世間からは、中国恒大の債務危機によって「暴落するかもしれない」という声が聞こえてきます。
実際に、世界的金融機関であるモルガンスタンレーのマイク・ウィルソン氏も、「いまの株価は高値圏にあり、暴落するリスクがある」と警告しています。
しかし、しょせんはイチ企業の債務危機なので、世界経済に与える影響は大きなものとなる可能性は低いでしょうし、
もしリーマンショック級の暴落になったところで『資産が60%減る』程度のダメージしかなく、たいしたことはありません。
というのも、リーマンショックを経験してきた投資家は、
- 暴落は、資産を大きくするチャンスでしかない
というコトを身をもって理解しているので、多くの『積立投資をしているサラリーマン投資家』からすると、60%程度の暴落は
「おっ、投資のチャンスがきたな」
という程度のインパクトしかありません。
しかし、これは『定期収入を得ている』から言えることで、『FIRE(またはセミリタイア)して、(少ししか)収入がない状態』であれば、危機的状況となるでしょう。
筆者は、3年後にセミリタイアを予定(あくまで予定)していますが、
「セミリタイア後もある程度の収入はあるし、暴落があっても大丈夫だろう。」
「最悪、サラリーマンに戻ればいいや」
と考えているため、セミリタイア後の暴落についてあまり深く検討してきませんでしたので、ここの記事では初めて
- セミリタイア(またはFIRE)した後に、暴落したらどうなるんだろう?
ということを真剣に考察していきたいと思います。
暴落は起きるのか?
まずは「そもそも、暴落は起きるのか?」について考察していきます。
が、「考察していきます」と言っておいて何ですが、
- 今後もまず間違いなく暴落は起きる
と言って間違いないでしょう。
というのも、
- ヒトの思考は進化していない
ためです。
暴落が起きる直接的な原因は数あれど、多くのケースでは『過剰な期待感』が原因となっています。
これは、例えば
- 土地を求める人は増え続けているので、地価が上がり続けるだろう
- 経済は発展し続けるので、株価は上がり続けるだろう
- 今後はハイテクが世の中をコントロールすることが確実なので、ハイテク銘柄を買えば安心だろう
- 便利でセキュリティ面でも安心のできる暗号資産の需要は増えるだろう
といった『願望ともいえる期待感』が多くのヒトの中にあり、これら期待感が過熱することで『資産の価格』が『資産の価値』を大きく超えるところにまで上昇します。
そして、『膨れ上がった期待感』はいつか必ず破綻します。
世界は進化しており、世の中にハイテク機器があふれていますが、それに対して『ヒトの感情』や『ヒトの理性』は進化しているとはいえず、こうした『バブル』はこれからも発生することでしょう。
とはいえ、その『ハイテク=技術の進化』によって、
- 未来の予想が正確にできるようになってきた
- 過去のデータを元に、問題発生時に必要な処置が分かってきた
といったことから、
- もし暴落があっても、素早く対処できるので、大した暴落にはならないだろう
とも考えられますので、そのあたりについても考察していきたいと思います。
次の暴落は大したことない?
過去の暴落を振り返ると、
- 1930年~世界恐慌で、ダウ平均が89%の下落
- 1987年10月19日のブラックマンデーで、ダウ平均が22.6%下落
- 2000年~ITバブル崩壊で、NASDAQ平均が70%下落
- 2008年~リーマンショックで、日経平均が51%の下落
- 2020年~コロナによる暴落で、日経平均が31%の下落
といったモノがありました。
中でも、世界恐慌が過去最大レベルの暴落だったわけですが、もしこのレベルの暴落が起きたとしたら、「たまったもんじゃない!」と言う投資家は多いでしょう。
とはいえ、
- 世界恐慌は、金本位制(通貨の価値を金(ゴールド)で裏付けていた)だったから発生した
と、2000年に元FRB議長であるベン・バーナンキが発表し、いまではそれが定説とされており、
- いまでは金本位制が放棄されているので、同レベルの暴落は起きないのではないか
と想像することはできます。
また、繰り返し起きている暴落から学びをえて、
- 各国の政府が、暴落時にやらなければならない対処がわかってきている
というのも大きなポイントです。
実際に、直近の『新型コロナによる暴落』のときの状況を振り返ると、
- 暴落が発生してから、瞬間的には30%近く株価をさげた
- しかし、暴落から半年後には元の値にまで戻した
- それどころか、暴落前の株価をかるく超えていった
と、素早く回復することに成功しています。
※以下グラフは暴落前後の推移
これは、
- 世界中で、巨額の財政出動をして、経済の立ち直りを後押しした
- 今後も、引き続き財政出動を続けていくことを表明した
といったことが大きな要因なのは明らかです。
そして、『巨額の財政出動をした』背景には、
- リーマンショックを起こしてしまった
- リーマンショックからの立ち直りにかなりの時間を要した
背景があり、『巨額の財政出動をできた』背景には
- MMTの存在感が増していきているため
と言われることがあります。
MMTによって救われた、ような気がするが、今後は未知数
MMTとは、『モダン・マネー・セオリー(現代貨幣理論)』の略で、
- 自国通貨建てであれば、どれだけ国債を発行しても(政府がどれだけ大きな借金をかかえても)財政が破綻することはない
という考えのことです。
※MMTについて詳しく知りたい方は、こちらもご参照ください。
つまり、MMTによれば
- 日本やアメリカは、巨額の財政出動をするための源泉として、いくら国債を発行しても破綻しない
- よって、いくらでも財政出動ができる
となるわけです。
MMTは、まだ日本では(ほとんど)受け入れられていませんが、アメリカでは与党議員が積極的にMMTについて発言しており、政府による巨額の財政出動を後押ししていると考えられ、
それによってアメリカ経済は急速な立ち直りを見せています。
とはいえ、
- MMTをベースに、ひたすら国債を発行し続けた実例はない
という点には注意が必要です。
MMTは、
- 国債を発行し続けても破綻はしない
- しかし、『国債の発行=通貨の量の増加』であるため、インフレにはなる
- 過度なインフレは経済にダメージを与えるため、インフレ率は調整しなければならない
としているわけですが、
「一度でも過度なインフレになってしまったら、インフレ率を下げることは難しい」
と考えている経済学者も多いため、もしインフレ率の調整に失敗してしまえば、ハイパーインフレとなり、世界が壊滅的なダメージを負うかもしれません。
インフレになれば、企業の資産額も増えることになるので、『株式は現金ほどのダメージはない』と思いますが、株式は景気悪化によるダメージが大きく表れますので。
よって、
- 過去の反省から、問題発生時の対処方法がブラッシュアップされてきた
- 実際に、コロナ禍においても、株価は順調に推移している
- しかし、『いままでにない巨額の財政出動』をしているため、『これから何が起こるか分からない』とも言える
- つまり、過去最大級の暴落があってもおかしくない(すぐには無いでしょうけど)
と筆者は考えています。
世界のテクノロジーは進化を続け、
「むかし起きたような問題は、もう発生するはずがない」
とも思いますが、進化したことによって新たな問題が起きることもあります。
東日本大震災による原発事故もそうで、強力なテクノロジーが生まれ、効率よく発電できるようになった反面、事故発生時の影響は膨大なモノとなったしまいました。
最近では、みずほ銀行のシステム障害がよい例で、
- システムで全体を管理しているから、システムが止まればすべてが止まる
- 昔のように帳簿を手書きで管理していたら、『すべてが止まる』なんてことはなかった
わけで、テクノロジーの発展によってシステムが巨大化し、何かあったときの影響は計り知れなくなってしまいました。
最近あったドコモの通信障害も似ていて、
- 全体を管理するシステムに問題が起きたため、全国で通信障害が起きた
- 通信に依存した電子決済(スマホによる○○ペイなど)が一般化していたので、『料金の支払い』すらできない人も現れた
といった形で、問題が大きくなりました。
ちなみに、私は某製造メーカのラインを管理しているシステムに携わっているので、これで障害が起きると工場が止まり、数万、数十万の人の仕事が止まりまる可能性があります…。
ヒー!!!!!!
これは、経済、株式市場などにも言えるのではないでしょうか。
- ちょっとしたヒューマンエラーによってあるシステムが停止
- その影響が世界中に波及して、経済が混乱
- 未曽有の暴落が発生
といったことが起きるリスクは十分にあるえしょう。
とくに、昨今では
- AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)のような、世界中の大企業がこぞって使っている仕組みが存在している
ため、『AWSが障害によって停止した』『AWSが中国のハッキングによりコントロールを奪われた』といったことがあれば、世界は混乱におちいるでしょう。
というわけで、筆者は
「いつか大暴落がくるだろう。その暴落は過去イチかもしれない。」
と考え、
「引退後に暴落してもいいようにしなければ。」
と考えているわけです。
というわけで、ここから(やっと)タイトルである「FIRE、セミリタイア後に暴落したらどうする?」について考えていきます。
FIRE後、セミリタイア後に暴落したらどうする?
「考えていきます」と言っておいてなんですが、正直にいって
- 労働によって収入を得つづける
しかありません。
「十分な資産があればそれだけでOK」と考えてる人は多いと思いますが、筆者はそうは思いません。
「100億あります」みたいなレベルであれば別ですが…
FIREやセミリタイアを目指す人々のあいだでは、4%ルール(トリニティスタディ)というものが有名で、ざっくり言うと
- 毎年、総資産の4%ずつ取り崩していけば、資産がなくなることはない
という研究がありますので、あなたはそれを信じて
- 1億円の資産を手に入れて、毎年400万円で生活している
として、
- 世界恐慌並みの暴落(89%の下落)があり、1億の資産が1100万円になってしまった
としたら、生きた心地はしないでしょう。
その時に支えとなってくれる(可能性が高い)のが労働収入です。
大暴落が発生すれば、職を失う人も多くでてくるでしょうが、投資一本柱よりはマシです。
暴落によって資産が激減したことによるダメージは計り知れないでしょうが、収入があればなんとでもなります。
よって、
- 「いつか大きな暴落があるだろう」と考えるのであれば、労働収入を確保しておくのが賢明
だと言えるわけです。
とはいえ、FIRE、セミリタイアを目指す多くの人は「はたらきたくねー!」と考えているでしょう。
それは、基本的には筆者も同じです。
一点違うとしたら、
「セミリタイアしたいのは、人生を楽しみたいから」
「つまり、楽しみながらお金を稼げる労働ならウェルカム!」
と考え、実際にそれに向けて行動しているところでしょう。
もちろん、同じ考えの人も多いでしょう。
昨今では、『楽しみながら稼ぐ』という手段が広がりつつあり、実際に『ほぼ趣味のようなこのブログ』でも多少の収入を得ることができています。
というわけで、「FIRE後、セミリタイア後に暴落したらどうする?」という問いに対しては、
- 楽しみながら稼ぐことのできる術を身に付けておくことが重要
との結論を出したいと思います。
もしあなたが、
「FIRE(セミリタイア)したいとは思ってるけど、本当にFIREしても大丈夫だろうか…?」
という不安を持っているのであれば、是非とも『楽しみながら稼ぐ術』を探してみることをおススメします。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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