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レバレッジオルカン投資信託の考察Part2

以前、オルカン(全世界株式)レバレッジ投資信託の長期リターンをシミュレーションという記事でオルカンの実績を使った検証をしたところ、

「レバレッジは長期投資で使うものではない」

という結論には至りました。

 

しかし、

「長期投資でもレバレッジがうまくいくケースもあるとは思うんだよね~」

という思いもあったので、今回は

  • レバレッジ投資が有効に働くケース

を考察していきたいと思います。

 

今回の考察では、オルカン『VT(Vanguard Total World Stock Index Fund ETF)』の2008年6月~2022年10月の実績(リーマンショックを含む期間)を使用し、どのシミュレーションでも

  • 始点(2008年  6月時点):49.54ドル
  • 終点(2022年10月時点):84.51ドル

は固定して、あいだの推移をいじくりながら考察していきます。

 

 

<目次>

 

レバレッジオルカン投資信託の考察Part2

まずはレバレッジが最も有効に働くであろうケースの考察から。

 

レバレッジ投資は『上がったり下がったりする相場に弱い』すなわち『下がることのない相場には強い』と言えます。

 

で、『下がらない相場』にも

  • 毎日あがり続ける相場
  • 一日だけ上昇する相場

という両極端のケースが考えられます。

 

調査対象とするオルカンは、

  • 始点  :49.54ドル
  • 終点  :84.51ドル
  • 差額  :34.97ドル
  • 営業日数:3609日

であったため、

  • 毎日あがる:オルカンが毎日0.0097ドルずつあがった(34.97ドル÷3609日)
  • 一日だけ :オルカンが1日で34.97ドルあがった(あとは横ばい)

と想定してシミュレーションします。

 

で、このそれぞれの相場に対して3倍のレバレッジを掛けてまいります。

 

どちらが優位になるのでしょうか!?

 

毎日0.0097ドル上がる相場

毎日0.0097ドルをあげ続けたオルカン(青線)は(あたり前ですけど)直線になっています。

そして、レバオル(赤線)がすごいことに。

 

2022年10月末時点で、

  • オルカン:  84.51ドル
  • レバオル:307.35ドル

と、圧倒的なリターンとなっています。

 

「レバレッジ投資は下げない相場に強い」ということを改めて証明しています。

 

というわけで、もう一つの『下げない相場』でシミュレーションします。

 

1日で全部上げた相場

それがこれ。

  • オルカンは、2022年1月3日に34.97ドル上昇しただけで、あとはすべて横ばい。
  • レバオルは、同じ日に3倍上昇しただけで、あとはすべて横ばい。

となっています。

 

2022年10月末時点で、

  • オルカン:  84.51ドル
  • レバオル:154.45ドル

となっています。

 

一切下がらない相場で強いのはコツコツ型

で、この2ケースのレバオルを比較すると、

  • 毎日上げた相場    :307.35
  • 一日で一気に上げた相場:154.45

となり、『毎日上げた相場』の圧勝となりました。

 

このことからは、

  • レバレッジ投資は、始点と終点が同じであったとしても『一発どかんと上げて、あとは横ばい』よりも『少しずつでも上げ続ける相場』に強い

ということが言えます。

 

とはいえ、残念ながら『毎日上がり続ける相場』なんてものは存在しないので、

  • 上げたり下げたりする相場では、どんな相場に強いのか?

も見ていきたいと思います。

 

レバオルに有利な『上げたり下げたりする相場』とは?

ではまずは、『1日上げ・1日下げ・1日下げ…』の相場を見てみましょう。

短期チャートだと、こんな感じで上がっていく相場です。

 

で、『上げ下げする量』によっても、結果が変わってくる可能性があるので、

  • 1.01ドル上げ、0.99ドル下げ、を続けるパターン(毎日1.0~2.0%変動)
  • 0.51ドル上げ、0.49ドル下げ、を続けるパターン(毎日05.~1.0%変動)
  • 0.11ドル上げ、0.09ドル下げ、を続けるパターン(毎日0.1~0.2%変動)

の3パターンで見ていきます。

(いずれも、平均すると1日で0.0097ドル上げ=現実のオルカンと同じペースとなります)

 

まずは変動が最も大きいケース1から。

1.01ドル上げ、0.99ドル下げ、を続けるパターン(毎日1.0~2.0%変動)

はい、悲惨。

 

分かってはいましたが、レバレッジは大きく値動きしている相場に弱いですね。

ただこれは『毎日1.0~2.0%変動』と、かなり大きめの変動を繰り返しているので、非現実的かもしれません。

というわけで、もっと現実に近づけてみましょう。

 

0.51ドル上げ、0.49ドル下げ、を続けるパターン(毎日05.~1.0%変動)

まじか!!

レバオルがオルカンを超えています…!

 

正直にいって、私はこれを見るまでは、

  • 上げ下げを続けるパターン=レバレッジにとっては不利

という固定概念にとらわれていましたが(実際のレバレッジ商品がすべからくイマイチなので)、実際は

  • 『小さく上げ、小さく下げの繰り返しパターン』は、レバレッジにとって有利な相場である

ということが分かりました。

 

この『毎日0.5~1.0%変動』は、まぁまぁ現実的な変動率かと思いますが、次はさらなるリターンを求めて、もっと値動きを小さくしてみます。

 

0.11ドル上げ、0.09ドル下げ、を続けるパターン(毎日0.1~0.2%変動)


レバオルがもすごいリターンに…。

  • レバレッジ投資は、『日々の変動率』が小さければ小さいほどにリターンが大きくなる

ことが分かりました。

 

では、もう少し突っ込んでみましょう。

 

上げ・上げ・上げ・上げ・下げのパターン

短期チャートにするとこんな感じ。

日々の変動では、素晴らしい結果をだした『0.11ドル上げ、0.09ドル下げ』をベースに

  • 0.11ドル上げを4日、0.39ドル下げを1日、を続けるパターン

とします。

(これも平均すると1日で0.0097ドル上げ=現実のオルカンと同じです)

 

結果はこんな感じ。

『4日上げ1日下げ(赤線)』も結構なリターンではあるものの、『1日上げ1日下げ(緑線)』よりも『4日上げ1日下げ』の方がリターンが低いですね。

 

むしろ、もっと差が出るのではないかと想像していましたので意外です…。

 

続いてはこちら。

下げ・下げ・下げ・下げ・上げのパターン

短期チャートにするとこんな感じ。

これの日々の変動も『0.11ドル上げ、0.09ドル下げ』をベースに

  • 0.41ドル上げを1日、0.09ドル下げを1日、を続けるパターン

とします。

 

結果はこれ。

まさかの

  • 『上げ上げ上げ上げ下げ』と『下げ下げ下げ下げ上げ』がほぼ同じ推移になる

という結果となりました。

 

そうなのか~…。

「コツコツ上げてドカンと下げる相場は、レバレッジにとって最悪だろうな~」なんて想像していましたが、そんなことありませんでた。

(『ドカンと下げる』の『ドカン』が小さいせいか…)

 

このあたりの考察から分かったことは、

  • レバレッジのリターンは『平均した日々の変動率の低さ』に左右され、そのうちの上がった日数、下がった日数が及ぼす影響は小さい

ということが分かりました。

 

上のグラフからスタート時点の30営業日分だけを抜き取ると、

と、(グラフには見えない)微妙な差があるものの、ほぼ同じ値動きをしています。

 

日々の値動きがもっと激しければ、

と、(これでも少しですが)差が見て取れるのですが、『平均0.1~0.2%の変動』という小さな値動きでは、ほとんど差はでないようです。

 

レバレッジに向いている商品は?

というわけで、ここまでのシミュレーションで、

  • 小さくとも『コツコツと日々上がり続けている相場』がレバレッジ投資には向いている。
  • 日々の値動きが小さければ小さい程、レバレッジが有利に働く。
  • つまり、安定している商品とレバレッジは相性がいい。

ということが分かりました。

 

が、しかし、前回のシミュレーションから判明している通り、

  • 『2008年~のオルカン実績』程度の安定では、レバレッジの恩恵は得られない

ということも分かっていますので、

  • オルカンよりも安定している商品を選ばなければならない

というそこそこ高いハードルがあります(オルカンはかなり安定している方だと思うので)

 

もちろん、安定していなかったとしても『バブル期のようにイケイケの相場』であれば、レバレッジがプラスには働くことはあります(直近を除くレバナスがすごかったように)

しかし、効率的市場において『イケイケの相場』を見つけることは困難である以上、その戦略(イケイケ相場でればっれじ投資)を実現することはカンタンではありません。

 

というわけで、最後に

  • オルカンよりも安定している商品

にレバレッジをかけて値動きを確認してみましょう。

 

レバVYMならいける…!?

そして、私の思う『オルカンよりも安定している商品』は『高配当ETF』なので、その代表の一つであるVYM(Vanguard High Dividend Yield Index Fund)に3倍のレバレッジをかけたらどうなるか、見てみましょう。

お!

想定した通りそこそこ良い感じ!

 

2010年~という『リーマンショックからの回復期』を始点としているものの、パンテックによる下落が始まるまでは、素晴らしいリターンを上げていますね。

 

とはいえ、パンデミックによる下落時には80%近い暴落をしており、『レバレッジなしVMYは約35%の下落』しかしておらず、その程度のちょっとした下落でも一気にリターンを吐きだすことになっているので、

  • リーマンショッククラス(50%以上)の暴落があると、悲惨なことになりそうである

と言え、

「VYMくらい安定している商品であっても、レバレッジ投資は長期投資に向かないのかな~。」

と思うのでした。

 

というわけで、実際にVYMの全期間(2006年11月~)の実績にレバレッジをかけると

と、イマイチであることが分かります。

 

しかし、前回の検証では

  • オルカンの場合は3倍よりも2倍のレバレッジの方が高リターンであった

ということが判明しているので、VYMにもそれが当てはまると期待して『レバレッジ2倍のVYM』を見てみましょう。

 

結果がこれ。

 

キター!!!

 

2022年11月9日時点で

  • VYM  :106.30ドル
  • レバVYM:127.63ドル

と、オリジナルのVYMを超えてきました!!

 

シミュレーションから導き出した想定(値動きの小さい商品で2倍程度のレバレッジが良い)が正解だったので、大歓喜でございます!

 

ここまでのシミュレーションによって得た

  • 小さくとも『コツコツと日々上がり続けている相場』がレバレッジ投資には向いている。
  • 日々の値動きが小さければ小さい程、レバレッジが有利に働く。
  • つまり、安定している商品とレバレッジは相性がいい。
  • レバレッジは2倍程度がいい

という推測が正しいということが分かりました!!

 

これは商品化できる!

どっかの証券会社さん、これを設計・販売してくれませんか?!

 

もし販売してくれたら買い…、

 

買い…?

 

買わないかな。

 

 

…確かに、過去のデータを使ったシミュレーションをした限り、『VYMの2倍レバレッジ投資』は非常に魅力的なリターンが手に入ったことが分かりました。

 

しかし、

  • 過去の実績は将来を保証するものではない

ということを重大な事実を忘れてはいけません。

 

振り返れば、

  • レバナス
  • グロ3
  • オルカン(3地域均等型)

といった商品が「過去のデータでシミュレーションしたら、すごいリターンでしたよ!」という文句で登場(や人気)になったたわけですが、いまでは悲惨な状況となっています。(3地域均等型は人気にすらならなかったかも…)

 

このことからも「過去と未来に関係はないよ」ということが言えます。

 

また、

  • 過去に高リターンだった商品は、人気が集まり、割高となり、リターンが小さくなる

というあたり前の流れも存在しています。

 

人生100年時代と言われるいま、40歳の人であれば今後60年も投資をすることになるわけです。

その60年もの付き合いをする商品を選ぶ時に『たった十数年間のシミュ―ション結果』を信じ、値動きが不安定で『長期的には右肩上がりである』と予想することすら難しいレバレッジ投資を採用するべきではありません。

(ギャンブルとして楽しみたいのであればどーぞ)

 

結論

と、いうわけでこの記事の結論としては、

  • VYMのような値動きの小さな商品と、2倍程度のレバレッジの相性は良い
  • ただし、過去実績から『値動きが小さい商品』と判断できたところで、将来も『値動きが小さい商品』であるとは限らない
  • また、株価が右肩上がりであったとしても、レバレッジ投資が右肩上がりになるとは限らない
  • よって、長期投資をするのであればレバレッジをかけない投資をするべきである

とさせていただきます。

 

それにしても、

  • レバレッジという派手な戦略
  • VYMという地味な商品

の2つの組み合わせが良いと言うのは意外ですね。

(『VYMレバレッジ投信』なるものが誕生したとしても、人気でなさそうですw)

 

最後に…、

といった感じで色々と考察してまいりましたが、レバレッジは値動きは複雑ですね!!

直感と一致しないケースが多々ありました。

 

信用取引のように「借金したお金で投資する」のであれば値動きはシンプルですが、

『日々の変動”率”にレバレッジをかける投資』の値動きを読むことは困難です。

 

というのも、レバレッジ投資のリターンは『長期的な推移(始点と終点)』だけでなく『推移の中身』によっても大きく左右されるためです。

 

こんな複雑な商品をガンガン買う人は、もっと様々な考察をしたうえで「これならいける…!」と判断しているのでしょうか?

 

もし、深い考察もなく「なんとなく」でレバレッジ投資をしている方がいたとしたら、この記事が考え直すきっかになれば幸いです。

 

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と、完全に個人的な趣味でお届けしてまいりました。

私は「あーでもない、こーでもない」と数字をいじくりならがらニヤニヤできるタイプなので、こんな考察をしてしまいました。

 

最後までついてきてくれた方はいますか?

 

もしいたら挙手してください。

 

…はい、ありがとうございます。

ごめんなさい…。

 

今後こういった記事を書いていくかの参考にもしたいので、

「こんな記事いらねぇ!」

「勉強になったわー」

など、ご感想頂けると嬉しいです!

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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