マインドフルネス瞑想を行うと、集中力が鍛えられ、余計な考えにとらわれることがなくなり、ストレスや不安感などが緩和されます。
マインドフルネス瞑想中は、『集中力をコントロールする作業』を続ける必要があるため、集中力をつかさどる前頭葉が強化されていくことになります。
前頭葉は、
- 思考の整理
- 注意力
- 感情のコントロール
などを行う部位であるため、これら能力もマインドフルネス瞑想によって向上することが期待できます。
つまり、
- マインドフルネス瞑想とは、脳・思考の筋トレ(脳トレ)
でもあるわけです。
最近では、Youtubeやネット上に、多くのマインドフルネスに関する情報が氾濫していますが、正直に言って誤ったコトを書いている(言っている)モノばかりです。
その点、「マインドフルネスストレス低減法」の著書、J・カバットジンは、マサチューセッツ大学の医学部名誉教授で、同大学にストレス低減センターを立ち上げた人物で、『マインドフルネス瞑想の立役者』とも言える人物です。
よって、マインドフルネスに関してはこの本ほど信頼における情報源は存在しません。
瞑想と聞くと宗教色を感じてしまい、とたんに「うさん臭い」と思ってしまう人もいるかと思いますが、実際は科学的に証明された脳トレの1種で、瞑想を通じて前頭葉を鍛えることで(上であげたモノの他にも)
- 感情をコントロールする能力
- 集中力
- 記憶力
などを向上させることが期待できます。
これらの効果に期待して、googleなどの世界的大企業がマインドフルネス瞑想を取り入れていることは有名な話です。
よって、「瞑想をすることで神秘的な力が発揮され、人生が改善する」と期待している人は、この本を読むべきではありませんが、
そうではなく、瞑想というトレーニングを通じて、
- ストレスをコントロールする能力を高めたい
- 仕事を効率よく進められるようにしたい
- 新しいことをどんどん覚えていきたい
と考える人にとって、この本は最高の一冊と言えるでしょう。
そこで、この記事では『マインドフルネスストレス低減法』の中から、基本的な考え方、実践方法、などを要約・抜粋しながら紹介していきたいと思います。
なお、マインドフルネス瞑想に快眠を求めている方は、以下記事もどうぞ。
参考記事:人生を効率化するための最高のサプリ:メラトニン【個人輸入のみ】
<目次>
- 【要約】マインドフルネスストレス低減法 著:J・カバットジン【書評】
- マインドフルネス瞑想とは
- 自分で評価をくださないこと
- 受け入れること
- 呼吸に注意を集中するマインドフルネス瞑想
- マインドフルネス瞑想による効果
- まとめ:マインドフルネス瞑想で生活の質が向上する
【要約】マインドフルネスストレス低減法 著:J・カバットジン【書評】
「マインドフルネス ストレス低減法」は、1990年に出版された本ですが、2007年に復刊、2020年4月には第14刷が発行されるほど、長きにわたって愛読されている名書です。
J・カバットジンはマインドフルネス瞑想の力を活用することで、ストレスを低減し、腰痛のような慢性痛をも抑えることも可能だと説いており、世間一般で考えられている以上の効果があることを強調しています。
(痛みがなくなるわけではありませんが、意識が痛みに向かないようにできる)
本書の中では、
- マインドフルネスによって改善した具体的な事例
- 具体的なマインドフルネス瞑想の方法
を紹介しており、これ一冊でマインドフルネス瞑想のことが理解でき、生活にも取り込むことが可能となります。
マインドフルネス瞑想とは
最近では多くの方が理解しているのではないかと思いますが、マインドフルネス瞑想とは、
- ”過去”や”未来”にとらわれることなく”いま”に意識を集中すること
を言います。
”いま”に意識を集中することができれば、
- 将来の不安
- 過去の失敗の後悔
など、『考えてもどうしようもない、マイナスな思考』が浮かんできたときに、意識を”いま”に集中することで、マイナスな思考から抜け出すことができるわけです。
代表的な手法は「呼吸に意識を集中させる瞑想」で、これによって集中力をコントロールするトレーニングを行い、前頭葉の能力を高めていきます。
(具体的な方法は後述します)
なお、「マインドフルネスストレス低減法」では、以下の態度で瞑想することが重要だと説いています。
- 自分で評価をくださないこと
- 忍耐づよいこと
- 初心を忘れないこと
- 自分を信じること
- むやみに努力しないこと
- 受け入れること
- とらわれないこと
この取り組み方を理解しておくことで非常に効果があると説いており、結果として集中力の向上に役立つとしています。
詳しく見ていきましょう。
自分で評価をくださないこと
J・カバットジンは以下のように説いています。
呼吸のトレーニングについていえば、呼吸を観察しながら、あなたが「退屈だ」とか、「効果があるとは思えない」とか、「私にはうまくできない」などと思ったとすれば、それが評価をくだしていることなのだ、と認識することが大切なのです。
この認識するというのは、どんなことが起きているか成り行きを冷静に観察する姿勢を養う練習にもなります。
なんらかの評価をくだす考えが浮かんできたとしても、そのこと自体にこだわったり反応したりせずに、浮かぶままにまかせて、呼吸の観察を続けてください。
”瞑想” についてのよくある勘違いとして
- 瞑想中は、心を無にするものだ
というものがありますが、そうする必要はありません。
『心を無にする』のはカンタンなコトではないため、瞑想にチャンレジしたものの「色々な考えが浮かんできて、うまく瞑想できない」と考えてしまい、瞑想を断念してしまう人もいるようです。
しかし、「瞑想中に考えが浮かぶ=悪」ではなく、「浮かんできたとしても気にせずに観察すること」が重要だと、本書では説いています。
これを聞いて、瞑想に対するハードルが大きく下がった人もいるのではないでしょうか。
これは、スポーツ等のトレーニングと同じで、
- 最初は上手くいくはずがなく、失敗ばかりする
- しかし、その失敗によって成長する
ということを理解しておくことが重要です。
受け入れること
「マインドフルネスストレス低減法」では、
受け入れるということは、ものごとを今あるがままに見るという意味です。
頭が痛いなら、頭が痛いということを受け入れ、太っているなら、それが今のあなたの身体だということを受け入れるのです。
遅かれ早かれ、私たちはありのままの事柄を受け入れざるをえません。
(中略)
しかし、私たちは日々の生活の中でも、すでに事実となっていることなのに、それを否定したり、認めようとしなかったりすることがあります。
そして、そのために莫大なエネルギーを浪費してしまうのです。
このように私たちは事実を否定して、自分が望む方向にものごとを運ぼうとして、ますます緊張感を高めてしまうがちになります。
と説いています。
「自分で評価を下さないこと」に通ずるところがありますが、「自分は〇〇だからダメだ!」と否定して戦うのではなく、「○○な状況を受け入れる」ことで、ストレスから逃れられます。
自分の思う「良くない状況」にあろうとも、それは事実なわけで、それを否定するのではなく、受け入れてしまった方が楽になります。
否定したところでその事実は変わるわけでもないため、否定する労力によって疲れてしまうだけです。
これはマインドフルネス瞑想に限らず、色々なところで言われることですね。
と言った感じで心構えを紹介させてもらいましたので、ここからは実際の瞑想方法について紹介していきたいと思います。
呼吸に注意を集中するマインドフルネス瞑想
「マインドフルネス ストレス低減法」では、呼吸によるトレーニングについて以下のように解説しています。
※()内は、筆者(スパコンSE)のコメントです。
これに合わせてマインドフルネス瞑想をすることで、J・カバットジンが科学的に証明した効果が得られやすくなります。
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仰向けに寝るか、あるいは椅子に座るか、どちらか楽な姿勢を選んでください。座る場合は、背筋をまっすぐに伸ばし、肩を落として、肩の力を抜いてください。(私は座ったほうが深く呼吸が出来て気持ち良いです)
-
目を閉じた方が気持ちいいと思う人は、目を閉じてください。(ドライアイなので閉じますw)
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息を吸い込んだ時は静かにふくらみ、息を吐いた時は引っ込むのを感じながら、腹部に注意を集中してください。(鼻や口から空気が出入りすることに集中する方が簡単です)
-
まるで自分の呼吸の波乗りをしているように、息を吸い込んでいるあいだも、息を吐きだしているあいだも、呼吸の全ての瞬間に注意を集中してください。
-
自分の心(意識)が呼吸から離れたことに気が付いたら、そのたびに呼吸から注意をそらせたものは何かを確認してから、静かに腹部に注意を戻し、息が出たり入ったりするのを感じ取ってください。
-
心が呼吸から離れてほかのことを考え始めるたびに、呼吸に注意を引き戻すのがあなたの仕事です。どんなことに気をとられようとも、そのたびに注意を呼吸に引き戻してください。
-
このエクササイズを毎日都合のいい時間に十五分間行ってください。気乗りがしなくても、とにかく1週間続け、生活の中に瞑想法を取り入れることによって、どんなふうに感じるかを観察してください。また、毎日一定時間を何もせずに自分の呼吸だけに集中してすごすということについて、どんなふうに感じているかを意識してください。
この呼吸によるマインドフルネス瞑想は、とにかく”意識を呼吸に集中する”ことが大切ですが、正直にいってそんなのは無理です。
静かに座っていると、次から次へと色々な考えが浮かんできてしまいます。
しかしそれで良いのです。
「呼吸から意識がそれたことに気付いたら、呼吸に意識を戻そうとする」ことが、”集中力のトレーニング”となるわけです。
筋トレで例えるならば、
- 意識がそれたことに気付き、元に戻すこと
が、
- ベンチプレスを持ち上げること
と等しく、
- 10回くらい意識を戻すことをした
のであれば、
- 10回ベンチプレスを上げた
とに近い効果があり、すなわち、『意識を元に戻す回数が多ければ多いほど、ハードなトレーニングをした』こととなり、集中力を向上させる効果は高まります。
すなわち「集中できなくて、上手く瞑想できない」ということは無いわけです。
よって、前述した”7つの態度”を守りつつ、「呼吸に意識を集中しようとする(できなくてもOK)」だけで、瞑想によって脳を鍛えることができるわけです。
というわけで、次はスパコンSEがマインドフルネス瞑想を6か月ほど継続して実感したことも参考までに書いておこうと思います。
マインドフルネス瞑想による効果
まず、最も効果があった(助かった)と思ったのが、睡眠の質が向上したことです。
マインドフルネス瞑想を始める以前は、夜中に目が覚めて、
- 仕事のことが気になってしまって、汗びっしょりになり、なかなか眠れない
といったことがよくあり、そんな時に以前は
- いま考えてもしょうがない!仕事を始めるまで忘れよう!
とムリやりに思考を押し込もうとしていましたが、基本的には上手くいきませんでした。
それもそのはずで、人は「考えないようにする」ことは苦手で、例えば「”空飛ぶ赤いペンギン”のことを想像しないでください」と言われて想像せずにすむ人はいないように、「考えないように」と思えば思うほど考えてしまうのです。
(あなたも”空飛ぶ赤いペンギン”を想像しましたよね?)
そこで、『意識の向き先を変える』マインドフルネス瞑想の出番となるわけです。
最近では、睡眠中に仕事のことが心配で起きてしまったときなどは、呼吸によるマインドフルネス瞑想と同様に、
- また仕事の心配してるわー。私って真面目だなぁ…。
といったん受け入れた上で、
- 呼吸に意識を集中する
- 何か別のこと(子供や妻への気持ちとか)に思考を集中する
とすることで、自然と仕事のことが頭から離れていき、穏やかな心が取り戻せるようになってきました。
とはいえ、また仕事のことに意識が流れていってしまうことはありますが、
- またきたかー。どんだけ真面目なのよ…
と、軽くスルーしています。
マインドフルネス瞑想によって、思考・感情をコントロールする能力が向上したことで、
- 娘(4歳児)に優しく接することができる
- 仕事に対する不安が減った
といった効果が実感でき、集中力のコントロールが上手くなったことで
- 読書の集中力アップ
- ブログを書く時間の短縮
(悩まされていた「つい、youtube見ちゃったよ…」みたいなことが減った)
といった効果もあり、生活の質そのものが向上しています。
『科学的に証明されている』とはいえ、正直に言って半信半疑でしたが、実際に大きな効果を感じることができました。
まとめ:マインドフルネス瞑想で生活の質が向上する
ここまで記事にさせてもらった通り、マインドフルネス瞑想は集中力のトレーニングであり、集中力を高めることで日々のストレスを低減することが可能になります。
現代は、ストレスからは逃れられない時代となっています。
つまり、マインドフルネス瞑想が必須のスキルとなりつつあるわけです。
なお、著書「マインドフルネス ストレス低減法」では、
- 瞑想によって得られた具体的な効果(事例)
- 横になったままできるボディスキャン瞑想
- ヨーガをしながら瞑想する方法
- 歩行の時間を瞑想の時間にする方法
- 瞑想によってストレスを減らす具体的な方法
- 瞑想による効果を短期間で実感する8週間トレーニング
などなどが書かれており、「今まさにストレスに悩んでいる」「すぐにでも何とかしたい!」という方には”8週間トレーニング”が非常にお勧めです。
また本書ではたびたび、腰痛や心臓病、高血圧などの、患者がマインドフルネス瞑想を通じて、「いかにして病気と付き合っていくか」を学び、”病気そのものの完治”はしないものの、「痛みに苦しまれなくなる生き方」を覚えるという事例が登場します。
「マインドフルネス瞑想によって病気の回復力が向上した」という事例も中にはありますが、
- 治らない病気であったとしても、病気との付き合い方を変えるだけで楽に生きられるようになる
というのは面白いところです。
精神的、肉体的に困難な状況におちいっている方にとって、マインドフルネス瞑想は”助け”となってくれます。
年間100冊程度の本を読むスパコンSEにとっても、久しぶりの大当たりでした。
「マインドフルネス ストレス低減法」はストレス社会で戦う人に対して、ラクに生きるためのアイデアを教えてくれる素晴らしい良書でした。
なお、呼吸の重要性については、世界で1億部近く売れているビジネス書「思考は現実化する(1937年発行)」でも取り上げられており、呼吸の大切さは昔から理解されていたということが分かります。
”瞑想”とまでいかなくても、「不安や緊張がある時に深呼吸をすると良い」ということは誰もが理解していると思います。
(が、みなさんやってますか?馬鹿にできない効果がありますよ)
冒頭でも書いた通り、マインドフルネス瞑想は、ただのトレーニングです。
筋トレを始めてもすぐに筋肉が付かないのと同じように、瞑想を始めたからと言ってすぐにストレス耐性が付くわけではありません。
みなさんがコツコツとトレーニングを積み重ね、ストレスフリーな人生を送れるようになることを願います。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
よろしければ次の記事も読んでいってください。
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