以前書いたオルカンに含まれる新興国株式がヤバいという記事の続きです。
その記事では、
- 15年近くにわたり、新興国がオルカンの足を引っ張っている
- しかし、その間、経済的には新興国はすごい勢いで成長している
- よって、これから新興国の株価が上がってくる「かもしれない」から、オルカンへの投資を続けるべし
的なことを書きました。
しかし、
- 新興国株式は、インデックス投資に向いていない
という重大なポイントが抜けていたので、そこについて触れていくこととします。
<目次>
インデックス投資は効率的市場に対して有効である
インデックス投資とは、いわずもがな『複数の企業に投資する手法』です。
その手法を取っていると、
- 『実体としての価値はまったくないのに、株価だけが上昇している銘柄』のようなゴミ銘柄へも投資してしまう
という問題が発生してきます。
この『ゴミ銘柄への投資』が報われることはなく、それを含んだインデックス投資のリターンは押し下げられることとなります。
そして、この『ゴミ銘柄への投資』は、先進国市場であろうと新興国市場であろうと起きうる問題ではありますが、
- 新興国市場のほうが、ゴミ銘柄が多く存在しているため、インデックス内にゴミ銘柄が多く含まれることとなる
- つまり、新興国市場のインデックス投資は、比較的に低いリターンとなる
と言わざるを得ません。
というのも、
- 先進国市場は効率的市場といえるが、新興国市場は効率的市場といえない
ためです。
効率的市場とは?
ざっくり書くと、
- 効率的市場とは、すべての株価が適正な価格となっている市場
と言えます。
この効率的市場であるためには、
- 株価に影響をあたえる『情報』が、『すべての投資家に』『正確に』『同時に』伝達され、投資家がその情報を元に『正しい投資判断』をする必要がある
ということが言えます。
先進国ではこれが行えているからこそ、『市場に存在するすべての銘柄の株価は適正な価格である』=『効率的市場である』と言えるわけです。
しかし、
- 新興国では、株価に影響をあたえる『情報が』、『すべての投資家に』『正確に』『同時に』伝達されているとは言えない
というのが実際のところでしょう。
例えば、
- 中国では、一部の大金持ちや投資家が『株価に影響をあたえる情報』を、一般公開する前に知ることができる(インサイダー取引をしている)
と聞いても、きっと「だよね~」という感想しか出てこないのではないでしょうか。
というわけで、実際に
- 中国の代表的インデックスは、どんな値動きとなっているのか?
を見ていきましょう。
中国の代表的インデックスは、どんな値動きとなっているのか?
まずは、
- 中国の代表的インデックス『CSI300(愛称:上場パンダ)』のリターン
- 中国の株式ファンド(多くはアクティブ投資の投資信託)のリターン
を比較してみましょう。
(しょうしょう古い情報ですが)2015年~2020年のリターンを比較するとこんな感じ。
( Bloombergより、一部データを拝借)
2017年以外は、すべて投資信託のほうがリターンが上回っており、平均すると、
- 投資信託:17.5%
- パンダ : 4.8%
と、投資信託の圧勝であったことが分かっています。
また、『2015年に100万円投資していた』と仮定して資産の推移をシミュレーションすると、
2020年時点での資産額は
- 投資信託:229万円
- パンダ :118万円
と、圧倒的な差がついています。
つまり、
- 実際に中国では、『インデックス投資』よりも『プロによるアクティブ投資』の方が、大きなリターンを手に入れることができている
- つまり、中国市場は効率的市場ではない
と言ってもよいでしょう。
また、
- 中国には1億7000万人をこえる個人投資家がいると言われており、その投資家の多くがギャンブル的な投資をしているため、異常な株価となりやすい
という問題もあり、これも『中国市場が効率的市場ではない』と言える原因のひとつとなっています。
ここでは一例として中国をあげていますが、同じように『効率的市場ではない市場』の可能性は、新興国の方が高いと考えられます。
よって
- 新興国市場はインデックス投資に向いていない
と言えるわけです。
それでも全世界株式(オルカン)に投資し続ける理由
しかし、それでも私はメインの投資先を全世界株式にし続けます。
その理由は、(こちらの記事でも似たようなことを書きましたが…)
- いまは『非効率的市場』であったとしても、これから『効率的市場』に代わっていく可能性があるため
です。
いまの先進国も、以前は効率的市場ではありませんでした。
インデックス投資家のバイブルである敗者のゲームでも、
という事実が紹介されています。
つまり、
- 『非効率的市場』であったとしても、成熟と共に『効率的市場』になっていく
ということが期待できるわけです。
また、これに対しては、
「じゃあ、新興国市場が『効率的市場』になってから、新興国へ投資したらいいじゃない」
という反論があるかもしれません。
しかし、
- ほとんどの個人投資家は、新興国が効率的市場になったタイミングを把握できない
と、私は考えます。
(市場の動向を読むことを諦めたからこそ、インデックス投資をしているわけで)
また、
- 新興国株式が全世界株式に与える影響は小さい(新興国比率は10%程度しかない)
というポイントもあります。
よって、
「いつか分からんけども、いつか新興国市場もインデックス投資に向いた市場になるだろうし、ならんかったとしてもダメージは小さいから、いまのうちから新興国へも投資しておこう」
「だって、『新興国抜き』の投資をしているうちに『新興国市場のリターンがむちゃくちゃ大きくなった』なんてことになったら、悔しいじゃん!!」
と考え、これからも全世界株式への投資をタンタンと続けていくこととします。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
------
あなたのクリックが本ブログの順位を左右します!以下バナーをクリック頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!
ツイッターでは記事の公開を通知したり、投資に関係するニュースを取り上げたりしています。よろしければフォローをお願いします!