儲かりそうだから、乗り換えようかなぁ…」
なんて邪心が生まれてしまうことがあります。
しかし、敗者のゲームに書かれている通り、
「余計な行動をとることで敗者となってしまう」
という現実を忘れてはいません。
それでも、「乗り換えようかなぁ…」なんて邪心が生まれしまった時には、この記事を振り返ってもらうか、敗者のゲームを読んでみてください。
(言うまでもなく後者の方が説得力があるのでおススメです)
きっと邪心を昇華することができますので。
おまけ
それにしても、本記事の内容は「個別株投資家」にこそ届けたいのですが、読んでくれるのは「インデックス投資家」ばかりなのでしょうね。
なんとかならないかなぁ…。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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