ビル・ゲイツ、ジェフ・ベゾスという天才が投資するSynchronをご存じですか?
Synchronはブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)技術を開発しているベンチャー企業で、ゲイツとベゾスなどの投資家から合計7500万ドルもの資金調達に成功しています。
Synchronの開発している『BCI』とは、
- 脳とコンピュータを直接つなぐ技術で、考えるだけでコンピュータが操作できるようになる技術
のことです。
イーロン・マスクのNeuralink社がライバルだと見られていますが、Neuralinkは3.63億ドルの資金調達に成功しているので、調達額だけで比較するとSynchronは負けています。
しかし、
- Synchronの装置は、アメリカのFDA(日本でいう厚生労働省)が唯一認可した『脳に電極を埋め込まないBCI』
であり、今までの装置のように『頭皮を切断し、頭蓋骨に穴をあけ、脳に埋め込む』という行為が必要なくなりました。
(Neuralinkは、開頭して脳に装置を埋め込む技術がメイン)
現時点でSynchronの装置は、『病気などによって体が不自由な人にむけた治療』が主な用途となっていますが、それ以上の未来を予想させてくれるものではあるため、ここで紹介したいと思います。
<目次>
Synchronとは
SynchronのCEOはトム・オクスリーというニューヨークの医師で、メルボルン大学の血管バイオニクス研究所の共同責任者でもあります。
2012年Synchroは、アメリカの国防高等研究計画局とオーストラリア政府の支援によって発足し、現在は60名ほどの社員がいます。
主な目的は、
- 頭を開けることなく、脳の生涯によって麻痺のある患者の自立を支援するシステムを開発すること
です。
そして、それを実現するために
- Stentrode(ステントロード)と呼ばれるメッシュ状の装置を、カテーテルをつかって首の頸動脈を通じて脳にまで送り、それを血管内に埋め込む。
- 脳の信号を、Stentrodeから胸部にある小型の送信機まで有線で送信。
- 送信機から発信された信号(Bluetooth)で、コンピュータをリモート操作する
という方法を取っています。
Stentrodeはこの画像の血管内にあるメッシュ状のモノ。
詳しくはこちら。
カテーテルの操作そのものは、いままでも多くの医師が行ってきたものであり、安全性は担保されています。
また、開頭手術にくらべてダメージも小さいことから、日帰り手術による対応も可能となります。
また、Stentrode(ステントロード)は『永久埋め込み型』であるため、一度挿入すればそれ以降の再手術をする必要がありません。
そして、この装置は2020年からすでに人体での臨床試験が始まっています。
Stentrodeの臨床試験
Synchron社によるStentrodeの認証はすでに始まっており、
- 2020年にはオーストラリアで4名の試験を行い、12か月の調査にて問題ないことが確認されている
と、順調な滑り出しとなっています。
Insiderの記事によると、Stentrodeを導入したALSの患者の一人は
- 好きな部屋の電気のオン・オフ
- 請求書の支払い
- オンラインでの買い物
- Zoomの利用
- ソリティアやマージャンなどのゲーム
などが指一本動かさずに行えるようになっていると報告されています。
また、パソコンの『マウス操作』『文字入力』も可能であるため、
- 健常者がパソコンでできることは、ほとんどなんでもできる
と言ってもよいかもしれません。
現時点では、
- 簡単な挨拶メールの送信
- Googleで『pharmacies』と検索する
といった行為に90秒ほどかかっていますが、まだまだこれからの技術なので、今後短縮していくことが期待できるでしょう。
Synchron社の今後
Synchronは、2022年末までに15人での臨床試験を予定しています。
この試験では、
- Stentrodeを導入した人の生活が、優位に改善すること
を明確に証明する予定です。
この試験が上手くいけば、アメリカのFDA(日本でいう厚生労働省)に承認申請を手逸出し、Stentrodeがメディケア(医療保険制度)の対象となるよう働きかける予定となっています。
現時点では「Stentrodeの価格は車一台分(車種は不明…)」と、CEOであるトム・オクスリーが述べていますが、保険適用になり、多くの人が利用するようになれば、価格が下がっていくことが期待できます。
Synchron社によると、Stentrodeを必要とする(多発性硬化症や筋ジストロフィの)人は世界に1.8億人いるとされており、需要は限りなく広いです。
トム・オクスリーは
「15~20年後には、年間100万個のStentrodeを導入することを夢見ている」
と語っており、うまくいけば一大産業となることが予想されます。
また、現時点では『障碍者の補助』といった位置づけがメインとなっていますが、将来的には『健常者の能力拡張』に使われることになるかもしれません。
手を使わずにパソコンやスマホ、家電などを操作できる未来を想像すると、ワクワクしてしまいますね。
SynchronとNeuralink
そんなSynchron社ですが、出資者の一人に2016年~2021年までNeuralinkの社長であったMax Hodakがいます。
また、NeuralinkのCEOであるイーロン・マスク本人もSynchronのCEOであるトム・オクスリーに接触し、なんらかの話の場がもたれたことが2022年8月にロイターで報道されています。
Neuralink社は300名の社員をかかえ、Synchron社の60名より大規模な企業ではあるものの、ブレイン・コンピューター・インターフェース(BCI)の開発が思うように進んでおらず、
また、Neuralink社の『開頭して装置を取り付ける』という技術よりも、Synchron社の『カテーテルの操作だけで取り付ける装置』の方が優位であるという見方もあります。
よって、イーロン・マスクは『Synchron社との共闘』や『Synchron社への投資』などについての話を持ち掛けたのではないかと考えられますが、この件について、両社の担当者はノーコメントとしているため、詳細は分かりません。
いずれにせよイーロン・マスクがSynchron社の技術に興味を持っていることは確かで、この会社の実力が本物であることを裏付けているようにも思えます。
まとめ:BCI技術で未来をいくSynchronを紹介させてもらいました
といった感じで、Synchron社を紹介させてもらいました。
この記事を書くにあたって色々と調べていてまっさきに思ったのは
「Synchron社に投資したい…!」
ですが、残念ならがSynchron社は上場はしていません。
とはいえ、さらなる拡大や資金調達のため、上場する可能性もあるので覚えておいて損はないでしょう。
『インデックス投資家』である私も、『資産を増やすため』ではなく『夢の技術のため』に投資したいと思ってしまうほどに魅力的です。
Synchron社のStentrodeは、まだ試験段階ではあるものの、障害を持つ人の生活の質を実際に向上させることに成功してきています。
また、障害を持っていない人であったとしても、『考えるだけでIT機器を操作できる技術』は非常に魅力的に感じます。
この技術が普及する『時期』や『スピード』を予想することは難しいものの、『かなりの確率で広がっていく』ということは予想できます。
Stentrodeがあたり前のように使用され、みなの生活がより豊かになるときが早くくることに期待していようと思います。
あー、投資したい。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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