最終更新日:2020/10/10
楽天証券で9月度の 投資信託買い付け金額ランキングを確認したところ、以下のようになっていました。
- eMAXIS Slime米国株式
- 楽天・全米株式
- 楽天・日本株4.3倍ブル
- eMAXIS Slime全世界株式(オールカントリー)
- 楽天・日本株3.8倍ベア
- eMAXISSlim先進国株式インデックス
- iFreeレバレッジ NASDAQ100
- 楽天・全世界株式
- ニッセイ外国株式
- ニッセイ日経225
多くのファンドは「分かる」と言えるものとなっていますが、中には「?」と思いたくなるファンドも含まれていました。
本記事では、その中でも
- 楽天・日本株4.3倍ブル
- 楽天・日本株3.8倍ベア
に焦点を当てて見ていきたいと思います。
<目次>
- 楽天・日本株4.3倍ブル、3.8倍ベアの基本情報
- 楽天・日本株4.3倍ブルの成績を確認
- 楽天・日本株3.7倍ベアの成績を確認
- 4.3倍ブル・3.8倍ベア・TOPIXの成績を比較
- まとめ:レバレッジファンドは取り扱い注意
楽天・日本株4.3倍ブル、3.8倍ベアの基本情報
まずは、それぞれの特徴を見ていきます。
楽天・日本株4.3倍ブル
『楽天・日本株4.3倍ブル』は、主に『日本国内の株価指数先物』を投資対象とし、資産総額の4.3倍のレバレッジをかけた運用を行うことで、国内市場の4.3倍の値動きをすることを目指しているファンドです。
つまり、
- 国内株式が上昇すると、大きく利益がでる
- 国内株式が下落すると、大きな損失がでる
ことになります。
2015年10月より販売が開始され、信託報酬は1.24%とかなり高いです。
なお、投資信託名にある『ブル』とは、『雄牛が角を振り上げるイメージ』から、株価が上昇している局面のことを指しています。
楽天・日本株3.8倍ベア
『楽天・日本株3.8倍ベア』は、主に『日本国内の株価指数先物』を投資対象とした”売り”を行い、資産総額の3.8倍のレバレッジをかけた運用を行うことで、国内株式市場の3.8倍ほど”反対”に値動きをすることを目指しているファンドです。
つまり、
- 国内株式が上昇すると、大きく損失がでる
- 国内株式が下落すると、大きな利益がでる
ことになります(楽天・日本株4.3倍ブルと真逆です)
2020年10月より販売が開始され、信託報酬は1.24%とかなり高いです。
なお、投資信託名にある『ベア』とは、『熊が前足を振り下ろすイメージ』から、株価が下落している局面のことを指しています。
楽天・日本株4.3倍ブルの成績を確認
まずは、楽天・日本株4.3倍ブルの全ての実績を見ていきましょう。
楽天・日本株4.3倍ブルは『日本株全体の4.3倍を目指している』ので、日本株全体の指数であるTOPIXと比較していきます。
※2015年10月時点を100ポイントとして統一しています。
「すごい」の一言ですw
コンセプト通り、
- TOPIXの上昇局面では、TOPIXを大きく超える上昇
- TOPIXの下落局面では、TOPIXを大きく超える下落
をしています。
注意しなければならないのは、2020年10月6日時点のポイントを確認すると、
- 80.0ポイント:楽天・日本株4.3倍ブル
- 122.1ポイント:TOPIX
となっており、TOPIXは、2015年10月よりも22.1%上昇しているのにも関わらず、楽天・日本株4.3倍ブルは、20%も下落している点です。
「TOPIXの4.3倍動くんだから、ブルは『88.4%上昇』にならないとおかしいでしょ」と思うかもしれませんが、そうならないのが『レバレッジファンドの罠』です。
例えば、TOPIXが100ポイントだったとして、株価が10%下落すると
- TOPIX :90ポイント=100-(100*10%)
- 4.3倍ベア:57ポイント=100-(100*10%*4.3)
となり、翌日株価が10%上昇すると
- TOPIX :99ポイント=90+(90*10%)
- 4.3倍ベア:82ポイント=57+(57*10%*4.3)
となってしまい、10%の上下落を繰り返すと、TOPXIに対して大きく後れをとることになります。
つまり、
- レバレッジファンドは上下動を繰り返す相場に弱い
ことになります。
そして、株式市場は上昇・下落を繰り返すパターンが多いため、『レバレッジファンドでリターンを出すことは難しい』と言えます。
これは「株価は長期的には常に右肩上がりだから、レバレッジをかけたブルファンドに投資しておけばいいじゃない!」という考えが成立しない、ということでもあります。
なお、この内容は楽天・日本株4.3倍ブルの目論見書にもしっかりと書いてあります。
よって、楽天・日本株4.3倍ブルファンドを購入するタイミングは、『株価が上昇を続ける局面のみ』と言えます。
具体的には、2016年6月ブルファンドを購入したケースでは、およそ1年半で650%のリターンを得られた、という実績があり(上記グラフ参照)、上昇局面・下降局面を読めるのであれば、かなり優れたファンドなのは間違いありません。
問題は『上昇局面・過去局面を読むことが困難』というところですね…。
楽天・日本株3.7倍ベアの成績を確認
次に、楽天・日本株3.7倍ベアを確認していきます。
こちらもTOPIXと比較していきます。
これまたすごいw
2019年12月に販売開始ということで、(下落局面で有利な)ブル型ファンドにとって絶好のタイミングでスタートし、2020年3月のコロナ暴落時には、320.8%という驚異的なリターンを叩き出しています。
が、株価が順調に回復してきた2020年10月6日時点では、
- 54.6ポイント:楽天・日本株3.8倍ベア
- 97.1ポイント:TOPIX
と、悲惨な状況にあります。
このベアファンドも、ブルファンドと同様の考え方で
- 上下動を繰り返す相場に弱い
ため、現在のように不安定なと相場では大きなダメージを受けることになりますが、『下降局面を読む』ことが出来れば、短期間で大きなリターンを得られるわけです。
とはいえ、『株式市場は長期的には右肩上がり』である以上、『ベアファンドは長期保有するべきファンドではない』ことは明白なので、「下降局面だ!」と読まずして買う人はいないでしょうが…。
では、最後に、ブル・ベア・TOPIXの直近の成績を比較していきます。
ブル・ベアは逆方向に賭けているわけなので、短期的にはどちらかが優秀であって欲しいところです。
4.3倍ブル・3.8倍ベア・TOPIXの成績を比較
というわけで、比較しています。
対象の期間は、コロナ暴落のあった2020年2月~です。
はい、どっちも悲惨!
一応10月6日時点の成績を書いておくと、
- 76.8ポイント:楽天・日本株4.3倍ブル
- 49.2ポイント:楽天・日本株3.8倍ベア
- 100.5ポイント:TOPIX
となります。
ブル(上昇局面に強い)も、ベア(下降局面に強い)もTOPIXに大きく負けている、ということで、『レバレッジファンドの取り扱いの難しさ』がよく分かる結果となりました。
うーん、それにしても悲惨w
まとめ:レバレッジファンドは取り扱い注意
ここまで記事にさせてもらった通り、ブル・ベアどちらであっても『レバレッジをかけているファンド』は、ハイリスク・ハイリターンと言え、さらに長期投資目線で見るとハイリスク・ローリターンとなってしまう、と言えそうです。
よって、レバレッジファンドを上手く活用できるのは『市場の傾向を読むことができる限られた投資家のみ』と言え、ほとんどの個人投資家にはお勧めできません。
また、記事冒頭でも書いた通り、楽天証券での買い付け金額ランキングでは
- 楽天・日本株4.3倍ブルが3位
- 楽天・日本株3.8倍ベアが5位
となっています。
つまり
- 先行きが不透明だけど、大きく(レバレッジを掛けて)投資している投資家が多い
という状況にあり、『まだまだ荒れた相場が続きそうだ』と想像できます。
そして、相場が荒れれば荒れるほどレバレッジファンドには不利に働く、という皮肉な状況にあるとも言えます。
『投資=ギャンブル』と捉えている投資家はともかく、『投資で資産を増やしたい』と考えている投資家は、これらレバレッジファンドに投資するべきではない、と言えそうです。
(と、グローバル3倍3分割ファンドに投資する筆者(ひょしおんぬ)が言ってみるw)
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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