近ごろ「アメリカ国債が逆イールド状態になっている」と聞く機会がふえたので、「逆イールドってなんすか?」という声のお答えしようと思います。
逆イールドとは、『短期の国債の金利』の方が『長期の国債の金利』よりも高い状態を指しており、景気後退のサインと言われています。
つまり、
- 2年国債は年利5%なんだけど、長期国債は年利4%です。
的な状況のことを指しています。
これは異常事態です。
個人間の貸し借りでも
「千円かして!明日返すから!」と、お願いされれば
「いいよ」と金利を考えるまでもなく貸すことができます。
しかし、「千円かして!10年後に返すから!」と、お願いされると
「そんなにずっと借りるんなら金利つけさせろや。返ってこないかもしれんから『貸すメリット』がないとヤダ」
となるのが正常なコミュニケーションです。
つまり
- お金を貸す側が「長いあいだお金を貸すのはヤダよ」と考えているがために、「長くお金を貸すかわりに高い金利をつけさせろ」と要求している
ということです。
しかし、いまはこれが逆転し
- お金を貸す側が「長いことお金を貸したいぜ!」と考えている
という状況にあります。
多くの人が「長くお金を貸したい」と考えれば、
- 長期の国債(10年ものとか)の人気が上がり
- 長期の国債が「わし、低金利にしても人気あるし」と金利が下がり
- 反対に、短期の国債(2年ものとか)の人気が下がり
- 短期の国債が「わし、高金利にしないと誰も相手をしてくれん…」と金利が上がる
ことになります。
その結果
- 『短期の国債の金利』の方が『長期の国債の金利』よりも高い状態=逆イールドが発生する
ことになります。
さて、ではなぜ「長くお金を貸したい」と考えている人が増えているのでしょうか?
それは、
- 多くの人が「いまの金利、めっちゃお得やん」と考えているから
です。
では、なぜそんな考えになっているのか、見ていきましょう。
「これから金利が下がるそう」と思えば、長期間お金を貸したくなる
過去にあた日本のバブル期には『定期預金の金利が8%』なんていう銀行もありました。
そこで、あなたがバブル期に銀行預金を考えているとして、
- 30年定期預金:金利8%
- 1年定期預金:金利7%
のどちらかに預金するとしたら、どちらを選びますか?
いまの私たちは『いつかバブルは崩壊し、預金金利が下がる』ということを知っているため、
「1年定期の終了(解約)後に、高金利の定期預金プランがあるとは限らないよね。」
「でも、金利が高いいまのうちに30年定期にあずけておいたら、むっちゃお得やん!」
と考えますね。
つまり、
- 「これから金利が下がっていく」ということを知っていれば、「長いあいだお金を貸したいです」と考える
ということになります。
そして、「長いことお金を貸したいです」と考える人が増えれば増えるほど、『長期の金利』は下がっていくことになります。
このことをアメリカ国債にあてはめると、
- 多くの人が「これから金利下がるんじゃね?」と考えだす
- 「いまのうちに、長期の国債買っておいたほうがお得じゃね?」となる
- 長期の国債がバンバン売れるので、長期の国債の金利が下がる
- 長期の国債が人気すぎて、短期の国債よりも金利が下がっちゃった
- あ、逆イールドだね
ということになります。
ほんで、
「逆イールドが景気後退のサインなのはなんで?」
という疑問ですが、これは
「なんか、過去はだいたいそうだったから」
という程度のものでしかありません。
真面目に考えると、
- 逆イールドが起きるくらい金利が高くなってきた
- 高金利は企業にとってよろしくないから景気が後退するよね
ということになるといえばなりますが、
- 中央銀行は「景気が過熱しすぎているから金利を上げたいと考えてはいるけど、景気が後退するのはイヤだから、そうならないよううまいこと金利を下げるんじゃい!」と考えている
ことも事実であるため、
- 逆イールドが起きても、中央銀行や民間企業がいい仕事をすれば景気は後退しない
ということにもなります。
事実、過去に逆イールドが発生したあとにも景気後退期に入らなかったケースは何度もあります。
というわけで、
「逆イールドが発生したから景気が後退するのだー!」
「もう終わりだ!」
「FIRE卒業します!」
と騒ぐことなく、冷静な目で『逆イールド』という事象を見るようにしましょう。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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