モーニングスターから2023年の教訓という記事が出ていました。
その記事では
「2023年は、従来の常識が通用しないことが多々あった」
と、以下5つの教訓をあげています。
- 金利上昇は成長銘柄にとって必ずしも悪いことではない
- 金利上昇は銀行にとって必ずしも良いことではない
- 経済成長と景気回復が必ずしも小型株を押し上げるとは限らない
- 低バリュエーションだけでは米国外の株式は上昇しない
- 債券は株式リスクを分散させることもあれば、そうでないこともある
金利上昇は成長株にとって必ずしも悪いことではない
一般的には「高い金利は成長銘柄にとって不利である」と考えられています。
成長銘柄の多くは大金を借り入れることで大きな成長を狙うケースが多いため、金利上昇により借金の負担が大きくなるためです。
しかし、2023年はアメリカの実効金利が5.3%にまで上昇したのにも関わらず、『エヌビディア、マイクロソフト、アップルといった巨大成長企業』が大きく株価を上げました。
グラフで、モーニングスターの『成長銘柄インデックス(青線)』と『バリュー銘柄インデックス(紫線)』を並べると、『成長銘柄インデックス(青線)』の圧勝であったことが分かります。
これは、ChatGPTなどが火付け役となり、人工知能への期待値によって成長銘柄が押し上げられたことが要因として考えられています。
また、過去を振り返っても、『利上げサイクル中に成長銘柄のパフォーマンスが優れていた』ケースはいくつも見られますので、
- 「金利上昇」という一つの事柄をもって「成長銘柄に不利」と言うことはでない
という教訓を、2023年の実績から学ぶことができます。
「金利が上がっていくから成長銘柄から引き揚げよう!」と考えた投資家もいるとは思いますが、残念な一年でしたね。
金利上昇は銀行にとって必ずしも良いことではない
また、「高い金利は銀行にとって有利である」と考えられています。
お金を貸し出す銀行にとって、高金利であることは大きなリターンにつながるためです。
しかし、2023年にはシリコンバレーバンクの破綻だけでなく、167年もの歴史をもつクレディ・スイスすらも破綻しました。
こちらも、モーニングスターの『USマーケットインデックス(紫線)』と『US地銀インデックス(と訳していいのかな?)(緑線)』を並べると、銀行にとって残念な一年であったことが分かります。
これは、
- 金利の上昇により、銀行の保有している長期債の価格が下落した
ことによるものです。
急激な金利上昇には「高金利は銀行にとって有利」という常識が通用しないことを学ぶことができました。
経済成長と景気回復が必ずしも小型株を押し上げるとは限らない
「小型株は、景気後退局面で大きく値を下がる代わりに、景気回復局面では大きく上昇する。」と常識的には言われています。
「小型株は景気に敏感である」と考えられているためです。
しかし、2021年以降の景気回復局面において、小型株(水色線)はイマイチなリターンとなりました。
これは、『2021年~の景気回復局面は、人工知能期待などにより大型成長株がリードしてきた』ことによるものです。
ここからは、「景気回復局面が来るから小型株に投資じゃああああ!!」という短絡的な投資をしてはいけないという教訓が得られました。
低バリュエーションだけでは米国外の株式は上昇しない
ここ10年ほどアメリカ株は他国をリードしてきました。
そのおかげで、比較的にアメリカ株は高バリュエーション(割高)となっていますが、それでも2023年に米国外市場の株価が大きく上昇することにはなりませんでした。
これは、米国企業がイノベーションを起こし、高い成長率にあることが理由としてあげられます。
「割安な銘柄に賭け続けていれば、いつかはむくわれる」と考えている投資家は多いかもしれませんが、その『いつか』が来るとしても、それがいつになるのかは分かりません。
債券は株式リスクを分散させることもあれば、そうでないこともある
これまでは常識的に「債権と株式は逆相関関係にある」と言われていたが、最近では「正の相関関係にある」と言われることも多くなっています。
2023年は、まさに正の相関関係にあると言える値動きをしました。
株式だけでなく様々な資産に分散投資することは、長期的にはリスクを抑えた賢明な戦略となる可能性は高いですが、短期的にはそうは言えません。
また、債券にもさまざまあり、ハイイールド債などハイリスクな債券は株式的な値動きをすることは多いです。
債券も一枚岩ではないことを覚えておく必要があります。
まとめ
といった感じで、モーニングスターによる『2023年の教訓』を紹介させてもらいました。
投資には様々な『常識』が存在していますが、それが常に通用するとは限りません。
それどころかその常識の裏をかき、市場を超えるリターンを狙う投資家が存在しているため、もしかしたら『まったく通用しない』とすら言えるかもしれません。
「いまは○○だから○○に投資すべし!!」なんていう鉄板のルールが存在していれば楽に投資できるわけですが、残念ながらそんなものはありません。
というわけで、
- 世界情勢がどのような状況にあろうとも、粛々とインデックス投資を続けるべし
ということを、今回の教訓とさせていただきます。
やっぱり投資は甘くないね。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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