更新日:2021/4/19
アメリカの金融機関であるEトレードの調査によって、個人投資家の約75%が
「株式市場は完全に、あるいは若干バブル化している」
と、考えていることが分かりました。
しかし、「バブル化している」としつつも、市場に対して強気(これからも上がり続ける)に考えている投資家は61%にも上り、新型コロナが流行する以前の水準にまで戻りました。
この調査は、オンライン証券口座で10,000ドル(およそ109万円)以上を管理している個人投資家を対象に行われましたものなので、『真剣に投資している投資家だけを対象にした』と考えられます。
実際に、全世界の株式市場(MSCI-ACWI)の某インデックス投信は、以下グラフの通りに推移しており、2020年3月の暴落から株価を急激に上げています。
具体的には、
- 4月初旬時点の基準価格は、暴落直前の最高値(2020年2月)と比べると、17.7%も上昇している
という状況にあり、
- 『株価の上昇率の平均は、年間で5~7%程度』 という過去実績
- コロナ禍において、経済が停滞している
という事実を踏まえると、ここ1年ほどは異常に株価が上昇していることが分かり、「バブルが発生している」と言いたくなる状況に見えます。
多くの個人投資家は強気の姿勢なのは…
しかし、多くの投資家がそれでも強気の姿勢を崩さないでいられるのは、
といった、政府による支援策に期待していることが主な理由となっています。
特に前者(インフラ計画)は、今後10年間にも及ぶ長期計画であり、『1900万人の雇用を生む』と試算されていることから、「これからも長期に渡ってアメリカ経済は安泰だ」と投資家を安心させる材料となっています。
また、『今まで新型コロナに対する経済支援策が(アメリカに限らず)いくどとなく実施されてきた』という実績があることから、
「これ以降、新たな問題が起きたとしても、政府によって新たな支援策が実施されるだろう」
と考えられていることも、投資家が強気でいられる要因となっています。
筆者の記憶によると、2020年10月ごろより『バブル』という単語を聞く機会が多くなってきたかと思いますが、そこから半年以上も右肩上がりで株価が上がり続けていながらも、未だにバブルが崩壊する予兆は見えてきません。
JPモルガン・チェースの調査によると、コロナバブルによる株価上昇で
- アメリカの家計資産の40%を株式をしめている
- これは、1950年以来の高い水準(ドットコムバブル時を超える)
となっていると推定されており、株式資産が肥大していることがよく分かります。
PERは明らかな割高を指している
一般的に『株価が割高かどうか』を測る指標として使われるPERは、以下グラフのように推移しており、『過去と比べると、かなり割高となっている』のは明らかです。
実際に、
など、多くの著名投資家やファンドマネージャが「今はバブルだ」といった発言をしており、特にジム・ロジャーズは、
「私は今年の終わりまでにはこのバブルが崩壊すると予測している。」
「私の人生史上で最大の不況が始まりそうだ」
と、かなり厳しい予想をしています。
とはいえ、残念ながら「いま本当にバブルが発生しているのか?」を判断することは困難です。
バブルを見極めるのは困難
1987年から2006年までFRB議長を務め、かつては『マエストロ』と呼ばれたアラン・グリーンスパンでさえ、「バブルは、崩壊して初めてバブルと分かる」と発言しており、例えさまざまな指数が「割高だ」と示していたとしても、それがバブルであるかどうかは分からず、『将来の経済成長を見込んだ、正常な株価』である可能性すらあります。
具体的には、『経済支援策によって経済が大きく成長し、株価に追いつく』というシナリオが考えられます。
実際に、経済協力開発機構(OECD)は、今後の世界経済成長率を
- 2021年:5.6%
- 2022年:4.0%
と、かなり高く予想しています。
参考記事:経済協力開発機構(OECD)の予想
その中でもアメリカは
- 2021年:6.5%
- 2022年:4.0%
と、かなり高い成長率が予想されています。
このような高い成長率を維持することができれば、(たとえ今が割高だったとしても)バブルが弾けることなく、株価が順調に推移し続けることも考えられます。
とはいえ、冒頭でも書いた通り、『個人投資家の75%が「バブルが発生している」と認識している』状況にあるため、
個人投資家が「これはやばいかもしれない。バブルが弾けるかもしれない。」と思うようなきっかけがあれば、一気に風向きが変わる危険性があるとも言えます。
バブル崩壊のきっかけは?
そのきっかけとなりそうなのものには、
- 仮想通貨の暴落
- 米国債金利の変動
- 増税
- コロナの再燃
などが一般的には挙げられています。
また、先月末には、アルケゴスの破綻問題が起き、「リーマンショックの再来か!?」と一時はヒヤリとしまたものの、暴落のきっかけとはなりませんでしたが、
株価の値動きが激しくなっている昨今では、似たような問題が発生する可能性は十分に考えられます。
アルケゴスと同様のファミリーオフィスは世界中に存在し、運用規模は6兆ドルにも上るとみられており、規制がゆるいことから、とんでもない取引をしている恐れがあります。(アルケゴスは10倍のレバレッジをかけて株取引をしていた)
今回のアルケゴスの破綻問題をきっかけに『ファミリーオフィスの規制強化』が進んでいくことは確実とみられており、それによって様々な問題が露見し、市場にとってはマイナスの影響を及ぼすことも考えられます。
…と、色々と不安材料を挙げてきましたが、あくまでも「きっかけとなるかもしれない」というものばかりなので、実際に暴落するかどうかは『神のみぞ知る』としか言えません。
が、いずれにせよ、繰り返しになりますが、
- 個人投資家の約75%が「バブルが発生している」と認識している
のは事実なので、いずれくる事態に備えておいたほうが良いと言えそうです。
出典:Day Traders Know a Bubble When They See One, and They Want In
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