2019年、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相のもと『幸福予算(wellbeing budget)』という、
- GDPを無視してでも幸福を優先するための政府予算
が組み込まれるようになりました。
その『幸福予算』では、以下5つの項目を予算調達の優先事項とするようにとり決められています。
- 持続可能で低排出の経済への移行
- 身体的およびメンタルヘルスの改善
- 社会的および経済的機会の確保
- マオリと太平洋の人々の機会を増やす
- 子どもの貧困の削減
2019年の発表では、
メンタルヘルスの改善には、今後5年間で1664億円の予算を、
新しい学校や教師の追加には、今後10年間で1134億円の予算を、
子どもの福祉関連には、936億円の予算などを計画していることを公開しました。
ニュージーランドは人口500万人ほどの国なので、『一人当たり予算』を日本の人口に合わせると、この20倍以上の予算(数兆円規模)を計上していることになります。
『国民が幸せであるかどうか?』の評価基準
なお、『国民が幸せであるかどうか?』は、下の画像の項目にそって評価されることになります。
いくつか具体例をあげると、『自殺率』や『失業率』のようにみなれたモノのほかに、
- 12歳以上の国民に『自由な時間』がどれくらいあるか?
- 緊急時に寝泊まりさせてくれる知人をもっているか?
- 1週間以内に同居していない友人と顔を合わせたか?
- 4週間以内にボランティア活動を行ったか?
- 密集した家に住んでいるか?
- 住宅費が収入の30%を超えているか?
- 暗くなってから近所を一人で歩いても平気だと考えているか?
といった項目で評価しており、ニュージーランド政府のサイトではこの推移を(下のグラフなどで)確認することができます。
この予算が採用されてからの日が浅く、またコロナ禍に入ったことで世界が激変したために『幸福予算』の実績を正確にはかることはできません。
しかし、期待できる取り組みだと思い紹介させてもらいました。
なお、2022年にはオーストラリアも同様の政策をとることを明言しました。
今後『幸福予算』が広がっていくかどうかに注目ですね。
--------
んで、ここからはただの感想。
この『GPDをあきらめて、幸福を追求する』って、かなりむずかしい決断だと思うのです。
これを個人に当てはめると、
- 収入が減ってもいいから、仕事する時間を短くする or 楽な仕事に転職する
- 同僚や友人は、年とともに収入アップ&暮らしを贅沢にしていくが、自分は収入を減らし、暮らしを『比較的』に貧しくする
といった感じになるかと思いますが、これを受け入れられる人は少ないのではないでしょうか?
スパコンSEファミリーは、平均的な家庭とくらべて多くの資産があるため、
「もうお金のために働くのをやめて、質素な暮らしをしてもいいんじゃね?」
という考えを受け入れやすい環境にあるはずですが、それでもその方向に舵をきる(私であればセミリタイアする)のにはかなりの決断力が必要であることをヒシヒシと感じています。
収入(GDP)が減れば生活水準が落ち、まわりの人(国)よりも『金銭的に貧しい暮らし』をせねばらなくなります。
自分がそれを受け入れることができたとて、家族(国民)にそれを受け入れさせるのはそう簡単な話ではありません。
そんなことから、ニュージーランドがこの予算を導入したこと、これを受け入れたニュージーランドの国民には驚かされます。
とはいえ、『GDPばかりを気にした政策』では(格差などの)多くの問題をかかえることも事実なので、この『幸福予算』の導入によって国民が幸せになれるよう、陰ながら応援したいと思います。
そして、この『幸福予算』が成功し、もっと多くの人に知れ渡り、様々な国が導入するようになり、みなが幸せになったらいいな~。と思うのでした。
-
Mental health wins record funding in New Zealand's first 'well-being budget'
-
Australia's wellbeing budget: what we can – and can't – learn from NZ
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
------
あなたのクリックが本ブログの評価を決定します。以下バナーをクリック頂けると嬉しいです。よろしくお願いします^^
ツイッターでは記事の公開を通知したり、投資に関係するニュースを取り上げたりしています。よろしければフォローをお願いします!