
経済は筋トレと同じだと思うんですよ。
トレーニング内容は、万人に通用する正解があるような気がするものの、実際のところは存在しておらず、これは経済も同じだからです。
効率的なトレーニングとは…
私は筋トレが趣味なので、様々なところで『効率的なトレーニング』なるものを探しています。
これの情報源は、数年前までは本やYoutubeだったわけですが、だいたいにおいて
「私の経験上…」
を語っているだけで、
「論理的に○○がベストであると判明している」
という解説はほとんどありません。
なかには
「午前と午後に同じ部位のトレーニングをする」
「一部位だけで25セット鍛える」
といった、信じられないほどハードなトレーニングを推奨している人もいます。
実際に、そういった方々は素晴らしい肉体を保持しているわけなので、これを真似したくなるわけですが

「そんなことしたら…」
と、それもそのはずで、肉体的なエリートのトレーニングを凡人が真似したところで上手くいくはずがありません。
しかし、目立つのはこういったトレーニング方法ばかりです。
研究されたトレーニング効率
そこで、様々な論文をあさっているわけですけども、だいたいにおいて
- ある一定の条件下において、A群は○○を実施、B群は□□を実施
- 結果、A群の80%は優位に筋量が増加し、B群は30%しか増加が確認できなかった
- よって、A群が実施した○○が、より優れたトレーニングと言える
といった比較研究ばかりで、
- 論理的に○○の方が□□よりも有利なトレーニングである
といった理論研究はありません。
この結果を見て、とりあえず80%が優位であったトレーニングを採用するわけですが、自分が残り20%側の人間であった場合には残念な結果を招くことになります。
人間はとても複雑であり、万人に通用する「正解」を見つけ出すことは困難です。
AさんとBさんとで同じコンディションを整えようにも、それぞれの生活は違うわけですし、そもそも筋量や骨格、回復量や消化吸収能力も違うわけですから、同じコンディションにすることは不可能です。
また、『持ち上げられる最大重量の80%を10回あげる』と定義しても、肉体の限界以前に脳のストッパーがかかってしまう人間が『持ち上げられる最大重量』を把握することは難しいです。
よって、
- 人間にとって○○がベストなトレーニングである
と証明することは不可能だと言えるでしょう。
可能性の高いモノにかける
そこで、トレーニーは『優位である可能性の高いトレーニング』にトライするわけですが、『自分には合わないケース』にたびたび遭遇し、方向転換を繰り返しながら自分にあったトレーニングを探求していきます。
経済も同じであるとの認識です。
経済は複雑であり『○○をしたら、○○が起きる』と言い切ることは難しいです。
そこで、経済対策の議論をするときには
「A国では○○を実施したことで景気が改善した」
「B国では□□を導入して出生率が上昇した」
といった、『異世界の実績』を取り上げて進められるケースが多いです。
これら『異世界の実績』は、我が国とは環境が違えば、時代も違う世界における実績です。
もちろんこれらは参考にするだけで、適用先の環境(我が国)に合わせてカスタマイズされていくわけですが、そうしたところで上手くいくとは限りません。
失敗例をいくつかあげれば、
- 日本では、1997年に財政再建のために消費税を5%にあげるも、景気が悪化してデフレが進み、税収は期待していたほど増えなかった
- アルゼンチンでは、1991年に物価の安定化の為に1ドル=1ペソに固定するも、強いドルに引っ張られることで国際競争力を失い、最終的には財政破綻した
- アメリカでは、1970年代にインフレを抑制するために、賃金や家賃の凍結(価格を固定)したものの、それが供給不足につながりさらなるインフレになった
- リーマンショック時には、「リーマンブラザーズは数か月前から経営危機にあることは知れ渡っているからみんな対策を立てているはず。よって、これが倒産しても影響は小さいよね」と政府による救済を行わなかったところ、ご存じの通り大混乱が起きた
- EUでも、2008年~財政健全化のために支出削減を行うも、経済が急激に縮小して若年失業率が50%超になるほどの問題に。健全化どころか、GDPが下がることで債務比率が上昇する悲惨な事態となった
などなど、あげればキリがありません。
机上で導き出した「○○をすれば成功する」は、現実世界ではなかなか通用しません。
筋トレ界でも
- トレーニング前に十分なアップをしておかなければ怪我をする
という『常識』が語られているわけですが、私はつい先日、
- 筋トレ前のアップとしてラジオ体操をしていたら、肩を痛めてしまった
という経験をしました。
これこそまさに、
- こうなるであろう(怪我の予防になるだろう)という施策が、真逆の結果を招いた(怪我をした)
であり、この流れは経済界でもトレーニング界でも珍しいことではありません。
真逆の動きは珍しくない
株式投資をしていると、
「○○されたから買い!」
「○○だったから売り!」
といった定説をよく聞きます。
もちろん、これが正しいケースも多々あります。
しかし、これとは真逆に動くと
「ネガティブ材料出尽くしで買い!」
「織り込み済みで変化なし!」
「好業績でも期待先行だったから売り!」
といった便利なセリフを用いて、この値動きを正当化しようとする言葉が聞こえてきます。
それくらい世界は複雑で、未来を予想することは難しいということです。
しかし世界経済も、トレーニーと同じように『失敗を繰り返しながらも、成功の方法を模索し続け、ゆっくりではあるが成長していく』とは考えられます。
世界も、国も、個人も、様々な失敗をしながら、前に進もうと努力しているわけですから。
よって、『長期投資は報われる』と考えられます。
失敗はするって
また、昨今では失敗が許されない風潮をなんとなく感じてしまっておりますが、
- 容易に正解を見極められない以上、誰であっても失敗することはある
わけなので、色々なものに対して失敗を許容できる心のゆとりを持てるといいですね。
当然のように自分が失敗することもありますし、アップ(ラジオ体操)で怪我をするなんて、誰も予想できないのですから。
マジで。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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