誕生を望んでいた人が多いであろう『高配当・全世界株式』であるSBI全世界高配当株式ファンドが誕生するということで、ちょっとした話題になっていますね。
個人的にも気になっています。
基本的には『高配当』のようにセクターを限定した投資はおススメしていないのですが、『定期的に配当金を受け取れる』という状況は定期収入のない人にとって安心材料となりやすく、わたしも『セミリタイア』が近づくにつれて興味が出てきています。
というのも、なんとなくですが、
「高配当投資は、トータルリターンは一般的な銘柄と同程度になるが、値動きが比較的に安定している(成熟した企業の比率が高くなりがちなので)」
というイメージを持っていたからです。
冷静に考えてみると
「一般的な銘柄に比べて、リスクが小さい(値動きが安定)のに、トータルリターンが劣らない、なんてありえない。」
とも思うわけですが、ジェレミー・シーゲル氏が著書『株式投資の未来』でその『ありえない』が現実となっていたことを証明・発表しています。
『株式投資の未来』では、1958年に、『S&P500』『S&P500の高配当群』『S&P500の低配当群』それぞれに1000ドルを投資(配当金は再投資)した場合、2003年時点で
- S&P500全体 :130,768ドル
- 低配当銘柄 : 64,930ドル
- 高配当銘柄 :462,750ドル
となり、
- 高配当銘柄への投資が他を圧倒するリターンをあげていた
ことが紹介されています。
これを見ると、
「比較的に値動きが安定しているのにリターンもいいなんて、高配当投資は最高じゃん!」
と思ってしまいます。
しかし、近ごろの高配当銘柄のリターンを確認すべく、
- 楽天全米株式インデックス
- 楽天米国高配当株式インデックス
の6年8か月リターン(楽天米国高配当株式インデックスが誕生してからの全期間)を確認したところ、(どちらも分配金を再投資)
「高配当投資、イマイチじゃないの…」という状況にありました。
この一因は、NVIDIAやアマゾンなどに代表されるマグニフィセントセブンがリードしていたからであり、常にこうなる(高配当が劣る)わけではありませんが、少なくとも直近ではイマイチな結果となっています。(ちなみに,元ネタである映画マグニフィセントセブンがAmazon Prime Videoで無料公開されていたので気になる方はどうぞw)
また、
- ジェレミー・シーゲル氏が「過去を見ている限り、高配当銘柄のパフォーマンスはすごいぞ!」と公開したことによって高配当投資に注目が集まり、人気の投資先となる
- 人気の集まった投資先は割高となり、パフォーマンスが落ちる
といった変化もあったかもしれません。
とはいえ、『高配当投資のメリットはディフェンス面にある』とも考えていますので、同ファンドで下落時の値動きを比較してみました。
下のグラフは、新型コロナによるパンデミック時の推移です。
この時は、残念ながら『下落幅は、全米株式も高配当株式も同じくらいであった』ようです。
うん、イマイチ。
んで、下のグラフは2024年8月にあった『ちょっとした(最大15%ほどの)下落』時の推移です。
下落がはじまる前(7/17)を基準とすると、もっとも値を下げていた8/6時点では
- 全米株式 :-16.41%
- 高配当株式:-13.05%
となっていました。
これが欲しかったんよ!
というわけで、
- 少なくとも2024年8月の下落では、比較的に強い下落耐性を見せてくれた
ことが分かりました。
とはいえ、8月の下落に強かったのは、『高配当銘柄はそれまでの市場の上昇に付いていけていなかった』だけかもしれませんし、
それ以前に、こんなものはただの一例でしかなく、今後を予想するための材料にはなりません。
じゃあ何故調べたのかって?
理由などない。
…いずれにせよ、わたしは高配当銘柄に対しては、
- 比較的に安定している銘柄が多いため、暴騰するようなことは少ないが下落耐性は比較的にある。
- 下落耐性がある分、リターンは劣るかもしれない。
- シーゲル氏の「高配当すごい説」は、公開されたことで過去のものとなった。
と考えています。
投資対象としてみると、
- リターンが劣る”かも”しれないが、下落耐性に期待するのであれば高配当投資はアリじゃないか
と考えています。
投資の究極的な目標は『お金を稼ぐこと』なのかもしれませんが、『お金を稼ぐ』という行為にも目標があるはずです。
それが「破綻するリスクを負ってでも大金持ちになりたい!」のであれば、レバレッジ投資をすればいいし、
「無難にそこそこにリターンが欲しい」のであれば、インデックス投資をすればいいし、
「リターンも欲しいが心穏やかに過ごしたい」のであれば、債券投資や高配当投資を加えても良いでしょう。
価値観が人によって異なる以上、投資に正解はありません。
よって、他人の猿真似ではなく、自分にあった投資法を考える必要があります。
そのうえで、自分とは違う投資法を採用している人の意見も尊重しなければなりません。
自分から見て『変態』だと思える人のことも認めることが真の多様性のはずです。
「多様性プリーズ」
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と、ここまで「高配当投資はリターンが劣る”かも”しれない」と書いてきたわけですが、
反対に、そう考える人が増えれば高配当銘柄は割安となり、長期的なリターンが向上することも忘れてはいけません。
と、「そう考える人が増えれば高配当銘柄は割安となる…」と考える人が増えれば高配当銘柄は割高となり、長期的なリターンは低下することになります。
と、考える人が増えれば…(以下略
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投資って難しいんです。
だらこそ、私はセクターを限定しない投資をおススメしているのです。
というわけで、「SBI全世界高配当株式ファンドってどうなのかな?」と考えている人にとって、多少なりとも役に立つ記事であることを祈りつつ終わりにします。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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