山崎元がホンネで回答(2)FIREに難色、なぜ?働き続けたい理由は?
という、「面白い」というか「グサッとくる」というか「反論したくなる」ような記事があったので紹介しつつ考察。
これは
FIRE(早期リタイア・経済的自立)したいという人々に対して、なかなか難色(理解が難しい)を示されていましたが、逆になんでそんなに働き続けたいのでしょうか?
という質問に対する山崎元さんの回答を記事にしたもので、冒頭では
と切り捨てられていましたw
山崎さんの言う『守銭奴型のFIRE』とは、
相当の期間消費を抑えて投資を増やして資産形成に注力して、中年期以降に金融資産残高による安心を図ろうとするようなタイプのFIRE
を指しており、
サラリーマンで例えば収入の半分近くを投資に回すと、十数年で「金融資産の運用益で生活費が賄える」といったレベルの「小さなFIRE」を作る事が出来るでしょう。しかし、こうしたケースでは生活費のスケールが小さいし、50歳近くになってからFIREだと言われても、もうすでにアーリーとは言えない。
と指摘しています。
人によっては強い憤りを感じてしまいそうな言葉ですねw
つまり、
- 大事な若い時代を犠牲にして、それなりな年齢になってからリタイアしてどうする
- お金の制約から解放されるために、人生の長期間を『厳しいお金の制約』をかけるという矛盾を犯している
というツッコミをしているわけです。
このツッコミ、まぁ分かるのですが、
- これ『FIRE』っていう単語に問題があるんじゃね?
- 『ちょっと早く脱サラします』だったら問題ないよね?
と思うんです。
『FIRE』とは
- Financial Independence(経済的自立)
- Retire Early(早期引退)
のことです。
よって、
「節約しまくって50代でFIREします!」
という人に対して
「将来の自立を手に入れるために現在に厳しい縛りを入れるって、矛盾してない?」
「早期とか言いながら、50代で引退しとるやんけ」
というツッコミが入る余地ができてしまいます。
しかし
「私は50歳くらまでに資産を貯めておいて、普通の人よりちょっと早く脱サラします」という人に対しては、
「おぉ!いいね!!」
というポジティブな返事をしたくなる気がします(しません?しますよね?)
さらに、言うと
- どれだけ大金を貯めても『お金による制限』がなくなるわけではない
というのも大きなポイントです。
先にも書いた通りFIREには
- Financial Independence(経済的自立)
という文字が入っているので、あたかも『お金による制限がなくなる』なんて受け取ってしまいがちです。
しかし、資産が1億あっても、10億あっても『お金による制限』はなくならないのではないでしょうか。
例えば、資産1億でFIREしたケースに4%ルールを当てはめれば、年間400万円しか使えないため、贅沢な生活が送れないのは明らかです。
10億円あれば年間4000万円使えるので「やりたい放題だ!」と感じるかもしれませんが、実際はそうではありません。
年間4000万円を使うことができれば、『そこそこ高収入な人並の生活』を送れることは確かですが、例えば『比較的に贅沢な日常生活』によって生活費で2000万円ほど使ってしまえば、残った2000万円は高級車を1台買うだけで消滅してしまいます。
4000万円程度では、プライベートジェットを買えるわけでもなく、宇宙旅行に行くこともできないどころか、国際線のファーストクラスでの移動(100万円~300万円くらい)すらホイホイとはできません。
『年間4000万円』は一般的な感覚としては高額ですが、贅沢できるかというとそうとは限らず、人によっては「全然足りない」とすら思うでしょう。
「”すごい贅沢”をしなけりゃいいだけでしょ。」
と思うかもしれませんが、人間の欲望に際限はなく、どこまでも”贅沢”を追い求めてしまいがちです。
コーネル大学の経済学者であるロバート・H・フランクが『幸せとお金の経済学』という著書で
- 幸福は『他人より豊かであること』で感じられる
- 富裕層が贅沢をしていると、中間層も贅沢をするようになってしまう
と解説しており、言い換えると
- 『幸せ』を手に入れるためには、身近な人物だけでなく『遠くにいる富裕層』と比較しても「豊かである」と感じられなければならない
と言っているわけです。
この考えから抜け出せなければ、資産が10億あろうとも、
「大金を貯めてFIREしたから、幸せに暮らしてやるぜ!!」
「しかし、世の中には贅沢な暮らしをしている奴らがいっぱいいるなぁ…」
「もっと贅沢したいけど、お金が足りなくてできない!」
なんていう苦しみを味わうことになるかもしれません。
SNSを経由して『富裕層のキラキラ生活』が目に飛び込んでくる昨今では、これまで以上にこの傾向は強くなることでしょう。
そんなわけで、
- 事業を一発当てて手に入れた大金でFIRE
- 必死に節約して手に入れた少額資産でFIRE
のどちらであっても『お金による制限』がかかることが分かります。
ちなみに、前述の『お金と幸せの経済学』では、
- 『広い家に住む』『高級車を保有する』といった社会的地位を高くする財産(地位財)は、『他人との比較』でしか幸せを感じられない
- 『健康である』『自由な時間が多い』といった地位に影響しない財産(非地位財)は、他人と比較しなくても幸せを感じられる。
と解説し、「他人と比べずに幸せになれる非地位財を重視したほうがいいよ~」とアドバイスしています。
そういった面からは、
- 大金を手に入れてFIREして、贅沢できることに優越感を感じようとしている人
- 少額な資産だけでFIREして、贅沢はできないけど自由な時間を楽しんでいる人
のどちらが幸せであるかは明らかですね。
というわけで、
「『守銭奴型FIREタイプでは人生がつまらない』と言っている人は地位財を重視しているので、いつまでたっても幸せにはなれない人なのかもしれないですね」
なんてことを思ってしまったのでした。
まぁ、山崎元さんのように「仕事が楽しい」となれば、それが最高であることは言わずもがですが、その域に達することがで着なかった人にとっては『守銭奴型FIREタイプ』であっても素晴らしい人生が送れるのではないかと、私は思います。
これ、久しぶりに読みたくなったので図書館で状況を確認したら、予約が連なっていたのでしばらくは読めなさそうですw
残念!
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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