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【全文&要約】2024年バフェットから株主への手紙

2月24日にバフェットから株主への手紙が公開されたので、紹介します。

原文(英語)はこちら

 

まずはスパコンSEが気になった点だけ要約し、気になった順に記載。

  • 「昔のような暴落はない」と考えているかもしれないが、過去と比べて現在のアクティブ投資家が情緒的に安定しているわけでもなしい、しっかり教育されているわけでもない。実際に、今の市場は私が若かったとは比べ物にならないほどカジノ的なふるまいを見せている。

  • ウォール街は、個人投資家を熱狂させ、頻繁に取引させ、それによって利益を手に入れようとしている。
  • 投資している日本の商社5社は、経営方針がバークシャーとやや似ており、5社すべての持ち株を増やし、約9%ずつ保有している。(保有比率が9.9%を超えないよう約束している)
    5社が魅力的なのは、これら企業を通じて世界中の企業と提携できる可能性があることだ。
  • 亡くなったチャーリー・マンガーが「公正な企業を素晴らしい価格で購⼊することを諦めてなさい」と教えてくれ、グレアムの教え(シケモク株投資)から脱却させてくれた。
    実際には、チャーリーは現在のバークシャーの『設計者』あり、私は彼の設計をベースに実行する『ゼネコン』の役割を果たした。チャーリーは永遠に建築家として認められるべき。

  • 『投資の識者』が言うことを無視するべきであることを本能的に理解している人々が、バークシャーにとっての良い株主である。

  • バークシャーは『純利益(損失)』よりも営業利益を重視しており、それによると
    〇2021年は 276 億ドル
    〇2022年は 309 億ドル
    〇2023年は 374 億ドル
    となっている。これには、『未実現なキャピタルゲインまたはロス(評価損益)』が含まれていない。気まぐれに値動きする株価を含んだ『収益』を投資判断にすることほど愚かなことはない。

  • バークシャーは将来的に高いリターンをもたらす稀有な企業を求めており、保有して座っているだけでも富をもたらしてくれることを期待していますが、それはそう簡単なことではない。

  • バークシャーの純資産が増大し、これまでのように勝つことは難しくなってきた。バークシャーは、平均的なアメリカ企業より「少し」業績が良くなるよう運営している。残念ながら「少し」だけしか期待できない。

  • バークシャーは一般的に考えられているよりも、かなり保守的な運用(多くの現金・国債を保有)をしてる。これは、バークシャーの株主に回復不能なダメージを与えないための施策。

  • 2023年に追加投資したオキシデンタル‧ペトロリアムは、膨大な石油・ガス資源・二酸化炭素回収イニシアチブでリードしているところが特に気に⼊っている。

  •  2023年、BNSF(鉄道) と BHE は、予想と違った結果となったが、長期にわたって期待できる企業であると考えている。

  • バークシャーをリードする(してきた)、バフェット、チャーリー・マンガー、グレッグ・アベル・アジェット・ジェイン、はオマハにいた。オマハおそるべし…。

 

実際にバフェットから株主への手紙を読んでみて思ったのは、

「この手紙をベースにしたニュース記事が多くあるけど、どれもこれも大げさに語ってんなぁ…」

でした。

 

ビュー稼ぎのために刺激的な内容にしている記事に騙されないよう、是非とも全文を読んでみてくださいませ。

 

というわけで、翻訳ツールを駆使しながらもスパコンSEが翻訳した全文をお届けします。

 

2024年バフェットからの手紙(全文)訳:翻訳ツール、スパコンSE

 

チャーリー‧マンガー ‒ バークシャー‧ハサウェイの建築家
チャーリー・マンガーは11⽉28⽇、100歳を迎えるわずか33⽇前に亡くなりました。


チャーリーはオマハで⽣まれ育ちましたが、⼈⽣の 80% をオマハ以外で過ごしました。

私が初めて彼に会ったのは、彼が 35 歳の 1959 年になってからでした。そして1962年に、彼は資⾦管理を始めることを決⼼しました。


その3 年後、彼は私にこう⾔いました。

「バークシャーの経営権を買ったのは愚かな決断だった」と。

しかし彼は、

「一度決断したこと変えようがないのだから、その失敗を正す方法を教えよう」

と言ってくれました。


チャーリーと彼の家族は、当時私が経営していた⼩規模な投資パートナーシップに⼀銭も投資しておらず、その代わりバークシャーの株式を購入しました。

私たちは、チャーリーがバークシャーの株主になるとはおもってもいませんでした。


チャーリーは 1965 年に私にこうアドバイスしました。

「ウォーレン、バークシャーのような会社(いわゆるシケモク株)を買収しようとすることはやめなさい。しかし、バークシャーを買った以上は、適切な価格で購⼊した素晴らしいビジネスをバークシャーに追加して運営しなさい。」

「そして、公正な企業を素晴らしい価格で購⼊することを諦めてなさい。⾔い換えれば、あなたのヒーロー(師)であるベン‧グレアムから学んだすべてを忘れるのです。グレアムの手法は有効ではありますが、それは⼩規模の取引でしか通用しないからです。」

 

その後、私は後ろ髪を引かれる思いで彼の指⽰に従いました。

 

何年後、チャーリーはバークシャーを経営する私のパートナーとなり、私の古い習慣が表⾯化したとき、何度も私を正気に戻してくれました。

彼は亡くなるまでこの役割を続け、『私たち』や『私たちに初期に投資してくれた⼈たち』は、チャーリーと私が想像していたよりもはるかに良い暮らしを手に入れることができました。


実際には、チャーリーは現在のバークシャーの『設計者』あり、私は彼の設計をベースに実行する『ゼネコン』の役割を果たしました。


チャーリーは、クリエイターとしての⾃分の役割を⾃分の⼿柄にしようとはせず、代わりに私に敬意を表し、賞賛を受けさせてくれました。

彼はわたしにとっての兄であり、愛情深い⽗親でもありました。⾃分が正しいとわかっていても、彼は私に⼿綱を渡し、私が失敗しても、彼は決して、決して私の間違いを再発させるようなことはありませんでした。


物理的な世界では、偉⼤な建物はその建築家と結びついていますが、コンクリートを流し込んだり窓を設置した⼈はすぐに忘れられてしまいます。

バークシャーは素晴らしい会社になりました。私は⻑い間建設スタッフを担当してきましたが、チャーリーは永遠に建築家として認められるべきです。



 

バークシャー‧ハサウェイ株式会社


バークシャー‧ハサウェイ社の株主の皆様へ:


バークシャーには 300 万を超える株主がいます。

私は毎年、この多様で変化しつづける株主にとって有益なレターを書くことを任されており、多くの株主は「バークシャーの投資についてもっと知りたい」と願っています。

 

何⼗年にもわたってバークシャーの経営に携わってきた私のパートナーであるチャーリー‧マンガー⽒も、バークシャーの株主に対する責任に関して同じ考えを持っていました。


* * * * * * * * * * * *

 

作家は、読者をイメージすることが有益であると考えており、多くの場合、より多くの読者を引きつけたいと考えています。

バークシャーは、短期売買する投資家ではなく、バークシャーを信頼して長期保有してくれる投資家をターゲットとして考えています。
(余剰資⾦を宝くじや話題の株式の購⼊に使うような人々ではなく、農場や賃貸不動産を購⼊するために貯蓄する⼈々がターゲットです)


バークシャーは⻑年にわたり、そのような『終⾝』株主とその相続人を異例の数あつめてきました。

私たちは彼らの存在を⼤切にしており、彼は毎年、良いニュースも悪いニュースも(広報担当からではなく)CEOから直接聞く権利があると考えています。

 

バークシャーが求める株主として、完璧なモデルである妹のバーティを紹介しましょう。


バーティは賢くて賢明で、私の考えに異論を唱えるのがのが好きです。

しかし、私たちは⼤声で⾔い合ったり、関係が壊れかけたりすることはありません。


バーティと彼⼥の 3 ⼈の娘は、貯蓄の⼤部分をバークシャー株で運用しています。彼らは数⼗年も株主でいつづけ、毎年私の手紙を読んでくれます。私のCEOとしての役割は、彼⼥の質問を予想して、正直に答えることです。

 

バーティーは、皆さんのほとんどと同じように、多くの会計⽤語を理解していますが、公認会計士の 試験を受けるほどではありません。

彼⼥はビジネス ニュースを追いかけており、毎⽇ 4 紙の新聞を読んでいますが、⾃分⾃⾝を経済の専⾨家だとは思っていません。

彼⼥は分別があり『投資の識者』が言うことを無視するべきであることを本能的に理解しています。

もし彼⼥が明⽇の勝者を確実に予測できたら、その貴重な予想を他人に共有して、ライバルを増やすようなことをするでしょうか?

それは、⾦の埋没している場所を⾒つけたのにも関わらず、その位置を⽰した地図を近所の⼈に渡すようなものです。

 

バーティは、良くも悪くもインセンティブの⼒、⼈間の弱さを理解しています。

彼⼥は誰が『セールストーク』をしているのか、そして誰が信頼できるのかを知っています。つまり、彼⼥は誰のカモでもありません。


さて、今年バーティは何に興味を⽰すでしょうか?

 


経営成績、事実とフィクション

まずは数字から始めましょう。

今年の年次報告書は K-1 から始まり、124 ページにわたっています。

そこには膨⼤な量の情報が詰まっています。重要なものもあれば、些細なものも含まれます。

 

その内容の中で、多くの所有者や⾦融記者は K-72 ページに注⽬するでしょう。

そこには、『純利益(損失)』というラベルの付いた「最終結果」が表⽰されます。

この数字によると、

  • 2021年は900億ドル
  • 2022年は230億ドル
  • 2023年は960億ドル

となっています。

 

⼀体何が起こっているのでしょうか?


これらの「収益」の計算方法は、熱⼼で勤勉な証券取引委員会(SEC)の命令を受けた、厳正で資格のある財務会計基準委員会(FASB)によって公布されており、

世界クラスの専⾨家であるDeloitte & Touche (D&T) によって監査されています。

 

彼らは「財務諸表はすべての重要な点において公正である。」と言います。

 

『純利益』は神聖視されているため、この役立たずにもほどがある『純利益』の数字は、インターネットやメディアを通じてすぐに世界中に広まります。そして、すべての当事者はそれで満足しています。


しかし、私たちには違和感があります。

バークシャーでは、私たちの「収益」が、バーティ(投資家)が事業を評価するうえで役立つ(出発点としてのみ)概念であるべきだと考えています。

よって、バークシャーはバーティや皆さんに『営業利益』と呼ばれるものを報告しており、それは、

  • 2021年は 276 億ドル
  • 2022年は 309 億ドル
  • 2023年は 374 億ドル

となっています。


義務付けられた数値(純利益)とバークシャーが好む数値(営業利益)の違いは、1日に50億ドルを超える可能性のある『未実現なキャピタルゲインまたはロス(評価損益)』を除外していることです。

 

⽪⾁なことに、『改善』が義務付けられる 2018 年までは、経営者の好みがほぼルールとなっていました。

数世紀前のガリレオの経験からは、『上からの命令に逆らってはいけない』ことを私たちに教えてくれたはずです。

しかし、この点においてバークシャーは譲りません。


* * * * * * * * * * * *

 

とはいえ、キャピタルゲインの重要性について誤解しないでください。

私はキャピタルゲインが 今後数⼗年間のバークシャーの価値増加の重要な要素になると考えています。

そうでなければ、私がこれまでの投資⼈⽣を通じて皆様の資金(そしてバーティの資金)を市場性のある株式に大量に投資をしてきたことが説明できません。

 

私が最初に株を購⼊した1942 年 3 ⽉ 11 ⽇以来、純資産の大半を米国株で持っていなかった時期は記憶にありません。そして、いまのとろこ順調にいっています。

 

私が「引き⾦を引いた1942 年の運命の⽇』、ダウ平均株価は 100 ドルを下回りました。学校が終わるまでに5ドルほど減りました。

すぐに状況は好転し、現在その指数は 38,000 付近で推移しています。

アメリカは投資家にとって素晴らしい国です。彼らがしなければならなかったのは、誰の話も聞かずに静かに座っていることだけです。

 

であるのにも関わらず、株式市場の1日ごと、いや1年ごとの気まぐれな値動きを織り込んだ『収益』に基づいてバークシャーの投資価値を判断するのは、愚かにもほどがあります。

ベン・グレアムが私に教えてくれたように、「短期的には市場は投票マシーンとして機能するが、長期的には軽量マシーンになる」ためです。

 


事業内容
バークシャーの⽬標はシンプルです。私たちは、基本的かつ永続的で、優れた経済性を

享受している企業の全部または⼀部を所有したいと考えています。

 

資本主義の中では、⾮常に⻑期間繁栄するビジネスもあれば、衰退に陥るビジネスもあります。どれが勝者でどれが敗者になるかを予想するのは予想以上に難しいです。

そして、その答えを知っていると⾔う⼈は、たいてい妄想か蛇油のセールスマン(インチキ)のどちらかです。


バークシャーでは、将来的に高いリターンをもたらす稀有な企業を求めています。

このような企業を 1 つだけを所有し、ただじっと座っているだけでも計り知れないほどの富を⽣み出すことができます。

そのような企業に投資していれば、相続⼈であっただけでも生涯を悠々自適にすごくことができます。


私たちはまた、これらの素晴らしい事業が『有能で信頼できる経営者』によって運営されることを望んでいます。

しかし、その人物の判断は非常に難しく、バークシャーはそれに失敗、失望した経験もあります。


1863 年、⽶国の初代会計検査官ヒュー‧マカロックはすべての国⽴銀⾏に書簡を送りました。
彼の指⽰には次の警告が含まれていました。

「”(投資家を騙そうとする)悪党の不正⾏為を阻⽌できる”という期待を持って悪党に立ち向かわないでください。」

「⾃分ならこの悪党に対処できる」と考えていた多くの銀⾏家たちは、マカロック⽒のアドバイスから知恵を学びました。

人の真意はそんなに簡単に読めるものではなく、誠意や共感は簡単に偽ることができます。

それは1863年当時も、いまも変わりません。

 

ビジネスを買収するために私が説明した 2 つの必要性を組み合わせることが、⻑い間わたしたちの⽬標でした。

もし、私が一つの投資チャンスを逃しても(そしてたくさん逃しても)別の候補が必ず現れました。

 

しかし、そんな⽇々はもう過ぎ去りました。

 

投資競争の激化も一因ではありますが、『サイズ』がわたしたちを追い詰めました。

 

バークシャーは現在 、アメリカの企業で記録されたGAAPベースの純資産で断トツのトップとなっています。過去最高の営業利益と好調な株式市場により、年末の純資産は5,610億ドルに達しました。

S&P500の他の 499 社の GAAP 純資産総額は、2022 年に 8 兆 9,000 億ドルでした (2023 年の数字はまだ集計されていませんが、 9 兆 5,000 億ドルを超える可能性は低いです)


この指標によれば、バークシャーは現在、同社が事業を展開している世界のほぼ6%を占めていることになります。

バークシャーは株式の発行(純資産を急増できる行為)を嫌っているため、この巨大な基盤を5年以内に倍増させることは不可能です。


この国には、バークシャーに買われて力を発揮できる企業はほんの⼀握りしか残っていないません。その中にはわたしたしが評価できるものもあれば、そうでないものもあります。

もし評価できるのであれば、魅力的な価格でなければなりません。

基本的に、⽶国以外ではバークシャーの資本展開の対象となる候補はありません。

 

とはいえ、バークシャーの経営はたいてい楽しいし、常に興味深いものです。

ポジティブな面をあげるとすれば、59 年間にわたる集結を経て、バークシャーは現在、さまざまな事業の⼀部または 100% を所有しており、運と機転の両方によって少数の大きな勝者が誕生しました。

 

そして今、私たちには、バークシャーからの転籍を考えず、65歳を単なる誕⽣⽇と考えている⻑年のマネージャー幹部が少数います。


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バークシャーは、並外れた⼀貫性と明確な目的を持つことによって利益を受けています。誰しもが、従業員、地域社会、サプライヤーを⼤切に扱うことを重視することを望むことでしょう。

私たちの忠誠心は、常にに祖国と株主に向いています。

私たちは、みなさんのお金が私たちのものでなく、みなさんのお金であることを決して忘れません。

 

バークシャーの事業構成であれば、平均的なアメリカ企業より少し業績がよくなるはずで、資本が消滅してしまうリスクも少なく経営できると考えています。

しかし、残念ながら「少し良くなる」以上のことは期待できません。

 

それでも、これはバーティがバークシャーに全力で投資したとき(1980年~)には当てはまりませんでした。

 

私たちのそれほど秘密ではない秘密兵器

時折、市場や経済がファンダメンタルズ的に優良な大企業の株価や債券価格を著しくミスプライスすることがあります。

 

実際、1914 年の 4 か⽉間や 2001 年の数⽇間のように、市場は予測不要に急落したり、危機に陥ることがあります。

これらは過去の話であり、現在は昔よりも安定していると思うなら、2008年9月を思い出してください。通信速度とテクノロジーの脅威は、瞬時に世界的麻痺を起こすことに作用します。このような瞬間的なパニックはそうそう起こらないでしょう。

 

バークシャーは巨額の資⾦と確実なパフォーマンスの両⽅で、市場の発作に即座に対応する能⼒を持っており、これらは大規模なチャンスとなる可能性があります。

株式市場は私たちが学生だったころよりはるかに大きな規模になっていますが、現在のアクティブ投資家は、当時よりも情緒的に安定しているわけでも、教育が行き届いているわけでもありません。

理由は何であれ、今の市場は、私が若かったとは比べ物にならないほどカジノ的なふるまいを見せています。今やそのカジノは多くの家庭に存在し、日々住民を誘惑しています。

 

投資をするうえで決して忘れてはならない事実があります。

ウォール街は顧客に「賭けてもらいたい…!」と願っています。

ウォール街に活力を与えるのは『熱狂』です。

そのためにも、どんな愚かなモノでも、常に誰かの手によって精力的にマーケティングされています。

 

時折、その光景は醜いものとなります。

政治家たちは激怒しますが、最大の加害者たちは金持ちのまま罰を受けずに逃げ去り、個人投資家はは当惑し、貧しくなり、時には復讐心に駆られます。

 

バークシャーの投資ルールは今も昔も変わりません。それは資本を失うリスクを決して冒さないということです。

アメリカの追い風と複利の力のおかげで、私たちは一生のうち何度か良い決断を下し、重大な失敗を避けることさえできれば、これからも報われることになるでしょう。

 

* * * * * * * * * * * *

 

バークシャーは、これまで経験したことのないような大規模な金融危機にも対応できると信じています。そして、この能力を手放すつもりはありません。

バークシャーの目標は、2008年からの9年間のような経済的な混乱が起こったときに、国の資産として機能することです。

不注意であろうとなかろうと、金融の火種に火をつけてしまった多くの企業のひとつになるのではなく、火消しに貢献することを目標としています。

 

私たちの⽬標は現実的です。

バークシャーの強みは、金利、税金、減価償却費を差し引いた、多様な利益の滝から生まれます。

また、世界経済の低迷、パニック、麻痺に近い状態が長期化したとしても、現金化を必要最小限におさえて運用しています。

 

バークシャーは現在配当金を支払っておらず、自社株買いを任意で行っています。

 

また、従来の常識が必要と考える額をはるかに超える現金と米国債を保有しています。

2008 年のパニックの際、バークシャーは営業活動から得た現⾦だけで乗り切っており、コマーシャルペーパー、銀⾏⼝座、債券市場に一切頼りませんでした。

私たちは、経済がパニックに陥る時期を予想していたわけではありませんが、常にその準備はしてあったためです。

 

この極端な保守主義は、  バークシャーのオーナー達のためのものです。

たいていの年、いや、たいていの数十年において、私たちの慎重さは、『耐火性の優れている要塞にかける保険』のようなもので、必要のない行動です。

しかし、バークシャーは、バーティや私たちを信頼して貯蓄を預けてくれた個人に対して、回復不可能な経済的ダメージを与えたくないのです。

 

バークシャーは、長期運用を前提としているのです。

 

居心地の良さを残す非管理事業

昨年、バークシャーが長期保有している、コカ‧コーラとアメリカン‧エキスプレスについて⾔及しました。

これらはAppleほどにコミットメントしておらず、それぞれバークシャーのGAAP純資産の4~5%を占めるに過ぎません。

しかし、これらは意味のある資産であり、私たちの考え方を示すものとなっています。


アメリカン‧エキスプレスは 1850 年に営業を開始し、コカ‧コーラは 1886 年にアトランタのドラッグ ストアで発売を開始しました(バークシャーは新興企業を歓迎しません)

両社は、長年にわたって本業とは関係のない分野への進出を試みてきましたが、いずれもほとんど成功しませんでした。

 

しかし、それぞれがベースとなるビジネスでは⼤成功を収め、状況に応じて進化をつづけています。

そして決定的に重要なのは、彼らの製品が『旅』にでたことです。

コーラもアメックスも世界的に認知されるようになり、『清涼飲料水』『信頼できる金銭取引手段(クレジットカード)』が世界にとって時代を超えた必需品となりました。

 

2023年、私たちはアメックスとコークのどちらの株式も売買しませんでした。

両社は去年、利益を配当を増やし、私たちの無為無策に報いてくれました。

2023年のアメックスの利益に対する私たちの取り分は、私たちがアメックスの購入についやした費用である13億ドルを大幅に上回りました。

 

アメックスとコークはほぼ確実に 2024 年に増配するでしょう (アメックスは約16%)

この2社よりも優れたワールドワイド・ビジネスを想像できるでしょうか?

バーティはこう言うでしょう。「無理だ」と。

 

バークシャーは2023年に両社の株式を購⼊しませんでしたが、バークシャーによる自社株買いによって、両社の間接的な保有比率は少しだけ上昇しました。

このような自社株買いは、バークシャーが所有するすべての資産へのみなさんの参加を増す働きをします。この当たり前のことですが見落とされがちな真実に、私はいつものように注意を加えます。

 

事業価値に対して割安であれば賢明な投資でも、割高であれば愚かな投資になります。

 

コーラとアメックスからの教訓:

本当に素晴らしいビジネスを⾒つけたら、それを逃さないようにしてください。忍耐は報われ、1 つの素晴らしいビジネスに投資することができれば、避けられない多くの平凡な決断を補うことができます。


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今年は、私たちが無期限に維持すると予想される他の 2 つの投資について説明したいと思います。コーラやアメックスと同様、これらのコミットメントは当社のリソースに⽐べればそれほど⼤きなものではありません。

しかし、それらには価値があり、2023 年中に両⽅のポジションを増やしました。

 

年末時点で、バークシャーはオキシデンタル‧ペトロリアムの普通株式の27.8%を所
有し、5年以上にわたって固定価格で保有比率を大幅に引き上げることができるワラント(新株予約証券)も保有しています。

 

私たちはその所有権とオプション(ワラント)を⾮常に気に⼊っていますが、オクシデンタルの買収や経営管理には興味がありません。

私たちは、オキシデンタルが保有する膨大な石油・ガス資源・二酸化炭素回収イニシアチブでリードしているところが特に気に⼊っています。

これらの活動は、いずれも我が国の利益に⼤きく貢献します。

 

少し前まで、⽶国は外国産の⽯油にひどく依存しており、⼆酸化炭素回収は意味のあるものではありませんでした。実際、1975年当時、米国の石油生産量は800万バレル/日(BOEPD)でした。

第二次世界大戦時における米国の有利なエネルギーポジションから米国は後退し、外国の(不安定になりかねない)供給者に大きく依存するようになっていました。

また、石油生産量のさらなる減少が予想されているのにも関わらず、使用量の増加が予想されていました。

 

⻑い間、この悲観論は正しいように思われ、2007 年までに⽣産量は 500 万 BOEPD 
にまで減少しました。

⼀⽅、⽶国政府は、この問題を軽減するために、1975 年に戦略⽯油備蓄 (SPR) を創設し、米国の自給率低下を緩和するよう働きました。

 

そして、ハレルヤ!

シェールガス経済が 2011 年に実現可能となり、外国へのエネルギー依存は終わりました。現在、⽶国の⽣産量は1,300万BOEPDを超えており、もはやOPECが優位にたつことはありません。

オキシデンタルの年間石油生産量は、SPRの全在庫量に迫る勢いです。もし国内⽣産量が 500 万 BOEPD にとどまり、米国以外の供給源に大きく依存していたとしたら、我が国はいまごろ非常に神経質になっていたでしょう。

そのような状況にあり、外国産の石油が入手できなくなったとすると、SPRの備蓄は数か月以内に空になったことでしょう。

 

ヴィッキー‧ホラブ(オキシデンタルCEO)のリーダーシップの下、オキシデンタルは国にとってもオーナーにとっても正しいことを⾏っています。

⽯油価格が今後 1 か⽉、1 年、または 10 年の間にどうなるかは誰にもわかりません。

しかし、ヴィッキーは⽯油と岩⽯を分離する⽅法を知っており、それは株主にとっても国にとっても貴重な、類まれな才能です。


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さらに、バークシャーは、日本の超大手企業の5社の長期保有を続けています。

 

各企業は高度の分散化された方法で事業を展開しており、バークシャー自身の経営方針とやや似ています。去年、グレッグ・アベル(バークシャー副会長)と私が東京に行き、経営陣と話し合った結果、5社すべての持ち株を増やしました。


バークシャーは現在、5社の株式の約9%ずつを保有しています(バークシャーは各企業に対し、当社の保有⽐率が9.9%を超える株式を購⼊しないことを約束しています)

5 社の合計コストは 1.6 兆円で、年末時点の時価は 2.9 兆円になりました。

しかし、近年円安が進み、年末の含み益はドル換算にすると61%、つまり80億ドルとなりました。

 

グレッグも私も、主要通貨の市場価格を予測できるとは思っていないません。また、そのような能力を持つ人を雇えるとも思っていません。

そのため、バークシャーは日本のポジションのほとんどを1兆3000億円の市債で調達しています。

この債券は日本で非常に評判がよく、バークシャーの円建て債券残高は他のどのアメリカ企業よりも多いと思います。

この円安により、バークシャーは年末に19億ドルの利益を得ました。この金額はGAAPの規則に従い、2020年から23年にかけての定期的な利益となりました。

 

伊藤忠商事、丸紅、三菱商事、三井物産、住友商事の 5 社はある重要な点で、米国の慣行よりもはるかに優れた株主にやさしい戦略をとっています。

 

5社すべての経営陣は、米国で一般的な金額よりもはるかに低い報酬を受け取っています。5社はそれぞれの利益の1/3程度を配当にまわしており、保有する巨額の資金は多くの事業を立ち上げるためと、(それほどではないが)自社株買いのために使われています。

また、5社ともにバークシャーと同じく新規株式の発行に消極的です。

 

バークシャーにとってさらに有益なのは、私たちの投資が、経営がうまくて評判の高い5つの大企業と世界中で提携する機会につながる可能性があることです。

彼らが関心を寄せている事業はバークシャーよりもはるかに幅広いです。また、バークシャーはそのような提携のために、規模の大小にかかわらず、常に莫大な流動的資産を提供してくれる。という安心感を日本のCEOたちは持っています。

 

バークシャーの日本株購入は2019年7月4日に始まりました。

バークシャーの現在の規模を考えると、公開市場買い付けでポジションを構築するには、かなりの忍耐と『友好的な価格』が長期間つづく必要があります。

そのプロセスは戦艦を回すようなものです。これは、私たちがバークシャーを買収した当初には直面しなかった重要な問題となっています。


2023 年のスコアカード

私たちは四半期ごとに、プレスリリースを発⾏しており、営業利益(または損失)を以下の通り報告しています。

 

2023年5⽉6⽇に開催されたバークシャーの年次総会で、私はその日の朝早くに発表された第1四半期の決算を説明しました。

 

(1)2023年は、保険以外の事業のほとんどが減益になること。

(2) 2023 年の営業利益の 30% 以上を合わせて占めていた保険以外の2大事業、BNSFとバークシャー・ハサウェイ・エナジー(BEH)の業績が好調であること。

(3)私たちが大量に保有する米国債がようやく払い込まれるようになったため、投資収益が大幅に増加すること。

(4)保険事業の収益が他の経済分野の収益と相関関係がないこと。さらに保険価格が強含みに推移していることから、順調に推移する可能性が高いこと。

 

保険事業は期待通りでした。

しかし、私は BNSF と BHE に対する私の予想は間違っていました。

それぞれ⾒てみましょう。

 

* * * * * * * * * * * *

 

鉄道はアメリカの経済の将来にとって不可⽋です。

鉄道は、コスト、燃料使⽤量、二酸化炭素排出量を測定すれば、重量物を遠方まではこぶのに最も効率的な方法であることは明らかです。

短距離ではトラック輸送が勝るが、アメリカ人が必要とする商品の多くは、何百黒キロ、あるいは何千キロも離れた顧客まで運ばなければなりません。鉄道がなければ国は成り立たないし、この業界のニーズは常に膨大なものとなっています。

実際に、ほとんどのアメリカ企業と比べて、鉄道会社は資本を食いつぶしています。

 

BNSF は、北⽶を網羅する 6 つの主要鉄道システムの中で最⼤の鉄道会社です。

私たちの鉄道(BNSF)は、23,759 マイルの主要線路、99のトンネル、13,459の橋、7,521の鉄道、その他様々な固定資産を700億ドルの賃借対照表に載せています。

しかし、わたしの推測では、これらの資産を再現するのに少なくとも5,000億ドルはかかり、それを実現するのには数十年かかるでしょう。

 

BNSF は毎年、現在の事業レベルを維持するために減価償却費を超える維持費を必要としています。これは、投資した業界が何であれ、オーナーにとっては不利ですが、資本集約型の業界では特に不利です。

 

BNSF では、14年前の買収以来、総額220億ドル、年間10億ドル以上の維持費を支出しています。

 

これは痛い!

 

このような支払いは、BNSFが負債を増やしつづけない限り、オーナーであるバークシャーに支払われる配当金が、BNSFの利益を大幅に下回ることを意味します。

しかし、私たちそれを受け入れるつもりはありません。

 

その結果、バークシャーは、見た目よりは少ないとはいえ、購入価格に対するリターンを受け取っています。これは私にとってもバークシャー取締役会にとっても驚くべきことではありません。2010年にBNSFを再調達価格(BNSF規模の資産を作るための価格)の数分の1で購入できたのも、そのためです。

 

北米の鉄道システムは、大量の石油、穀物、自動車、輸出入品などを長距離片道輸送しており、こうした輸送はしばしばバックホール(鉄道網)の収益問題を引き起こします。

天候は極端で、線路や橋、設備の利用を妨げられたりすることも多いです。洪水は悪夢です。どれも驚くべきことではありません。私はいつも快適なオフィスに座っていますが、鉄道は外での事業であり、多くの従業員が試練にさらされ、時には危険な状況で働いています。

 

大きくなりつつある問題は、一部の鉄道運航に特有の困難で、孤独に耐えられないアメリカ人の割合が増えていることです。

機関士は、孤独な、あるいは精神に異常をきたした何人かのアメリカ人が線路に横たわり、1マイル足らず、あるはそれ以上でも停止できない100両編成の非常に重い列車を制御しなければなりません。

あなたは無力な機関士になりたいですか?

このトラウマは、北米では1日に1回程度起きています。ヨーロッパではこれよりはるかに一般的であり、これからもずっと続くと考えられます。


鉄道業界における賃⾦交渉は、最終的に⼤統領と議会の⼿に委ねられる可能性があります。

さらに、アメリカの鉄道は、鉄道業界がむしろ避けたい危険な製品を毎⽇多く運ぶこ
とを要求されています。「コモンキャリア(どんなものでも運ぶサービス)」という⾔葉は鉄道のことを指しています。


昨年のBNSFの収益は、予想以上に減少しました。

燃料費は下がりましたが、ワシントンでの賃⾦上昇率は国のインフレ⽬標をはるかに超えていました。この差は今後の交渉でも繰り返されるかもしれません。

 

BNSF は北米の主要鉄道会社5社の中でもっとも多くの貨物を輸送し、設備投資に多額を費やしていますが、バークシャーによる買収以来、利益率は5社と比べて低下しています。

BNSFの広大なサービス地域は他の鉄道会社に引けを取らないため、利益率は改善される可能性があり、また改善されるべきであると私は信じています。

 

私は、BNSFの国への貢献と、ノースダコタやモンタナの冬に氷点下の屋外で働き、アメリカの商業大動脈の開通を維持している人々の両方を特に誇りに思っています。

鉄道が機能しているときはあまり注目されませんが、もし鉄道が使えなくなれば、その空白はアメリカ全土ですぐに注目されるでしょう。

 

100年後もBNSFはこの国とバークシャーの主要な資産であり続けるでしょう。それを期待してください。

 

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BHEは昨年、2番目の深刻な業績不振に見舞われました。

BHEは、大規模な電気事業と大規模なガスパイプラインのほとんどで、ほぼ予想通りの業績を上げました。しかし、いくつかの州における規制情勢は、収益性ゼロ、あるいは倒産(カリフォルニア州最大電力会社で実際に起こったことであり、現在ハワイ州でその恐れがある)の可能性さえも高めています。

このような管轄区域では、かつてアメリカでもっとも安定した産業とみなされているものの、収益と資産価値の両方を予想することは難しいです。

 

100年以上もの間、電力会社は成長資金を調達するため、週ごとに一定の株式資本利益率(優れた業績には少額のボーナスがつくこともある)を約束し、巨額の資金を調達してきました。

このアプローチでは、数年先に必要となるであろう発電容量のための巨額の投資が行われました。このような将来を見据えた規制は、電力会社が発電・送電資産を建設し、その建設には多くの場合何年もかかるという現実を反映していました。

BHEによる西部の複数州にまたがる大規模送電プロジェクトは2006年に開始され、完成までにはまだ数年を要します。

最終的には、アメリカ大陸の30%を占める10州に送電する予定となっています。

 

民営・公営両方の電力システムでこのモデルが採用されていたため、人口増加や産業需要が予想をうわまったたとしても、電気が止まることはありませんでした。『安全マージン』というアプローチは、規制当局、投資家、そして国民にとって賢明なものに思えました。

いま、これによる『大きく伸びないが満足のにいくリターン』という約束はいくつかの州で破られ、投資家たちはこのような破綻が広がるのではないかと危惧するようになっています。

気候変動もその懸念に拍車を賭けています。地下送電が必要になるかもしれませんが、数十年前、誰がそのような建設に莫大な費用を払いたがったでしょうか。

 

バークシャーでは、発生した損害額の推定に努力しています。

これらの費用は森林火災から生じたもので、その頻度とダメージは増加しており対流性暴風雨が頻発するようになれば、今後も増加する可能性が高いです。

 

BHEの森林火災による損害の最終的な集計結果を知り、脆弱な西部の州への今後の投資の是非について賢明な判断ができるようにまるまでには、まだ何年もかかるでしょう。

 

他の州でも規制環境が変わるかどうかは、まだわかりません。

他の電力会社も、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック社やハワイアン・エレクトリック社のような存続問題に直面するかもしれません。

現在の問題を没収的に解決すれば、BHEにとってマイナスになるのは明らかですが、同社もバークシャー自体も、ネガティブ・サプライズに耐えられる構造になっています。

私たちの基本的な事業は『リスクの引き受け≒投資』にあります。

バークシャーは財務的なサプライズには耐えられますが、故意に良貨を投げてしまうようなことはありません。

 

バークシャーの事例がどうであれ、電力業界にとっての最終的な結果は不吉なものになるかもしれません。ネブラスカ州は1930年代にこのような選択をしました。最終的には、有権者、納税者、利用者がどのモデルを好むかを決めることになるでしょう。

 

ちりも積もればで、アメリカの電力需要とそれに伴う資本支出は途方もないものになるでしょう。

私は、規制当局によってリターンが不利になることを予想せず、考えてすらいませんでした。BHEの2人のパートナーとともに、私はそうしなかったことで大きなミスを犯してしまいました。


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問題についての話はもう⼗分でしょう。

 

昨年、バークシャーの保険事業は極めて好調に推移し、売上高、浮動株、保険引受利益で過去最高を記録しました。保険(P/C)は、バークシャーの利益と成長の中核をなすものです。保険事業を始めて57年になりますが、取引高は1700万ドルから830億ドルへと訳5000倍に増加したのにもかかわらず、まだまだ伸びしろがあります。

 

それ以上に私たちは、どのような種類の保険ビジネスを行い、どのような人々を避けるべきかについて、あまりに頻繁に、痛いほど学んできました。

もっとも重要な教訓は、アンダーライター(保約内容や保険金額が妥当であるかを査定する人)はやせていても太っていても、男性でも女性でも、若くても年を取っていても、外国人でも国内でも構わないということです。

しかし、どんなに『人生において楽観主義者が望ましい資質』であったとしても、職場では楽観主義者であってはならないということです。

 

損害保険事業におけるサプライズは、半年や1年の保険期間が満了したあと、何十年もたってから発生することもあり、ほとんどの場合はマイナスに働きます。

業界の会計はこの現実を予想した設計となっていますが、見積もりをミスすると莫大なダメージになります。また詐欺師が関与している場合、それを見破るのには時間とコストがかかることが多いです。

バークシャーは将来の支払保険金の見積もりにおいて常に正確であろうとしますが、インフレ(お金の勝ちだけでなく『法的なインフレ』も含む)はワイルドカードとなります。

 

私たちの保険業務については何度もお話してきたので、初めての方は 18 ページ(?)を参照していただきたいと思います。

ここでは、1986年にアジット・ジェインがバークシャーに入社していなければ、私たちの地位は今のようなものでなかったということだけを繰り返しておきます。

その幸運な日の前は(1951年からあったガイコ:保険会社での信じられないような素晴らしい経験を除けば)、私は保険事業の構造に奮闘しながら、ほとんど荒野をさまよっていました。

 

バークシャーに⼊社してからのアジットの活躍を支えてきたのは、さまざまな損害保険事業に携わる有名な保険会社の幹部たちでした。彼らの名前や顔は、ほとんどのマスコミや一般人には知られていません。しかし、バークシャーの経営陣の顔ぶれは、損害保険業界にとって、野球の(殿堂入り選手博物館のある)クーパーズタウンの栄誉ある選手たちのようなものです。

 

バーティ、君はいま、比類ない資金力、評判、才能で世界中に展開している信じられないようなP/C事業の一部を所有しているという事実に満足することができるよ。

2023年、バーティはそれを確信できるでしょう。

 

オマハはどうしたんだ?

 

2024 年 5 ⽉ 4 ⽇にバークシャーの年次集会にお越しください。

ステージには、現在あなたの会社のかじ取りを任されている3人の経営者が登場します。

この3人の共通点はなんでしょうか?深く掘り下げてみましょう。

 

バークシャーの保険以外の業務をすべて取り仕切るグレッグ・アベルは、あらゆる面で明日にでもバークシャーのCEOになる準備が整っています。

1990年代、グレッグはオハマの私のすぐ近くに6年間住んでいました。その間、私は一度も彼にあったことがありませんでした。

 

その10数年前、インドで生まれ育ち、教育を受けたアジット・ジェインは、私の自宅(1985年から住んでいる)から1マイルほどしか離れていない今はに家族とともに住んでいました。

アジットの妻のティンクもオマハの友人が多いですが、ニューヨークに移ってから30年以上がたちました。


今年はチャーリーがステージから姿を消します。

彼も私も、年次集会の場所から2マイルほど離れたオマハで生まれました。

最初の10年間、チャーリーはバークシャーが長い間オフィスを構えていた場所から半マイルのところに住んでいました。チャーリーも私も、幼少期をオマハの効率学校で過ごし、オマハでの子供時代が忘れがたいものとなりました。

しかし、わたしたちが出会うのはずっと後のことです。

(あなたを驚かせるかもしれない脚注: チャーリーは、アメリカの 45 ⼈の⼤統領のうち 15 ⼈の大統領時代を過ごしました。⼈々はバイデン⼤統領を 46 代と呼んでいますが、その番号付けでは、グローバー‧クリーブランドは 22 代と 24 代の両⽅に数えられています。なぜなら、彼の任期は連続していなかったからだ。アメリカはとても若い国なのです)

 

企業レベルに話を移すと、バークシャー自身も1970年、81年間住み慣れたニューイングランドからオマハに移転し、苦労を捨てて新天地で花開きました。

 

『オマハ・エフェクト』の最後の締めくくりとして、バーティは、オマハの中流階級が住む地区で幼少期を過ごし、何十年もたってからこの国の偉大な投資家の一人として頭角を現しました。

 

バークシャーに全財産を預けて、あとはただ座っているだけだと思っているかもしれません。しかし、そうではありません。

1956年に家庭を築いたあと、バーティは20年間、債券を保有し、資金の1/3を公募投資信託に入れ、ある程度の頻度で株取引をしていました。

彼女の潜在的な可能性は気づかれないままでした。

 

そして1980年、46歳になったバーティは、兄(ウォーレン)からの催促とは無関係に、自分の決断を下し、ミューチュアル・ファンドとバークシャーの株式のみを残し、その後43年間、新たな取引は行いませんでした。

この間、彼女はおお金持ちになりましたが、多額の事前寄付(9桁ドルはあったかと思います)をした後での話です。

 

何百万人ものアメリカの投資家たちが、オマハで幼少期をすごした彼女と同じ考え方になったかもしれません。

そして、チャンスを逃すまいと、バーティは毎年5月にオマハに戻り、エネルギーを取り戻すのです。


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オマハでは何が起こっているのでしょうか?オマハの水なのか?オマハの空気なのか?

ジャマイカのスプリンターやケニアのマラソンランナー、ロシアのチェスの達人を生み出したような、不思議な惑星現象なのだろうか?いつかAIがこのパズルの答えを導き出してくれるまで待たなければならないのでしょうか?

 

心をオープンにして、5月のオマハに来て、空気を吸い、水を飲み、バーティとその美しい娘たちに「こんにちは」とあいさつしましょう。

いあずれにせよ、あなたは楽しい時間を過ごし、大勢のフレンドリーな人々に出会うでしょう。

 

さらに、『Poor Chalie's Almanack』第4版の販売も予定しています。

一冊手に取ってみてください。チャーリーの知恵は、私がそうであったように、あなたの人生をより良いものにしてくれるでしょう。


2024 年 2 ⽉ 24 ⽇ウォーレン‧
 E‧バフェット
取締役会会⻑

 

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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