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TMFの”買い時”について考察【米国債3倍ブルETFの評価・評判は】

「利下げが見えてきたので、国債価格が上昇していくだろう」

「いまこそ国債ブルへの投資だ!」

と考えている方もいるかと思いますので、人気の米国債ブルETFであるTMVを紹介したいと思います。

 

なお、この記事を書いたのは2023年5月で、当時からTMFへの注目が集まっていましたが、現時点(2023年10月後半)でも値を下げ続けています。

よって、慎重に買い時を判断した方がよいでしょう。

(買い時に関する考察だけを読みたい方はこちらからどうぞ)

 

TMFは『ディレクシォン・デイリー20年超米国債ブル3XETF』のことで、金利上昇局面にある昨今は、

と、『ここ3年で90%以上の暴落』という悲惨な状況にありますブルームバーグより)

というのも、『国債価格は、金利が上がると下落する』という性質にあるため、昨今の金利上昇局面はTMFにとってかなり厳しい相場であったためです。

 

しかし、

  • FRBは利上げ停止の可能性を示唆しており『近い将来に利下げ局面に移る』と考えられる
  • 利下げが始まれば、TMFが大きく値を上げる可能性がある

という予想をすることができます米FRBが0.25%利上げ、引き締め停止示唆 政策効果見極めへ

 

というわけで、『いま注目のETF』と言えるTMFについて詳しく見ていきましょう。

 

<目次>

 

TMFとは

繰り返しになりますが、TMFとは、

  • ディレクシォン・デイリー20年超米国債ブル3XETF

のことで、名前から分かる通りに、

  • 20年超の米国債に3倍レバレッジを掛けて投資する商品

です。

 

対象とする指数:ICE20年超米国債インデックス

TMFが対象とするインデックスは『ICE20年超米国債インデックス』です。

これは、

  • 残存期間が20年以上の米国債で構成された、時価総額加重方式の債券インデックス

です。

 

『ICE20年超米国債インデックス』が対象としている債券は、

  • 固定金利
  • 米ドル建て
  • 発行残高の額面価格が3億ドル以上(FRB保有分のぞく)

という条件から選ばれ、

  • インフレ連動債
  • 変動利付債
  • 短期債
  • 政府機関債
  • ゼロクーポンストリップス債(利払いが償還までない+αと複雑なヤツ)

は対象外となります。

 

『ICE20年超米国債インデックス』は、このように『無難な債券』を組み込んだインデックスであることから、

  • Aaaという最高位の信用格付けを取得(Moody'sによる格付け)

となっています。

 

よって、

  • TMFが対象としている『ICE20年超米国債インデックス』は、信頼できるインデックスである

と言えます。

 

ただし、TMFは『ICE20年超米国債インデックス』に対して3倍のレバレッジをかけている商品なので『TMFも無難な商品』というわけではありませんのでご注意ください。

 

TMFの基本情報

経費率

年1.00%
資産総額

16.16億ドル(2023/5/9)

ファンドマネージャ Paul Brigandi
運用会社 Direxion
インデックス ICE20年超米国債インデックス
インデックス格付け Aaa(Moody's)
主要取引所保有銘柄数 ニューヨーク証券取引所
決算日(分配金) 年4回(3月、6月、9月、12月)
直近配当利回り 1.72%
3か月トータルリターン -  8.48%
3年トータルリターン -40.99%
5年トータルリターン -13.69%
設定日 2009/4/16
取扱証券会社 SBI証券、楽天証券、マネックス証券など

TMF 銘柄 - ディキシオン・デイリー20年超国債ブル3xTMF商品説明

 

レバレッジ商品なので経費率が1%と高いのは想定通りでしょう。

 

しかし、配当金があるコトには驚きです。

とはいえ、『基準価格の値動きが激しいレバレッジ商品』であるため、トータルリターンという観点で考えると、数%程度の配当があったところで大きな影響はなさそうです。

 

また、直近3年のリターンが-40.99%ということで『利上げに弱い債券へレバレッジ投資していたらそうなる』ということがよく分かります。

 

TMFの『買い時』や『戦略』

TMFはレバレッジ商品であることから、『長期投資には向かない商品』であることが分かります。

実際に運用会社(Direxion)にあるTMFの説明ページでは、

  • TMF(レバレッジ商品)はトレンドを理解した投資家が、短期的なトレードによって大きなリターンが狙える商品です。
  • トレードと投資は違います。
  • レバレッジ商品はすべての投資家に適した商品ではなく、レバレッジのリスクを理解した投資家のみが活用すべき商品です。

と紹介しています。

 

どこぞのインフルエンサーのように「レバレッジで長期投資しよう」と無責任なことを言わず、非常に良心的ですね。

 

TMFの買い時:推移から考察

よって、

  • TMFの買い時は、「これから債券の上昇トレンドがくる!」と確信を持てたタイミングに限る

と言うことができます。

 

現在では、FRBが利上げ停止を示唆している状況にあるため『買い時』に思えなくもありませんが、必ず利上げが停止するという保証はありません。

また、利上げが停止したからといって利下げになるとは限らず、債券価格は横ばいに推移することになるかもしれません。

 

そうなれば、『レバレッジ商品は横ばいに弱い(マイナスになっていく)』という性質があるため、TMFへの投資は失敗することになります。

 

よって、『FRBが利上げ停止を示唆している』だけでなく、他の『債券価格が上昇する根拠』を見つけることが出来た時がTMFの買い時だと言えるでしょう。

 

なお、本記事の初版は2023年5月に『SNS上でTMFへの注目が急激に高まった(ここで買った人も多くいた)』ことをきっかけに書いたわけですが、当時からTMFは下落を続け、たったの5か月で50%近い暴落をしてしまいました。

 

すでに5月時点で「これからは金利が下がるだけだから、TMFで大儲けできる!!」と考えて投資した人が多かったわけですが、現実は悲惨なものです。

 

TMFの買い時:投資家への関心度合から考察

また、Googleトレンド(Googleでの検索数の推移)によると、現時点(2023年12月後半)でTMFの検索数は増加傾向にありますが、直近1週間だけでは減少しています。

 

こちらの記事で確認した限り、

  • Googleトレンドが上昇傾向にあるとき(≒みなが注目しているとき)、価格は減少していく
  • Googleトレンドが落ち着いているとき(≒みなが注目していないとき)、価格が上昇していく

という傾向にありました。

 

TMFがこれと同じ推移をたどる保証はありませんが、

  • みながTMFに注目しているいま、TMFの価格は減少していく

とことが、上の記事考察から考えることができます。

 

残念ながら、投資では『みんなが大儲け』はありえません。

 

TMFに限らず、投資では『裏の道にこそ大きなリターンが隠れている』というが常であり、『みなが注目しているいまは買い時ではない』と考えられるのではないでしょうか。

 

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レバレッジ商品は『買い時』を誤ると大きなダメージを負うことになります。

 

よって、

  • TMFのチャートを適宜確認しておき、『明確な上昇トレンド』が明らかになった
  • FRBの発言から『明確な利下げメッセージ』を読み取ることができた
  • みなのTMFへの注目が薄れてきた

といった事象を確認できたのちに投資するべきであり、これらが確認できていない現時点(2023年10月)では「まだ少し早い」と考えられます。

 

とはいえ、『暴落の底で投資することが、最大のリターンを手に入れるための方法』であることも事実なので、「一か八か!」精神でギャンブル的な投資を楽しみたいのであれば、『利下げが始まる雰囲気』がある今こそ投資するタイミングとも考えられます。

 

よって、

  • リターンが減ることになっても『儲かる確率』を上げたいのであれば、まだ投資するべきではない
  • 『儲かる確率』が下がることになっても、大きなリターンを手に入れたいのであれば、今こそ投資すべし

と言えそうです。

 

なお、多くの機関投資家、金融機関が

  • 利下げは2024年以降になると予想している

としていることからも、利下げはしばらく先だと予想できそうです。

 

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TMFの実績(チャート)

では、TMFの実績(チャート)を見てみましょう。

 

対象の期間は、TMFが誕生した2009年4月からです。

見て分かる通り、かなり激しい値動きをしていますね。

 

では「短期的に使うべし」という運用会社のアドバイスにのっとって、任意の箇所を切り取ながら見ていきましょう。

 

もっとも大きなリターンが狙えたのがここ。

2018年後半から1年半ほどで100%以上のリターンが手に入りました。

コロナによって市場が大きく変動していたので、それに乗ることができれば大きなリターンが期待できるのはあたり前ですね。

 

他にも、2016年11月からの8か月ほどで80%ほどのリターンが手に入っていたり、

 

2014年からのおよそ1年間では150%のリターンが手に入っていました。


もう少しさかのぼれば、2011年からの8か月ほどで130%近いリターンを上げていたこともあります。

 

2011年や2014年、2016年については、ほとんどの人が

「この時期って何か大きなイベントがあったんだっけ?」

なんて思うような時期なのでしょうが、そんな『地味な時期』ですらこれだけのリターンを上げた実績を残しています。

 

また、

  • 右肩上がりトレンドは、長くても1年半ほどしか続かない

という実績もチャートから確認できました。

 

この当たりからも、

  • TMFは長期投資するべきものではない
  • ただし、トレンドを理解した投資家であれば短期間で大きなリターンを上げられる商品である

ということがよく分かりますね。

 

TMFの評判

TwitterからTMFの評判をひろってくると、

など、「今こそ買い!」と考えている投資家が多くいることが分かります。

 

ただ、いまのところは盛り上がりに欠けているように感じます。

というのも、前述の通り、いまだチャート的にもイマイチな状況にあるため、「実績を伴わないETFを推すことは難しい」と考えている人も多いかもしれません。

 

しかし、利下げが始まり、TMFのリターンが大きくなった後に、投資インフルエンサーにでも取り上げられようなことになれば、今以上の人気商品となりそうな予感がしています。

 

まとめ:TMFを評価や評判の確認、”買い時”について考察しました

といった感じで、TMFを評価、”買い時”について考察させてもらいました。

 

ついに利上げが停止しそうな現在において、TMFは非常に魅力的な商品だと言えるでしょう。

 

ただ、運用会社であるDirexionも言っている通り、

「TMFは投機用の商品だよ」

「トレンドとリスクを理解した投資家だけが買うべきものだよ」

「短期的に上手くいっても長期投資に使っちゃダメだよ」

ということをハッキリと理解しなければなりません。

 

レバレッジ商品のような刺激的な商品は、大きなリターンを上げることに成功すると注目され、インフルエンサーなどに取り上げられ、よく分からないまま投資してしまう個人投資家が大量発生することがあります。

 

そうなってくると、

「TMFに全力で長期投資だ!」

という間違ったリードをする人間が出てくることになるかもしれませんが、その時にそなえてこの記事を残しておこうと思います。

 

なお、私の気持ちを最後にお伝えすると、

「TMFを買いたい…!」

「いまこそ買うべきタイミングだろう…!」

「しかし…、しかし……!TMFは…、買わないっ…!!」

という感じです。

 

「今こそ!」という気はしなくもありませんが、そんなに簡単に投資タイミングが分かるようであれば、世界中にいる私なんかよりも優秀なプロ投資家達が殺到し、すでに国債価格が爆上がりしているでしょうからね。

 

「自分の判断は正しい」と思いあがらないように気を付けます。

 

また、私には

  • インデックス投資だけで5000万円ほどの資産を作ることに成功した

という経験がありますので、こういった『ハイリスクな投資する』という選択をする必要性も感じません。

 

よって、これからもタンタンとインデックス投資を続けていこうと思います。

(スパコンSEの資産の推移はこちらから)

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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