更新日:2021/5/26
名実ともに世界一の投資家であるウォーレン・バフェットが、後継者にグレッグ・アベル氏を指名しました。
グレッグ・アベル氏は、バフェットが代表を務めるバークシャー・ハサウェイの副会長で、バークシャー内では非保険業務(主にはエネルギーや鉄道など)を担当している方です。
世界中の投資家から注目されているバフェットですが、2021年8月には91歳になる予定でかなりの高齢であるため、後継者についてたびたび噂が流れていたわけですが、ついにアベル氏が内定しました。
というわけで、この記事では、バフェットの後を継いで次期バークシャー・ハサウェイの会長となるであろう、グレッグ・アベル氏の人物像や経歴、報酬などについて解説していきたいと思います。
<目次>
- グレッグ・アベル氏とは?経歴は?
- バフェットの後継者にグレッグ・アベル氏が選ばれた理由
- グレッグ・アベル氏の報酬・資産にいて
- バークシャー・ハサウェイ・エナジーについて
- まとめ:現時点では、バフェットの後継者はグレッグ・アベル氏
グレッグ・アベル氏とは?経歴は?
グレッグ・アベル氏は1962年生まれ(58歳)のカナダ人で、
- 1999年からバークシャーに所属
- 2008年からバークシャー・ハサウェイ・エナジー(バークシャーの持ち株会社)の会長
- 2018年からバークシャー・ハサウェイの副会長
を務めている人物で、ウォールストリートジャーナルでは『an astute dealmaker(賢明なディールメーカー:M&Aの仕掛人)』と呼ばれています。
グレッグ・アベル氏は、アルバータ大学(ソナーを発明したロバート・ボイルが有名)で会計学の学士号を取得し、公認会計士としてキャリアをスタートしました。
その後、
- 1992年に『CalEnrgy社(エネルギー関連企業)』に入社
- 1999年に『CalEnrgy社』が『MidAmericanEnrgy社』を買収し、社名を『MidAmericanEnrgy』に変更
- 同年に『MidAmericanEnrgy』をバークシャーが買収
- 2008年にアベル氏が『MidAmericanEnrgy』のCEOに就任
- 2014年に『MidAmericanEnrgy』が、『バークシャー・ハサウェイ・エナジー』に改名
といった(やや複雑な)流れで、バークシャー・ハサウェイ・エナジーの会長を務めるに至りました。
そして、
- 2018年にバークシャーの非保険業務担当副会長に任命
され、現在の地位となりました。
また、同時に
- エジソン電気協会(アメリカの電気業界の団体)の副会長
でありつつ、以下に列挙する会社の取締役でもあります。
- クラフトハインツの取締役(ケチャップやクラフトチーズで有名な会社)
- Nuclear Electric Insurance Limited(原発などの保険会社)
- Associated Electric&Gas Insurance Services Limited(エネルギー関連会社)
- Hockey Canada Foundation(カナダホッケー財団)
- Mid-Iowa Council Boy Scouts of America(ボーイスカウト)
- American FootballCoachs(アメフトコーチ連盟)
さらに、
- アメリカのデューク大学(ニクソン大統領の出身校)の理事
- アメリカのドレイク大学(遊戯王の作者が行こうとした大学)の理事
も務めているということで、かなり多彩な活躍をしている人物であることが分かります。
さて、続いては、なぜバフェットが後継者にグレッグ・アベル氏を選んだのか解説していきたいと思います。
バフェットの後継者にグレッグ・アベル氏が選ばれた理由
バフェットの後継者問題は長年うわさされており、候補者にはグレッグ・アベル氏と同じくバークシャーの副会長であるアジェット・ジェイン氏も挙がっていました。
しかし、アジェット・ジェイン氏は1951年生まれの69歳ということで、グレッグ・アベル氏(58歳)と比べると、年齢にやや難があったことからグレッグ・アベル氏が後継者として選ばれたようです。
実際にバフェットは、
「私に万が一のことが起きたときはグレッグが引き継ぐと取締役が合意している」
「副会長は二人とも素晴らしい人物だが、しかし20年間率いることができるかどうかは、現実的な違いだ」
と発言しており、『年齢』が後継者選びの大切な要件であったことが分かります。
とはいえ、バフェットは
「グレッグに何かがあれば、アジェットが後継者となるだろう」
とも発言していることからは、二人の差が大きくなかったことが分かります。
なお、バークシャー・ハサウェイの取締役を務めているバフェットの息子ハワード(66歳)は後継者とみなされなかったようです。
グレッグ・アベル氏の報酬・資産にいて
バフェットは、バークシャーからの報酬は年間10万ドルとかなり控えめなことで有名ですが、グレッグ・アベル氏は、2019年、2020年と1600万ドルという基本報酬を受け取っています。
また、バークシャー・ハサウェイ・エナジーの利益が急増した2016年には4100万ドルという巨額の報酬を受け取っています。
バークシャー・ハサウェイという巨大の企業の副会長といことで、(アメリカ企業としては)驚くほどの額を受け取っているわけではありませんが、このあたりの考え方はバフェットとは違うようです。
とはいえ、バフェットは後継者に対して
「すでに裕福となっている人を後継者にしたいと思っている」
「バークシャーで長期間働いているのであれば、そうあるべきだ」
と語っており、バフェットの意向通りの後任者と言えそうです。
また、バフェットは、多くのバークシャー株を保有していることで莫大な資産を手に入れたわけですが、グレッグ・アベル氏はバークシャーのA株(※)を5株しかもっていません。
※バークシャーは、A株、B株を発行しており、B株は安価である代わりに議決権の少ない株
代わりにバークシャー・ハサウェイ・エナジーの株を多く保有しており、
フォーブスによると、グレッグ・アベル氏は4.48億ドルの資産を持っているとされ、そのほんどはバークシャー・ハサウェイ・エナジーの株だということです。
筆者としては、この『バークシャー株の保有数が少ない』というのは少々気になる点です。
というのも、
「バークシャー株の保有数が少ないぶん、バークシャーへの思い入れが弱いのではないか?」
と、想像してしまう為です。
ここら辺は、実際のところどうであるかはまったく不明であるため、今後のグレッグ・アベル氏の動向に注目していきたいと思います。
バークシャー・ハサウェイ・エナジーについて
グレッグ・アベル氏が社長を務めるバークシャー・ハサウェイ・エナジーは、数多くの子会社をもつエネルギー供給会社で、490万を超える顧客を持ち、2020年には209億ドル以上の収益を上げている巨大な企業です。
石油やガスだけでなく、再生可能エネルギーにも注力している会社で、発電容量の43%は『再生可能エネルギー、脱炭素エネルギー』によって供給しています。
バイデン政権は、
- 2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする
という目標に向けて、クリーンエネルギーの推進をしていくことが確実です。
よって、バークシャー・ハサウェイ・エナジーにとっては、しばらく追い風が吹き続けることとなりそうです。
まとめ:現時点では、バフェットの後継者はグレッグ・アベル氏
といった感じで、バフェットの後継者(バークシャーの次期代表)であるグレッグ・アベル氏について紹介させてもらいました。
ざっと調べた感じ、米メディアからは
- 堅実
- 真面目
- 律儀
といった評価をされていることが多く、
「バフェットから実権を受け取った後も、着実にバークシャーを運営していくだろう」
という感想を持ちました。
ちなみに、現時点でバフェットが引退を表明しているわけではなく、あくまでも
「私(バフェット)に何かあれば、後を継ぐのはグレッグ・アベル氏だ」
と言っているだけなので、100%グレッグ・アベル氏がバークシャーの代表になるわけではありません。
とはいえ、2012年には前立腺がんを患ったバフェットは、今年91歳となり、いつ引退してもおかしくない年齢となっています。
どのタイミングでバフェットが引退するか分かりませんが、
世界で最も有名な投資家とも言えるバフェットの後を継ぎ、市場からの厳しい期待に応えることは容易ではなく、この課題にグレッグ・アベル氏がどう取り組んでいくかに注目です。
出典
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