最終更新日:2021/2/11
近頃『コロナバブル』という単語をよく聞くようになってきました。
実体経済をともなわない株価の上昇を見て、「バブルが発生している!」と考えている人が増えているようです。
そんな中、楽天トウシルに現在の株式市場はバブルか?3つの要素から考える という面白い記事があったので、紹介&考察していきたいと思います。
執筆されている山崎元さんは、
「株価がバブルであるか否かはある程度分かる。但し、いつまで続いて、幾らまで到達するのかを当てることは難しい」
とし、以下3点をバブルの判断基準として解説しています。
ではさっそく順番に見ていきましょう。
金融緩和
バブルの発生する条件として最初に挙げられるのが『金融緩和』で、『金融緩和』によって低金利となれば、『借金して投資する』ことが容易にできるようになり、大きなお金が市場に流れ込むことになります。
現時点では新型コロナ対策として世界的に金融緩和が進んでおり、この条件は満たされていることになります。
つまり、現在は「新型コロナが猛威を振るっていることによって株価が上がっている状態」と言え、このことからも『コロナバブルが発生している』と言いたくなります。
また「金利の上昇がバブル崩壊の時だ」と予想する投資家は多いと思いますが、過去のバブルを振り返るとそうではなく、
- 1980年代後半の日本のバブル
- リーマンショック
のどちらも、段階的な政策金利の引き上げの後に発生していました。
とはいえ、しばらくは低金利が続くと予想されます(FRBは2022年までの継続を表明)ので、金利の上昇がきっかけでバブルが崩壊するとしても、まだまだ先の話になりそうです。
(金利が上昇しなければ崩壊しないわけではありませんが)
リスクを過小評価させる仕掛け
次いで、『リスクを過小評価させる仕掛け』をバブル発生の条件としています。
リーマンショックの原因であるサブプライムローン問題が例として分かりやすいです。
この時は、『サブプライム層(信用度低い借り手)へのローン』という本来であればリスクの高い投資を証券化し「分散しているからリスクは低いよ」という説明によってAAAという高い格付けを手に入れ、
投資家に『リスクを過小評価させた』ことが大きな問題となりました。
現在であれば、
- 株価が下落すれば日銀がETFを追加購入するだろう
- 景気が悪化すれば追加経済対策が行われるだろう
といった考えから、「いま株式投資をするリスクは低い」と考えている投資家は多くいると思いますが、これが
- リスクを過小評価している
- リスクを適切に評価している
のどちらであるのか、冷静に考える必要がありそうです。
儲ける小悪党の存在
山崎さんは
バブルが育つためには、「信用を拡大し、投資を促進する」ことをサポートする会社や人間が必要だ。
例えば、サブプライム・ローンの拡大には、サブプライム・ローンをセールスしてボーナスが増える金融マン、証券化商品の組成とトレードで儲かる金融マンなど、違法ではないとしても、「他人にリスクを負わせることで自分が儲ける」ことで稼ぐ人々が関わっていた
とし、バブルの裏にいる小悪党の存在を指摘しています。
現在そういった小悪党の存在が目に付くことはありませんが、米国企業のCEO(のごく一部)がそれに当てはまるのかもしれません。
というのも、米国企業ではストックオプションが経営者に渡されるのが一般的で、ストックオプションの権利をもった経営者の中には「長期的な企業の業績よりも、一時的にでもいいから株価を上げたい」と考えてしまう人がいるからです。
この考えのもと
- リストラによるコスト削減
- 事業の売却による利益向上
- 大量の自社株買い
といった行為を行えば確かに短期的には株価上昇が狙えますが、『長期的な企業の成長』の足をひっぱるかもしれません。
なお、このストックオプション制度に関しては、ウォーレン・バフェットも「株主の利益とならない」と反対していることで有名です。
バブル崩壊はいつ?
といった感じで、バブルの予兆を考察してきたわけですが、「じゃーいつ崩壊するの?」との問いに対しては、
「バブル崩壊」は、将来の金融引き締めへの転換でほぼ間違いなく起こるだろうが、これは、かなり先になるのではないか。
一番早く問題になるかも知れないのはアメリカのインフレ率だが、「失業率が4%台で、インフレ率が2%を大きく超える」というような金融引き締めへの転換を警戒すべき状況まではまだ距離がある。
としており、
- 早くてもFRBの利上げが予想される2022年以降
でのバブル崩壊を予想しています。
とはいえ、山崎さんも「(バブルが)いつまで続いて、幾らまで到達するのかを当てることは難しい」と言っている通り、金利上昇以外にも
- 投資家が「あれ?いまの株価は割高じゃね?」と思うようなきっかけ
があれば、いつでも暴落は発生しうります。
また、新型コロナの鎮静化ののちに、『各国政府・中央銀行の(金融緩和の)不時着が成功した』となれば、バブル崩壊すら起きないかもしれません。
いずれにせよ、将来を予想することが困難なのは間違いないため、何があろうとも冷静にタンタンと投資を積み立て続けることが、個人投資家が生き残る道だと言えそうです。
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