心配をしすぎたり、ストレスを感じすぎたりすることで、人のパフォーマンスは低下します。
反対に言えば、
- 『心配』や『ストレス』をコントロールできるようになれば、『最高の状態』を手に入れ、高いパフォーマンスを発揮できる
わけでもあります。
とはいえ、『心配やストレスをコントローるする方法』は知られておらず、「メンタル的に苦しむのは仕方がない」と諦めている人がほとんどでしょう。
また、
- 細かいことは気にしない!
- いまを楽しもう!
- とりあえず動いてみよう!
と、よくあるアドバイスを聞いてはみたものの、一時しのぎにしかならずに「そう簡単には解決しないよね…」と感じている人も多いでしょう。
しかし、神経科学や生物学の研究が進んだおかげで、この「苦しみ」を処置する方法が明らかになってきました。
つまり、
- 様々な苦しみを消し去り、『最高の状態』を手に入れる方法が分かってきた
わけです。
そこで、この記事では、科学的に証明された『苦しみをコントロールするためのテクニック』を取り扱っている著書『無(最高の状態) 著:鈴木 祐』を要約しつつお伝えしていきたいと思います。
ざっくりと本の内容を紹介させてもらうと、まずは
- 人類がみなネガティブなのはなぜなのか?
- 自己があるために苦しむわけだが、自己は消せるのか?
- ヒトを苦しめているのは『現実』ではなく『物語』だ
といった『どこから苦しみが来ているのか?』を教えてくれます。
その後、
- 自分を守るための境界を作る方法
- 自分を苦しめる考えから逃れる方法
- 『痛み』があったときの『苦しみ』を最小限に抑える方法
- 苦しみをこじらせず自分を鎮める方法
といった具体的な対策を教えてくれ、最後には
- これら方法を知ることで手に入るもの
を解説してくれます。
著者の鈴木祐さんは、
私の場合は、子どもの頃からの対人不安と気の小ささが悩みの種で、仕事で少しミスをしただけで体調を崩し、大勢の人と会話をした後は気付かれで寝込み、かといって人に認められたい気持ちは人一倍だったから手に負えません。
と、過去の自分を告白しています。
鈴木祐さんの言えば、この本だけでなく、
- 最高の体調 ~進化医学のアプローチで、過去最高のコンディションを実現する方法~
- ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45
- 科学的な適職 4021の研究データが導き出す、最高の職業の選び方
- 不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる
- パレオダイエットの教科書
- 超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド
といった数多くの本を出している超売れっ子作家です。
このような高パフォーマンスが発揮できているのは、著書『無(最高の状態)』に書かれている技術を実践しているからでしょう。
というわけで、鈴木祐さんが自身の実績によって効果を証明している『無(最高の状態)』を紹介させて頂きます。
<目次>
- 無(最高の状態)著:鈴木祐を紹介します!
- 感情を粒度を上げることでメンタルが安定する
- 苦しみ=痛み × 抵抗
- 『辛い感情』を『モノ』とイメージしてスルーする
- 抗うつ剤による治療並みの効果がある『観察』
- 感情やストレスは必要
- まとめ:『無(最高の状態)』を読んで穏やかな人生を手に入れよう
無(最高の状態)著:鈴木祐を紹介します!
まず、『無(最高の状態)』の冒頭部分を引用します。
心配事の97%は起こらない ― 。
そんな研究があるのはご存じでしょうか?
私たちが抱く悩みや心配の大半は取り越し苦労だとよく言われますが、これはデータでも確認された事実です。
心配しすぎるあまり、心が疲弊してしまう人は多くいるかと思いますが、その心配事のほとんどは『過剰な心配』であるため、
- 必要のない心配をしてしまうことで、意味のない疲弊をしている
ケースがかなり多いです。
そして、この『ネガティブ思考』は、人の本能によるものなのです。
人はネガティブにできている
残念ながら『人の基本はネガティブである』というのは科学的にも裏付けされ始めています。
以前、行動経済学を株式投資に活かすために学ぼうの記事でも紹介させてもらいましたが、
- ヒトは、『1万円失った悲しみ』を『1万円もらった喜び』で埋めることはできない
ということが様々な研究から証明されており、
- ポジティブな出来事よりも、ネガティブな出来事に注目してしまう
のは間違いありません。
これは、
- ネガティブな人間のほうが、生存する可能性が高い
という原始から続く摂理によるものです。
ネガティブな人間が生き残る
人間が狩猟にて食料を手に入れていた時代には、現代では考えられないような危機と直面しながら生活していました。
また、文明が出てきてからも部族間、国家間の争いや、伝染病、飢餓など様々な脅威にさらされながら生きてきました。
そして、このような『脅威』を避けるためには、『危険に注目する能力』=『ネガティブになれる能力』が必要です。
昔であれば、
- あの物音の先には、猛獣がいるのでないか…?
- ここには危険な虫がいたことがあるので、今もいるのではないか…?
- もし雨が降らなかったら、食糧がなくなるのではないか…?
といったことを心配し、それに備えることで生存確率を高めてきました。
それが、現代になって
- 上司が挨拶してくれないのは、自分が嫌われているからでないか…?
- もし仕事に失敗したら、周りから叱られるのではないか…?
- もしSNSで間違った発言をしたら、炎上するのではないか…?
などを心配するようになっています。
しかし、『現代の心配』は生存に関わるほど重大なモノは少なく、『必要以上に心配してしまうことがある』と言えます。
『現代の心配』には、主に下の3つがあると言われています。
- 孤独感
- 鬱と不安
- 完璧主義
これらに対して個別に対処していくことで、ある程度は不安から逃れられることはできますが、『人間のデフォルトはネガティブ』である以上、小手先の対処だけでは根本的な解決にはなりません。
その『根本的解決』のためには、自己を知る必要があります。
自己を知り、自己を消す
人間だけでなく、動物にも『苦しみ』があります。
しかし、その『苦しみ』をこじらせるのは人間だけです。
例えば、
- 後遺症の残るケガ
- 親族の死
などがあれば、人間も動物も苦しみを感じます。
しかし、人間はその苦しみを何年も引きずり、動物はその時に苦しんでもそれをこじらせることはありません。
その理由は、
- 人間は、自分で自分自身を苦しめる行為を行うため
だと『無(最高の状態) 』では解説します。
感情が生まれたときに、二の矢が刺さるかどうか
鈴木祐さんは、人間だけが苦しみをこじらせる理由を説明するために、
一般の人と仏弟子の違いとは、”二の矢”が刺さるか否かだ
というゴータマ・ブッダ(釈迦)の言葉を紹介しています。
『一の矢』を『ケガ』『病気』『知人の死』などによる苦しみとすると、
『二の矢』は『自分の中から生まれてくる感情』による苦しみとなります。
『仏教』によって悟りを開けば、『苦しみから逃れられる』というイメージがあるかもしれませんが、実際には
- 仏教の修行をしたところで、苦しみの感情が沸いてくることは避けられない
- しかし、修行をすることで、苦しみの感情が沸いてきたあと、自分で自分を苦しめる”二の矢”を止めることができる
と解説しています。
『一の矢』は修行僧であろうとも避けられません(痛いものは痛いです)
しかし、多くの人は『一の矢』を受けた後に、
「くそー、やってしまったー」
「あの時、しっかり確認していれば…」
「最初からあんなことに手を付けなければよかった…」
「やっぱり俺はダメなやつなんだ…」
と、取り返しのつかない過去を悔やみ、自分を苦しめる”二の矢”を放ってしまいます。
これが『人間だけが、苦しみをこじらせる理由』です。
おそらくあなたも、
- 自分のミスを忘れられず、繰り返し後悔し続けてしまった
という経験があるかと思います。
このように、『過ぎたこと』や『未来の不安』を繰り返し考えてしまうことを『反芻思考』と言い、この反芻思考が
- うつ病や不安障害
- 心臓病や脳卒中
などのリスクを高めると報告されていますし、心身に大きなダメージを与えることは考えるまでもなく明らかです。
よって、苦しみをこじらせずに最高の状態を手に入れるためには
- いかに二の矢を抑えられるか
にかかっています。
そして、意外と簡単に二の矢は消せそうです。
一の矢が刺さったら、しばらくは気をそらす
一の矢、すなわち人の痛みや苦しみによる負の感情は、短時間しか続きません。
苦しみに直面すると、アドレナリンやノルアドレナリンなどが分泌され、一気に負の感情が沸いてきます。
しかし、その後
- 4~6秒後には、アドレナリンなどを鎮静化する作用が働きだす
- 10~15分後には、アドレナリンなどの影響はほとんどなくなる
ことが分かっています。
つまり、とりあえずはこの期間だけでも耐えることができれば、二の矢を放たなくて済むわけです。
その方法の一例として、『無(最高の状態)』では、以下の実験を紹介しています。
プリマス大学の実験では、まず被験者に
「いま最も食べたいものについて考えてください」
と指示し、好きなお菓子やコーヒー、ニコチンなど、好きなものを自由に思い浮かべさせて欲望をかき立てました。
続いて被験者の半分に「テトリス」を3分間だけプレイさせたところ、おもしろい変化が起きます。
ゲームで遊んだグループは、そうでない被験者に比べて渇望のレベルが24%も下がり、カフェインやニコチンにさほどの魅力を感じなくなったのです。
つまり、
- 強い感情が生まれた直後に、まったく関係のない『注意力の必要な作業』をさせることで、ホルモンによる支配を逃れることができる
ことが研究で明らかになり、
- これを利用することで、自分を苦しめる”二の矢”を止めることができる
というわけです。
二の矢が放たれるのは『自己』があるため
二の矢が放たれる原因を突き詰めていくと、『私は私である』という自己にたどり着きます。
苦しみは、
「”私”が怒られた。」
「”私”がケガをした。」
「”私"の将来は暗い。」
と、自己を起点にして生まれてきます。
ある意味あたり前のことかもしれませんが、
- 自己にこだわる人ほど、メンタルを壊しやすい傾向がある
- 理想の自分を思う時間が長い人ほど、不安や鬱の症状を起こしやすい
ということが様々な研究から判明しており、
- 自己へのこだわりを消す(減らす)ことで、苦しみを減らすことができる
ということが分かっています。
自己は生活を豊かにするための”機能”である
とはいえ、もちろん人類『自己』が備わっているのは『必要であるから』なのは間違いありません。
著書では、自己のもつ機能を以下7つに分けて紹介しています。
- 人生の記憶:自身にあった過去のエピソードを思い出す機能
- 性格の要約:自分の性格をおおまかに理解する機能
- 感情の把握:環境の変化による影響をうけとめる機能
- 事実の知識:自分の年齢や特徴を理解する機能
- 連続性の経験:いまの「わたし」は、過去の「わたし」とつながった人間だと理解する機能
- 実行と所有感:自分の体をコントロールしているのは自分だと感じさせる機能
- 内面の精査:自分の思考・行動をモニタリングし、新たな思考・行動につなげる機能
どの機能も生活していくうえで欠かせないもので、完全に自己をなくしてしまっては生活に支障が出てしまいます。
その反面、
- 自己はただのツールであり、一時的に消すこともできる
というのも事実です。
例えば、
- ゲームに熱中して気付いたら大量の時間を消費していた
- ただひたすらドラマの世界に入り込んでいた
- 仕事に集中して周りが見えなくなっていた
- 完全にリラックスしていた
といった時には、上であげた『自己の機能』が働く必要はありません。
つまり
- 『自己を消すトレーニング』などによって自己をコントロールできるようになれば、二の矢による苦痛を避けることができそうだ
と言えます。
自己があるために自分を苦しめる『物語』を作ってしまう
自己が苦しみを作り出してしまう原因の一つは、
- 「○○が起きたから、悲惨なことが起きる”はず”」という『物語』を作ってしまう
という点にあります。
自分が自分であることを認識するため、『自分の性格』や『自分の過去の行動』を把握しており、それによって「これから悪いことが起きる”かも”しれない…」と妄想してしまいます。
そして、やっかいなことに『ただの妄想による物語』を『現実』であるかのように思い込んでしまうため、苦しみが生まれてしまうわけです。
それどころか、
- 人類の脳は現実よりも物語を重要視する
という大きな問題があります。
人類の脳は現実よりも物語を重要視する
というのも、
- 活動からインプットされる情報は限られており、欠けている部分を想像で補う必要がある
ためです。
普通に生活していて、インプットされる情報は、
- 目にうつった景色
- 耳に入った音
などで、これらだけでは「この先には○○な危険が待ち受けているかもしれない」という判断はできません。
よって、状況を把握するためには、『インプット』を参考に『物語』を作り出す必要があります。
そのため、
- 人類の脳は『物語』を重視するようになり、『物語』を『現実』だと受け取るように進化してきた
わけです。
この進化は、生き延びるために必要な進化であったわけですが、その反面
- 起きてもいない『想像によって生まれた不安』に苦しめられる
という問題も引き起こしました。
ただ、これは逆に
- 『不安な物語』を想像しないよう抑えられれば、心が疲弊するケースが激減する
とも言えます。
『無(最高の状態) 』では、その方法をいくつか紹介しています。
感情を粒度を上げることでメンタルが安定する
メンタルを安定させる方法の一つとして『感情の粒度を上げる』方法があります。
『感情の粒度が高い』とは、『感情を様々な言葉で表すコトができる』ことを指しており、鈴木祐さんは、
- 感情の粒度が低い:何か嫌なことがあった際に、すべてを「むかつく」や「気持ち悪い」など1~2つのボキャブラリーだけで表現する。
- 感情の粒度が高い:気分が悪いことに対して、「癪にさわる」「憤る」「いらつく」といった複数の表現を思いつき、その中から一番しっくりくる言葉を選ぶことができる
と解説しています。
「そんなことで何か変わるのか?」と、疑問に思う方も多いでしょうが、ここ最近研究で、『感情の粒度がメンタルの安定に大きく影響する』ということが分かってきました。
具体的には、ジョージ・メイソン大学などのチームは
- 「感情の粒度」が高い人たちは、セルフコントロールがうまく、アルコールやドラッグに依存しにくいうえに、病気にもかかりづらい
という研究結果を報告しています。
その理由は、
- 感情の粒度が高いほど、脳が混乱しづらくなるから
です。
例えば、『怒り』という感情一つとっても、
- 理由もなく八つ当たりされて、怒りが沸き、悲しい思いをした
- 後輩がミスをして、怒りが湧きつつ、「自分の教育が悪かったのだ」と罪悪感を抱いた
- 応援している野球チームが負け、怒りがわきつつも絶望感を味わった
など、様々な感情があります。
であるのにも関わらず、どれも『むかつく』という言葉ひとつで済ましてしまっていると、脳は
「前とは違う感覚にあるのに、『むかつく』という感情が沸いているぞ…?」
と混乱し、必要以上のダメージを受けてしまうことがあります。
その混乱を回避するために感情の粒度を上げ、感覚にマッチする感情(言葉)を身に付けておく必要があります。
その感情の粒度を上げるための方法には、以下の二つがあります。
- 新しい言葉を学ぶ
- 感情ラベリングを行う
前者は言わずもがな、
- 普段は読まないような小説を読み、普段は使わない言葉を学ぶ
- 外国語を学び、新しい感情の表現方法を学ぶ
といったことで、感情の粒度を上げることができます。
後者の『感情ラベリング』については、『無(最高の状態)』で
目を閉じて、過去にあなたが出くわしたネガティブな体験を2~3個ほど思い出してみてください。
知らない人に怒鳴られた、仕事でミスをした、人前で転んだなど、どんな記憶でも構いません。
嫌な記憶を思い出したら、そこにともなう感情の種類をできるだけ細かく表現してみましょう。
「裸の肌に藪蚊が群がってきたようなプレッシャー」などと比喩を使っても良いですし、
「怒り30%、悲しみ20%、焦り50%」のように感情を比率で表すのも良いでしょう。
なかなかうまい表現が見つからないときは、「感情表現辞典」や「類語辞典」を探すのもおすすめです。
と解説しています。
これにら方法によって、感情の粒度を上ることで、メンタルを安定化させることができます。
さて、続いては
- 『どうしても避けられない苦痛』と戦わなければならない時に、苦しみを和らげる方法
について見ていきましょう。
苦しみ=痛み × 抵抗
苦しみに遭遇したとき、多くの人は
- 「自分は悪くない!」と怒る
- 不安を押し殺して現実逃避する
- アルコールやタバコなどの刺激に逃げる
といった抵抗をします。
しかし、こういった抵抗による『苦しみをまぎらわせる効果』は長続きせず、何も解決せずこれら抵抗によって逃げ出すことは、さらなる苦しみを生み出すことになります。
このメカニズムを、仏教研究者のシンゼン・ヤングは
- 苦しみ = 痛み x 抵抗
という式を使い
- 抵抗すればするほどに、苦しみは増していく
ことを説明しています。
そこで重要となってくるのが『降伏』というテクニックです。
『無(最高の状態)』では、2014年にブリティッシュコロンビア大学などのチームで行われた以下の実験を紹介しています。
これは健康な女性を対象にしたテストで、チームは全員に高負荷のサイクルトレーニングを指示。
その際に半分の参加者だけ
「不快な感情をできるだけ受け入れるようにしてください」
とアドバイスしました。
トレーニング中の辛さに
「この痛みがなくなれば良いのに」と願ったり、
「思ったよりも苦しくない」と自分を偽ったりするのではなく、
「運動の不快感は避けられないものだ」と認め、ネガティブな感情を迎え入れさせたのです。
結果、不快を受け入れた参加者は「苦しみ」の認知が大きく変わり、運動の辛さに抵抗したグループと比べて主観的な辛さが55%も低下し、疲れて動けなくなるまでの時間が15%増加しました。
この結果をもとに、チームは「不快を受け入れること」の効果を強調しています。
つまり、
- 痛みを受け入れ『降伏』することで、苦痛が和らぐ
というわけです。
これは、上でも取り上げた『反芻思考』にも効果的で、
「ネガティブな考えがループしている。これはまずいから、何とかして抑え込まねば…!」
と、抵抗すると『反芻思考』はより強固になってしまい、なかなか抜け出すことができません。
しかし、『降伏』をして
「ネガティブな感情が沸いてくるけど、まぁ、しょうがないよね」
と受け入れてしまうことで、苦しみを軽くすることができます。
イヤな気持ちにはついつい抵抗してしまいますが、『降伏』が苦しみを軽減してくれることを覚えておきましょう。
そして、その『降伏』を実践するには、『例え話』を使うのが最も手軽であると『無(最高の状態)』では紹介しています。
『辛い感情』を『モノ』とイメージしてスルーする
『辛い感情』が沸いてきたとき、次のようなイメージし、考えてみてください。
空気でふくらませたビーチボールを持って、プールに入ったところを想像してください。
自分の思考や感情に真正面から立ち向かうのは、このビーチボールを水の中に鎮めようとするようなものです。
力を込めるほどボールは水面に浮かびあがろうと力を増すでしょう。
そんな無意味なことをするよりは、ビーチボールはそのっまにしておき、水や対応の感覚を楽しむほうが有意義なはずです。
このイメージを持てば、
- 辛い感情に対する『抵抗』が、いかに無意味なことであるか
- 『降伏』してしまったほうがラクである
ということがよく分かるかと思います。
この方法は、セラピーでもよく使われ、
- 『辛い感情』のイメージを理解することで、『降伏』の能力が上がることが複数の研究で証明されている
と、実証もされている基本的なテクニックです。
このようなイメージをできるようにしておくことで、うまく『降伏』し、苦しみを軽減させることができるわけです。
さて、最後には
「色々やったけど、苦痛から逃れられない!」
という人のために、
- 抗うつ剤による治療並みの効果がある『観察』
を紹介したいと思います。
抗うつ剤による治療並みの効果がある『観察』
『無(最高の状態)』では、『観察』のことを
文字通り、あなたの脳内に浮かぶ物語をじっくりと見つめる作業を意味します。
人前で失敗した過去のイメージ、嘘がバレたあとの恥ずかしい感情、「貯金が尽きたらどうする…」という思考など、すべてのネガティブな物語を科学者になったような気持ちで観察し続けるんのが基本です。
と説明し、ジョンズ・ホプキンズ大学などのチームが、複数の研究を分析した結果をあげ、
「自分の思考や感情を観察するトレーニングを8週間続けると、不安と抑鬱症状には0.3、痛みには0.33の効果量を持つ」
と報告しました。
効果量は観察のメリットを数値に換算したもので
0.3ポイントという数字は、一般的な薬物治療に相当するレベルです。
と『観察』の効果を紹介しています。
『観察』のトレーニング方法は様々ありますが、私も実践していて『実際に効果がある』と感じている方法をひとつだけ紹介します。
それが作務(さむ)です。
作務とは、ざっくり言うと
- 禅の修行のひとつで、日常生活の動作(掃除や皿洗いなど)に集中すること
で、瞑想の一種と言えるモノです(私が思うには…)
『無(最高の状態)』では、作務の例として
- お茶を飲むときに舌で感じる味わいに意識を向け続ける。
- 食器を洗っている間、自分の呼吸に気を付け続ける。
- 床を雑巾がけするときのくり返しの動きを感じ続ける。
などなどの例を挙げていますが、私のおススメは、
- 洗濯物を干すとき、ピンチをつかみ、はなす動作に集中する
です。
集中してピンチをつかむと、
- ピンチが「ギギギ」と音を立てて開いていく
- 指にピンチのギザギザの感触がある
- 意外とピンチの反発力が強い
などなど、普段の洗濯物干しでは感じたこととのない感覚を見つけることができます。
私は、洗濯物干しをしているときに、
「めんどうだなー」
「家族はスマホいじってたり、遊んでたりしてるのに、何で私だけ家事しないといけないんだよ」
からの
「いっつも、家事は私が一人でやらないといけないなんて不公平だ!」
などなど、ネガティブ思考のループ=『反芻思考』に陥ってしまうことがあります。
しかし、ピンチに集中して洗濯物干しをしていると、『反芻思考』から抜け出すことができ、穏やかな気持ちになれます。
こういったトレーニングを、日常の様々な作業に取り入れることで、心穏やかな生活が送れるようになりますので、よろしければ是非お試しくださいませ。
※瞑想について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
また、こういった『観察』のトレーニングを行うことで、
- 幸福度の上昇
- ポジティブな感情が上昇
- 慈悲心が上昇
- ネガティブ感情が低下
- 物事への執着心が低下
といった効果が得られることも、ダービー大学などの試験で確認されています。
ここであげたおうなトレーニングは、無料で行うことができるものばかりですので、「アヤシイ…」と思っている人も、騙されたと思ってやってみてもよいかもしれませんね。
とはいえ、『不安』や『恐怖』といった感情は、必要であるから生まれてきたものであるため、消してしまってはいけませんので、そこには注意が必要です。
感情やストレスは必要
『無(最高の状態)』では、感情の種類別に
- 怒り=自分にとって重要な境界が破れたことを知らせる
- 嫉妬=重要な資源を他人が持っていることを知らせる
- 恐怖=すぐそばに危険が存在する可能性を知らせる
- 不安=よくないものが近づいていることを知らせる
- 恥 =自己イメージが壊されたことを知らせる
と役割を説明し、
もしこれらの感情がなかったら、あなたは身に迫る危険を察知できず、大事なものを奪われても取り戻そうとすらしないでしょう。
この意味でネガティブな感情は敵ではなく、私たちを守ろうと気を病む乳母のような存在といえます。
と、感情が必要であることを解説しています。
また、みなが「避けよう」としているストレスについても同じことです。
世界でもっとも幸福な部族と言われるピダハン族は、メンタルの問題をほとんど抱えていません。
ピダハン族は、熱帯雨林で暮らす狩猟民族で、私たち先進国民をくらべると、かなり不便な生活をしているのにも関わらず、です。
「狩猟民族はストレスのない生活を送ってるんだね~」と思うかもしれませんが、そうではありません。
ピダハン族は
- 毒を持つ爬虫類や虫に襲われるリスクがある
- 治療する手段のない伝染病に脅えなければならない
- 土地に侵入してきたよそ者から暴力を振るわれることもある
と、私たちの生活では考えられないようなプレッシャーを抱えているのにも関わらず、精神的な健康を手にしているわけです。
つまり、
- ストレスから完全に解放されるのがベストではない
というわけです。
ここを理解したうえで、『過剰な不安』『過剰なストレス』を避けるべくトレーニングをすることが、生活を豊かにするうえで必要だと言えそうです。
まとめ:『無(最高の状態)』を読んで穏やかな人生を手に入れよう
といった感じで、鈴木祐さんの書いた著書『無(最高の状態)』を要約しつつ紹介させて頂きました。
簡単にまとめると、
- ネガティブであることで生き残ってきた人類は、デフォルトがネガティブ
- 自分を苦しめるのは、『自分で作った物語』である
- 感情をくわしく理解できるようになれば苦悩が減る
- 痛みに抵抗すれば苦しみが増す
- 感情やストレスは必要なものである
となります。
このブログでは、
- 誰にでもできる投資方法を広め、多くの人が余裕ある資産を手に入れて豊かな人生を送れるようになって欲しい
というコンセプトで情報発信をしていますが、
- お金の有無は豊かさを決めるポイントのひとつでしかない
ことは確かです。
十分なお金を手に入れ、セミリタイア、FIREできたとしても
「国家が、年金が破綻したら老後の生活がなりたたないかも…」
「株価が暴落したら生きていけなくなるかも…」
「再就職しようと思っても、良い職場が見つからないかも…」
「再就職した先がブラック企業だったらどうしよう…」
といったコトを日々考えてしまうようでは、『不幸』としか言いようがない人生を送ってしまうことになります。
よって、
- 投資によって資産形成するのと同時に、メンタルトレーニングを行うことで、豊かな人生を手に入れることができる
と私は考えています。
この『無(最高の状態) 』は、その『豊かな人生』を送るための具体的な方法を指南してくれる本です。
私は本書を参考にして、『豊かな人生』を送れるようトレーニングを継続しながら生きていくこととします。
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