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No1投信:アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型とは【評価】

純資産総額No1、資金流入額No1(野村総研2022年11月時点)である

『アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型投資信託』

を紹介・評価します。

 

このファンドは、

  • アクティブ運用
  • 毎月分配型
  • 高い信託報酬

と『手を出してはいけない投資』のお手本ともいえるような特徴を持っています。

 

しかし、それでもむちゃくちゃ魅力的な投信です。

 

インデックス投資をしていると、「アクティブ投信へは興味すらわかない」となってしまいがちですが、『売れているものには訳がある』ことを忘れてはいけません。

 

というわけで、この記事から

  • いま最も売れている投信の素性
  • なぜ、そんなにも売れているのか?

を学んでいっていただければと思います。

 

<目次>

 

アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型とは【評価】

まずは基本情報から。

 

ファンドの特色

主な特色は以下の通りです。

  • 世界経済をけん引するアメリカ市場から、持続的な成長企業を探し出して投資する
  • 外部環境に左右されにくく長期にわたって安定成長できるビジネスを対象としている
  • 投資先を選ぶ際には『ESGなどの財務以外の情報』も考慮している
  • 設定来(2014年9月)のリターンは、米国株式(S&P500)を超えている(詳しくは後述)
  • 基準価額が上がれば上がるほどに分配金を配るよう設定されている(面白い設計なので詳しくは後述)
  • アライアンス・バーンスタイン米国大型グロース株マザーファンドに投資するファミリーファンド方式

 

というわけで、ざっとまとめると

  • アメリカの成長企業にアクティブ投資をする、まぁまぁの実績を誇ったファミリーファンド方式の投信

ということになります。

 

4種類のファンド

ここで取り上げているアライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信は『Dコース』となっていますが、他にも3コース準備されています。

 

基本的には同じ投信ですが、

  • Aコース:為替ヘッジあり年2回の分配金あり
  • Bコース:為替ヘッジなし年2回の分配金あり
  • Cコース:為替ヘッジあり年12回の分配金あり
  • Dコース:為替ヘッジなし年12回の分配金あり

という差異があります。

 

純資産総額と各設定日は、

  • Aコース:0.13兆円(設定日:2006/05/25)
  • Bコース:0.69兆円(設定日:2006/05/25)
  • Cコース:0.39兆円(設定日:2014/09/16)
  • Dコース:1.79兆円(設定日:2014/09/16)

となっており、

  • 『為替ヘッジなし』『毎月分配型』が圧倒的に人気である

ことが分かります。

 

No1の純資産総額をほこる投信が、各所で非難の対象となっていた『毎月分配型』という点には驚きです。

 

ファンドの基本情報

また、基本情報は以下の通りです。

信託報酬 年1.727%(税抜1.57%)
信託財産留保額 なし
為替ヘッジ なし
委託会社 アライアンス・バーンスタイン株式会社
受託会社 三井住友信託銀行株式会社
分配金 毎月15日
投資形態 ファミリーファンド
純資産 1.79兆円(2022/11月末時点

 

インデックス投資であれば、0.1%程度の信託報酬が『あたり前』という時代の中、1.727%という信託報酬は「高い!」と言わざるをえません。

 

しかし、それでも多くの人がアライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型を買っているわけなので、そこには理由があるはずです。

 

よって、本投信の中身を確認していきましょう。

 

アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dの組み入れ銘柄

この投信の組み入れ銘柄トップ10は以下の通りです。

  1. マイクロソフト:9.2%
  2. アルファベット:8.4%
  3. VISA:5.3%
  4. ユナイテッドヘルス・グループ:5.0%
  5. クアルコム(半導体設計):4.4%
  6. ゾエティス(医薬品):4.0%
  7. バーテックス・ファーマシューティカルズ:3.8%
  8. アマゾン・ドット・コム:3.8%
  9. コストコ・ホールセール:3.3%
  10. モンスター・ビバレッジ:2.9%

 

『メジャーな企業』と言えるものばかりですね。

合計すると合計50.1%になりますので『わりと安定感のある投資をしている』と言えるでしょう。

 

また、セクター別の分布を見ると、

と、『情報技術』が際立って多いところが目立ちますが、情報技術のトップ3は、

  • マイクロソフト
  • VISA
  • クアルコム

と、『生活に欠かせない製品を作っている企業』ばかりなので、『Meta(旧FaceBook)』や『Twitter(もう買えないけど…)』のような不安定さはありません。

 

『成長株』という単語からは『イケイケの企業』=『株価が乱高下する』というイメージを持ってしまいますが、アライアンス・バーンスタインの組み入れ上位の銘柄を見ている限り、そうではないようで安心できます。

 

続いては、このファンドの特色である『予想分配金提示型』を見てみましょう。

 

アライアンス・バーンスタインの『予想分配金提示型』とは

この投信は『予想分配金提示型』という聞きなれない制度が採用されています。

具体的には上の内容となっていますが、カンタンに説明すると

  • 基準価額が上がれば上がるほど、多くの分配金を払うよ
  • 基準価額が下がれば、分配金を払わないかもしれないよ
  • つまり、基準価額は横ばい”がち”になるけど、分配金で儲けてね

という制度となっており、それは

  • 「分配金を払いすぎちゃったせいで、ファンドのお金がなくなっちゃった」といった問題を回避できるよ
  • 市場が好調(株価が大きく上昇)したら、多くの分配金をあげるから期待していてね

というメッセージになります。

 

『個人での投資』におきかえると、順調なケースでは

  • 100万円を投資しました
  • 株価があがって110万円になりました
  • 10万円を現金化して、引きつづき100万円だけで投資します

となり、不調なケースでは、

  • 株価がさがって資産が90万円になりました
  • 現金化はせずに、株価があがるのを待ちます

といったイメージになります

 

これはある意味では『高配当銘柄戦略』に近いモノがあります。

 

むしろ、

  • 一般的な『高配当銘柄戦略』よりも、『予想分配金提示型』の方がより高配当な戦略である

とも言えます。

 

というのも、

  • 『高配当銘柄戦略』は、配当だけでなく株価の上昇も期待できる
  • 『予想分配金提示型』は、分配金を最重要視しているため基準価額が上昇しない

となっているためです。

 

しかし、

  • 『高配当銘柄戦略』は、株価の下落時も配当金が期待できる
  • 『予想分配金提示型』は、基準価額の下落時は分配金が期待できない

というデメリットもあります。

 

この特徴を整理すると、この投信は

  • キャピタルゲインが存在しない
  • (株価が右肩上がりであるとすれば)キャピタルロスも存在しない
  • 市場が好調な時にインカムゲインを受け取れる

となります。

 

この特徴からは、

  • 『アライアンス・バーンスタインDコース』への投資は、『株式投資』というよりも『お金を生み出す装置の購入』に近い(キャピタルゲインがないので)

と考えた方がしっくりくるかもしれません。

 

『分配金あり』というフレーズに拒否反応を起こす人も多いでしょうが、上のように考えれば『予想分配金提示型』の魅力が分かるのではないでしょうか。

 

とはいえ、『魅力的な設計』となっていても実リターンに旨みがなければ、『ファンドの魅力』はないも同然です。

 

というわけで、パフォーマンを見ていきましょう。

 

アライアンス・バーンスタイン・米国大型成長株戦略のパフォーマンス

まずは、これ。

これは

  • 『アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信(マザーファンド)と同じ戦略(米国大型成長株戦略)』で1977年から2022年3月末まで投資をしていたら、どうなっていたか?

というシミュレーション結果です(実績じゃない)

 

この45年間で、投資額は

  • S&P500      (黄色線):134倍
  • 米国大型成長株戦略(青色線):326倍

となっており、『米国大型成長株戦略』の圧勝であることが分かります。

 

また、マザーファンド(アライアンス・バーンスタイン・米国大型成長株)の実績を見ると

と、『実績』でもS&P500を超えていることが分かります。

 

しかし、これは『マザーファンドのパフォーマンス』であり、『アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型(長すぎる…)』の実績ではありません。

(このグラフには高い信託報酬が加味されていない)

 

というわけで、『投信のリターン』を見てみましょう。

 

アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型のパフォーマンス

まずは分配金を除いた『基準価額』を見ていきます。

 

比較対象は『上場インデックスファンド米国株式(S&P500)』です。

(古くからあるS&P500投信が意外と少ないので、仕方なくこのチョイス)

 

結果はこんな感じ。

 

分配金を支払っているアライアンス・バーンスタイン投信は、基準価額が上昇せずに横ばいとなっていますが、設計通り『横ばい』に推移しているだけなので評価するべきところではありません。

 

この間、ライアンス・バーンスタイン投信が受け取ることができた分配金は13500円なので、2014年9月に1万円投資していた場合のリターンは、

  • S&P500投信    :+16,602円(+166.0%)
  • アライアンス投信:+13,563円(+135.6%)

となります。

 

分配金を受け取れば複利が効かなくなることでトータルリターンが落ちることになり、S&P500投信より劣ってはいます。

しかし、

  • 複利が効かない
  • 1.727%という高い信託報酬

という弱点をかかえているわりには、『そこそこ優秀なリターン』だと言えるでしょう。

 

また、分配金を再投資していたとすると、

  • アライアンス投信(再投資):+22,876円(+228.9%)

と、S&P500投信を大きく超えるリターンを手にしていたことになります。

 

『毎月分配型の投信を選らびながら、分配金の再投資をする』という矛盾のある行為をする人はいないとは思いますが、この結果からは、

  • マザーファンドの成績は、『高い信託報酬』を加味しても優秀である

ということが分かります。

 

こりゃー人気が出るわけですね。

 

しかし、これはあくまでも『過去』の実績であり、将来を保証するものではありませんので、その点では注意が必要です。

 

続いては、マザーファンドの運営をしているアライアンス・バーンスタインを軽く紹介します。

 

アライアンス・バーンスタインとは

アライアンス・バーンスタインは、1967年に誕生したアメリカの資産運用会社(株式会社)です。

 

2021年の実績は、

  • 売上 :  44.1億ドル
  • 運用額:7,790億ドル
  • 純利益:  11.5億ドル

と、かなりの大企業であることが分かります。

 

また、世界最大規模の資産運用会社と比べても

  ゴールドマンサックス ヴァンガード ブラックロック
売上 446億ドル 69億ドル 160億ドル
 運用額  2.1兆ドル 7.1兆ドル 9.0兆ドル

と、(桁は違うけど…)「そこそこの規模である」という印象に変わりはなく、安心して資産を預けれそうな企業だと言えるのかもしれません。

 

その他、交付目論見書にあるアライアンス・バーンスタインの紹介画像も載せておきますので、興味があればご確認ください。

(画像の『AB』は『アライアンス・バーンスタイン』を指しています)

 

では、最後にメリット・デメリットを整理したいと思います。

 

アライアンス・バーンスタイン投信のメリット・デメリットまとめ

メリット

  • 優秀な実績と歴史をほこるマザーファンド、アライアンス・バーンスタインに委託できる
  • アクティブ投資ではあるものの、大型株への投資がメインであることから比較的に安定している
  • 『分配金』をこまめに受け取ることができるが、基準価額が下がるような分配をせず、長期運用に耐えられる設計となっている

 

デメリット

  • (分配金を再投資しなければ)トータルリターンでは、インデックス投資を下回る
  • これまでは好成績であったが、将来のリターンが高いとは限らない
  • 1.727%というかなり高い信託報酬によって、投資の成績とは関係なく『確実に』個人投資家のリターンが削られる

 

まとめ:アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型を紹介させてもらいました

といった感じで、アライアンス・バーンスタイン投信を紹介させてもらいました。

 

このファンドは、

  • アクティブ運用
  • 毎月分配型
  • 高信託報酬

と、「調べる価値もない」と言いたくなるような特徴を持っています。

 

しかし、中を調べると非常に魅力的な投信であることが分かりました。

 

ずぶずぶのインデックス投資家である私も「これまでのリターンが継続するのであれば、買いたいかも…」と思ってしまいました。

 

しかし、『これまでのリターンが継続する』なんていう保証は一切ありません。

 

例えば、

  • 市場が変化し、これまでの手法が通じなくなる
  • 運用の担当者が入れ替わり、これまでとは違う判断で投資をするようになった

といった『変化』によって状況が変わることが考えられます。

 

また、この投信が成功を収めていることによって

  • 「”米国大型成長株戦略”というシンプルな戦略で儲けることができる」ということに気付き、マネする投資家が増える
  • 同じ戦略をとる投資家が増えれば、その戦略は通用しなくなる

といった大きな問題も控えています。

 

株式市場は戦いの場であり、『大きなリターンを得る投資家』がいれば、反対に『大きな損失をこうむる投資家』がでてきます。

つまり、

  • 『みなが同じ戦略をとり、みなが勝者となる』なんてことはあり得ない

わけです。

 

そんなことから、

「魅力的なファンドではあるものの、命がけで稼いだ『お金』を預ける先としてはイマイチかな」

というのを私の結論とさせて頂きます。

 

この投信は、皆さまの目にはどう見えましたか?

 

出典:目論見書

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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