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【要約】幸せとお金の経済学 平均以上でも落ちる人、平均以下でも生き残る人【書評】

最終更新日:2020/11/14

 

「お金が幸せを左右するわけではない!」なんてヌルいことは言いません。

 

『幸せとお金の経済学 平均以上でも落ちる人、平均以下でも生き残る人 著:ロバート・H・フランク』を読んで改めて考えさせられました。

 

本書では「お金があるからといって幸せになれるわけではない」という、よく聞く『当たり前な理論』を説いているだけではなく、具体的に『何故幸せになれないのか?』を心理学や実際の調査結果をもちいて分析していきます。

 

中には「ハッ」とさせられる内容も多く、一例としては、

『収入に応じて支出が増えるのは「能力が高い事をまわりに証明するため」であり、外から見えづらい「貯蓄」は能力の証明になりづらく、あと回しになる』

といった言葉があります。

 

つい「なるほど…」と、つぶやいてしまいます。

 

さて、昔と比べて確実に(経済的には)豊かになりつつある世界ですが、みなが幸せになっているとはいいがたい状況が続いています。

その理由を『幸せとお金の経済学』から読み解き、せめて自分の手の届く範囲だけでも幸せにすることが出来れば、と思います。

 

というわけで、『幸せとお金の経済学』の一部を要約してお伝えしていきたいと思います。

 

<目次>

 

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他人より幸せであることが、幸せへの第一歩

 『他人と比べないことが、幸せへの第一歩』であることは誰もが理解していると思いますが、それでも他人と比較してしまうのが、人の性質です。

 

その理由は、はるか昔から続く『周りと比較して有利であることが生き残るための条件』であり続けているためです。

 

具体的には、自分が非力な人間だったとしても、周りの奴らがもっと非力なら食料を奪い取ることができるし、パートナーを奪い取るコトも可能です。

つまり、周りよりも『マシ』であれば、自分の遺伝子を残すことができる『勝者』となることが可能だったわけです。

 

現代では『強さ』の概念が曖昧に(というか多岐に渡るように)なりつつあるため、はっきりとした『勝者』生まれづらくなってはいますが、それでも『”学力”や”収入”が多いほうが比較的有利』であることに変わりはなく、それが『人生の勝者』になるための近道であることは間違いありません。

 

よって、今でも『他人より幸せであることが、幸せへの第一歩』であることは変わっていません。

 

そして、その『他人より幸せでいたい』という願望が、幸せを遠ざける要因となっています。

 

富裕層が豊かになると、中間層以下の支出が増える

皆さまご存じの通り世界中で格差が広がりつつあります。

『幸せとお金の経済学』では

アメリカの大企業のCEOの給料は、1980年には平均的労働者の約40倍でしたが、2000年になると500倍以にしています。

と解説しています。

「富裕層が豊かになったところで、中間層の自分には関係ないわ」

と思うかもしれませんが、そうではないのが面白いところです。

 

本書では、

『最も豊かな層(CEOなど)が豊かになることで、中間層以下の支出が増えることにつながる』

と解説しています。

 

その理由を、住宅を例にとって解説すると

  • 最富裕層の収入が増えたことで、今まで以上に大きな家を建てる
  • 準富裕層の収入は増えないが、最富裕層の家を見て(あこがれて)今までより大きな家を建てる
  • 中間層の収入は増えないが、準富裕層の家を見て(あこがれて)今までより大きな家を建てる

といった順に、豊かな層が贅沢をすることで、そうでない層の人々もそれに釣られて支出が上がってしまう現象が起きます。

 

これは、前述した『周りよりも豊かでありたい』という願望を叶えるために、

  • 『自分の俗している層の平均的な住宅』よりも大きな家を建てたい

という欲求が生まれることも要因の一つで、「自分より『ちょっと金持ち』な層と同レベルの家を建てて、周りにアピールしてやる!」という思いが(無意識でも)生まれているためです。

 

住宅を例に挙げましたが、

  • 贈り物
  • 装飾品

といったものも同様で、「みんなより高級なものを持ちたい!」という欲求はどこにでも生まれます。

 

ブランド財布を持ち歩く高校生は優位に立てるのか

ブランド財布を持ち歩く高校生は優位に立てるのか

その欲求のせいか、最近ではブランド財布を持ち歩く高校生をよく見かけるようになりました。

周りが『バリバリ財布』を持っている中、自分だけブランド財布を持っていれば、

  • 周りから一目置かれる
  • 恋人に選ばれる

といった効果が期待できるため、『間違った選択だ』とは言い切れません。

 

しかし、『ブランド財布を持っているやつが豊かな高校生活を送っている姿』を見た同級生が「自分も負けられない!」と考え、同じくブランド財布を手にするようになることは簡単に想像できます。

 

そして、それが広がり、全員がブランド財布を持つようになれば『ブランド財布を持つことによる優位性』はなくなります。

それどころか、全員が『身の丈に合わない出費』をすることとなり、旅行や遊びに使える費用が減ることとなり、『全員が以前(ブランド財布を手にする前)よりも不幸せなる』という結果を招きます。

 

 これが、『周りよりも豊かでありたい』という願望が招くワナです。

 

また、さいきん過熱気味の『子供の教育』についても同様の願望がネガティブに働いています。

 

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『比較的優秀な子供』に育てることが正義!

「子供には豊かな人生を歩んで欲しい…」と思えば、「教育費をかけよう!」と考えるのは当然のことです。

 

お金をかけて、優秀な成績をおさめることに成功すれば、周りの子供よりも『優れた学校』、『優れた会社』に入ることができ、結果として豊かな人生を歩める可能性は高くなります。

 

しかし、ほとんどの親は同じように「子供には優秀になって欲しい…」と考えていることから、多くの子供が塾に通うようになります。

 

その結果、塾がそれほど一般的でなかった以前であれば

  • 塾に通っている=比較的優秀な成績がとれる

だったのが、塾が当たり前になった今では

  • 塾に通っている=普通の成績しか取れない

こととなってしまいます。

それどころか、昔ではあれば普通の選択だった『塾には通わない』を選んでしまうと、『劣等生』になってしまうリスクが高くなってしまいました。

 

『塾に通う』が当たり前になった今、『比較的優秀な子供』を育てるためには

  • 夜遅くまで長時間勉強させてくれる塾に通わせる
  • 優秀な家庭教師を付ける

といった、今まで以上に『お金』や『子供の時間』を奪う選択が必要となってきました。

 

今後、『上記(長時間勉強など)が当たり前になった後の世界』のことを考えるとゾッとします…。

 

 ただし、全てのコトに対して『周りよりも優秀で、豊かでありたい』と思うわけではないようです。

 

『家の大きさ』は相対評価、『休暇の長さ』は絶対評価

『家の大きさ』は相対評価、『休暇の長さ』は絶対評価

『幸せとお金の経済学』では、

  • A:自分は50坪の家に住むが、他人は40坪の家に住む
  • B:自分は70坪の家に住むが、他人は90坪の家に住む

のどちらかを選択させると、ほとんどの人が『A』を選ぶとしています。

つまり、『小さな家であっても、他人よい大きな家が良い』という選択です。

 

しかし、

  • A:自分は年に5週間の休暇が取れるが、他人は4週間の休暇がとれる
  • B:自分は年に7週間の休暇が取れるが、他人は9週間の休暇が取れる

のどちらかを選択させると、ほとんどの人が『B』を選ぶとしています。

つまり、『他人より短くても、絶対的に長い休暇の方が良い』という、家を選択するときとは逆の選択を選ぶことになります。

 

この現象を、

  • 家の大きさは、社会的地位を大きく左右する財産→地位財
  • 休暇の長さは、社会的地位をさほど左右しない財産→非地位財

と分類し、 

  • 地位財は『他人との相対評価』
  • 非地位財は『絶対評価』

で価値を感じる、と説明しています。

 

ここら辺が、『幸せなお金の使い方』を送る為のヒントとなりそうです。

 

シンプルライフのすすめ

『幸せとお金の経済学』では、ここまで挙げた『比較的有利を求めることによる問題』を解決するために、

その代表例になるのが、シンプルライフの探求かもしれません。

よりシンプルな生活が提唱されています。

労働時間を短くし、小さな住宅に暮らし、高価な車を買わず、自宅近くで休暇を楽しみ、高価なレストランでの食事をやめて、友人たちと自宅で簡単な食事を楽しむのです。

 としています。

 

この考え方は、今ではひろがりつつある

  • ミニマリスト
  • セミリタイア

などの考え方に通ずるところがあります。

 

他人との地位競争に勝つために、必死に働いて、必死に豊かな”フリ”をしても、幸せにはなれません。

競争から抜け出し、『非地位財』に重きを置いた生活をすることが大切と言えそうです。

 

日本人の平均年収は『436万円』です。

そう聞くと『年収300万円の人』は、「うちは貧しいから…」と思うかもしれませんが、目線を世界全体にうつすと、

  • 年収300万円の人は、全世界で上位2%に入るレベルの高給取り

だと言えます。

 

すなわち『日本人と比べているから貧しく思えるが、実際は十分に豊かになれるだけの収入を得ている』と言えるわけです。

と、いうことは、日本人のほとんどは『他人と比べない豊かさ』を見つけることができれば幸せな人生を送れる、とも言えそうです。

 

 

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 まとめ:比較しない豊かさを見つけることが幸せへの第一歩

ここまで記事にさせてもらった通り、多くの人が「他人より豊かになろう!」と考えて行動していると、多くの人が支出を増やすこととなりますが、それでも『比較的に豊か』を手に入れることはできず、ただただ出費が増えるだけで、不幸せに近づくことになります。

 

この『比較的豊かを目指す』という不毛な争いを避けるためには、他人と比べる必要のない『非地位財』に目を向けることが大切です。

 

その為の一つのヒントとして

  • 『収入』や『財産』よりも、『時間』を大切にする

ことが挙げられそうです。

必死に稼いで、必死に消費しても幸せにはなれません。

『豊かに過ごせる時間』をいかに確保できるかが重要です。

 

読者のみなさまは、幸いにも『世界的に裕福な日本』で暮らしているので、無理をせずとも『(世界的には)それなりな収入』を得ることができます。

 

『幸せとお金の経済学』が、『自分がどう生きていくか?』を考え直すきっかけとなり、幸せな人生を送れるようになってくれれば、と思います。

 

最後に、筆者のロバート・Hフランクの言葉を紹介して終わりにしようと思います。

約25年前、コーネル大学の同僚だったデック・セイラーから、ワインのテイスティング教室に誘われたことがあります。

当時の私は、6ドルのワインで満足していたので、その気持ちを挫くような話をあえて聞きにいくことをしたくないと言って断りました。

デックは優秀な応用心理学者ですが、そのような私の思考プロセスに当惑しているようでした。

ただ、今振り返っても、自分の味覚訓練を先延ばししてよかったと思っています。

スタンフォード大学の行動科学先進研究所センターの研究員として、50歳を目前に経済的な余裕が出てきたとき、今がワインについて詳しく学ぶ時期だと判断しました。

30歳前半で一級品のボルドーワインを飲むのは、やはり賢明ではありません。

先の楽しみがなくなってしまいませんか?

でも多くの人たちは、今飲んでいるワインが、将来飲むワインの評価をどのように変えるのかを考えないようです。

 

『豊かさ』を急いでしまっては、『将来の豊かさ』を逃すことになります。

ゆっくりと、今の幸せを噛みしめながら生きていきましょう。

 

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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以下は、本ブログの読者たちに”最も伝えたい内容”を整理した記事です。

筆者はこの記事で紹介する本たちの力によって、大きな資産を手に入れ、セミリタイア計画を遂行出来ています。

本ほど『低いコストで大きいリターンが得られる投資(人生を豊かにするもの)』は他にはありません。  

 

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