投資に失敗はつきものです。
投資の失敗からは、
- 世界一の投資家ウォーレン・バフェット
- 教科書にのるレベルの経済学者ジョン・メイナード・ケインズ
- インデックスファンドの生みの親ジョン・ボーグル
- ノーベル経済学賞受賞者たちを率いたLTCM
- IQ190と言われたアイザック・ニュートン
という『天才』たちですら逃れられませんでした。
しかし、現代の投資家は、
- これらレジェンド投資家達がなぜ失敗したのか?
を学び、それを活かすことができます。
もし他人の失敗を学ぶことで、自分の失敗を回避することができれば、それはこれからの投資リターンに大きな影響をあたえることは間違いありません。
そこで今回は、レジェンド投資家たちの失敗を集めた著書『ビッグミステイク』を要約、紹介しつつ、彼らの失敗を学んでいきたいと思います。
<目次>
- ウォーレン・バフェットの師、ベンジャミン・グレアムの失敗
- 元祖”投機”家、テクニカル分析の鬼、ジェシー・リバモアの失敗
- 『トムソーヤの冒険』の著書、マーク・トウェイン(サミュエル・クレメンズ)の失敗
- 金融業界の天才を集めたジョン・メリウェザーの失敗
- インデックス投資の生みの親、ジョン(ジャック)・ボーグルの失敗
- 世界一の投資家、ウォーレン・バフェットの失敗
- ファンダメンタル分析&集中投資のセコイア・ファンドの失敗
- ジョージソロスの弟子スタンレー・ドッケンミラーの失敗
- まとめ:レジェンド投資家の大失敗から学ぼう!
ウォーレン・バフェットの師、ベンジャミン・グレアムの失敗
『ウォーレン・バフェットの師』として有名で、
いまでウォール街で愛読されている著書『証券分析』『賢明なる投資家』を100年近く前に書いた、ベンジャミン・グレアムですら失敗をしています。
『バフェットの師』ということからも分かると思いますが、グレアムは『バリュー投資の父』と言われ、
- 『価値』を決めるのは企業だが、『価格(株価)』は投資家の評価で決まる
- つまり、人々が熱狂していれば株価は上がるし、人々が落胆していれば株価は下がるだけで、そこに企業の価値は関係しない
と、(最近やっと注目されてきた)行動経済学的な考え方も持ち合わせていたスーパー投資家です。
また、
- 『人々の感情によって気まぐれに動く株式市場』を『ミスター・マーケットという気まぐれな人物』に例えた話
を聞いたことがある方は多いと思いますが、これもグレアムの著書『賢明なる投資家』で語られた内容です。
そんなグレアムも、投資で大失敗しています。
1929年、過去最大の暴落である世界恐慌の直前にグレアムは『市場が熱狂している』と判断し、空売りをしかけました。
1929年の後半には、グレアムの読み通りに市場が大暴落し、そこで空売りしていた銘柄を買い戻すことで大きな利益を手に入れました。
その後、1930年には
- 投資家は必要以上に落ち込んでおり、株価が下がりすぎている
- 実際に企業の価値を分析すると、かなりの割安となっている
と判断し、信用買いを仕掛けいました。
しかし、無情にも株価は暴落を続けていきました。
その後、株価の下落は1932年まで続き、グレアムは資産の70%を失いました。
当時の市場を見ると、
- どうみても割安な(時価総額が、企業がもっている現金よりも小さくなっているレベルの)銘柄が数えきれないほどある
- つまり、株を買って、即企業を解体するだけで儲けられる銘柄が大量にあった
- 例えば、2億円の現金を持つ企業を、1億円で買うことができるような状況だった
という、異常なほどの『割安』にありました。
つまり、グレアムの「いまは割安だ!」という調査結果は正しかったわけです。
そして、前述の通り、グレアムはバリュー投資家であるため、この『異常な割安市場』に飛びつきました。
しかし、人々の「株式投資はもう終わりだ…」という(理屈を無視した)本能的な反応は、グレアムの予想をはるかに上回り、誰にも説明できないレベルまで暴落が続きました。
あたり前に考えれば、
- 『バリュー投資=割安な銘柄への投資』は、長期的にはリターンが期待できる可能性が高い
のは確かです。
しかし、
- 人々の感情によって大きく左右される『短期的な市場』には、バリュー投資は通用しない
というのもまた事実です。
『バリュー(株価・企業価値)』は、投資するうえで欠かすことのできない情報ではありますが、
- バリューがすべてを決めるのではない。
- 割安銘柄であっても、もっと株価が下落する可能性はある。
といったことが、ベンジャミン・グレアムの失敗から学ぶことができます。
元祖”投機”家、テクニカル分析の鬼、ジェシー・リバモアの失敗
続いては、
「安値で買って、高値で売れ」
「投資家にとって最大の敵は、自分の中にいる」
といった数々の格言を生み出した”投機”家、ジェシー・リバモアの失敗を紹介していきます。
ジェシー・リバモアは10代のころから投機を続け、失敗と成功を繰り返しながら、30歳には300万ドル(現在の価値にして70億円)もの資産を手に入れたスーパー投資家です。
間違いなく、『1900年代はじめのころの最高の投機家の一人』といえる人物でしょう。
しかし、この成功によって『綿花の投機家として世界中で名が知られた人物』テディ―・プライスに目を付けられ、
「私から綿花業界の需要な情報を君に渡すから、取引は君がしてくれないか?」
と声をかけられました。
しかし、リバモアはテクニカル分析による投資を得意としていたため、プライスの提案は断りました。
とはいえ、リバモアとプライスは性格的に合うところもあったため、ただの友人としての付き合いが始まり、次第に親密になっていきました。
そして、リバモアは、親友としての付き合いの中で、『プライスの綿花業界の豊富な知識』に魅了されていくこととなりました。
そんな付き合いが続いていく中で、リバモアは『プライスの提供する魅力的な情報』にあらがえなくなり、
- 自分の得意とするテクニカル分析を捨て、プライスからの情報を頼りに投資をする
という決断を下してしまいました。
結果は言わずもがな、投機はうまくいかず、450億ドルもの大金をうしなうこととなりました。
現代では世の中には情報があふれかえっており、「この情報は有益だ!」と思ってしまう話を聞く機会が頻繁にあります。
実際に、テレビやYoutube、雑誌などを見て「この会社に投資すれば大きなリターンが手に入るかもしない!」と考えてしまった(なかには実際に投資してしまった)ことのある人は多いでしょう。
しかし、そういった情報に振り回され、自分の投資スタイルを捨ててしまうのは賢明な選択とは言えません。
こういった外野からの情報に惑わされないようにするためには、
「自分には、どんな能力があるのか?」
「どういった投資スタイルが合っているのか?」
をしっかりと考えておく必要がありそうです。
なお、自問自答の結果「とくに何の能力もないな…」となったのであれば、ひたすらインデックス投資を続けるのがベストな選択なのではないかと思います。
『トムソーヤの冒険』の著書、マーク・トウェイン(サミュエル・クレメンズ)の失敗
つづいては、歴史に名を遺す作家でありながらも、投資家としても知られるマーク・トウェイン(本名:サミュエル・クレメンズ)の数々の失敗を見ていきたいと思います。
マーク・トウェインは
「人間の一生には投機をしてはいけない時が2度ある。投機できる余裕がない時と、その余裕がある時だ。」
「銀行は、晴れの日に傘を貸し、雨が降り始めると『返せ』と言うのが仕事だ。」
「それを事前に予測出来ていればよかったのだろうが、私が得意とするのは後になってから結果を振り返ることだ。」
といった数々の名言を残していますが、ネガティブなモノばかりです。
つまり、
- マーク・トウェインの投資人生は、失敗だらけだった
ということが分かります。
ある日、
「アレクサンダー・グラハム・ベルが電話というモノを開発しているので、そこに投資しないか?」
との話をもちかけられたが、マーク・トウェインは、『豊富な知識』と『長い投資の経験』を頼りにそれを断りました。
しかしその後、ベルは電話の開発に成功しました。
マーク・トウェインは、『儲けるチャンスを逃した』という痛い思いをしたわけですが、それに加え
- マーク・トウェインの身近にいた普通の老人がベルに投資していて、その老人は大金持ちとなった
という悔しい思いもしました。
その時、マーク・トウェインは
「博識で経験豊かな人間が失敗しているのに、無知で経験のない人間が、しかも分不相応に成功することが多いのは、まことに不可解だ」
との発言をしています。
こういった『天才による失敗』は、マーク・トウェインに限りません。
IE190と言われたアイザック・ニュートンでさえ、1700年代にあった南海泡沫事件によるバブル崩壊で大半の資金を失い、
「私は天体の動きなら計算できるが、人々の狂気はムリだね」
という発言を残しています。
「自分は、投資家の中では賢いほうだ」と考えている人もいるでしょうが、だからといって投資で成功できるとは限らない、と覚えておきましょう。
とはいえ、これを聞いても
「マーク・トウェインやニュートンが天才であったことは確かだが、投資の天才ではないからだろう」
と思う方も多いでしょうから、次は金融業界の天才による失敗を見ていきましょう。
金融業界の天才を集めたジョン・メリウェザーの失敗
ジョン・メリウェザーは、名門投資銀行であるソロモン・ブラザーズの副会長をつとめ、『並みはずれた人材を見つけだす能力がある』と評された人物です。
そのメリウェザーは、1994年にLTCM(ロングタームキャピタルマネジメント)というファンドを設立しました。
LTCMには、
- MITで経済学博士号を取得し、ハーバード・ビジネススクールで教鞭をふるっていたロバート・マートン
- シカゴ大学でMBAと博士号を取得し、ブラック-ショールズ方程式を完成させたマイロン・ショールズ
という二人のノーベル経済学賞受賞者が在籍しており、他にも経済・投資に精通した人物ばかりが集まりました。
LTCMは、エコノミスト誌から
「リスクマネジメントを、推理から科学に変えた」
というほど賞賛されており、実際にLTCMは大成功を収めていました。
しかし、その好成績は長くは続きませんでした。
LTCMがあまりにも高いリターンを出し続けるため、LTCMをマネた戦略をとる投資家が増え、LTCMのリターンは低くなっていきました。
それを取り戻すべく、LTCMは高レバレッジをかけた投資をし、ときには『100倍』という驚くほど高いレバレッジをかけて投資していました。
LTCMが高レバレッジで投資をしてたころ、LTCMが投資していたロシアでは財務危機が叫ばれていました。
しかし、LTCMの投資家は、
「ロシアが破綻する確率を計算すると『100万年に3回』いう結果がえられた。つまり、破綻することはありえない。」
と判断し、ロシアへの投資を続けました。
しかし、予想に反してロシアは破綻しました。
LTCMは再起不能なほどの巨大なダメージを負い、そのまま解散することとなりました。
ノーベル経済学賞を受賞するほどの人物が二人もいるLTCMでさえ
- 『ロシアは破綻しない』という誤った判断をし、
- 『レバレッジ100倍』という常軌を逸した投資をしていた
のは、
「世の中に自分達よりも優れた投資家は存在しない」
「自分達のやっていること、自分達の判断は正しいのだ」
という慢心だったのかもしれません。
ここからは
- いかに天才的な頭脳があったとしても、未来を正確によむことはできない
ということが学べそうです。
これは、
- 『経済学の歴史上最高の天才』とも言われ、マクロ経済学の父と呼ばれるジョン・メイナード・ケインズでさえ短期投資では大失敗を繰り返していた
ということから間違いなさそうです。
どれだけ自分が優秀で、どれだけの成功を収めていたとしても、適切なリスクヘッジを忘れないようにしたいものです。
さて、ここまでは『投機』や『個別株投資』をした投資家ばかりを取り上げてきました。
そこで、
「自分はインデックス投資家だから、失敗することなんてないよ」
と思っている方もいるでしょう。
しかし、投資はそんなに甘くはありません。
というわけで、次には『インデックス投資の生みの親』であるジョン・ボーグルの失敗も見ていきましょう。
インデックス投資の生みの親、ジョン(ジャック)・ボーグルの失敗
名実ともに世界一の投資家であるウォーレン・バフェットに
「アメリカの投資家に最も貢献した人間の像を立てるとしたら、ジャック・ボーグルに決まっている。」
とまで言わせる、ジョン・ボーグルでさえ失敗をしています。
しかも「アクティブ投資でインデックス以上のリターンを得ることはできない」と理解していたのにも関わらず、です。
ボーグルは、プリンストン大学の卒業論文で、
「ミューチュアルファンドは、市場平均を超えると主張すべきでない」
と書き、この時点ですでに『アクティブ投資で市場平均を超えることは難しい』と理解していました。
そこに保守的な金融機関である『ウェリントン』が目を付け、同社に入社することとなり、36歳の時にはのCEOに就任するほどの成果を上げてきました。
しかし、時は1960年代の『ゴーゴー時代(高度成長時代)』で、
- 保守的な運用をするウェリントン・ファンドのリターンはイマイチで、運用資産が逃げ出していた(顧客がアクティブファンドに資金を移動させていた)
という状況にありました。
そこで、ボーグルは、
- 若い、活発な取引を好むマネージャを会社に取りこむ
- 成長株に投資する投機的なファンドを設立する
といった対策を打ちました。
これは『保守的』というウェリントンの方針とは真逆の戦略です。
結果は言わずもがな、大失敗によってウェリントンはボロボロとなりました。
ボーグルの失敗はそれだけではありません。
その数年後には、ボーグルはまさかの『テクニカル分析を活用するファンド』を誕生させました。
この結果も言わずもがなですね…。
ボーグルほど
「インデックス投資がベターな選択肢だ」
と理解している投資家はいないと思いますが、そんなボーグルでさえ時代の熱に踊らされ、自分のスタイルを忘れてしまうことがあります。
私たちは
「脳死してインデックス投資しているだけだから、何の問題もおきようがないわー」
と油断することなく、自分のスタイルを見失わないよう強く誓う必要がありそうです。
具体的な話をすると、最近は市場が絶好調で
- レバレッジを掛けてNASDAQ市場に投資するファンド、通称:レバナス
に投資して、大きなリターンを手にしている投資家が多くいます。
その状況を目の当たりにして「自分もレバナスに投資しようかな…」なんて考えていたりしませんか?
もし、あなたが『インデックス投資家』なのであれば、その考えは『危険』であることに気付かなければなりません。
さて、続いてはウォーレン・バフェットです。
世界一の投資家、ウォーレン・バフェットの失敗
バフェット本人が
「投資の大失敗の事例として、この件はギネスブックに載るに値します」
と言うほどの失敗があります。
それが、『靴メーカ:デクスター・シューズへの投資』です。
バフェットは、靴メーカへの投資を得意としているわけではないものの、経験がまったくないわけではなく、過去に靴メーカへの投資で成功した経験もありました。
しかし、目のまえに『割安な靴メーカ:デスクターシューズ』を買収するチャンスが訪れた時、『買値の安さに目を奪われ、十分な安全性のあるビジネスかどうか確認せずに』手を出しました。
当時は靴の輸入が増えつつある時代だったわけですが、バフェットは『靴の輸入が減少する』と、
- バフェットの得意とする『企業分析』の範囲を少し超えた予想
をしました。
しかし、輸入靴は増え続け、デクスターの価値はゼロにまで落ちました。
しかもデスクターへの買収は、『バークシャー株との交換』で行われており、もしこの時にバークシャーの株を手放していなければ、60億ドルもの大金になっていたと計算できます。
当時のバフェットは、投資で大成功したことで世界中から賞賛されており、『自分の判断は正しいのだ』という過剰な自信を持ってしまっていたようです。
このことから、
- バフェットほどの投資家でさえ自分の能力の範囲を超え、自信過剰な判断を下すことがある
ということを覚えておきましょう。
さて、続いては『バフェットの弟子たち』によって運用されていたセコイア・ファンドの失敗を見ていきましょう。
ファンダメンタル分析&集中投資のセコイア・ファンドの失敗
セコイア・ファンドは、1969年にバフェットが運用するファンド(リミテッド・パートナーシップ)を解散したときに、顧客を引き継ぐ形で誕生したファンドです。
セコイアにはバフェットの影響が大きく表れており、ファンダメンタル分析を基本とした
- バリュー投資
- 集中投資
- 長期投資
を得意とするファンドです。
ワシントン・ポスト紙には、
「1つの会社の調査のために、セコイアのアナリストが株主総会に毎年出席し、何十人もの従業員、マネジャー、顧客、サプライヤーから話を聞いたりして10年を費やすのは珍しいことではない」
と書かれるほど、慎重に企業分析を行うスタイルを採用していました。
そのバフェット譲りの戦術はうまくいき、設立以来47年間のリターンは、S&P500の年間リターンを2.6ポイントも上回っていました。
これは、設立時に1万ドルを投じていたとすると、400万ドル近くにまで増えているということになり、S&P500に投資していたケースの3倍にもなります。
しかし、2015年にセコイアが投資しているバリアント社(製薬会社)が、会計の不正を指摘され、暴落しました。
それでもセコイアは、これまでのファンダメンタル分析によって『セコイアには投資する価値がある』と判断していたため、その判断を覆すことはしませんでした。
セコイアのCEOは、バフェットの有名な名言をもちいて
「みなが恐怖におののいている時に貪欲になりましょう」
と言い、暴落した株を買い増ししていきました。
しかし、バリアント株は下落を続け、暴落から数か月で90%以上の暴落となり、ついにセコイアもバリアント株をすべて手放すこととなりました。
セコイアは、この暴落によって資産が半分になるほどのダメージを負うことになりました。
セコイアは、これまで
- 「投資する価値がある」と判断できるまで徹底的に調査し、
- その判断ができたら、集中投資を行い、
- 長期に渡って投資を続ける
というバフェットの教えによって、大きなリターンを上げつづけることに成功してきました。
しかし、その『過去の栄光』のせいで、『不正会計という会社の根本をゆるがす程の大惨事』を「しっかり調査してきたから大丈夫だ」と軽くあつかってしまい、結果としてファンドに大ダメージを与えてしまいました。
集中投資は、成功すれば大きなリターンを手にすることができますが、一度失敗しただけで悲惨な結果をまねくことにもなります。
『投資』に『楽しみ』を求めるのであれば、集中投資がいいのかもしれませんが、『長期にわたって資産を増やす』ことを目的とするのであれば、分散投資するべきだと言えそうです。
続いては、ウォーレン・バフェットを超えるリターンを長期的に出し続けたスタンレー・ドッケンミラーの失敗を見ていきましょう。
ジョージソロスの弟子スタンレー・ドッケンミラーの失敗
長期間圧倒的なリターンを出し続けているウォーレン・バフェットは、
- 過去30年間は年利20%近くのリターンを叩き出し
- 30年前に投資していたら元本が177倍になっていた
という驚異的なリターンを出しています。
しかし、スタンレー・ドッケンミラーに投資していれば、
- 30年間で、元本が2600倍になっていた
という、信じられないようなリターンを手にすることができました。
ドッケンミラーは、『イングランド銀行をつぶした男』と呼ばれるジョージ・ソロスの元で投資しており、グローバルなマクロ投資家(国家レベルの動きに賭けて投資をするスタイル)です。
しかし、1999年ITバブルが到来し、ドッケンミラーは『得意分野ではないハイテク銘柄』に手を出しました。
あたり前ながら、その投資は失敗し、ドッケンミラーは早々と自身でハイテク株に投資することを諦め、若手のトレーダーを雇い、ハイテク銘柄への投資を任せました。
その若手トレーダーは見事に成功を収め、大きなリターンを手にしました。
そして、若手トレーダーの成功を見たドッケンミラーは、「負けたくない」と思ったのか、再びハイテク株への投資を始めました。
投資している真っ最中に「私はこの市場が好きではなく、あまり関わらないほうがいい」と発言していたのにも関わらず…。
結果は、言わずもがな、バブル崩壊とともにドッケンミラーのポジションも崩壊しました。
ここから学べる重要なポイントとしては、『得意分野から出るべきでない』というあたり前のことだけではなく、
- 『手を出すべきではない』と分かっていても、手を出してしまうことがある
ということです。
ドッケンミラーは
私は60億ドル分のハイテク銘柄を買い、1回の取り引きだけで6週間後には30億ドル失いました。
さて、私は何を学んだのでしょうか。
何も学びませんでした。
私は自分がその取引をすべきでないことを分かっていました。
ただ、情緒不安定で自分を止められなかった。
今後はあんなことは二度としない、という学びがあったかもしれません。
でも、それは前から分かっていたことです。
と発言しています。
『知っている』ことと『それを行動に移せるかどうか』には大きな隔たりがあり、「知っているから大丈夫」と慢心しないよう注意する必要がありそうです。
まとめ:レジェンド投資家の大失敗から学ぼう!
というわけで、著書『ビッグミステイク』から、レジェンド投資家達の大失敗を紹介させてもらいました。
この本からは、「どうすれば投資のミスを避けられるのか?」を学ぶことはもちろんできますが、私の思うこの本から学んで欲しい最大のポイントは
- 投資している以上、ミスすることは避けられない
- ミスをしても、我慢強く投資することで、長期的には成功することができる
の2点です。
(一人を除く)みなが『天才』と言われる投資家で、われわれ個人投資家とは比較にならないほどの知識、頭脳を持っているのにも関わらずむちゃくちゃな失敗をしていました。
株式市場は、『論理』だけでなく『人々の感情』が大きな影響をおよぼすため、どれだけ慎重に行動したところで、失敗を完全に避けることは困難でしょう。
しかし、ここで取り上げた投資家は(一部を除いて)、短期的には失敗を繰り返しながらも『一生涯』という規模で見れば大成功を収めた人物ばかりです。
よって、われわれ個人投資家も『投資に失敗はつきものだ』ということを理解したうえで、実際に失敗してしまったとしても
「これでめげずに、粘り強く投資を続けていけば、いつかはむくわれる」
と信じて投資することがベストな選択なのではないかと思います。
(レジェンド投資家の話の後にするのも何ですが…)私も投資を始めた15年ほど前には調子に乗って大失敗を繰り返していました。
しかし、この失敗があったからこそ、『インデックス投資』という自分に合った投資を見つけることができ、大きな資産を手にすることができたのだと思います。
みなさまも、失敗を恐れることなく様々な投資にチャレンジし、失敗しても心折れることなくチャレンジを続けてもらいたいと思います。
それによって、豊かな人生が送れるようになることを願っています。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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