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『2050年 世界人口大減少』の時代に生き残るために【要約】

「世界の人口は増え続けていく」と考えている人は多く、また「増え続けるからこそ、世界の経済は発展し続ける」と考えている人も多いことでしょう。

 

実際に国連は『2100年以降まで人口は増え続ける』と予想しているため、現役世代の人々にとって「人口が減少するのは自分が死んだ後だから、自分には関係ない」と考えているかもしれません。

 

しかし、

  • 世界人口は、2050年ごろをピークにその後は減少に転じていく

と予想する人口統計学者が増えています。

 

いままでは、

  • 先進国での出生率が低下しており、人口が減少している
  • しかし、新興国の出生率は高く、人口が急激に増えている
  • よって、世界全体で見ると人口は増えている

という状況が続いていましたが、

  • 昨今では、新興国の出生率が急速に下がっている

という問題が見えてきいます。

 

また、多くの先進国が『出生率を引き上げるための政策』を取っていますが、

  • 一度下がった出生率を、人口を維持できる水準(女性一人当たり2.1人出産)にまで高めることに成功した政府はない

という残念な事実もあります。

 

このままいけば、多くの人口統計学者が予想する『2050年が人口のピーク』が現実のものとなり、

「世界経済は少なくとも2100年まで発展し続けるから大丈夫だろう」

「引退後の生活費は、投資で儲けたリターンでまかなおう」

と考えている個人投資家の老後計画を大きく狂わせる可能性すらあります。

 

というわけでこの記事では、世界的な名門調査会社であるイプソスのCEOダリル・ブリッカ―達が、大量のデータを収集して未来を予想した著書『2050年 世界人口大減少』を要約、参考にしながら、これからの世界を占っていきたいと思います。

 

『2050年 世界人口大減少』の詳細は以下からご参照ください。

 

 

<目次>

 

『2050年 世界人口大減少』にて世界経済を占う【要約】

世界中で出生率が低下しているのは間違いのない事実ですが、その原因は何なのでしょうか?

 

『2050年 世界人口大減少』では、その出生率低下の理由について

最も大きな要因は都市化であることに議論の余地はない。

と断定しています。

 

昔は、ほとんどの人が農業をすることで生活を成り立たせており、

  • (単純な作業が多い)農家にとって、子どもは働き手
  • すなわち『子どもを産む』という行為は投資である

という面から、多くの子どもを望む家庭が多くありました。

 

しかし、人々が都市に住むようになると

  • 子どもは都市でする仕事にむいてない
  • すなわち、都市に住む人にとって子どもは生活を苦しくする要因となる

ことで、『子どもは負債』と受け取られるようになりました。

 

子どもに対しては、

  • 子どもがいることで人生が豊かになる
  • 子どもはすべての人の宝

といったニュアンスで語られることが多いことから、

「お金の問題で、子どもを産むかどうかを検討するのは不純だ!」

と思う方もいるでしょうが、、実際に子どもを産むべきかどうか検討している家族にとって、経済面から見たデメリットは無視できないものです。

 

この少子化の原因である『都市化』は、先進国でも急速に進んでおり、子どもを産むことによるデメリットを避けようとする人々増えており、実際に出生率が低下し続けているわけです。

 

またもう一つ、出生率低下の大きな理由と言われているのが『女性の教育水準の向上』です。

 

女性の教育水準が上がり、出生率が下がる

過去を振り返れば、

  • 女性は、男性に服従するのがあたり前
  • 女性は、労働するべきではない
  • 女性に、学は必要ない

といった、あやまった考えがあたり前のように存在していたのは間違いありません。

 

しかし、いまの時代はそうではありません。

 

女性の教育水準の向上によって、

  • 女性は、男性に服従する必要はない
  • 女性には、働く権利がある
  • 女性は、男性と平等な賃金を受け取るべき

といった考え方が、新興国を含む全世界に広まりつつあります。

 

そうなると、女性にとって『出産』には『嬉しくない要素』が出てきます。

 

例えば、

  • 出産に伴う、母親の健康上のリスク(出産による身体的ダメージ)
  • 出産、子育てによる、仕事を失うリスク

といったものが挙げられ、『これらリスクを負ってまで子どもを産みたいくない』と考える女性は、出産を避けるようになります。

 

そして、この

  • 都市化
  • 女性の教育水準の向上

が、(先進国による援助もあって)新興国でも急速に広がることで、

  • 『新興国の出生率の低下ペース』は『先進国の出生率の低下ペース』よりも早い

という事態を生み出し、これが

  • 国連による『2100年まで人口が増え続ける』という予想があやまっている根本原因

です。

 

国連による誤算

というのも国連は、

  • 先進国Aでたどった道を、新興国Bも同じペースでたどっていく

という仮説の元に、人口の推移を予想しています。

 

つまり、

  • 先進国Aでは40年かけて出生率が半減したので、新興国Bの出生率が半減するのには40年かかるだろう

と考えているわけです。

 

しかし、上であげた

  • 都市化
  • 女性の教育水準の向上

は、先進国が過去にたどってきたペースよりも、新興国のほうが早く進んでいるのは明らかです。

 

さらに、過去にはなかった

  • ピルの利用が広く受け入れられたきた
  • 子づくりを勧める親族の影響力が低下した
  • 女性の権利を制限してきた宗教の影響力が低下した

といった事象が、先進国・新興国を問わず起きており、これらも出生率の低下を加速する要因となっています。

 

また、先進国ではこの出生率低下を懸念して『少子化対策』を実施している国が多くありますが、これが上手くいった例はありません。

 

少子化対策で出生率をあげることは困難

『もっとも男女平等が進んでいる国』とも言われるスウェーデンも、少子化対策を実施している国のひとつです。

 

スウェーデンではかなり少子化対策に力を入れており、

  • 480日間の育児休暇
  • 育児休暇中の390日は、収入の80%を補償
  • 夫婦のそれぞれが、最低2か月の育児休暇を取ることを必須化
  • 子ども一人当たり1万円/月の手当を支給(3人目以降は増額)

などなどの手厚い支援をしています。

 

しかし、スウェーデンの出生率は1.9となっており、人口を維持する為の出生率(2.1)には届いていません。

 

少子化対策によってスウェーデンの出生率は先進国の中では上位に入りますが、それでも人口減少によるデメリットを避けるため、移民を頼る方向に舵を切りつつあります。

 

つまり、

  • 少子化対策だけで、人口減少を抑えようとするのは非常に困難である

ということをスウェーデンは理解しているわけです。

 

また、ほとんどの先進国は『出生率の低下』に悩まされており、多くの国が移民受け入れをすることで、人口を維持しようとする政策をとっています。

 

そして、その『出生率低下に悩まされている国』の中でもっとも危機的な状況にあるのが日本です。

 

移民を受け入れない国、日本の末路

日本は、(いちおう)少子高齢化対策をしているものの、出生率が低下し続けています(多少もどした時期もありますが)

 

そして、その状況にあっても『まったくといっていい程に移民を受けれない国』という立場を取っています。

 

東北大学によって、

  • このままでは、1750年後には日本人が消滅する

と、試算されるほどの状況です。

 

その状況に対して、『2050年 世界人口大減少』の著者は、

日本社会に移民を受け入れるか、それとも小国として生きるすべを学ぶか、そのどちらかしかない。

おそらく日本人は後者を選ぶのではないだろうか。

感情を表さずに優雅な冷静さを保ちながら、消えゆく村落や国富の減少を受け入れるのだ。

労働時間は増え、収入は減るだろうが、家族やコミュニティから得られる喜びや慰めはなくならない。

政府は残された財源を老人の健康や医療ニーズに重点的に振り向け、小中学校や大学は閉鎖されるだろう。

無人となった地方のインフラは荒廃するにまかせ、一方で都市部の生活水準は可能な限り維持しようと努めるだろう。

人口動態の変化はゆっくりと訪れるので、日本の人々は適応していく時間が十分に残される。

なんとかやっていけるだろう。

これが、移民を受け入れなかった場合の日本の未来だ。

と警告しています。

 

似たような話として思い出されるのは、『日本のGPDの推移』です。

 

世界での日本の一人当たりGPDの順位は、2002年以前には一桁台(最高2位)だったのが、2020年には24位と右肩下がりに落ち続けています。

 

つまり、

  • 日本はじわじわと貧しくなっている

わけです。

 

しかし、この状況に対しての不満を聞く機会は少ないです。

というのも、じわじわとした変化であれば、人々は衰退していることに気付きもしないのでしょう。

 

そして、これから来るであろう少子高齢化による影響で、じわじわと日本が貧しくなっていくことが予想されますが、同じように国民のほとんどが気付くことなく、知らぬ間に貧しい国となってしまうのかもしれません。

 

なお、この『移民を受け入れない限り人口が減少し、国家が衰退する恐れがある』というのは、ほとんどの先進国に共通している問題です。

 

しかし、世界の経済覇権国であるアメリカは発展を続けています。

その理由はシンプルで『大量の移民を受け入れているから』というわけです。

 

移民を受け入れて大国であり続けるアメリカ

2010年~2015年に移民の受け入れ人数はは、

  1. アメリカ:100.2万人
  2. トルコ :  40.2万人
  3. レバノン:  25.2万人
  4. ドイツ :  25.0万人
  5. オマーン:  24.2万人
  6. カナダ :  23.5万人

の順となっていました。

 

アメリカの人口は、

  • 2020年:3.3億人
  • 2030年:3.5億人
  • 2030年:3.7億人
  • 2030年:3.9億人

と増加する予想となっていますが、アメリカ人の出生率は1.7程度と、人口を維持することすらできない水準にありますが、

それでも人口が増える予想となっているのは、『多くの移民を受けれているから』であることは間違いありません。

 

そして、この人口増がアメリカ経済を支えているのも間違いないでしょう。

 

つまり、

  • 出生率低下に悩まされている先進国が成長するための手段として、『移民の受け入れ』には大きく期待できる

わけです。

 

とはいえ、移民の受け入れには

「移民が入ってくると、仕事を奪われる」

「移民が増えると、治安が悪化する」

というネガティブなイメージを持っている人が多く、ななかなかハードルが高いのも事実です。

 

しかし、その移民に対するネガティブなイメージは間違っています。

 

移民を受け入れてもwin-winの関係を築ける

全米アカデミーズが、2016年に実施した調査の結論では、

移民は経済規模を拡大させ、しかも元からの住民の暮らしも平均すればわずかに向上する。

としています。

 

というのも、アメリカに移住した移民は、

  • 労働者の不足をうめる
  • 起業家精神を発揮し、雇用を生み出している
  • 元からの住民と仕事を奪いあう関係にはならない

という調査結果が出ているためです。

 

実際に、カナダのトロント圏のおよそ半分は外国生まれの人々で構成されていますが、トロントは殺人事件などの犯罪が少なく『世界で8番目に安全な都市』とされており、移民がカナダの平和と繁栄に大きく貢献しています。

 

と、いうのも

  • カナダへの移民の90%は、『カナダへ貢献できる』と判断された人々

であるためです。

 

つまり、『戦争難民を助けるため』といった目的ではなく、『自国によって有利な人材を集めるため』に移民を受け入れているわけです。

 

「人道的にどうなのか?」という疑問はあれど、こういった手段で繁栄することに成功している例があるということは、少子高齢化が急激に進む日本にとって良いヒントとなるのかもしれません。

 

成功例が少なく、可能性の低い少子化対策ばかりに注目するのではなく、

  • 「日本に行きたい!」と思っている優秀な人材がいるのであれば、積極的に受け入れる

など、この当たりの議論が進んでいくことに期待したいと思います。

 

まとめ:『2050年 世界人口大減少』を読んで

といった感じで、著書『2050年 世界人口大減少』を要約しながら、紹介させてもらいました。

 

国連による「2100年まで世界人口が増え続ける」という予想は、多くの研究者から否定されており、『2050年が人口のピーク』という説が現実味をおびてきました。

 

先進国の多くが出生率の上昇を目指した政策を取ってはいるものの、それによって人口を維持できるだけの出生率を取り戻した国はありません。

また、新興国の出生率も『先進国の過去の出生率の低下ペース』よりも急速に下がっており、一度下がった出生率が上がることはほとんどありません。

 

よって『近いうちに人口減少社会が訪れる』と言え、投資家はそれに備えておく必要があるのかもしれません。

 

さて、最後に違った目線から『人口の変化による結果』を紹介します。

 

1300年ごろ、過去最大級に人口が減少した『黒死病』が流行し、

  • 感染者の80%が死亡
  • ヨーロッパでは、人口の30%~60%が死亡した

という悲惨な結果をもたらしました。

 

しかし、この人口減少が良い結果も招きました。

 

例えば、

  • 労働者が不足したことにより、労働者の権利が向上、転職が容易になり、結果として生産性が向上、賃金も(物価上昇よりも大きく)上昇した
  • (リスクが大きいために避けられていた)遠洋航海の死亡率が相対的に減少した(陸にいても死ぬ)ために、遠洋航海の魅力が増して大航海時代の始まりをあと押しした(という説がある)

といった結果です。

 

そう思うと人類はなかなかすごいモノで、人口が増えようとも、人口が減ろうとも、それとなく進化していき、どんなことが起ころうとも、より豊かな社会を作っていくことができるような気がしてきます。

 

人口の推移に限らず、未来を予想することはカンタンではありませんが、

「将来どうなるかは分からないが、少なくとも今より豊かな未来が待っているはずだ」

という期待をしても良いのかもしれませんね。

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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