「ディズニーランドで売っている580円のハンバーガーの材料費は?」
「オリエンタルランドが500億円近い株を買っている理由は?」
などなど、ディズニーランド(オリエンタルランド)の会計には、投資家でなくても興味をそそられる謎が多くあります。
そんな謎をネタとしながらも、ストーリー形式で
- 数値(会計)でみる、オリエンタルランドの強み
- 強い会社を育てるための方法
を教えてくれる著書『ディズニー魔法の会計 著:奏 美佐子』を紹介していきたいと思います。
- ディズニーランドの裏の裏まで知りたい方
- オリエンタルランドへの投資を検討している方
は、必見であること間違いなしです。
<目次>
- 『ディズニー魔法の会計』から学ぶディズニーランドの原価
- ディズニーランドのアトラクション、ホテル、エリアの建築費
- ホテルでいくら設けている?
- オリエンタルランドが、米ウォルトディズニー社に払う使用料は?
- ディズニーランドの食事の原価は?
- ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの給与
- まとめ:ディズニーランドに関するお金を紹介させてもらいました
『ディズニー魔法の会計』から学ぶディズニーランドの原価
まずは、ディズニーランド・ディズニーシーの基本情報を紹介します。
(新型コロナによるパンデミック発生前の情報です)
- ゲスト一人当たりの売上:約1.2万円
- パーク内の平均滞留時間:8~9時間
- 年間来場者数 :約3,000万人
そして、そのパークを運営するオリエンタルランドは、
- 2019年度の売上 :4,644億円(うち3,840億円がテーマパーク事業)
- 2019年度の純利益: 622億円
となっています。
正直これだけ見てもよく分からないかと思いますので、色々と比較しながら細かく見ていきたいと思います。
まずは、各アトラクション、ホテルなどの建築費です。
ディズニーランドのアトラクション、ホテル、エリアの建築費
高い順にいくつか並べると、
- 美女と野獣エリア :750億円
- ディズニーランドホテル:440億円
- トイストーリーホテル :315億円
- クリッターカントリー :285億円
- タワーオブテラー :210億円
- ソアリン :180億円
- カリブの海賊 :160億円
- トゥーンタウン :150億円
- スターツアーズ :140億円
といった感じとなります。
東京ドームの建築費が350億円、スカイツリーが600億円と言わていますので、ディズニーランドに莫大なお金がかかっていることが分かります。
とはいえ、『2019年の純利益:622億円』を知っていて見ると、
「もっと多くのアトラクションを作れるんじゃないの?!」
と、ディズニーファンなら思ってしまうかもしれませんね。
さて、続いてはオリエンタルランドの中でも大きな利益を上げている『ホテル事業』について見ていきたいと思います。
ホテルでいくら設けている?
オリエンタルランドは複数のホテルを所有しており、2019年時点では
- ホテルミラコスタ
- ディズニーアンバサダーホテル
- ディズニーランドホテル
の3つのディスニーホテルと、子会社である株式会社ブライトンコーポレーションが運営する
- ディズニーセレブレーションホテル
- 浦安ブライトンホテル
- 京都ブライトンホテル
- ホテルブライトンシティ大阪北浜
の4つホテルがあります。
2018年度(新型コロナの影響を受ける前)のホテル事業全体としては、
- 売上 :724億円
- 営業利益 :192億円
- 営業利益率:26.5%
となりました。
つまり、
- ホテルの営業利益を使えば、カリブの海賊(建築費160億円)級のアトラクションを毎年のように作れる
というレベルの利益を上げているわけです。
とはいえ、当然ホテルには多額の建築費がかかっていますので、まずは元を取らなければなりません。
そこで、ディズニーランドホテルを例にあげてみていきましょう。
(少し古いですが)
- 2013年のディズニーランドホテルの売上:154億円
という数値に、上で計算した営業利益率(26.5%)をかけると
- ディズニーランドホテルの1年間の営業利益:40.8億円
となり、ここから実際に儲かった金額(純利益)を求めるのに、法人税などによって(仮に)25%引かれた金額にすると
- ディズニーランドホテルの1年間の純利益:30.6億円
となります。
先にあげた
- ディズニーランドホテルの建築費:450億円
ことから、ディズニーランドホテル建築の元を取るのには、
- 14.7年 = 450億円 ÷ 30.6億円
かかることになります。
ディズニーランドホテルは、2008年に開業していますので(計算が正しければ)そろそろ建築費がペイできそうな時期にきています。
おそらく、
- 2001年に開業したホテルミラコスタ
- 2000年に開業したアンバサダーホテル
も似たような状況にあると考えられますので、すでに建築費はペイ出来ていそうです。
つまり、(想像から)単純に計算すると、
- ディズニーホテル3つだけで、毎年90億円以上の純利益を生み出している
となります。
ディズニーホテルおそるべし…。
近頃は、
- 美女と野獣エリア : 750億円
- トイストーリーホテル : 315億円
- ファンタジースプリングス:2500億円(!?)
と巨額の投資が続いているのは、『ホテルの元が取れたから』なのかもしれませんね。
さて、これだけ莫大な建築費をかけ、それでも莫大な利益をえられているのは『ディズニー』の名を借りているからであるのは明白です。
そこで次には、『ディズニーブランドの使用料』について見ていきましょう。
オリエンタルランドが、米ウォルトディズニー社に払う使用料は?
オリエンタルランドは、本家ウォルトディズニー社に対してロイヤリティを支払い、『ディズニー』の名を借りてパークを運営しています。
そのロイヤリティは、
- チケット収入の10%
- 商品販売収入の5%
- 飲食販売収入の3%
と『ディズニー魔法の会計』では試算しており、(少し古い情報ですが)2013年には、
- 229億円(売り上げの約6.7%)をディズニー社に支払った
という実績が公開されています。
ちなみに、映画『タイタニック』の製作費が約240億円と言われていますので、それに近い金額をディズニー社に毎年支払っていることになります。
とはいえ、ディズニー社は、アトラクションやパレード、園内の装飾についても細かく指示を出しているため、
- 米ディズニー社は、何もせずにこれだけ儲けているわけではない
ということも理解しておきましょう。
さて、続いては、みんな気になる『パーク内の食事の原価』についても見ていきましょう。
ディズニーランドの食事の原価は?
おそらく、多くの人が
「ディズニーランド内の食事は高い」
「どうせ材料費率は低いのだろう」
と思っているかと思います(私もそうでした)が、『ディズニー魔法の会計』によると、それ程でもないようです。
一般的な飲食業では、
- 材料費の比率を30%以下におさえる
ことが基本と言われていますが、オリエンタルランドが開示している情報によると、
- パークの材料費は27%
となり、低めではあるものの、一般的な飲食業と大差ないことが分かります。
具体的には、
- ミッキー型のパンズ
- 牛肉
- レタス
- トマト
- チーズ
で構成された580円のハンバーガーであれば、『材料費は約156円』となります。
正直にいって『意外』でした。
『食事の料金が適切かどうか』を原価だけから考えるのはバカらしいことではありますが、「パーク内で食事するのは、割高だからイヤだよ」と考えていた方も、これで気兼ねなく食事ができるようになることでしょう。
さて、そんなディズニーランドですが、『運営を支えているのは多くのアルバイトたち』というのは周知の通りかと思います。
そこで、ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの
- アルバイト
- 社員
- 経営者
の給与(報酬)を見ていきたいと思います。
ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの給与
給与を比較するにあたって
- アルバイトは、週5日勤務 x 8時間の労働を行うとする
と、正社員と同じ程度の労働時間であることを前提にします。
そうすると、
- アルバイト:年収 200万円
- 正社員 :年収 700万円
- 経営者 :年収4340万円(2019年度実績)
といった感じとなります。
正社員の平均年齢は40代前半、アルバイトはもっと若い(詳細不明)であろうと考えられるので、一概には言えませんが結構な差がありますね。
こういった話を取り上げると、
「ディズニーランドはアルバイトから搾取している!」
という謎の批判が聞こえてくることがありますが、これは単に、
- 「ディズニーで働きたい」と思う人が多くいるから、時給を上げなくても多くのアルバイトが集まっている
というだけの話で、搾取しているわけではありません。
あたりまえですが、アルバイトが「搾取されてる!」と思うのであれば別のバイトをすればいいだけの話ですから。
これは、見かたを変えると、
- 膨大なお金をかけてディズニーランドを作ったことで、魅力的なパークができあがり、その魅力にひかれて多くのアルバイトが集まるようになった
ともいえ、さらに
- そのアルバイトはそれほど高くない時給であるのにも関わらず、高いモチベーションで働いてくれている
ということで、最高の労働者を手に入れられていることになります。
誰も損をしない最高の結果で、
- このアルバイト達によってディズニーランドがより魅力的なテーマパークとなる
- より魅力的となったことで、有能でモチベーションの高い人材が集まる
と好循環が生まれたことが、ディズニーランドが類を見ない魅力的なパークとなった理由のひとつだと言えそうです。
まとめ:ディズニーランドに関するお金を紹介させてもらいました
といった感じで、ディズニーランドに関するお金の情報を紹介させてもらいました。
当初は、著書『ディズニー魔法の会計』に書かれている内容を紹介させてもらう予定でしたが、気付いたら自分で色々と調べながら記事を書いていました。
『ディズニー魔法の会計』には、興味をそそられる内容がバンバン書かれていたので、ついつい深堀してしまいました。
とはいえ、この記事では紹介しきれなかった
- ディズニーにはなぜスポンサーが必要なのか?
- オリエンタルランドが株式投資をやっている理由は?
- ディズニーランドの借金はどれくらい?
- ゲストは1日平均いくらのお金を使っている>
といった情報が『ディズニー魔法の会計』で紹介されています。
また、冒頭でも書いた通り、
- ストーリー形式で、『会計』や『強い会社の作り方』を解説している
ので、「会計の本とか難しそう…」と思う人であっても気軽に読み進められる良書でした。
- ディズニーファンの方
- オリエンタルランドへの投資を検討している方
にだけでなく、
- 会計の基礎を学びたい方
にとってもおススメの一冊でした。
なお、筆者はこの本を読んで『ディズニーランドが魅力的な理由』を改めて理解し、
「オリエンタルランドはまだまだ安泰だ」
と思い、一安心したのでした。
出典: 株式会社オリエンタルランド
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