株式投資が選好されている理由の一つが、
- 株式にはリスクプレミアムがあるため、安定した値動きをする資産（債券など）よりも多きなリターンが期待できる。
です。
が、
「株式のリスクプレミアムって、過去と比べるとかなり小さくなっているのではないか？」
と思わないでもないのです。
リスクプレミアムとは、
- 価格変動リスクの大きい（株式などの）資産の利回りが、安全資産の利回りを上回る部分
のことです。
つまり、株式に投資している投資家は、
「こっちはリスクを取っているんだから、その分だけ儲からないとやってられんのだよ！！」
「株式の利回りがリスクの少ない国債と同じ程度しかないのであれば、国債に投資するわい！」
と考えて株式投資をしているいるわけです。
しかし、有名な下のグラフ（著ジェレミー・シーゲル：株式投資）などから
「株式投資のリターンは素晴らしい」
という認識が広がり、
「株式には大したリスクないんじゃないの？」
と短絡的に考える投資家が増えればどうなるのでしょうか？
そういった投資家は、他の株式と資産とを比較することなく、株式が異常なほどに割高となっていても、株式に投資するのではないでしょうか。
そして、その結果として株式にばかり人気が集まると、株式は割高になり大きなリターンが期待できなくなってしまいます。
実際に、S&P500の株式益回り（PER）の逆数を見ると、10月末時点で4.37%となっており、過去と比べると比較的に低い値となっています。
（S&P 500 Earnings Yield Charts, Data）
これは『1株当たりの利益率が下がっている』ことを指しています。
もちろんこれだけで「株式のリスクプレミアムが小さくなっている！」と言い切ることはできませんが、そう考えられるデータの一つではないでしょうか。
インデックス投資が広がったことによる問題
特に、インデックス投資が広がっている昨今ではこの懸念が大きくなっています。
事実として『インデックス投資を活用すれば個別銘柄固有の投資リスクは回避できる』のは確かですが、これをもって
「インデックス投資にはリスクなんてないんだ！！」
と勘違いしている（発信している）人をよく見かけます。
しかし、インデックス投資であろうとも大きなリスクは存在しており、広く分散投資していたとしても数十%程度の下落は珍しくありません。
また、リスクがなければリスクプレミアムも存在しないわけなので、インデックス投資のメリットもなくなってしまいます。
このような、『勘違い投資家』が増えることによって、
- 『インデックス≒株式投資にはリスクがない』と誤解している投資家が、いざ暴落が起きると「聞いていた話と違う！」と大きなショックを受ける
- 既存投資家は、「勘違い投資家のせいで株式が割高となってリスクプレミアムが小さくなった！」と残念なことになる
と、どちらにとっても良いことはありません。
というわけで、このブログでも
「株式投資、それどころかインデックス投資であろうとも、結構なリスクがあるんよ」
と大きな声で発信していかねばならないことを、改めて思うのでした。
なお、
- 株式が選好されることで株式のリスクプレミアムが下がる
- 「リスクプレミアムがないなら債券とか無難な商品に投資するわ！！」という投資家が増える
- 株式の割高感が解消され、株式のリスクプレミアムが復活する。
という流れもあるかとは思いますので、『株式信仰』がいきすぎたとしても、いつかは自然と解消されるであろうとも思っています。
というわけで、これからも変わらずあほーるど。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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