GPIF(年金積立金管理運用独立法人) は、金融市場の『クジラ』と呼ばれています。
それは、2021年度末時点で186.16兆円という巨大な資産(公的年金を運用する機関としては世界最大)を運用しているからです。
GPIFは、
- 国内株式
- 外国株式
- 国内債券
- 外国債券
を(25%ずつ)均等に保有することを基本ポートフォリオとしており、各資産ごとに±6~8%のズレを許容するよう運用されています。
現在は、ほぼ基本ポートフォリオ通りの割合となっており、日本の株式は47.2兆円保有しています。
日本のすべての株式の時価評価額は758兆円(2020年度末)なので、
- GPIFは、日本株全体の6.2%程度を保有している
ことになり、2019年度末時点までは最大の保有期間でした。
なお、2020年度末時点でもっとも日本株を保有しているのは日銀で、51.5兆円保有しているので
- 日銀は、日本株全体の6.8%程度を保有している
ことになります。
合わせると、
- 公的機関(っぽい組織)が、日本株の13.0%を保有している
ことになり、この状況に対して「GPIF、日銀が市場をゆがめている」という批判があがっています。
しかし、『イチ組織が保有している運用資産』という目線で、民間の資産運用会社のトップ3の資産運用額を見ると、
- ブラックロック :990兆円
- バンガード :781兆円
- ステートストリート:345兆円
- GPIF :186兆円
※1ドル110円換算
となっているので、比べるとGPIFの資産額は大したことがないようにも思えます。
なお、(話は変わり)あまり知られていませんが、GPIFの186.16兆円という巨大な運用資産のうち、およそ半分が運用益となっています。
2020年度末時点のGPIFの運用状況
2021年7月2日に発表された内容によると、GPIFの2020年度末時点の状況は、
- 運用資産額:186.2兆円
- 総収益額 : 95.3兆円
- 平均収益率:3.61%(年率)
となりました。
具体的な運用資産額の推移は以下の通り。
また、累積の収益額(運用で儲けた金額の合計)は以下の通り。
一時的な運用損益を切り取ったマスコミの報道を見て「年金は運用で失敗している」と思っている方もいるかもしれませんが、現実は見ての通りで『ぼろ儲け』です。
とくに直近1年間の実績は、
- 収益額:37.8兆円
- 収益率:25.2%
と、『爆益』といえるリターンを上げています。
とはいえ、この収益額のほとんどは『世界的に株価が順調に推移していた』ことが要因であるため、
「株価が下落したら、この収益は吹き飛ぶ」
という懸念があります。
しかし、『かなり大きなインカムゲインを得ている』という安心材料もあります。
GPIFは巨額のインカムゲインを得ている
2020年度は、
- インカムゲインが3.0兆円
となりました。
インカムゲインとは、『配当や利息による収益』であるため、『不景気下にあっても、比較的に安定して収益が得られる』という特徴があります。
つまり、現時点で
- 景気に関わらず、毎年3.0兆円の利益を手にできる
とも言える状況にあるわけです。
さらに、2020年のインカムゲインの内訳は、
- 国内株式:9,468億円
- 外国株式:8,462億円
- 国内債券:3,275億円
- 外国債券:8,923億円
だったわけなので、
- 2020年に外国からの得た収益:1.74兆円(GPIF全資産の0.93%)
となり、これだけの金額を海外から吸い上げ続けることが期待できるわけです。
うーん、すばらしい!!
さらに、現時点でこれだけのインカムゲインを得られているわけですが、
- GPIFの資産は、50年程度は切り崩す必要がない資産
であるため、これからも資産総額は増え続け、インカムゲインが増え続けることになります。
GPIFは、資産の推移について3ケースの見通しを立てており、資産が最大となるのは、
- ケース1:2095年:1008兆円
- ケース2:2088年: 693兆円
- ケース3:2079年: 479兆円
と想定しています。
#GPIF がお預かりしている #年金積立金 は、2019年に厚生労働省が実施した公的年金の財政検証によると、おおむね50年程度は取り崩す必要が生じない資金です。このため、一時的な市場の変動に過度にとらわれず、長期目線に立った運用を行っていくことが重要です。https://t.co/Wgh0boaUiL pic.twitter.com/0h6EEMjRzI
— GPIF (@gpiftweets) 2021年7月7日
海外から得られるインカムゲインの割合が、いまと同じ割合だとすると、
- ケース1:9.4兆円
- ケース2:6.4兆円
- ケース3:4.5兆円
という金額を、1年間で海外から受け取れるわけです。
そして、当然この利益は『日本の年金受給者に配られる源泉』となるわけなので、言い方によっては、
- 海外から大金を受け取り、日本国内にバラまき続ける
ことができるようになるわけです。
うーん、夢がある…。
GPIFという『クジラ』に期待
といった感じで、GPIFの現状について紹介させてもらいました。
クジラは、巨体に見合ったエサを食べ続けるわけですが、日本国民はクジラに体内に存在しており、クジラが食べる大量のエサにありつくことができるわけです。
これからもGPIFというクジラには、どんどん成長していって頂きたいと思います。
出典:
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