新型コロナによって世界は一変し、経済は停滞しているのにも関わらず、株価は絶好調となっています。
これは『政府が新型コロナ対策として、巨額の支援をしているため』だと考えられます。
この状況に対して世界3大投資家の一人ジム・ロジャーズは、
- アメリカ経済の危機が近づいている
- 株価が89%下落した世界恐慌時に似た状況になっている
と警告を発しています。
これは『現状』を『過去の歴史』にすり合わせてみると、同意せざるをえません。
というわけで、その根拠が示されたジム・ロジャーズの著書『コロナ恐慌を生き抜く お金の新常識』を要約、考察しながら、危機的現状を乗り越える方法を学んでいきたいと思います。
<目次>
- MMTを叫べば遠慮なく借金できる
- 次の経済危機は2022年にかけて訪れる可能性がある
- 仮想通貨は、政府の「逆襲」で価値がゼロになる
- アメリカ株は買わない
- 世界の元覇権国イギリスも、借金によって衰退した
- 死にゆく企業を守ることで衰退する
- 『コロナ恐慌を生き抜く お金の新常識』を要約しつつ紹介させてもらいました
MMTを叫べば遠慮なく借金できる
近ごろは
- 自国立て通貨による国債であれば、いくら国債を発行(借金)しても国家が破綻することはない
という考え方である『MMT』について耳にする機会が増えました。
これは、新型コロナの対策のため、『各国の政府が巨額の予算を計上しているタイミング』に目立つようになってきた理論であることから
「政府が借金を正当化するために、MMTを叫び出したのではないか?」
という疑問が浮かんでくると、ジム・ロジャーズは指摘します。
そして、この状況について「危険だ」と警告しています。
MMTを信じ、政府がひたすら借金をしてお金を市場に投入しつづけるようなことになれば
- 適当に投資しても儲かるため無責任な投資が増えることになり、お金が正しく分配されなくなる
- つまり、お金が非効率的に動くこととなり、経済が衰退するリスクがある
- また、お金が増え続ければ高いインフレをまねき、様々な悪影響がでてくる
というわけです。
MMTのように「いくら借金しても大丈夫」という理論が正しいのであれば、これほどラクなことはなく、そのラクな道を選ぼうとしている人々が数多くいるように見受けられます。
しかし、経済がラクして上手くいくほどあまいモノなのかどうか、考える必要がありそうです。
(ちなみに、私の個人としては「景気が悪化している状況、インフレが進んでいない状況においては、国債をどんどん発行しても問題ない」という意見です)
そんなMMTに押されてか、各国政府は借金を増やし、市場にお金をばらまき、結果として2021年の株式市場は絶好調のまま終わりを迎えそうです。
しかし、ジムロジャーズは
「次の経済危機は2022年にかけて訪れる可能性がある。」
「水面下では、その動きがすでに始まっている。」
と警告しています。
次の経済危機は2022年にかけて訪れる可能性がある
『2021年の好景気は、政府がお金をバラまいたことによるもの』であることを疑う人は少ないと思いますが、そうした『人工的な好景気』が長く続かないことは過去の歴史から見ても明らかです。
そして、いまの『人工的な好景気』は、株価が89%も下落した『1929年の世界恐慌』の時と似た状況にあります。
というのも、1929年の暴落時には
- 暴落前に『金融緩和』の名のもとに、おおくのお金をバラまいた
- それによって、暴落の直前に株価が大きく上昇していた
と、現在と同じような事態が起きていました。
実際に、直近10年の株価の推移を見ると以下グラフのように推移しており、コロナ対策としてお金がバラまかれてから、株価が大きく上昇していることが分かります。
いまのところ『株価が”極端”に上げすぎている』とは言えないものの、経済の実態以上に株価が上がっていることは理解しておく必要があります。
だからといって『100%暴落が待っている』とは言えないものの、『歴史は繰り返す』ということを忘れてはいけません。
さて、話はかわって次は『仮想通貨』の話題を取り上げていきます。
仮想通貨は、政府の「逆襲」で価値がゼロになる
ジム・ロジャーズは
「仮想通貨は、政府の「逆襲」で価値がゼロになる」
と発言しています。
仮想通貨は、『ブロックチェーン』という優れた技術を使っており、仮想通貨を広げようとしている人々は(既存の通貨を発行している)『政府より賢い』といえる人も存在していることから
- 仮想通貨は既存の通貨よりも優秀である
と言えるかもしれません。
よって
「仮想通貨のような優れた通貨が広がるのは時間の問題だ」
「政府の発行する通貨は廃れていく」
と考えるのも理解できます。
しかし、仮想通貨を広げようとしている人々は持っておらず、政府だけが持っているモノがあります。
それが『武力』です。
『通貨の発行』は政府に与えられた特権であり、通貨を制御することで、経済をコントロールしたり、(あまり)漏れなく税金を集めることができていうわけです。
よって、もし仮想通貨が本当の通貨として使われるようになれば、政府は危機感を覚え、仮想通貨の排除に走ることでしょう。
これは、1930年代の半ばにイングランド銀行が
「イングランド銀行が発行する通貨以外を使ったら、反逆行為とする」
と発表し、これによって数多くあった通貨は消えていくこととなった歴史などからも想像できます。
よって、ジム・ロジャーズは「仮想通貨が広くマネーとして流通することはない」と予測しているわけです。
また、仮想通貨と同じく、最近取り上げられることの多い『アメリカ株』に対するジム・ロジャーズの意見も見てきましょう。
アメリカ株は買わない
ジム・ロジャーズは、著書『お金の新常識』の中で
「アメリカ株は買わない」
と明言し、実際に2020年時点ではアメリカ株へ一切投資していません。
というのも、『アメリカ株は割高だ』と考えているためです。
アメリカは最大の債務国であったのにも関わらず、新型コロナ対策としてさらに巨額の借金を積み重ねました。
この行為についてジム・ロジャーズは、
- 目先の選挙だけを気にした対策だ
- 借金が増えたことによって未来がどうなるか考えていない
と批判しています。
そして、この状況を「100年前のイギリスとそっくりだ」と言います。
世界の元覇権国イギリスも、借金によって衰退した
100年の前のイギリスは、もっとも金持ちで、もっとも強い国でした。
しかし、次第に金遣いが荒くなり、借金を重ねていくことで国力が弱くなり、今では世界のトップ20にすら入らない国となってしまいました。
参考記事:アメリカが世界一の経済大国となった理由
まさに今のアメリカと重なります。
また、ジム・ロジャーズは中国との対立についても懸念しています。
死にゆく企業を守ることで衰退する
トランプ元大統領は、『TikTok』や『WeChat』を「スパイ行為をしている」と非難し、利用を禁止しました。
このことについて、ジム・ロジャーズは
「アメリカは、中国に対して技術で競争できないから、政治を使って戦いに勝とうとしている」
と指摘しています。
確かに、
「『TikTok』や『WeChat』を超えるアプリをアメリカ企業が作れば、これらアプリが使われることはなく、禁止する必要すらない」
と思います。
これは、過去に日本の自動車メーカが激しく叩かれていた歴史と似ているよう見えます。
その時、日本の自動車メーカはアメリカでの販売台数を増やしていく過程で、アメリカから様々な理由で叩かれまくりました。
しかし、最終的には技術力で優れた日本車が勝者となり、
反対に、アメリカ政府に守られたアメリカの自動車メーカは衰退していきました。
つまり、
- 技術が劣る自国の企業を守ったところで、強い方が勝つ
- 守られた企業は、守られていたがゆえに成長する活力を失い、衰退していく
というわけです。
整理すると、いまのアメリカは
- 自力では生き残れない企業を守ったがゆえに、本来であれば死にゆく企業が生き残り、
- 死にゆく企業にお金や人材を取られてしまうがために、将来有望な企業がお金や人材を調達することができず、
- 全体で見ると衰退していく。
と、まるで日本のような状況にあるわけです。
よって、ジム・ロジャーズは「アメリカ株には投資しない」という判断を下しているようです。
『コロナ恐慌を生き抜く お金の新常識』を要約しつつ紹介させてもらいました
といった感じで、ジム・ロジャーズの著書『コロナ恐慌を生き抜く お金の新常識』を要約、考察しつつ紹介させてもらいました。
もちろんこの著書の内容には、ジムロジャーズのポジショントークも含んでいるでしょうから、このまま信じてはいけませんが、
- MMTが注目を集めているのは、MMTをぶち上げないと危険だからだ
というのには納得で、
「MMTについてもっと勉強しなければならないな。」
と考えさせられました。
「以前はMMTを認めていたくせに!」と批判されるかもしれませんが、様々な意見を取り入れ、意見をアップデートしていくのは重要なことです。
よって、このブログでは「MMTはアヤシイ」というジム・ロジャーズの意見を紹介したり、「投資なんかおやめなさい」と叫ぶ荻原博子さんの著書を紹介したりしているのです。
また、同じように
- MMTによると、国債をいくら発行しても大丈夫!
- 経済危機に陥っても、政府が救済するから問題ない!
- アメリカ経済は最高の状態にあり、これからも変わらない!
- これからは中国が経済の覇権国になる!
といった『よく耳にする意見』をそのまま受け入れるのも危険です。
よって、ジム・ロジャーズのような『(どちらかと言うと)異端な投資家』な意見も聞き入れるようにし、できるだけ多くの『情報源が偏らない情報』をインプット、自分なりに解釈する必要がありそうです。
なお、ジム・ロジャーズは『コロナ恐慌を生き抜く お金の新常識』の中で、
- 北朝鮮は宝の山
- ロシアに投資している
- 日本のETFを買っている
- インドはまだ成功しない
- 21世紀は中国の時代
- アメリカ株は買わない
- アフリカが台頭してくる
といった意見を書いており、これら根拠を知りたいのであればぜひ本を手に取ってみてください。
なかには
「ジム・ロジャーズのような天才の意見を聞いても参考にならん!」
と思う方もいるでしょう。
私もそう思います。
しかし、天才ジム・ロジャーズであっても、実はインデックス投資の優秀さを認めており、実際に日本のETFを買っており、意外と堅実な投資をしているのです。
インデックス投資家にとっても、『ジム・ロジャーズのインデックス論』は非常に興味深く、勉強になる内容でした。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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