『オルカンとS&P500両方への投資』を批判するような発言がたまにありますが、私はなんの問題もないと考えています。
主な批判は、
- オルカンにはS&P500が含まれており、追加で加える必要がない
- 時価総額加重平均がベストな分散であり、それから外れるのは得策ではない
といった内容です。
なかには、
- ラーメンセットとラーメン（単品）を同時に頼むようなものである
との例えで問題を指摘する人もいます。
これは良い例えだと思います。
ラーメンセットとラーメン（単品）を頼めばラーメン比率がかなり高くなりますので、「こんなにラーメンばかりはいらない」と考える人は多いでしょう。（『食事量』ではなく『バランス』の話）
しかし、皆がそう考えるわけではありません。
なかには
「チャーハンとか餃子はほんのちょっとでよくて、ラーメンをいっぱい食べたい」
と考える人もいるのではないでしょうか。
そういう人にとっては、『ラーメンセットとラーメン（単品）の組み合わせ』は『ラーメンセット』よりも良い組み合わせだと言えます。
「オルカンは、考え抜かれたポートフォリオ（時価総額加重平均）で投資する最高の投信である。よって、それにアレンジを加えるのは『悪』である」
というツッコミは分かりますが、それは
「ラーメンセットは、店主が料理を楽しむためのベストなバランスを考慮した最高のセットである。よって、それにアレンジを加えるのは『悪』である」
と言っているようにも聞こえます。
どちらも、ある人にとっては正解であるものの、そうは思わない人がいることも事実です。
未来が分からない以上、投資に正解はありません。
である以上『自分の信じる投資』を正解とするしかありません。
また、オルカンが採用している時価総額加重平均も必ずしも正解とはいえず、（みんなのアイドル）ジェレミー・シーゲル氏も
「ファンダメンタル加重平均は、市場（時価総額加重平均）に勝てる可能性のある手法である」
と、『時価総額加重平均がすべてではない』と、言及しています。
よって、
- 時価総額加重平均にこだわらず、通常のオルカンよりもアメリカ比率を高めたいのであれば、『オルカンとS&P500両方へ投資する』のも正しい選択である
と言えるのではないでしょうか。
これは、深く考慮した末の結論でなくても
「人気の投資先は、S&P500とオルカンか～」
「どっちに投資したらいいか分からないから、両方に賭けたろ！」
といった『ゆるい考え』によってたどり着いた結論であったとしても同じです。
インデックス投資のメリットの一つは『気軽に投資できること』だと私は思います。
対象のインデックスが『何を目的として誕生したのか？』『具体的にはどこに投資しているのか？』などを知らなくても
「オルカンは全世界の株式に投資しているらしいから、世界経済が発展し続ける限り大丈夫だと思うの」
と、雰囲気だけで投資することができてしまいます。
もちろん、これはデメリットでもありますが、他の多くの商品も同じように
- 自動車保険に入っているが、どういった事故にあった時に、どういった保証がされるのだろうか？それは確実なのだろうか？
- googleがどういった根拠を元に検索結果を表示しているのか、その検索結果は信じてもいいのだろうか？
- セキュリティソフトを使っているが、このソフトウェアはどういった仕組みでセキュリティを担保しているのだろうか？
- Androidスマホと比べて高価なiPhoneを使っているが、本当にそれだけの価値があるのだろうか？
なんてことを考える人は少なく、『ゆるい考え』で商品を選び、それでも上手いこと活用している人がほとんどではないでしょうか。
そして、インデックス投資もその域にまで近づきつつあるように感じています。
しかし「あと一歩…！」とも感じています。
というのも、『よく分からないけど選べる商品』になるためには、販売元の『ブランド』や『信頼』が必要になってきますが、その点において、日本の投資信託を取り扱う機関は足りていないと感じているためです。
ここがしっかりしてくれば、
「詳しくは知らないけど、全世界株式なら安心な気がする！」
「でも、ちょっとアメリカへの投資比率を高めたいからS&P500に投資する！」
という軽い判断をしても、誰からも批判されなるなることでしょう。
また、ほとんどの人にとって投資の目的は『投資をすること』ではなく、それどころか『お金を増やす』ことですらありません。
投資の目的は『人生を楽しむ』というモノであるはずです。
であれば、時間をかけて投資のことを理解し、少しばかしリターンを増やすことに成功したとしても、『楽しむ時間』を奪われるようになってしまっては本末転倒です。
インデックス投資は、多くの賢人が、多くのデータを集め、多くの検討を重ねた末に誕生したものです。
時間をかけずに、これが活用できるのであれば、これほど素晴らしいことはないでしょう。
というわけで、大して勉強していない人でも、インデックス投資が『気軽』に、かつ『安全』に活用できる商品になることを祈って、この記事を終わりにしようと思います。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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