しばらく前には「逆イールドカーブが発生した。これはリセッションの前触れだ」という言葉をよく聞く機会がありましたが、最近めっきり聞かなくなりました。
逆イールドとは、『短期金利が長期金利を上回る状況』を指し、通常(逆じゃないイールドカーブ)は、
と、満期(借りている期間)が長くなればなるほどに金利が上昇するわけですが、逆イールドになると、
と、満期が長くなればなるほどに金利が低下します。
こうなると、銀行が行っている
- 短期金利でお金を調達(みなさまの貯金など)
- 長期金利で(住宅ローンや企業へ)貸し出す
- この金利差で儲ける
という錬金術が効果を発揮しなくなり、
- 貸し渋り
- 貸出金の回収
などを行うようになり、市場のお金が減少することでリセッション入りする。
と、一般的には考えられています。
しかし、今回、2022年10月から(10年米国債利回りと3ヵ月国債利回り)逆イールドが発生してから1年半ほど経過しましたが、いまだリセッション入りしたという声は聞こえてきません。
この状況について、Game of TRADESの記事『Institutions are Leveraged Long, What Does it Mean for the Market?』では、
- イールドカーブ(黒折れ線が横線を下回ると逆イールド)
- 失業保険の申請件数(橙折れ線)
を並べたグラフから
- 過去のリセッションの直前には『逆イールド』『失業保険申請の増加』があった
- 2022年からの『逆イールド』では、『失業保険申請の増加』が見られない
と指摘しています。
この要因は様々あるかとは思いますが、Game of TRADESでは
- コロナ禍に大量のお金をバラまいたことによって、企業が多額の現金を持っていることが要因の一つではないか
と指摘しています。
実際に、企業が保有する現金は、以下グラフの通りコロナ禍に急増したまま高い値となっています。
また、すでに2024年中の利下げが確実視されているため、
「厳しい(高金利に耐えなければならない)時間は長くはない」
と楽観論が出てきているのも、景気を後押ししている一因でしょう。
これらは、
- 政府・中央銀行が過去のリセッションから学び、これまでにない対策を実践した良い結果
と言えるのかもしれません。
しかし、これによって『非常に好調な株式市場』が成立しているのは、『良い結果』とも言えますが、本当にそうなのかどうかは分かりません。
景気をコントロールしようとしている経済学は、『”理論”と”過去の経緯”から正解を導き出す学問』でしかありません。
しかし、世界は日々変化しているわけで『過去と同じ状況』になることはありえず、
- 過去に有効であった対策が、今回はより事態を悪化させることとなった
としても何らおかしくありません。
というわけで、巷で当たり前のように言われている
「○○が起きたから、これからは○○になる!」
という言葉は話半分に聞いておく方が良いでしょう。
そのうえで、
「この先どうなるかは分からないけども、インデックス投資が投資家にとって有利な戦略であることに変わりはない」
と改めて認識しなおし、引き続きタンタンと市場に居残り続けるよう心がけましょう。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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