名実共に世界一の投資家といえるウォーレン・バフェットは、自身の妻へ
- 自分が死んだ後の、資産運用方法についての遺言
を残しています。
しかし、バフェットの妻は投資家ではなないため、バフェットのような投資を行うスキルを持っているわけではありません。
つまり、
- バフェットの遺言は、投資スキルのさほどない個人投資家でも『ぼちぼちのリター』を手に入れるためにベストな方法
とも言えるわけです。
実際にバフェットは、個人投資家に対しても『遺言と同じ投資方法』をおススメしています。
というわけで、この記事では、ウォーレン・バフェットの遺言の内容を紹介・考察し、「何故その遺言を残したのか?」を紐解いていきたいと思います。
最初に書いてしまいますが、その遺言はいたってシンプルで
資産の90%を「S&P500(アメリカ株のインデックスのひとつ)のインデックスファンド」で運用し、
残り10%を「アメリカの短期国債」 に投資する。
と、これだけです。
しかし、この遺言は『最愛の妻への遺言』であることを考えると、
- バフェットが深く考察したことで導き出した答え
であることは間違いありません。
また、個人投資家に向けても同じようなアドバイスを繰り返ししています。
投資家の中には、
「投資家であれば、自分で投資先を選ぶべきだ!」
と考える方も多いでしょうが、世界一の投資家ともいえるバフェットのアドバイスを無視するべきではありません。
『バフェットがどのように考えて、この遺言に至ったのか』を知ることで、あなたの投資法がより洗練されていくことに期待して、進めていきたいと思います。
<目次>
- ウォーレン・バフェットから妻への遺言【ポートフォリオは?】
- 妻への遺言は一般投資家へのアドバイスと同じ@株主への手紙
- 5つのアクティブファンドとS&P500の成績で勝負してみた
- とはいえ、S&P500は割高かもしれない
- まとめ:ウォーレン・バフェットから妻への遺言は一般投資家へのアドバイスでもある
ウォーレン・バフェットから妻への遺言【ポートフォリオは?】
繰り返しになりますが、ウォーレン・バフェットによる妻への遺言は、
- 90%:株式(S&P500)
- 10%:国債(アメリカ短期国債)
となっています。
昨今では、全世界への分散投資がカンタンにできるようになっていますが、バフェットはそうせず、アメリカ株式への投資比率をかなり高くしています。
さらに、
- アメリカ株式の中でも、S&P500という『アメリカを代表する500社の大型株』を選んでいる
ことから、
- バフェットは、アメリカの大企業が今後も大きく成長していくと考えている
ということが分かります。
このアメリカへの信頼は、バフェットが代表を務めるバークシャーハザウェイから2021年に発行された株主への手紙の中からも見てとれます。
また、他にもアメリカの代表的インデックスには
- NYダウ工業株30種:アメリカを代表とする大企業30社が対象
- NASDAQ総合指数:アメリカのベンチャー企業が対象
などが存在していますが、バフェットは「S&P500」を指名しています。
そのS&P500には
- 特定の分野・企業に限定しない
- 主に大型企業が所属している
という特徴があることから、「広く大企業に投資せよ」というバフェットの考えをくみ取れます。
そして、この遺言(アドバイス)は、個人投資家向けにも発信されています。
妻への遺言は一般投資家へのアドバイスと同じ@株主への手紙
バフェットは、バフェットが代表を務めるバークシャー・ハサウェーが送る「株主への手紙(2013年版)」の中でも、上記ポートフォリオ(資産の割合)を推奨しており、さらに
この方針を守って長期投資をした個人投資家は、高い報酬を受け取るファンドマネージャよりも優れた成績を収めると考えています。
とも発言しています。
シンプルな投資法である、
- 90%をS&P500に、10%を米短期国債に投資する
という方法を守るだけで、世にいる優れたファンドマネージャ(プロ投資)家を超えられるであろう、という衝撃の発言です。
プロの投資家は、高い報酬を受け取っているケースが多いため、そこに釣られて優秀な人材が集まっているわけですが、
- バフェットの遺言通りに投資すれば、その優秀な人材以上に儲けられる。
というわけです。
にわかには信じられない方もいるでしょうが、この発言が正しいことは次のエピソードからも実証されており、疑う余地はありません。
5つのアクティブファンドとS&P500の成績で勝負してみた
バフェットは、とあるヘッジファンドのマネージャに対して
「2008年から2017年までの10年間で、S&P500を超える成績を取れるアクティブファンドを当てることはできるか?」
という勝負をしています。
そのヘッジファンドのマネージャは5つのファンドを選定し、10年後にS&P500の成績と比較しましたが、どれ一つとしてS&P500の成績は超えていませんでした。
当然、この『ヘッジファンドのマネージャ』は優秀な人物で、
その優秀な人物が、優秀なファンドを5つも選んだのにも関わらず、
どれもが、(平均点とも言える)S&P500を超えられなかった。
という衝撃な結果です。
また、この話だけでなく、
- ほとんどのファンドは、S&P500よりも高いリターンを得ることはできない
というコトは、他の調査結果でも証明されています。
特に、著書敗者のゲームでは詳しく語られており、
- 大量の実績を分析したところ、アクティブファンドのほとんどは、インデックス(S&P500など)に負けていた
ということが証明されています。
他にも
という事実からも、
- いかに有能な人物を集めたとしても、投資で高いリターンを手に入れることはカンタンではない
ということがよく分かります。
以上のことから、ウォーレン・バフェットは妻への遺言(や一般投資家へのアドバイス)として、
- 90%:株式(S&P500)
- 10%:国債(アメリカ短期国債)
を投資対象とした、『平均的なリターンを取ることのできる資産運用』を勧めているわけです。
とはいえ、S&P500は割高かもしれない
言うまでもありませんが、投資家にとって『バフェットの言葉』はかなり重たいです。
そのバフェットが「S&P500に投資しておけば結構いい感じだよ」と言えば、多くの資金がS&P500に集まるのは明らかです。
実際に以下の記事にも書いたとおり、S&P500は過去と比べるとかなり”割高”な状況にあると言えます。
参考記事:S&P500は割高?バブル?【過去100年以上の推移を確認】
そして、割高な銘柄への投資”は低いリターンをもたらすことは、過去の実績より証明されています。
つまり、
- 優秀な商品だからバフェットがお勧めしている
- バフェットがお勧めするから割高になる
- 割高になった結果、リターンが低くなる
とも言えます。
とはいえ、S&P500は”超優秀な企業”がそろっていることは間違いなく、多少割高となっていようとも、長い目で見れば優秀なリターンが期待できることに変わりはありません。
(一時的な暴落はありえますが)
もし、バフェットの遺言に従いS&P500への投資をするのであれば、このあたりを理解し、辛抱強く投資を続けることが大切となりそうです。
まとめ:ウォーレン・バフェットから妻への遺言は一般投資家へのアドバイスでもある
ウォーレン・バフェットは超優秀な投資家ですが、バフェットの妻はそうではありません。
その妻への遺言は、一般投資家(優秀ではない投資家)へのアドバイスとしても有効なものです。
「自身の投資能力に絶対の自信を持つ投資家」を除き、バフェットへの意見を自分のポートフォリオ検討の材料としてみては如何でしょうか。
また「自身の投資能力に絶対の自信を持つ投資家」は、自分の投資成績とS&P500の成績を比較してみることをお勧めします。
そして、S&P500の方が優れたリターンを上げているのであれば、インデックス投資を検討してみるべきかと思います。
なお、(投資能力に自信のない)筆者は以下の記事に書いているインデックスファンドでの投資をしています。
よろしければご参照ください。
ちなみに筆者は、『全世界株式への分散投資』をメインとしているのですが、
- アメリカ在住のバフェットがアメリカ株に投資すること
- 日本在住の筆者がアメリカ株に投資すること
の2つを同じように考えることはできないので、より無難な選択である『全世界』を対象にした投資を選びました。
いずれにせよ、バフェットは、株式投資によって高いリターンを出すことは容易ではないと理解していることから、妻や個人投資家へはS&P500への投資を勧めているわけです。
このバフェットの想いが読者の皆様にも伝わると幸いです。
------
以下は関連記事です。よろしければご参照ください。
このブログのランキングが以下のバナーから確認できます。
よろしければ見ていってください。
ツイッターでは記事の公開を通知したり、投資に関係するニュースを取り上げたりしています。よろしければフォローをお願いします!