投資はに『人気な銘柄・地域へ投資するべきでない』という鉄則があります。
これを理解していない投資家は、そうではない投資家にくらべてリターンが劣ることになります。
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「オルカンに投資するか?アメリカ株に投資するか?」で悩んでいませんか?
しかし、一部の天才をのぞき、ほとんどの個人投資家にとって「オルカンが最強の投資方法だ」と言っても過言ではないことをご存じでしょうか。
『オルカン』とは、(主には)『eMAXIS Slime 全世界株式(オールカントリー)』という投資信託の略で、全世界の株式に分散投資してくれる商品です。
ここ数年は『アメリカ株への集中投資』に人気が集まり、その中でも『S&P500』や『NASDAQ』という『特定の領域に限定した投資』が注目を集めています。
それに対して、オルカンは「国も分野も限定せずにすべて買っておけ!」という反対のスタイルです。
しかし、私はこの「全部買い」のオルカンが最強だと考えています。
それは、
- 個人投資家は、『どこに投資すれば、比較的に大きなリターンが得られるか』を知ることができないから
というシンプルな理由です。
実際に、よく分からないまま「アメリカへの投資が最強!」と叫んでいる人がいますが、過去100年にも渡るリターンを見るかぎり、アメリカは最強の投資先ではなく、『スウェーデンが最強、つぎにオーストラリア』という、ほとんどの人が思いもつかなかったような結果だったことが分かっています。
うえでも書いた通り、投資には『人気な銘柄・地域へ投資するべきでない』という鉄則がありますが、多くの人が人気の銘柄・地域へ集中投資しています。
この記事では、読者のみなさまがこのワナにかかることがないよう、
- オルカン1本が最強の投資方法である理由
- 全米株式と実際のリターンを比べるとどちらが勝っているのか?
を、投資歴15年ほどのスパコンSEが解説していきます。
この記事があなたの投資リターンを上げるのに役立てば幸いです。
なお、ここで言う『オルカン』とは『全世界株式投信』を指していますが、複数ある全世界株式投資を比較した記事はこちらです。
<目次>
- 『オルカン1本が最強』の『最強』って?
- オルカン1本が最強である理由
- インデックス投資にしてもアメリカが最強じゃないの?
- オルカン×レバレッジでさらに最強?
- オルカンと全米株式(S&P500)を比較
- まとめ:オルカン1本が最強の投資方法である
『オルカン1本が最強』の『最強』って?
まず、『最強』とは何ぞや?について考えていかなければなりません。
将来のリターンをはっきりと予想することはできませんし、うえでも書いた通り過去100年の国別のリターンを参考にすると『スウェーデンが最強、つぎにオーストラリア』というなんだか微妙な結果となりますし、それ以前に過去のリターンは将来を保証するものではありません。
また、投資は
- 人気な銘柄・地域への投資では、小さなリターンしか得られない
という、投資の基本とも言えるルールが存在しています。
というのも、
- 人気のある銘柄には多くのお金が集まり
- 多くのお金が集まった銘柄は割高となり
- 割高となった銘柄は、投資家にリターンをもたらさない
となるためです。
つまり、
- 『「最強だ」と言われている人気の投資先』は、「最強だ」と言われている時点で最強ではなくなっている
わけです。
そこで、この記事では『最強』を下のように定義したいと思います。
- 10年、20年先に、投資してきたことを後悔しない商品
つまり、将来「これに投資しといて良かったぜ!」と言える商品ということです。
もしも『もっとも利益のでる商品』を期待してこの記事を読んでいるとしたら、申し訳ございません。
そんな商品を見つけることはできませんし、もし見つけていたとしたら誰にも教えずに借金してでも投資していることでしょう。
また、仮にそんな商品が公開されたとしたら、みんながその商品を買いあさり、その商品が割高となり、『利益の出ない商品』になることは確実です。
よって、『後悔しない商品』を基準とします。
オルカン1本が最強である理由
定義も定まったところで、『オルカン1本が最強』と言う理由を解説していきます。
簡単にまとめると、
- 個人投資家が儲かる投資先を見つけることは困難だから
となります。
私は、
- 様々ある投資先のなかで、『長期的には株式が最強の投資先だった』という実績がある
- 株式投資で大きなリターンを手にいれるためには、『市場の予想を大きく超える企業』をみつける必要がある
- それは『むちゃくちゃ成長すると予想されている企業』にはお金が集まり、すでに割高となっているから
- 『成長しないと考えられているが、予想と違って成長する企業』を見つけることはむずかしい
という考えで投資をしています。
とくに株式市場のほとんどのお金は機関投資家(プロの投資家)が動かしているため、『実は成長しそうな企業』が見つかろうものなら、もの凄い勢いでそこにお金が集まることでしょう。
そんな環境に置いて『プロでさえ見つけられなかった、素晴らしい銘柄』を見つけるのは非常にむずかしいです。
よって、
- ほとんどの投資家は『平均よりも儲かる投資先』を見つけることができないため、インデックス投資を活用すべし
と提言しています。
※詳しくはこちら:著書「敗者のゲーム」を紹介
実際にインデックス投資家はどんどん増えており、
「平均よりも儲かる投資先を見つけるのは簡単じゃないよねー」
という考え方が一般化してきました。
インデックス投資にしてもアメリカが最強じゃないの?
しかし、インデックス投資家の中でも、最近では『アメリカ株』に人気が集まっています。
その理由として、
- アメリカは世界の覇権国である
- アメリカ企業は株主への還元を重視している
- アメリカは企業が成長しやすい環境になっている
という『誰でも知っていること』が語られています。
しかし、
- 『アメリカ企業がこれからも最強である』と誰もが知っている
- みながアメリカ株に投資する
- アメリカ株が割高となる
- アメリカ株のリターンが落ちる
となるのは明らかです。
(繰り返しになりますが)平均以上のリターンを手に入れるために必要な『市場の予想以上に成長するモノを見つける』という行為は、『企業』であろうと『国』、『企業の分野』であろうと同じことです。
そして『予想以上』であることを『予想』することは、簡単ではありません。
よって、ほとんどの個人投資家にとっては
- 『予想』を放棄して、すべてに投資するオルカン1本が最強
となるわけです。
誰もが知っているような『アメリカ株が強い理由』を信じてアメリカ株に投資することで、高いリターンを手に入れられる可能性はありますが、もし低リターンとなってしまったのであれば、
「平均よりも儲ける投資先を見つけることが難しいことは知っていたのに、なんでアメリカだけに集中投資してしまったのか…」
と後悔することでしょう。
反対に、オルカンよりもアメリカ株が上回っていたとしても
「平均よりも儲ける投資先を見つけることが難しいんで、偶然アメリカ株のリターンが多かったとしてもしかたない」
と諦めがつくはずです。
これはある意味『妥協』ではありますが、妥協できずにアメリカ株に集中投資するのであれば『アメリカよりリターンの高かった投資先』を見つけるたびに
「あっちに投資しておけばよかった…」
と後悔すること間違いなしです。
実際に、過去100年以上のリターン(1900年~2006年)を例にあげれば、スウェーデン、オーストラリア、南アフリカがトップ3だったわけなので、そのあいだにアメリカ株に投資していた人は後悔していることでしょう。
この点において、オルカンをこえる投資方法はなく、『オルカン1本が最強の投資方法である』といえる根拠となります。
さてさて、『オルカン1本が最強の投資法』ということを理解してもらえたとしても、
「じゃあ、その最強のオルカンにレバレッジをかけて投資したら、もっといいじゃん!」
と思う方もいるかもしれないので、そこについても考察していきます。
オルカン×レバレッジでさらに最強?
本音を書いてしまうと
「レバレッジなんて論外。長期投資で使うものではない。」
で片付いてしまいますが、いちおう解説していきます。
ざっとまとめると、
- レバレッジ投資は、右肩上がり相場では強いが、それ以外では使い物にならない
- 株式市場は、『長期的(数十年単位)』には右肩上がりであるものの、『短期的(数年単位)』には上がったり、下がったり、横ばいだったり、を繰り返している
- よって、レバレッジ投資を長期投資で使うべきではない
となります。
これは、レバレッジ商品の目論見書にもしっかりと明記されています。
※楽天・日本株4.3倍ブルの目論見書より
レバレッジをかけた投資が上手くいけば、もの凄いリターンが手に入ります。
しかし、
- レバレッジをかけない投資をしてる人の資産が増えているのに、レバレッジをかけた投資をしていた自分だけは資産が減っている
なんてことが十分にありうる(というか、よくそうなってる)商品でもあります。
よって、レバレッジをかけた投資はおススメできず、生のオルカンを最強だと推しています。
レバレッジ投資の問題の詳細はレバナスはヤバいもご参照ください。
では、最後に実績を見ていきましょう。
オルカンと全米株式(S&P500)を比較
インデックス投資界隈では、投資初心者に対して「オルカンか全米株式(やS&P500)に投資しておけ」というアドバイスがよくされます。
といわけで、実際のリターンを比較してみましょう。
比較対象は、
- eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)
- eMAXIS Slim米国株式(S&P500)
の2ファンドです。
以下のグラフは、両投資信託が販売開始された2018年10月末を100ポイントとした場合の基準価格の推移になります。
このグラフからは、『オルカンよりも全米株式(S&P500)の方が高いリターンとなっていた』ことが分かります。
数値にすると、2022年9月22日時点で、
- オルカン:167.31ポイント
- 全米株式:190.34ポイント
と、全米株式(S&P500)のほうが23.03ポイント上回っています。
これは、
- 2018年10月末に全米株式に100万円投資していたら、オルカンへの投資とくらべて23.03万円儲かっていた
ということになります。
この結果だけ見ると「オルカン1本が最強だ!」とはとてもいうコトはできないでしょう。
しかし、過去のリターンが将来のリターンを保証することはないという事実があり、また、これまであげてきた通り、
- このリターン実績から『アメリカ株が強い』ということは誰もが理解できるからこそ、アメリ株に人気が集まっている
- よって、人気のアメリカ株に投資してもリターンは低くなるかもしれない
という理由から、
- オルカンは、過去の実績ではアメリカ株に負けているが、「オルカン1本が最強の投資法である」という主張がゆらぐことはない
と自信を持って言えます。
まとめ:オルカン1本が最強の投資方法である
といった感じで「オルカン1本が最強の投資方法である」という内容を書かせてもらいました。
まとめると、
- 人気の投資先は、割高となるのでリターンが落ちる
- リターンを高めるためには、予想以上を予想する必要がある
- それは『不可能』と言わざるをえないため、すべてに投資するオルカン1本が最強といえる
- レバレッジ投資は右片上がりが期待できないので論外
- 実績だけ見ればアメリカ株の方が優れているが、過去のリターンが将来のリターンを保証するわけではない
となりました。
昨今、個別株投資ではなくインデックス投資が広がっているのは、『投資先の”企業”を選ぶのは難しい』と考えられているからです。
しかし、なぜか『投資先の”国”を選ぶのは難しい』とは考えられていないように感じます。
「アメリカは高い経済成長が期待できるから」なんて理由でアメリカ株に投資するのは、『(わりと簡単に見つかる)成長率の高い企業』に投資するのと同じ行為です。
しかし、『成長率の高い企業』に投資したところで儲かるかどうかは別の話で、これは『投資先の国』についても同じことです。
そんなわけで、(特別な才能を持たない)個人投資家は『えらぶ』という行為を放棄して、『オルカン一本』に投資することが最強=もっとも無難な選択だと私は考えています。
しかし、最後に白状しますと、私はオルカン1本ではありません。
ここで書いたような『オルカンが有利な理由』を理解しながらも
- 先進国株式の方がリターンよかったし、信託報酬安いモノが多いしなぁ…
- 先進国株式もオルカンも、投資先の比率でいうと大して変わらんしなぁ…(オルカンにしても新興国への投資比率は低い)
という思いを振り切ることができていないのです。
なんというか「少しでもリターンを高めたい…!」という(実現不可能な)願望を捨てきることができず、まだまだだなぁ…。
そんな私の書いた記事ですが、参考になったのであれば嬉しいです。
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オルカンについて、以下のような分析もしています。投資リターンを向上させるためにもご活用ください。
なお、さらに突っ込み、実際の投資にまで言及したこちらの記事もご参照ください(結構気合入れて書いた記事なのでぜひ!)
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