本日は『仕組み商品』について語っていきます。
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近ごろ、『債券が提供する元本保証と、ほとんどの債券よりも高いリターンを組み合わせることを目指している』という『仕組み商品』がアメリカで拡大しています。
ブルームバーグの記事では、ある仕組み商品が、
- 米国株式が上がっても下がってもリターンが手に入る
- ただし、株価上昇時の利益は9%までに制限される
- 株価が下落しても下落率が20%以内ならば、最高で20%の利益が得られる
- 下落率が20%を超えても、損失は20%を超えた部分に制限される(30%下落した場合、投資家の損失は10%)
と、とても魅力的な商品であると語る人を紹介しています。
こういった、複雑な仕組み商品はここ数年で急激に市場を拡大しており、2024年には2000億ドル近くにまで成長し、2025年はそれを超える勢いとなっています。

この拡大の理由を、ローレンス・ブラック氏(格付け会社の創業者)は
「投資家は、明確なリターンと、真に相関のない資産を求めている」
と分析しています。
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オートコール型
なお、この『仕組み商品』のうちおよそ半分は『オートコール型』と呼ばれるものとなっています。
これ、色々な種類があるのですけども、例えば…(ややこしいですよ!)
- S&P500に賭け、半年後に元本の90%以上が残っていれば、『元本100%』+『5%の利息』が自動的に返還される(自動償還:オートコール)契約
なるものを契約した場合、
- 100万円のS&P500のオートコールを購入
- 半年後に、S&P500が10%下落していた
- 契約の『元本の90%以上』が成立しているので、元本(100万円)+利息(5万円)を受け取ることができる(ここで契約終了)
となります。つまり冒頭で書いた
- 株価がちょっと下がっても儲けることができる(元本+利息が手に入る)
わけです。
ただ、反対に、
- 100万円のS&P500のオートコールを購入
- 半年後に、S&P500が100%急騰していた
- 契約の『元本の90%以上』が成立しているので償還となるが、元本(100万円)+利息(5万円)しか受け取ることができない(ここで契約終了)
といった
- 株価が大きく上昇しても、大きくは儲からない
というデメリットもあります。
そして、もう一つのケースとしてはは、
- 100万円のS&P500のオートコールを購入
- 半年後に、S&P500が50%暴落していた
- 償還期限となるも、契約の『元本の90%以上』が成立していないため、下落した50万円を受け取り、利息は手に入らない(ここで契約終了)
と、
- 株価が暴落すると、通常通り株式に投資していたのと変わらない損失を受ける(+高い手数料などがかかる)
いった弱点もあります。
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横ばいの時に債券っぽい
これ『条件を満たすと元本+利息が返ってくる』わけなので、株式というよりも債券に近しいものとなります。
ほんで、上述した
- 株価が大きく上昇しても、大きくは儲からない
- 株価が暴落すると、通常通り株式に投資していたのと変わらない損失を受ける(+高い手数料などがかかる)
というデメリットがあるわけですから、一般的な債券よりも高い利回りとなっているわけです。
いったん整理すると、
- 株価が『ちょい上げ』『ちょい下げ』時には、元本+比較的に高い利息が受け取れる
- 株価が爆上げしても、ちょっとしか(株式投資をしているほどは)儲からない
- 株価が暴落すると、株式投資と変わらず大損する
ということになります。
自分がセールスマンであると想像して説明すると、

「アホみたいな暴落さえ起きなければ、元本保証で一般的な債券よりも大きなリターンが手に入る素晴らしい商品です!」
ということになります。
複雑な商品ですけども、人気となるのも分かりますね。
これを組み合わせよる
なお、これはオートコール型商品の一例でしかなく、商品によってさまざまな条件が設定されており、中にはもっと複雑なものも存在しています。
そして、2025年6月には初めてのオートコール型ETFが誕生し、それには50以上のオートコール型商品が組み込まれており、9月時点ではS&P500を超えるリターンを提供しているようです。
が、イチ商品でさえ複雑なオートコール型商品を50以上組み合わせただと…?
十数年前にも『リスクが高い住宅ローンなんだけど、いっぱいローンを束ねた商品を作って、AAA格付けにして販売した』という世界をゆるがす事件があったわけですけども、私はオートコールETFにそれに近しいものを感じてしまいました。
もちろん、これを「危ない」とまで言うつもりはありませんが、
- 一部を切り取れば『元本保証で、株価が下がっても上がっても儲かる!』という『すばらしい商品』のようみ見えるが、実際は複雑で分かりづらい商品
が広がってきているという現状には危機感を覚えてしまいます。
これは、株式投資に限らない話ですが
- うまい話には裏がある
というあたり前のことを忘れさえしなければなりませんね。
最後に偏見を書いておきますが、こういった複雑な商品は、
- いまのトレンドが続く限り儲かる設計をし
- 魅力的な雰囲気をかもしだし
- 極力複雑にし
- 見えないところで多くの手数料を取る
ものが多いです。
ファンドを「販売する側」が、「個人投資家の利益」と「ファンドの利益」のどちらを追求しているのか、考えなければなりませんね。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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