『金利が高いと株式投資のうまみが少ない』といった話を聞きますが、本当にそうなのか、かるーく考えてみることに…。
『うまみが少ない』と言われる理由は、
- 金利が高いと、企業の資金調達(借金)のコストが大きくなるので、設備投資などが削られ成長が鈍化する
- 株式ではなく、ローリスク・ハイリターンが期待できる債券に資金が移る
- 借金がしづらく、消費者の購買意欲が落ちる
といった感じです。
ある意味ごもっともなご意見で、私も
「これだけ金利が上がったんなら、大したリスクもない債券に投資した方がいいんじゃない!?」
なんて思ったことがあります。
しかし、いまでは
「今更そんなことしても意味ないな」
と考えるようになりました。
何故そう考えるようになったのか整理します。
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これまでに金利が急上昇してきたのは、急激なインフレを抑えるためです。
つまり『金利もインフレ率も高い状況』にあるわけですが、債券の金利(利回り)がいくら高くても、インフレ率がそれ以上に高ければ債券投資のうまみは小さくなります。
例えば、12月時点で短期(1年未満)の米国債の利回りはおよそ5%となっていますが、(インフレ連動でない)個人向け国債を買ったとて、6%のインフレが進むようであれば、米国債を買っても実質資産は減少することになります。
(米国債・金利 - Bloomberg 12/1時点)
つまり、
- 債券が高利回りであったとしても、それ以上にインフレが進んでいるのであれば、国債を買うことによるうまみは少ない(インフレダメージの軽減程度にしか役に立たない)
ことになります。
冒頭では『金利が高いと株式のうまみが少ない』と書きましたが、同様に『現状の高金利(高インフレ率)は、債券のうまみが少ない』となってしまいました。
(もちろん、市場で取引されている債券を買うのであれば『利下げ=債券価格上げ』となるので、そこを狙った投資はありかもしれませんが、その手法はどちらかというと『投機』でないかと思います。)
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さて、続いては常識のように言われている『金利が高いと株式のうまみが少ない』について『インフレ』の観点から考えてみます。
仮に、インフレになっても『企業の設備投資が鈍化しない』『個人の購買意欲が落ちない』状況において、すべてのモノが10%のインフレになれば、
- 仕入れ値、その他各種コストが10%上昇する
- 提供している商品・サービスの価格も10%上昇する
ことになりますので、
- 利益”率”は変わらないが、利益”額”は10%大きくなる
ことになります。
このままストレートに考えると
- 株価は10%上昇する
- 配当金も10%上昇する
ことになりますので、
- 10%インフレになっても、株式の価値が10%増加する
- よって、インフレそのものは株式投資家に影響しない
と言えます。
もちろん、『高いインフレ率』は『高い金利』を招く可能性が高く、景気の悪化によって株価は減少する可能性は高いものの、それを乗り越えてしまえば、インフレが株価の上昇をけん引してくれます(実質資産が増えるわけではないけど、減りもしない)
これを、先ほどの『インフレ率が高いと債券のうまみが少ない』と並べると、
- 債券は、インフレ率によってよっては儲からない
- 株式は、インフレの影響は受けない
ということになります。
言い換えると、
- 株式は、長期保有するんだったら、インフレを気にする必要がない
- 債券は、インフレ率よりも高い利回りの債券を買わなければならない
となります。
やっぱり債券って難しいですなぁ…。
とはいえ、
「株価が10%上がっても、インフレ率が10%だったら、実質購買力は変わらないじゃないか!!」
という問題もあるように見えますが、これ、海外へ投資している場合はそうではないのですよね。
昨今では、アメリカをはじめとする諸外国では猛烈なインフレが進んでいますが、日本はそうではありません。
つまり、このままいけば
- いずれ海外株の株価はインフレに合わせて上昇していく
- 日本で売っている商品はあんまり値上げしない
- よって、海外資産の価値が爆上がりする
という最高の状況になる可能性があります。
うーん、うはうはですな。
実際にこうなる可能性は十分にあるかと思いますので、しばらくはこれに期待し、胸を躍らせていようと思います。
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というわけで「金利が高いと株式のうまみが少ない」について考察してまいりました。
とはいえ、これは『金利が高くなるとわかっている( or すでに金利が高い)状況において』の話であり、
みなが「これからも低金利が続くぜ!」と考えている状況から「これから金利が上がっていきます」という状況に変われば、株価は大きく下落することになります。
反対に、「まだまだ高金利が続く!」と世間が考えている状況において、『金利が下がっていくことに賭ける投資(例えば債券への投資)』をすることで、成功する可能性もあります。
ようは、大きなリターンを手に入れるためには『みなの予想していない事態に賭ける』ことしかないわけです。
しかし、当然『みなの予想していない事態に賭ける』ということは、非常に難しいことですし、考えなしに逆張りをしたところで成功するとは思えないので、普通の個人投資家は、世界情勢に合わせて投資先を変えることなく、自身の決めたポートフォリオを守ることが大切であるといえそうです。
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なお、債券投資のことがよくわかっていない可能性があるので、「おかしいこと言ってる」というツッコミがあったら是非ともよろしくお願いいたします。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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