チャールズ・シュワブから『貿易戦争が市場に及ぼす5つの影響(Five Investing Impacts of a Trade War)』というトランプ後の世界を占うのにちょうどいい記事があったので、ご紹介しつつ考察。
その5つとは、(『5つの影響(Impacts)』というか『5つの考察』だけど)
- トランプ大統領当選が決まっても全世界株式は順調じゃん
- トランプ一期目の関税の時もあんまり反応なかったじゃん
- 海外での売り上げが大きい企業ですら影響はあんまりなかったじゃん
- トランプの関税宣言は脅し半分で、そこまで極端にはやらんじゃん
- 結論、あんまり影響はでないんじゃん?
です。
トランプ大統領当選が決まっても全世界株式は順調じゃん
トランプは「関税を強化する!」と宣言をしたうえで大統領に選ばれたわけですが、その後も全世界株式(MSCI ACWI)は順調に推移しています。

株価は『未来を織り込んだ価格』となっているわけなので、市場の総意が
「トランプ関税?あんまり影響ないんじゃないの?」
となっていると想像できます。
トランプ一期目の関税の時もあんまり反応なかったじゃん
また、トランプ一期目では様々な関税をかけてきましたが、
- 関税実施の発表後に全世界株式がどう動いたか?
を見ると、

※関税を発表した時期と内容の一覧
※一番右が、発表後1週間の株価の値動き。右から2番目が、発表後1日の株価の値動き
と、中立的な値動きをしていることが分かります。
もっとも値を下げたのは、『特定中国製品に対する関税の10%から25%への引き上げ(赤枠部分)』で、
- 発表1日後に1.9%のマイナス
となりましたが、
- 発表1週間後には、0.9%マイナスにまで戻した
ということで、影響は大きくありませんでした。
海外での売り上げが大きい企業ですら影響はあんまりなかったじゃん
『関税による影響が大きな企業』は『海外での売り上げが大きい企業』ですが、そこに注目しても大きな影響がなかったことが分かっています。
下のグラフは、
- 青線:海外売り上げ比率が75%を超える企業
- 緑線:海外売り上げ比率が 5%を下回る企業
ですが、大きな差がないことが分かります。

これは、
- 多くの企業は柔軟に対応できるため、関税が強化されてもそれに適した戦略を採用するため、影響が最小限におさえられる
と、チャールズ・シュワブは分析しています。
トランプの関税宣言は脅し半分で、そこまで極端にはやらんじゃん
さらに、
- トランプは極端な関税案をぶちあげているが、これがそのまま実行される可能性は低いだろう
とチャールズ・シュワブは予想しています。
例えば、トランプは
- 中国からの輸入品すべてに60%の関税
- 中国を除くすべての国からの輸入品に10~20%の関税
といった案をあげていますが、これらすべてが実現されると過去に例のないレベルの関税率となってしまいます。

この『強烈な関税案』はトランプ大統領第一期でも見られましたが、結局は各国との交渉のすえボチボチな貿易協定を結ぶことで終結しました。
また、これほどまでの関税を実施することは、世界経済へのネガティブな影響を引き起こし、ひいてはアメリカ経済へも大きなダメージが発生することにつながります。
よって、今回の『強烈な関税案』は『交渉のためのツール』でしかなく、世界経済が混乱に陥るような関税を実施することはないでしょう。
スパコンSEもトランプ本を何冊か読んできたのですが、
「トランプは言ってることがコロコロ変わるから、過去の発言はあてにならんな」
という印象を持っています。
結論、あんまり影響はでないんじゃん?
と、いうわけで
「あんまり極端な関税は発動しないよね~」
とは想像できるわけですが、ある程度の関税強化が実施されることは予想されます。
そこで、国際通貨基金(IMF)が2025年の世界経済見通しの中で貿易戦争の影響を分析しており、その中で
- 米国がすべての輸入品に10%の関税をかける
- 報復として、欧州と中国が米国の輸出品と中国と欧州連合(EU)間のすべての貿易に10%の関税を課す
という貿易戦争が発生するシナリオを立て、分析しています。
結果、貿易戦争が発生すれば(貿易戦争が発生しないケースに比べて)
- アメリカのGDP成長率はマイナス0.4%
- 世界経済のGDP成長率はマイナス0.1%
と、軽微な影響しか及ぼさないとの結論を出しています。

というわけで、
- トランプは大きいことを言っているけど、真に受けなくていいと思うよ!
- 影響が出るとしたら、世界全体よりもアメリカの方がダメージが大きいよ!
- 仮にそこそこの貿易戦争が起きたところで、影響はそれほどでもないよ!
との結論になるのでした。
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とはいえ、先のことは分からないわけで、関税がきっかけとなり、世界経済がひどい不況に陥る可能性だって十分考えられるわけです。
知らんけど。
知らんのですけども、関税が強化されようかされなかろうが、世界経済が悪化しようがしなかろうが、『株式投資は株主にとって有利な仕組みである』であることに変わりはありません。
しょせんイチ労働者である我々は、
- 頑張って働く
- 株主であり続けてリターンを期待する
の他にやれることはありませんので、これまで通りガシッ!と世界中の株式をホールドし続けるだけでございます。

「オルカン投資家である私は世界の所有者」
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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