『効率的市場仮説の父』や『近代金融学の父』と言われるユージン・ファーマをご存じですか?
ユージン・ファーマ(Eugene F. Fama)は、2013年にノーベル経済学賞を受賞した人物です。
受賞理由は、ユージン・ファーマが1970年に発表した『効率的な資本市場: 理論と実証研究のレビュー(Efficient Capital Markets: A Review of Theory and Empirical Work.)』の評価によるものです。
バートンマルキールが『ウォール街のランダムウォーカー(A Random Walk Down Wall Street)』を発表し「インデックスに連動する投資をするべし」と提言したのは1973年なので、ユージン・ファーマによる『効率的な資本市場レビュー』が影響を及ぼしているのではないかと想像できます。
彼らによってインデックス投資が誕生し、我々のようなインデックス投資家が『大した労力をかけずとも、そこそこのリターンが手に入れられる』ようになりました。
感謝の意味もこめて、この記事で効率的市場仮説の父ユージン・ファーマを紹介したいと思います。(あまり知られていないので…)
<目次>
- ユージン・ファーマの経歴
- ユージン・ファーマの効率的市場仮説
- ユージン・ファーマの家族
- ユージン・ファーマの名言
- 効率的市場仮説の父でノーベル経済学賞を受賞したユージン・ファーマを紹介させてもらいました
ユージン・ファーマの経歴
(シカゴ大学サイトより)
まずは経歴から。
- 1939年2月14日、マサチューセッツ州ボストンでイタリア系アメリカ人の3世として生まれる
- 1956年、マルデン カトリック高校を卒業
- 1960年、タフツ大学でロマンス諸語(ラテン語の仲間)の学士を取得して卒業
- 1964年、シカゴ大学経営大学院で経済学と金融額を専攻し、MBAと博士号を取得(ノーベル経済学賞受賞者のマートン・ミラーに指導される)
- 卒業後、シカゴ大学の教員となる
- 1965年、「短期的な株価の動きは予測不可能であり、ほぼランダム ウォークである」という論文をジャーナル・オブ・ビジネス誌の1965年1月号に掲載
- また同論文をファイナンシャル アナリスト ジャーナルにも「株式市場価格のランダム ウォーク」とタイトルを変えて掲載
- 1970年に『効率的な資本市場: 理論と実証研究のレビュー(Efficient Capital Markets: A Review of Theory and Empirical Work.)』を発表
- 1972年、ノーベル賞受賞者仲間のマートン・H・ミラーとの共著『The Theory of Finance』を出版
- 2001年、アメリカ金融協会の初代フェローに選出
- 2005年、ドイツ銀行金融経済賞の初代受賞者に選ばれる
- 2007年、モルガンスタンレー・アメリカン・ファイナンス・アソシエーション賞を受賞
- 2013年、ノーベル経済学賞を受賞
『効率的市場仮説』にたどり着いたのは、
- タフツ大学生時代に、経済学のハリー・エルンスト教授のもとで『株式市場を予測する仕事』をしていたが、ことごとく失敗した
ことがきっかけだったようです。
なお、現在もシカゴ大学の教授を務めており、2023年にもユージン・ファーマのコースがキッチリと準備されています。
ユージン・ファーマの授業を受けてみたいぞー!
ユージン・ファーマの効率的市場仮説
『効率的市場仮説』とは、
- 市場は効率的であるため、市場でつけられている値段(株価)は常に正しい
という考え方です。
言い方を変えると
- 割安な銘柄や、割高な銘柄は存在しない
- すなわち、「割安な銘柄を買って儲けよう」という行為は成功しない
ということになります。
なお、効率的市場仮説には3つのシナリオが存在しています。
- ウィーク型:これまでの株価の推移を分析した結果が、株価に反映されている
→ テクニカル分析だけでは、未来の株価を予想することはできない
- セミストロング型:過去に公開された全ての情報が、株価に反映されている
→ ファンダメンタル分析をしても、未来の株価を予想することはできない
- ストロング型:非公開の情報であっても、株価に反映されている
→ インサイダー情報を使っても、将来の株価を予想することはできない
いまの市場がどのシナリオに当てはまるのかを明言することはできません。
しかし、インターネットなどのテクノロジーが発展したことにより
- 現代の方が、ユージン・ファーマが『効率的市場仮説』を提唱した1970年よりもストロング型に近づいている
と言えるのではないでしょうか。
また、これからもその傾向が変わることはなく、
- 時ともに、ストロング型な効率的市場へ近づいていく
- よって、市場平均を超えるリターンを手に入れることが難しくなっていく
と考えられそうです。
効率的市場についてはこちらの記事もご参照ください。
ユージン・ファーマの家族
ユージン・ファーマには、4人の子どもと10人の孫がいます。
妻は高校時代からの恋人であったサリアン・ディメコで、タフツ大学の2年生のときに結婚しています。
ユージン・ファーマの祖父母はイタリア人で、1900年代初頭にアメリカへ移住してきました。
父は、第二次世界大戦中には造船所で働き、トラック運転手を務めていた人物です。
このブログでは様々な投資界の偉人を紹介していますが、『親や祖父母が移民』というあるあるの経歴を持っていました。
『移民』とひとくくりにするのは間違っているんでしょうが、なにかあるのかもしれませんね。
では、最後にユージン・ファーマの名言を紹介したいと思います。
ユージン・ファーマの名言
アクティブ投資家の上位3%だけがコストをカバーするのに十分なスキルを持っていることを示すリターンを生み出せます。
そして、過去に驚異的なリターンをあげた3%のトップパフォーマーでさえ、低コストのパッシブインデックスファンドと同程度にしかならないことが予想されるのです。
残りの97%はもっと悪い結果になることが予想されます。
『3%』という数値を聞いたのは初めてかもしれませんが、インデックス投資界隈の様々な偉人と同じことをおっしゃっています。
プロでさえも、銘柄選別や相場の反転を予測する能力はないという証拠がかなりある。
私たちが、『高リターンを上げてきた優れた投資家』と判断する人たちのほとんどは、おそらく運が良かっただけなのです。
個人投資家にもよくありますが『大きなリターンを上げることができた』という実績から『すぐれた投資家である』と勘違いするケースが多々あります。
しかし、多くは『運が良かっただけ』と理解しておいた方がよいでしょう。
世界恐慌の原因について、今日まで議論が続いています。
経済学は、経済活動の変動をうまく説明できません。
経済学なんてまだまだこんなものです。
過去の実績をベースにしている以上、『いままでは違う変動』を説明することはできません。
あるアクティブ マネージャーが勝てば、他のアクティブ マネージャーが負けることになります。
そしてそれらをすべて足し合わせると、アクティブマネージャーのリターンは、コストを差し引いても文字通りゼロでなければなりません。
「短期的なアクティブ投資はゼロサムゲームである」と忘れてはいけません。
効率的市場仮説の父でノーベル経済学賞を受賞したユージン・ファーマを紹介させてもらいました
と言った感じで、インデックス投資の生みの親の一人であるユージン・ファーマを紹介させてもらいました。
ウォール街のランダムウォーカーの著者バートン・マルキールもそうですが、80を超えるようなご高齢でありながら、大学の教員を務めているということに驚きました。
その理由が『お金のため』でないことは明らかであり、真に「世の中のため」と考えてのことかと思います。
これからもご活躍されることを祈っております。
Eugene F. Fama – Facts - NobelPrize.org
Eugene F. Fama | The University of Chicago Booth School of Business
Eugene Fama Quotes - BrainyQuote
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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