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年金カット法とは?わかりやすく解説【マクロ経済スライドとは?】

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2016年の年金改正で決まった『年金カット法』が、2021年4月から適用されています。

 

この『年金カット法』という名称は、野党や法案の反対派、マスコミが使って名称で、正式には

  • 公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律

という法案の中の、

  • 年金にマクロ経済スライドを導入する

というルールを指しています。

 

そして、『年金カット法』というインパクトのある言葉が受けてしまったため、このルールに対しては批判的な意見ばかりが表に出ることとなってしまい、実態を知らないまま

「また年金の問題が出てきたのか…」

と考えている人も多いかと思いますので、この記事で『年金カット法』についてわかりやすく解説していきたいと思います。

 

年金カット法をわかりやすく解説

もとより年金の支給額は、

  • 物価や賃金の変動に合わせて変動する

という制度だったわけけですが、現在の『現役世代から集めた保険料を、年金受給者に配る』という制度では、少子高齢化によって

  • 保険料を支払う現役世代が減る
  • 年金を受け取る受給者が増える

ことで、現役世代の負担が上がり続けることになります。

 

そこで、『保険料を支払う現役世代』の負担を上げずに、『将来の年金の受給者(今の若者たち)』が年金を受け取れるようにするためには、年金の支給額を減らす必要があるわけです。

 

しかし、いきなり年金の支給額を減らすことは、受給者の生活に大きく影響することになりかねないので、『マクロ経済スライド』を導入し、

  • いまの年金受給者に(できる限り)影響の出ないよう実質支給額を減額する

ことを決定したわけです。

 

マクロ経済スライドとは

マクロ経済スライドとは、わかりやすく書くと、

  • 賃金や物価があがっても、年金の支給額はそんなに増やさないよ

というルールのことです。

 

マクロ経済スライドを導入する以前は、

  • 物価・賃金が1%上がったら、年金支給額も1%ふやす

というルールでしたが、マクロ経済スライドの導入後は(例えば)

  • 物価・賃金が1%上がったら、年金支給額は0.7%ふやす

といった決定がされることになります。

 

この『1%』と『0.7%』の差である『0.3%』は、スライド調整率といい、

  • 平均余命の伸び率
  • 年金を支払う人口(現役世代)の減少率

から計算され、ざっくり言うと『これくら年金の支給額を減らさないとヤバい』という数値で、

  • 2019年のスライド調整率は0.2%

となりました。

 

スライド調整率が0.2%のケースの例をあげると

  • 賃金の上昇率:0.6%

のケースでは、

  • 年金の増加率:+0.4% = 0.6% - 0.2%

となるわけで、これは

労働者の賃金はだいたい0.6%増えてるけど、年金は0.4%しか増やさないよ

ということになります。

 

さらに、これに加え、

  • 賃金が伸びているのにも関わらず
  • 年金の増加率がマイナスとなっても
  • 年金の支給額は減らさない

というルールもあります。

 

マクロ経済スライドのキャリーオーバー

先ほどと同じく、

  • スライド調整率:0.2%

だったとして、

  • 賃金の伸び率:0.1%

だったとすると、

  • 年金の増加率:-0.1% = 0.1% - 0.2%

と、マイナスとなってしまいますが、このケースでは『年金の減額は行わない』と判断されます。

 

代わりに、この-0.1%をキャリーオーバーし、

  • 翌年以降に、賃金が大きく伸びた時に、年金の増加率に合算する

となります。

 

具体的には、

  • 2018年、年金の増加率が、-0.3%となったが、減額はせずにキャリーオーバーした
  • 2019年、賃金の伸びが、0.6%となり、スライド調整率は、0.2%となった

ケースでは、

  • 年金支給額:0.1% = 0.6%(賃金の伸び) - 0.2%(スライド調整額) - 0.3%(キャリーオーバー)

となります。

 

つまり、

  • 物価や賃金が大きく増えたときに、年金の増加率を大きく抑えよう

という考え方にもとづくルールです。

 

これによって、

  • 年金の支給額をできるだけ減らさず
  • でもあまり増やさず
  • 現役世代の負担を増やさず
  • 年金の制度を守る制度

を実現しているわけです。

 

まとめ:年金カット法は必要

というわけで、なかなか複雑な仕組みである『年金カット法』について、できる限りわかりやすく解説させてもらいました。

 

整理すると、

  • 高齢化によって、現役世代の負担が増えていくことが予想される
  • 現役世代の負担を増やさないために、年金額を抑えていく必要がある
  • まとめて減額すると高齢者への影響が大きいので、賃金・物価上昇時でも『あまり年金の支給額を増やさない』というルールとした

となります。

 

このルールが取り決められるときには、各所から批判が殺到しましたが、しっかりと『年金カット法』について確認すると、

「このまま年金を配り続けようと思うと、若者から搾取しまくらないといけないからしょうがないじゃないか」

と言いたくなるような内容であったことが分かります。

 

『年金は、老後の自分の生活を左右する重要なモノ』であるわりに、

  • 年金はいつか破綻する
  • 年金カット法でいまの若者が受け取れる年金額が激減する

といった『誤った認識』をしている人が多いように感じます。

 

「死ぬまで働き続けるから年金になんか期待しない」という人であれば別ですが、そうではなく『年金のお世話になる予定』であれば、こういったルールをしっかりと把握し、『誤った報道に騙されない』ようにすることが大切です。

 

出典: 厚生労働省

 

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