更新日:2021/4/6
VYM(アメリカ高配当株式ETF)の「分配金だけに頼ったアーリーリタイア」は結構厳しい、と言うのが本音ではありますが、いくら程度であれば早期リタイア可能なのか、検証していきたいと思います。
VYMは、アメリカの高配当株式へ投資する定番ETFのひとつで、比較的高い配当金(正しくは『分配金』)を誇っています。
よって「分散投資による配当金でアーリーリタイアしたい」考えている投資家にとって、有望な商品の一つといえます。
というわけで、本記事では、VYMについての簡単な概要説明と、「VYMをいくら保有していれば分配金生活が送れるのか」について検証していきます。
できるものであれば、「配当金だけで生活する」という、サラリーマンのあこがれのような人生を実現したいものです。
<目次>
- VYMの分配金だけでアーリーリタイアできるかシミュレーション
- アーリーリタイアに向けたシミュレーションの前提条件
- VYMを3000万円保有しているケース
- VYMを5000万円保有しているケース
- まとめ:VYMからの分配金だけでのアーリーリタイアはハードルが高い
VYMの分配金だけでアーリーリタイアできるかシミュレーション
まずは、VYMについて簡単に紹介します。
VYMが構成する企業のトップ5を並べると、
- 3.8%:JPモルガンチェース(金融)
- 3.0%:P&G(ファブリーズ)
- 3.4%:ジョンソン&ジョンソン(製薬・医薬品など)
- 2.7%:AT&T(アメリカ最大手の電話会社)
- 2.8%:エクソンモービル(石油メジャー。日本だとEssoで有名)
※2020年時点
となり、いずれも古くから日常生活にかかせない製品やサービスを提供している『超優良企業』ばかりです。
これは、見かたを変えると『業績は安定しているが、googleやAmazonのように急成長が期待できる企業ではない』とも言えますので、
VYMという商品が『大きなリターンは狙わないが、着実なリターンを期待する投資家』に向いた商品であるということが分かります。
なお、分配金を無視した株価(基準価格)の推移は以下の通りとなっており、『VTI(アメリカ全体)』『QQQ(アメリカのハイテク大手企業100社)』よりも劣っていることが分かります。
(とはいえ、バイデン政権が誕生してからのリターンはVTI、QQQを超えています)
これは、『VYMが配当収入に特化した商品』であるため仕方のない傾向です。
実際に、分配利回りに目線をむければ
- VYMの過去10年の利回り:3.3%
- VTIの過去10年の利回り:2.15
となっており、アメリカ株全体(VTI)の「2.1%」を大きく上回っていいることが分かります。
とはいえ、アメリカのETFであるため、VYMから得られる分配金には「2重課税(アメリカで課税+日本で課税」されてしまい、分配金の30%近くが税金として引かれてしまいます。
よって、実質分配利回りは「2.3%」としてシミュレーションします。
(収入があれば(所得税を払っていれば)外国税額控除の制度が利用できますが、アーリーリタイア後を想定して”控除は使用できない”とします)
…シミュレーションします。が、利回り「2.3%」となった時点で「分配金生活」がかなり厳しくなることが想像できますね…。
アーリーリタイアに向けたシミュレーションの前提条件
本記事では以下条件をベースにシミュレーションしていきます。
- 40歳
- 独身一人暮らし
- 賃貸住まい
- 年金+健康保険は支払う(4万円/月)
- 65歳まで食つなぐ(以降は年金のみ)
「年金なんか期待できない」という意見もありますが、多くのマスコミの報道とは違って、年金運用は大成功を収めているので、年金はフル活用する前提でいきます(以下参考記事)
というわけで、シミュレーションしていきます。
VYMを3000万円保有しているケース
VYMを3000万円保有していれば、分配金は「69万円/年 = 5.8万円/月」となりますので、「資産を崩さずに分配金だけで生きていくことは相当厳しい」と言わざるを得ません。
(年金+健康保険だけで月4万円の支払いが必要)
なお、「資産を取り崩しながらのセミリタイア」であれば、3000万円の資産を保有した状態で「22万円/月」の生活が可能です。
詳しくは以下記事をご参照ください。
というわけで『3000万円のVYMから得られる分配金だけで生活する』のは困難であるため、VYMの保有金額をアップしてシミュレーションします。
VYMを5000万円保有しているケース
VYMを5000万円保有していれば、分配金は「115万円/年 =9.6万円/月」となります。
これだけの分配金があれば、以下くらいの生活費が支払えるようになります。
- 40,000円 : 年金+健康保険(高い…)
- 20,000円 : 家賃(探せばある)
- 15,000円 : 食費(500円/日)
- 6,000円 : 通信費(必須な時代…)
- 4,000円 : 光熱費(まだ頑張れる)
- 11,000円 : その他(娯楽等)
「豊かな生活」ではありませんが、何とか生活はできるレベルですね。
「”働きたくない”が最優先事項であれば有り」と言えそうです。
しかし、5000万円ものVYMを保有していてもこの程度の生活レベルとは「分配金生活(資産を取り崩さない)の厳しさ」がよく分かります。
以下の記事でもまとめさせてもらいましたが、『投資をしつつ、資産を崩しながら』であれば、1000万円、2000万円の資産しかなくてもセミリタイアは可能です(”セミ”ですが)
よって、『配当金』にこだわらないリタイア計画(少しずつ資産を取り崩す)を考えた方が吉だと言えそうです。
まとめ:VYMからの分配金だけでのアーリーリタイアはハードルが高い
ここまで記事にさせてもらった通り、VYMからの分配金だけ(VYM取り崩しなし)でアーリーリタイアすることは、ハードルが高いと言わざるを得ません。
よって、アーリーリタイアを目指すのであれば、「分配金」にばかり目を向けずに、「キャピタルゲイン(株価上昇による利益)」にも着目し、「資産の取り崩し」も計画に入れながら、適切な投資先を選択したいものです。
なお、「キャピタルゲイン」に着目すると、以下記事の通り「VYMは優秀」とは言い切れません。
定期的にお金が受け取れる「分配金(配当金)」は、非常に魅力的に映りますが、そこに執着せずに、広い目線で投資先を選ぶことが「アーリーリタイアを実現する近道」と言えそうです。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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