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私は、株式を評価する指標の中でもPERが好きです。
PER(Price Earnings Ratio)は株価収益率のことで、むちゃくちゃざっくり説明すると、
- 企業のいまの利益が続けば、何年で投資したお金の元が取れるか?
を示しており、例えばPERが20倍であれば「この企業に投資すれば20年で元が取れる!」と、短絡的に考えるようにしています。
とはいえ、『いまの利益が続けば』という前提によるものなので、
- 高成長が期待できる企業はPERが高くなりがち
- 停滞すると考えられる企業はPERが低くなりがち
と、当然なるわけなのでPERだけをもって
「この企業はたった〇年で元を取れるから買い(割安)だ!」
と判断できるわけではありません。
が、PERといえば、ジェレミー・シーゲル氏の『株式投資の未来』には、1957年~2003年の間に、PER別にリターンを調査し、
- S&P500全体 :11.18%
- 高PERグループ : 9.17%
- 低PERグループ :14.07%
という、
- PERが低いグループの方が高リターンをあげていた
という結果が有名です。
とはいえ、これは過去(1957年~2003)のデータを利用していますし、
- 過去に公開された『○○で勝てる』は、いまでは通用しなくなっている
なんてことがよくあります。
というわけで、2025年1月23日に、ロンドン証券取引所(LSEG)で発表されたばかりの報告(Do valuations correlate to long-term returns? Examining US equities through various size and style indices | LSEG)も見てみましょう。
まずは結論。
- 2005年6月から2024年12月までの月次データからの調査により、予想PERが高いグループは、その後10年間のトータルリターンが低下する相関関係が見つかった
というわけで、
やっぱりPERは正義!
…なわけですけども、常にそうとも限らないようなので、詳しく見ていきましょう。
まずは、アメリカ市場全体(FTSE USAインデックス)です。
横軸が予想PER、
縦軸がその後の10年リターンです。
PERが低い(点が左寄り)グループの方が、リターンが高い(点が上寄り)ことが分かりますね。
そして、米国の大型インデックス(ラッセル1000指数)でも同様の相関関係が見えます。
大型成長銘柄インデックス(ラッセル1000グロース指数)では、その相関関係がより強く出ていまいした。
ただし、大型バリュー銘柄(ラッセル1000バリュー指数)では、その相関関係が比較的に弱い結果となりました。
さらに、小型銘柄指数(ラッセル2000)は、その相関関係がほぼゼロだったことが分かりました。
相関関係のまとめ
というわけで、ざっと整理すると『低PERほど高リターン』という関係は、
- 市場全体(FRES USA)では、強い相関関係がある。
- 大型株全体(Russell 1000)大型成長株(ラッセル1000グロース指数)も強い相関関係がある。
- 大型バリュー株(ラッセル1000バリュー指数)は、相関関係が比較的に弱い。
- 小型株(Russell 2000)は、ほとんど相関関係がない。
という結果となりました。
つまり、
- 低PERは正義
という結果になります。
先述したジェレミー・シーゲル氏の『株式投資の未来』は2005年に発売され、多くの投資家に愛読されていたことで、それ以降は
「低PER銘柄が勝つんじゃ!!」
と考えて投資する人が増えたのではないかと想像しています。
今回の結果は、2005年6月から2024年12月までの調査結果(『株式投資の未来』の発売後)であったため、
「低PERが高リターンということが広く知れ渡ってからの期間なので、多くの人が低PER戦略を実践し、低PER戦略が通用しなくなっているのではないか?」
と想像していたので、この結果は少々意外でした。
私は、
- 投資に夢を見ている人がそこそこいるため、将来性が有望な銘柄には実態以上に大きな期待がかかっている
のではないかと、想像しました。
高PERの銘柄の多くは、これからの成長に期待されている銘柄です。
ある意味で、『夢を見させてくれる銘柄』とも言えるかもしれません。
実際にその夢を成就させてくれる銘柄も多いですし、
- 高PERのグループでも、10年リターンがマイナスとなるグループは存在しなかった
わけなので、宝くじを買うよりも現実的な夢の追い方だと言えるでしょう。
最後に
なお、この調査結果は過去の実績でしかありません。
また、すべての個別銘柄に当てはまるわけではなく、あくまでも『傾向』でしかありません。
よって「低PER銘柄に賭ければ勝てるのだ!」と短絡的に考えるのではなく、『参考になるデータの一つ』として覚えておきましょう。
昨今、S&P500のPERは、近年まれにみる高さにまで上がっていました。
しかし、トランプ関税の発表により株価は下落、PERは低下してきました。
ここからは2つの結果を見ることができます。
- これまでに買ってきた株式の価格が下がった=損をした。
- これから買う株式の期待リターンがあがった=得をする。
過去のことはどうしようもないわけなので、より魅力的となった株式を買うことに集中していきたいと思います。
「私はあと2か月でサラリーマン辞めるんだけどなーーーーー!!!」
現役リーマンがうらやましすぎます。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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