最終更新日:2020/10/2
リセッション(景気後退期)入りしていることが、全米経済研究所(NBER)から発表されているのにも関わらず、アメリカの株価は好調に推移を続けています。
通常リセッション期には、(当然ですが)株価は不調となります。
実際に2007年12月~2009年6月に発生していました前回のリセッション期は、以下グラフの通りVTI(アメリカ株ETF)が大きく下落し、株価が回復しだしたタイミングで終了しています。
しかし、今回のリセッションでは、一時的に大きく値を下げたものの、8月には『リセッション入りする前の高値』を更新しています。
この状況は『異質』とも思えるわけですが、モトリーフールのスぺシャルレポートにて
不況入りする中で米国株式市場が好調な3つの理由 という記事があったので、考察していきたいと思います。
<目次>
不況化でも米国株式市場が好調な3つの理由
元記事では、アメリカ経済が不調でありながらも、株価が上昇し続けている理由について、以下の3つを挙げています。
- 株式市場と経済全体の間にある断層
- 政府の刺激策による底上げ
- 株式市場は経済の急回復を織り込む
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
株式市場と経済全体の間にある断層
元記事では
株式市場は、米国経済全体の現状を必ずしも反映するものではありません。
というのは、より厳密には、株価は上場企業の利益に対する期待値を示す指標だからです。
…中略…
たとえば、上場企業がレイオフを発表したとき、ウォール街はそれがコスト削減とみなして好意的に評価します。
と解説し、『株式市場=現状の経済状況』ではなく、『株式市場=将来の経済状況』であるため、『現時点はリセッション期であるが、未来が明るいために株価は上昇している』と説明しています。
その具体例として、企業による解雇(レイオフ)を挙げ
- 従業員の解雇によって、企業は一時的に後退(縮小)する
- しかし、長期に渡ってコストが削減でき、将来の利益につながる
という考えの元、企業の一時的な後退は無視され、株価が上昇するケースは多いです。
よって、現在の株式市場がコロナショック前の株価を超えているということは、
- 『新型コロナによるリセッション』は一時的なもの
- コロナ鎮静化後にはコロナショック前を超える『明るい未来』が待っている
と、市場が期待しているというわけです。
政府の刺激策による底上げ
(ラーメン)
本ブログでも繰り返し書いてきている通り、アメリカは新型コロナの経済対策として巨額を投じ続けています。
新型コロナによるパンデミックから、およそは半年が経過していますが、未だにその勢いは衰えておらず、これからもさらなる経済対策が取られていくことが予想されます。
つまり、『株価が暴落しないよう政府が支えている』とも言える状況にあるため、多くの投資家が安心してお金を市場に投じることができ、株価が好調に推移しているわけです。
さらに、政府が経済対策に力を入れているのには、11月に予定されている大統領選も関係してきます。
政府による経済対策によって、『景気回復』『株価の上昇』が起きれば、現職のトランプ氏の支持率が上昇することが期待できるため、『目に見えた成果』を期待できる経済対策が多く取られているわけです。
というわけで、今(10月)は『これまで以上に大きな経済対策が発表される可能性が高い』とも言えます。
しかし、大統領選が終わると
「ふーやれやれ、もう無理して支持率取るために経済対策をすることはないな」
となる可能性があり、それが市場に伝われば株価は暴落しかねません。
そういったことから、今後の政府の動向には注視していく必要がありそうです。
株式市場は経済の急回復を織り込む
上でも書いた通り、株価は経済を先取りした『先行指数』です。
つまり、『新型コロナによる暴落から、急速に株価を回復してきた』ということは『経済も急回復する』と市場が予想しているというわけです。
元記事では
今回については、前述の刺激策の導入や欧米でのコロナウイルスの新たな感染が頭打ちになりつつあるため、最悪の事態は回避されたと投資家は考えているようです。
と、投資家の心理を解説しています。
が、これには注意が必要です。
新型コロナの感染者数が頭打ちになったとはいえ、『新規感染者が毎日20万~30万人ていど発生』という、かなりの感染者を伴ったまま横ばい状態となっています。
このペースは、感染者数は1か月で750万人(愛知県の総人口と同じくらい)ほど増加し、1年間では9000万人を超すほどの驚異的な勢いです。
また、新型コロナの抑制に成功したところで、企業が過去のような収益を上げられる保証はどこにもありません。
世界一の投資家ウォーレン・バフェットも「世界が変わった」と言うように、人々の生活様式は確実に変化しており、その生活に慣れた人々が元の生活に戻そうとするとは限らないためです。
まとめ:株価は好調ではあるものの先行きは不透明
ここまで記事にさせてもらった通り、
- 株式市場と経済全体の間にある断層
- 政府の刺激策による底上げ
- 株式市場は経済の急回復を織り込む
の3点が、現在の株価が好調である理由と言えそうです。
しかし、『新型コロナ後の世界』を正確に予想することが難しい以上、『株価が回復しているのが正しい姿』と言い切ることはできません。
今回のような世界的パンデミックは、過去に(ほとんど)類を見ません。
よって、株価を予想するうえでの常套手段である「過去の実績を参考にする」という考えが使えない可能性があることを、頭に入れておく必要がありそうです。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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