先日、株価が下がってきていますが、喜べていますか?という記事を書いたわけですが、レバナス民は喜んではいけません。
というのも、
- レバレッジ投資は、一度大きく下げると2度と元には戻らない可能性がある
- 通常のナスダック投資が右肩上がりでも、レバナスは右肩下がりになる可能性がある
という性質のものだからです。
具体例を見ていきましょう。
例えば、10年に一回程度あってもおかしくない『50%の暴落』を想定して、
- 合計で50%に下落になるまで、1日で10%の下落を続ける
- レバレッジは3倍とする
と仮定すると、以下のグラフのような推移になります。
7日後には、
- レバレッジなし:47.8ポイントにまで下落
- レバレッジあり: 8.2ポイントにまで下落
となります。
一度下がるとレバナスはヤバい、戻らない
しかし、レバレッジかけているのだから、暴落がひどくなるのはあたり前なので、
- 暴落の後に、元の値を超えるまで、1日で10%の上昇を続ける
と仮定すると、以下のグラフのようになります。
暴落から9日後には、
- レバレッジなし:112.8ポイントにまで上昇
- レバレッジあり: 87.3ポイントにまで上昇
と、
- 『レバレッジなし』はプラス圏にまで復活しても、『レバレッジあり』はマイナス圏のまま
という状態になります。
長期投資になればなるほどレバナスはヤバい、戻らない
そして、
- 株式投資とは、『下落』と『高騰』を繰り返しながら、長期的には右肩上がりになることが期待できるモノ
なので、上の『10%下落、10%高騰』を10サイクル繰り返すと仮定すると、以下のグラフのようになります。
160日後(営業日ベースで8か月ほど)には、
- レバレッジなし:332.9ポイントにまで上昇
- レバレッジあり: 25.8ポイントにまで下落
と、レバレッジ投資は悲惨な結果となります。
つまり、
- レバレッジなし投資で右肩上がりになる相場であったとしても、レバレッジ投資は右肩下がりになるリスクがある
わけです。
とはいえ、グラフだけでは納得のいかない方もいるかもしれないので、具体的な値動きを数値でも見ていきましょう。
開始時を100ポイントとして、株価が10%下落すると
- レバレッジなし投資:90.0 = 100 x 90%
- レバレッジあり投資:70.0 = 100 x 70%
となり、そのあとに株価が12%高騰すると、
- レバレッジなし投資:100.8 = 90 x 112%
- レバレッジあり投資: 95.2 = 70 x 136%
となり、この2日間のリターンは、
- レバレッジなし投資は0.2%の利益
- レバレッジあり投資は4.8%の損失
となります。
つまり
- レバレッジなし投資が儲かっていても、レバレッジあり投資は損をするケースがある
ということになります。
実際にレバナスはヤバい、戻らない
ここまでは、机上のリターンを見てきましたが、次はここ半年の『実際のリターン』を
- TQQQ:NAQDAQ100の3倍レバレッジETF(レバナスの一種?)
- QQQ:NAQDAQ100ETF
の2つで比較すると、以下グラフの通りになります。
スタート時(2021年8月)を100ポイントとし、1月末時点を見ると、
- QQQは、ほぼ横ばい(96.5ポイント)
- TQQQは、大きく下落(85.0ポイント)
と、ここ最近レバナスブームに乗って投資をした人にとっては、非常に残念な状況となっています。
過去の『流行りもの』の残念な状況
こんな話をしていて思い出されるのは、『グローバル3倍3分法ファンド』通称『グロ3』というレバレッジ投資信託です。
これも、2年ほど前にSNSを中心に大きな注目を集め「グロ3と心中する!」「グロ3を信じろ!」と、多くの個人投資家が手を出しました。
しかし、最近の成績は非常に残念なものとなっています。
これはある意味あたり前のことで、
- 流行りのファンド=最近(つまり過去)のリターンが優秀なファンド
- 最近のリターンが優秀なファンドには、お金が集まり割高になる
- 割高になったことで、それ以降のリターンは劣後する
となるのは、市場において鉄板パターンです。
(『レバレッジ投資の問題』とは関係ありませんが、よくあるケースとして)
また、『過去のリターンが良かった』ことと『これからのリターンが良い』には、なんの関連性もありません。
「流行りものに投資するな!」とまで言うつもりはありませんが、
- 流行りものに手を出すときには『いつも以上に詳細な分析』『いつも以上に冷静な判断』が必要
だと言えそうです。
まとめ:レバナスに投資する前に冷静にならないとヤバい
といった感じで、『レバナスはヤバい』というテーマで記事を書かせてもらいました。
レバナスの代表銘柄である『アメリカのハイテク銘柄』は、今後も成長をし続けるでしょうし、株価においても(短期的な下落はあったとしても)長期的には右肩上がりになる可能性が高いです。
しかし、レバナスに代表されるレバレッジ投資が、右肩上がりで儲かる保証は全くありません。
むしろ、レバレッジなし投資が大きく儲けているのに、レバレッジ投資は大きく損をするリスクすらあります。
とはいえ、この記事では『レバレッジ投資に不利な状況』ばかりを取り上げてきたので、相場によってはレバレッジ投資で大きなリターンが手に入るケースもあります。
実際にここ数年間のレバナスは、個人投資家に夢を見させるほどの成果を出してきています。
しかし、だからこそ『流行りもの』となったわけで、過去の『流行りもの』を見ればレバナスの将来は何となく想像できてしまいます。
もし、レバナスへの投資を考えているのであれば、
- アメリカのハイテク銘柄の株価が上昇していくなか、レバナスだけは下落していくような状況に遭遇するかもしれない
という覚悟を持ったうえで投資することをおススメします。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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