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SPACの上場(IPO)とは?投資先としての評価は?【わかりやすく解説】

更新日:2021/5/18

 

この記事では、ちかごろ耳にする機会の多い『SPAC』 について解説していきたいと思います。

 

直近では、2021年5月のバークシャーの株主総会にてバフェットが「SPACは厄介者」と表現したことでも話題となりましたが、

  • バフェットは、何をもってSPACを「厄介者」と言っているのか?
  • そもそもSPACとは何なのか?
  • 「SPACが上場する」とはどういうことなのか?

などについて、分かりやすく解説していきたいと思います。

 

<目次>

  

SPACとは?

SPACとは、Special Purpose Acquisition Companyの略で、『特別買収目的会社』と言われる会社のことです。

 

わかりやすく言うと、

  • 企業を買収することを目的とした会社

のことで、SPACそのものは事業を持たず、いわゆる『ペーパーカンパニー』と言われる企業です。

 

SPACによる企業買収は、

  1. SPACが新規上場(IPO)する際に、株式公開によって投資家から資金を集め
  2. その資金を使って、ターゲットとする”未上場の”企業を買収
  3. 実質、買収された企業が上場することになる(上場できる)

という流れで動きます。

 

つまり、SAPCは『どのような事業を行うのか分からない状態』で上場するわけなので、投資家目線では『自分の投資先がどんなことをするのか分からない状態で投資する』ことになります。

(ある程度のターゲット(例えば『革新的な金融』など)を掲げてはいますが)

 

それでもSPACの新規上場時にお金が集まるのは、『投資家がSPACの運用メンバーを信用しているから』です。

 

SPACは新規上場(IPO)時にお金を集めるために著名人を利用

多くのSPACでは、その『投資家からの信用』を集めるために著名人を立ち上げメンバーに加えたり、広告塔として採用(○○さんも投資しています!として利用)しています。

 

具体的には

  • LVMHのオーナーのベルナール・アルノー
  • 元NBA選手のシャキール・オニール
  • テニス選手のセリーナ・ウイリアムズ
  • ラッパーのジェイ・Z

といった人が挙げられ、これらSPACは、実際に大量の資金を集めることに成功しています。

 

なお、こういったお金の集め方をしていることからも想像できますが、

  • SPACに投資する投資家のおよそ40%が個人投資家

と言われており、『アメリカ市場の資金の90%以上はプロ投資家が動かしている』と言われていることを踏まえると、SPACの個人投資家の比率は非常に高いです。

 

これは、見かたを変えると『SPACは、プロの投資家からの評価がイマイチ』とも言えます。

 

さて、こんな評価をされているSPACですが、

  • 具体的なメリット、デメリット
  • 何故プロ投資家からの評価がイマイチなのか?

についても見ていきましょう。

 

SPACのメリット、デメリット

SPACに買収される企業のメリット

SPACに買収される企業としては、

  • 上場する基準を満たしていなくても上場でき、資金を集めることができる

という点が最大のメリットです。

 

例えば、ニューヨーク証券取引所に上場するためには

  • 株主数:5,000名
  • 公開株数:250万株
  • 時価総額:1億ドル
  • 過去3年間の税引前利益額:1億ドル
  • 直近2年間における各年の最低利益額:25百万ドル

などの条件が課せられるわけですが、『SPACに買収される』という行為は『すでに上場している企業に買収されること』であるため、これら『上場するための基準』を満たしている必要はないわけです。

 

よって、『SPACに将来有望な企業だ』と認められれば、上場するためのコストを支払わずして上場できるわけです。

 

ただし、『上場する水準を満たさなくても上場できる』というSPACの特徴は、(当たり前ですが)批判の対象ともなっています。

 

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SPACの設立者のメリット、デメリット

SPACの設立者としては、

  • 買収を成功させることで、報酬として株式を受け取れる
  • 買収先企業の株式を割安で手に入れることができる

といったメリットが挙げられます。

 

前者の『報酬としての株式』では、株式を追加で無償発行することとなるため、他の投資家にとっては株式の価値が減少するというデメリットでもあります。

 

具体的には

  • 企業価値1000万円、発行株式100株であった場合、1株式当たりの価値は10万円

だったとすると、追加で100株の株式を無償発行すると、

  • 企業価値1000万円のまま、発行株式200株となり、1株式当たりの価値は5万円となる

わけで、既存の投資家にとってはデメリットでしかありません。

 

SPACに投資する投資家のメリット、デメリット

ついで、投資家目線では、

  • 気軽に未公開株への投資ができる

 というのが最大のメリットでしょう。

 

一般的に、未公開株式への投資をするケースでは

  • まとまった資金を準備、投資先を入念に調査したうえで投資し
  • その企業が上場するまで、気長に待つ必要があり
  • それまでは、まとまったリターンが得られない

となりがちです。

 

しかし、SPACを活用することで、これらハードルを簡単に乗り越えて未上場企業への投資ができることになります。

 

とはいえ、(詳しくは後述しますが)残念ながら『SPACへの投資でのリターンはイマイチ』となっており、

2021年3月には、ロンドン証券取引所のCEOが

「米市場にSPACのフロス(小さな泡)があるのは明らか。期待に沿わない結果となるものもあるだろう」

と警告を出しています。

 

また、SPACに対してはバフェットも否定的なことで有名です。

 

 バフェットの言うSPACの問題点

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こちらの記事でも紹介した通り、バフェットやバフェット右腕であるマンガーは、SPACのことを

  • キラー(破壊的)
  • 品格を失っている

と批判しています。

 

SPACは、

  • 上場から2年以内に買収を達成できなければ、SPACは解散する
  • この期間を延期するには、株主の65%以上の同意が必要
  • 買収に失敗した場合は、投資家に利息をつけて返還しなければならない

というルールがあり、かつ

  • 買収を成功させればSPACの設立者には多額の報酬が支払われる

ことを踏まえると、SPACの運営側としては

「なんとしても2年以内に買収を決めねば!」

と考え、大量に存在しているSPAC同士が競い合い、企業を買収するために必要な資金が吊り上がっています。

 

それを、

  • バフェットが代表を務めるバークシャーハサウェイが、つねに買収するに値する企業を探している

という点から見ると、

  • SPACによって、バークシャーが企業買収に必要な資金が増えている

というデメリットを生み出しています。

 

これだけ聞くと「バフェットは、バークシャーが儲けられないから文句を言っているだけか」と思うかもしれませんが、SPACは個人投資家にとっても『厄介者』となっています。

 

SPACは個人投資家にとっても厄介者 

ニューヨーク大学の調査によると、

  • 2019年1月~2020年6月に企業を買収した47のSPACを調査したところ、SPACの株価は企業買収後に平均して3分の1程度下落している

という結果が明らかになっています。

 

これは、前述した『買収成功の報酬として、無償で株式を発行する』ということが大きなコストとなっているだけでなく、

  • 投資家の期待が大きく膨らみすぎている

 ことも原因だと言えます。

 

『著名人を使っての宣伝』といった方法で、多くの個人投資家を集めているわけですが、残念ながら(と言うか、予想通りと言うか)期待ばかりが先行し、実態が伴っておらず、現実が確定(買収が完了)したタイミングで、過剰な期待がなくなる(株価が下落する)わけです。

 

この状況に対してアメリカの証券取引委員会も

有名人が関与しているからといって、全ての投資家に良い投資とは限らない

と、当たり前の警告文を発表しています。

 

といった感じで、いたるところから警告されているSPACですが、広がりつつあるのが現状です。

 

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SPACは広がりつつある

まず、アメリカに焦点を向けると、

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と、2020年からSPACの上場件数(青棒グラフ)が爆発的に増えていることが分かります。

 

また、新規上場(IPO)全体に占めるSPACの比率(オレンジ線)を見ると

  • 2020年は新規上場(IPO)全体のうち50%以上がSPAC
  • 2021年は新規上場(IPO)全体のうち80%異常がSPAC

と異常に増えており、『明らかな過熱感』が見て取れます。

 

またグラフの前半に目を向けると、

  • 2003年~2007、8年にかけてもSPAC上場件数は増加していた
  • その後リーマンショックが発生してSPACは減少した

となっており、

  • SPACの上場数は、市場全体の過熱感を見る指標にもなる

ように見えてしまいます。

(実際のところどうかは難しいところですが)

 

またSPACは、カナダや韓国でも利用されており、2021年からは欧州でも広がりを見せています。

 

残念ながら(幸いなことに?)、いまのところ日本でSPACは認められていません。

しかし、政府の成長戦略会議においてSPACの導入が検討(ベンチャー企業支援のため)されていますので、いずれ日本市場にも導入されるかもしれません。

 

まとめ:SPACへの投資が増えるのは良い事なのか?

といった感じで、SPACについて紹介させて頂きました。

 

SPACには、

  • 小規模の企業であっても素早く資金調達できる
  • 小規模な企業に気軽に投資できる

などのメリットはありますが、

  • 上場の基準を満たさないような企業であっても上場できてしまう
  • SPACが増えることで企業の価格が不当に吊り上げられる

といった問題点もあります。

 

筆者の個人的感想を書かせてもらうと、

  • SPACのような新しい金融商品が流行っても、ろくなことにはならない
  • SPACは、従来の『上場基準』を無視できるため、とんでもない企業でも上場することができる
  • SPACは、明らかに過熱感を帯びており危険に見える
  • このままいけば、サブプライムローン問題のような問題を引き起こすのではないかと想像してしまう

と、正直にいってネガティブな感想ばかりです。

 

さらに書くと、SPACは

  • SPAC設立者が儲けるためだけの商品

のように見えて仕方ありません。

 

それはすなわち、

  • 個人投資家のリターンを減らすことになる商品

でもあります。

 

今後、日本でSPACが承認されるかどうか分かりませんが、もし承認されたとしても『SPACはお勧めできない投資商品』というのが本音です。

 

あくまでもイチ個人投資家の意見ですが、参考にして頂ければと思います。

 

参考記事:

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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