モーニングスターが、
「4%ルールは過去の話。今では3.7%程度が安全な引き出し率。」
的なことを言っております。
What’s a Safe Retirement Spending Rate for 2025?
この結論にいたるまでの条件等々を並べると、
- 30年間、基本的には固定の金額を引き出す
- ただし引き出し金額には毎年インフレ調整を行う(インフレが進めば金額も大きくなる)
- 90%の確率で破綻しないよう調整
- モーニングスターによる『今後30年の収益予想』を使用
という内容のもと分析した結果が、3.7%という金額になったようです。
そのモーニングスターによる『今後30年のリターン予想』はこれ。
2024年のリターン予想が、2023年時に比べて全体的に落ちており、この理由は『株式が割高になった』『債券利回りが若干低下した』の2点にあります。
ここ数年、株式などは素晴らしいリターンを投資家にもたらしてきたので、当然といえば当然の状況ですね。
それによる、
- 株式保有率(縦軸)別
- 対応年数(横軸)別
- 90%の確率で破綻しない引き出し率
がこれです。
例えば、赤枠は『株式100%ポートフォリオ』で、
- 10年間であれば年8.1%取り崩しても安全である
- 20年間であれば年4.3%…
- 30年間であれば年3.1%…
- 40年間であれば年2.7%…
となっています。
青枠部分は、
- 株式比率が20~50%であれば、30年間3.7%ずつ引き出しても安全
と、冒頭で書いた内容となっています。
とまぁ、これを見ると、
「3.7%ずつしか引き出せないのか…」
と感じる方は多いと思いますが、これは『安全率90%』に着目したケースとなります。
実際のところ、この『90%ある成功パターン』の多くは『30年後に”大きなお金余り”が発生する引き出し率』になります。
よって、「定額引き落としを高確率で成功させたい!」と考える投資家にとって『3.7%ルール』は役に立ちますが、これを真面目に厳守すると、多くのケースで『死ぬ瞬間がもっとも金持ち』になってしまいます。
つまり、子供などへの相続などを目的とした『お金あまり』を狙っていないのであれば、3.7%固定ではなく市場リターンに合わせて引き出し率を上下させることで、もっと多くのお金を使用できるようにもなります。
リタイア後の引き出しについて、より実用的なのは後者(市場リターンに合わせて引き出し率)になるのだと思います。(市場が暴落しているような時に、かたくなにこれまで通りの支出を守る人は少ないでしょうし)
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といった感じで、『4%ルールは過去の話』といった内容を紹介しつつ考察しきましたが、言うまでもなく、これは『モーニングスターによる考察』でしかなく、『3.7%』をそのまま自分の引退後の計画に採用するべきものではありません。
『安全な引き出し率』は様々なところで検証されており、過去の実績から出しているものや、今回のように自社の予想に基づくものもあります。
そして、検証方法は違えどどれも『予想』でしかなく、未来がこの予想通りに動く保証は一切ありません。
アメリカ第34代大統領のドワイト・D・アイゼンハワーは
「計画は役に立たない。しかし、計画を立てることは極めて重要である。」
という言葉を残しています。
未来の世界がどうなっているのか分からないし、未来の自分の考えすらも分かりません。
しかし、先に備えずにその場限りの『快楽』を追い求めてもいけません。
よって、
- ぼんやりと立てた目標を目指しつつ、臨機応変に生きていくべし
- 合わせてリタイア後の資産取り崩しも、その場の状況に合わせて取り崩すべし
であると私は思います。
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って、記事を3月に書いていたんですけども、株価の下落によって4%ルールが復活するかもしれませんねw
というわけで、
- 調子のいいときの資産額を真に受けるな
- ゆとりをもった計画を立てよ
という教訓が得られた今日この頃でした。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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