最終更新日:2021/2/2
「もはや、アメリカの若者に明るい未来はないだろう。」
「S&P500に投資しても儲からない時代へになるだろう。」
という衝撃的な言葉が書かれている『ジム・ロジャーズ 大転換の時代』を読みました。
この本は、新型コロナによるパンデミックが発生した後(2020年末に発売)に書かれており、
- 新型コロナ後の世界はどうなっていくのか
- ジム・ロジャーズの思う、魅力的な投資先
について語られています。
世界3大投資家とも言われるジム・ロジャーズ氏が、新型コロナ後の世界をどのように見ているのか、分かりやすく解説してくれています。
ざっと要点をピックアップすると、
- マーケットの2番底はまもなく来るかもしれない
- 過熱相場時にどんな行動を取るべきか
- アメリカ大統領選の翌年は要注意
- 何故バフェットは日本の商社株を買ったのか
- 金、銀はバブルか?これから買っても大丈夫か?
- GAFAは投資先として有望か?
- 日本は増税しても借金は減らない
- 金融リテラシーが低いのは日本人だけではない
といった感じで、かなり幅広い話題が取り上げれられています。
かなり正直に「○○は嫌いだが…」「○○には魅力がない」といった批判的な意見も書かれており、ジム・ロジャーズの人となりも分かる、純粋に『楽しい本』でもありました。
では、『ジム・ロジャーズ 大転換の時代』の一部を要約して紹介させていきたいと思います。
人生最悪の暴落の予兆はすでに始まっている
ジム・ロジャーズは、
次の世界的不況は間違いなく私の人生で最悪のものとなるだろう。
もうすでに、クラッシュは始まっているかもしれないが、これからさらに悪化すると考える。
…中略…
コロナクラッシュを発端として、世界中の債務が過去にないほどの規模に膨らんでいるからだ。
と述べ、新型コロナ対策のため、各国が大規模な経済対策を実施したことによる債務の拡大を懸念しています。
現時点では低金利となっているため、紙幣を印刷し、債務を増やし続けることができていますが、いつか市場が「紙幣を刷りすぎていてヤバい」と思うようになれば、金利が上昇し、負債をかかえる多くの人・企業が破綻することになります。
また、ジム・ロジャーズは「米国株式はコロナ前からバブルだった」と考えており、金利上昇によって政府・中央銀行による『紙幣をする→株式市場に投入する』が続けられなくなった際には、大暴落が起きる可能性があるとしています。
というのも、コロナ前には『何があっても』毎日のように株価を上げる日が続いており、最近また同じように『上げ続ける日々』が続いているためです。
以下記事にも書いた通り、
- 大統領選でバイデン氏よりもトランプ氏の方が優勢だ!で株価上昇
- 上院は共和党、下院は民主党が多数となり、ねじれ議会となりそうだ!で株価上昇
- 民主党が上院、下院ともに多数派となるぞ!で株価上昇
と、まさに『何が起きても株価が上がる』という現象が起きていました。
参考記事:世界同時株安からの地域別・代表的ETFの株価の変動を確認
ジム・ロジャーズは「市場の2番底を読むのは苦手だが…」と言いつつも、「2021年の前半に2番底がくる可能性がある」としています。
とはいえ、まだ『バブル』というほどの状況ではなく、『半年で株価が倍増するような熱狂の後にバブルが崩壊することが多い』と過去を振り返っています。
ジム・ロジャーズはバブルについてこう述べています。
バブルを信じない老獪な年よりの私が参加したとしたら、まず最初に壊滅するだろう。
この相場はクレイジーだと考え、早めに空売りをしかけるから。
その間、どこかの20代の若者が「俺は天才だ、なんて簡単な相場だ」と思いながら、株を買い続ける。
空売りを仕掛けた私はそこで破産する。
しかしその後やってくるバブル崩壊で彼らも全滅する。
過熱相場に懐柔的な人も熱狂を信じる人も誰もかもが大損害を被る、それがバブルなのだ。
さて、話は変わって、世界的投資家であるジム・ロジャーズですが、インデックス投資の優勢性も認めています。
商品の時代がくる。インデックスを利用してもいい。
ここまで書いてきた通り、ジム・ロジャーズは『株式への投資でリターンが得られない時代がくる』と予測し、代替投資先として『商品』を勧めています。
ざっとまとめると
- 『商品』と『株式』はリターンの優劣が18年周期できている
- ここ18年間は『株式』のターンであったため、今度は『商品』がくる
としています。
『大転換の時代』の中では具体的商品についても触れていますが、「仕組みや商品について詳しくないのであれば、インデックスなどに投資するといい」とし、
- RJI(ロジャーズ・インターナショナル・コモディティインデックス)
- RJA(ロジャーズ・インターナショナル・コモディティインデックス)
といった、自身のファンドを紹介しています。
急に自身のファンドを突っ込んでくるから驚きましたw
とはいえ、株式投資には精通していても商品投資に精通している人はなかなかおらず、リスク分散という意味で商品投資するのであれば、商品のインデックスは素晴らしい投資先と言えるかもしれません。
(ロジャーズ氏のファンドが良いかどうかは置いておいて…)
なお、『詳しくなければインデックス投資がいい』と勧めておきながら、ジム・ロジャーズもインデックスを利用することがあるようです。
とりあえずインデックス投資
ジム・ロジャーズは
それほど株式や企業に詳しくなく、調べる時間も気力もない人であれば、まずはインデックス投資を検討したほうがいい。
今はいろいろな商品があるし、私も最近はずいぶん怠け者となってETFやインデックス投資を使うことはよくある。自分が何に投資しているかを理解していれば、個別株投資だって悪くはない。
ただ、どういった企業や個別株に投資するかを学ぶには、何か月もかかる長いプロセスが必要だ。
企業の決算数字や業態について完璧に理解していなければ、投資してはいけない。
とし、インデックス投資の有用さ、個別株投資の難しさを説明しています。
にしても、世界的投資家のジム・ロジャーズがインデックス投資をよく使うというのには驚きです。
といった感じで、一般の人にはインデックス投資を勧めているわけですが、
ここ20年間はアメリカの代表的な株価指数であるS&P500のインデックスを買っていれば儲かっていたかもしれないが、向こう20年は儲からないと思う。
今であれば、どちらかと言えば日本のインデックスを買うべきだ。
しかし皆はすでに上がった資産を買いたくて、横ばいの日本インデックスには手をつけないだろう。
との警告もしています。
筆者(ひょしおんぬ)にはかなり響いた言葉で、投資の基本は『価値よりも低い価格となっているモノを買う=人気のない、実力のある銘柄を買う』ことで利益を上げようとするわけですが、
- 過去に大きなリターンを上げてきたアメリカ株
- 今後大きく成長するであろう新興国株
ばかりが注目され、多くの人がこれを買っています。
まさに「すでに上がった資産を買いたくて…」という言葉がピッタリ当てはまります。
と、ここまでのジム・ロジャーズの予想をまとめると、
- これから株式のリターンは下がるかもしれない
- 代わりに商品の時代となるかもしれない
- 一般の人はインデックス投資がおすすめ
- インデックス投資にしても皆が買わないものを買うべき
としています。
が、それ以前に
「必ず投資をしなければいけない」と考えてはいけない。
繰り返すが、もしインデクスを探すことさえできなければ投資自体をすべきではない。
わからずに買えば大抵は損をする。
それを人のせいにしても何もいいことはない。
とし、「インデックス投資でさえ、投資先の選択を他人にゆだねるような人は投資をすえるべきでない」と警告しています。
また、ジム・ロジャーズは「万人に投資が必要だとは思わない」と、本書の中で繰り返し言及しており、自分の娘に対してでも「娘が望めば、投資について教えてもいいけど…」としか考えていないようです。
”投資は必須”ではない
ジム・ロジャーズは、「娘が38歳になるまで資産を渡すつもりはない」と言い、その理由を以下のように述べています。
(娘に)投資については望めば教えてもかまわないが、それが好きでなければ無理に学ぶ必要はない。
好きなことを極めるのが一番成功をおさめやすいからだ。
何の仕事についてもいいが、とにかく好きなことを見つけて努力し、そして世界というものを自分で経験してみてその中で成功してほしいと思う。
これが娘たちに託している願いだ。
何よりも「好きなこと見つけ、極めること」を重要視しており、同じく世界的投資家のウォーレン・バフェットと同じ考え方であることが分かります。
”投資”はあくまでも『人生を豊かにするためのツールの一つ』であるということですね。
まとめ
というわけで、ここまで要約して書いてきた通り『大転換の時代』からは、
- ジム・ロジャーズの考え
- 今後の展望
のみならず、
- ジム・ロジャーズの人生訓
をも読む取ることができます。
冒頭でも書いた通り、かなり幅広い話題が取り上げられていますが、各話題はそれほど深堀されておらず、読書に慣れている方であれば1時間程度で読みきれてしまうボリューム感でした。
よって、今後の世界全体の動きを”なんとなく”理解したいという方にはマッチする本かと思います(詳しく勉強したい方には向いてません)
さて、最後に筆者(ひょしおんぬ)の思う、『ジム・ロジャーズが最も伝えたかったこと』を列挙しておきます。
大半の資産は一度下がっても高値に戻る傾向がある。
それが100年後になるかもしれないが、いずれ上がるだろう。
この考えが正解かどうかは、数年後に分かるだろう。
手元に現金で1万ドルある人が、何に投資すればいいのか。
アドバイスをするなら、「私の言うことを聞いてはいけない」ということだ。
つまり、
- 自分で考えろ!
- 他人に依存するな!
となり、他人の意見は参考にしても、妄信しないよう注意したいものです。
というわけで、筆者(ひょしおんぬ)は、引き続き全世界”株式”への分散投資を継続していくこととします…。
このブログを選び、読んで頂いて感謝します。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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