「いまは割高!」みたいによく聞くわけですけども、
- これまでの水準と比べて割高に見える指標がある
だけでしかなく、
- 「いまが絶対的に割高なのかどうか」は分かるものではない
と考えています。
例えば、割高かどうかを判断するための有名な指数である『バフェット指数』は以下グラフのように推移しており、過去と比べると割高な状況にあるように見えます。
他にも、S&P500の(実績)PER(株価収益率)は以下グラフのように推移しており、現在の27.47という数値は『高い値』のように見えます。
でも、これだけで『割高』と言えるんですかね?
『割高』という言葉の意味を調べると、
[名・形動]品質や分量に比して高価なこと。また、そのさま。
「—な(の)家賃」「ばらで買うと—になる」⇔割安。
(Weblio辞書)
と出てきます。
株式にあてはめると『企業の価値に比して価格が高い』ということになります。
そこで問題となるのは、何をもって『企業の価値に比して価格が高い』と判断するのか、です。
株式投資の本質を『企業のあげた利益を享受できること』だとすると、先にあげたPERが良い指標になりそうです。
例えば、『企業の利益がこれからずっと同じである(成長しない)』と仮定すると、
- PERが20倍の企業①は、投資したお金を20年で取り戻すことができる
- PERが50倍の企業②は、投資したお金を50年で取り戻すことができる
と言えますので、
- ②の企業は、①の企業に比べて割高である
とはっきりと言えます。
実際に、個別株投資をしている方は、利益や成長率、業界内での優位性など様々なデータをもとに各企業を比較して、『より割安な企業』への投資をしているでしょう。
しかし、比較対象が存在しなければ『②の企業は絶対的に割高である』と言うことは困難です。
というのも、
「投資をするのであれば、10年後には元が取れていて欲しい」と思う投資家にとって②は割高となりますが、
「投資をするのであれば、1万年と2000年たって元が取れれば十分」と思う投資家にとっては超割安となるからです。
そして、この比較対象が存在しない(比較しづらい)商品のひとつが、オルカンなどの広域に分散投資するインデックスファンドです。
仮にオルカンのPERが20倍だったとしても、上記理由から『現在のオルカンは絶対的に割高である』と判断することはできません。
また、「元を取りたいと考えている期間」が同じであったとしても、
- 『これから世界経済が急速に成長することを予想している人』にとっては割安
- 『アメリカの没落やイスラエル紛争などによって世界経済が停滞すると予想している人』にとっては割高
となるでしょう。
もちろん、過去のPERと比較することはできますが、
- 『グローバル化やデータの民主化によって投資家の割合が高くなる≒株価が上がる≒株価収益率が悪くなっていく』と考えている人にとっては、「過去と比べてPERがあがっていくのは当然≒割高ではない」と考える
ことになるでしょう。
よって、現在の株価が絶対的に割高かどうかをはかる指標なんてものは存在せず、『投資家個人の気持ち次第』でしかないと言えるのではないでしょうか。
と考えると、
「いまは割高だから投資は控えよう!」
という言葉は、『その言葉を発している人にとって割高である』だけでしかなく、あなたにとっても割高であることにつながりません。
というわけで、そこらへんに転がっている「割高だー!」という声に対しては、「それってあなたの感想ですよね」と返事するだけで十分です。
…と言っておいてなんですが、正直に言ってわたしも
「割高だよね」
「高いリターンが続けば、それ以降のリターンは低くなるよね」
という感想をもっています。
しかし、自分のような素人の感想を判断基準にした投資をしたところで市場平均に勝てるはずがないことも確かです。
というわけで、こういった個人の感想は無視してタンタンと投資を続けることが、平凡な投資家の生きる道であると私は信じて継続していきたいと思います。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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