「1933年の大恐慌以来、はじめてマネーサプライが減少している!!(U.S. Money Supply Is Making History for the First Time Since the Great Depression)」という衝撃的な記事があったのでご紹介。
インフレがどんどん進んでも困ることがなく、また株価が超長期にわたって右肩上がりでいられる背景には『マネーサプライ(流通している通貨の量)の増加』があるわけですが、それが減少しています。
(ここでとりあげるマネーサプライはM2という『市場全体に流通している通貨の供給量を示す指標』を指しています)
米国のマネーサプライは以下のように推移しており、基本的に増加しているものの、直近では減少しています。
(米国 | マネーサプライM2 | 1959 – 2024 | 経済指標 | CEIC)
月ごとのマネーサプライの成長率は以下グラフの通りで、1960年以降つねにプラスに推移してきていたのにも関わらず、直近では減少に転じています。
(米国 | M2成長率 | 1960 – 2024 | 経済指標 | CEIC)
2024年1月時点でのマネーサプライは、ピークであった2022年7月時点よりも4.21%減少しています。
また、金融コンサルタントのNick Gerli氏による長期調査によると、
- 1870年以降、マネーサプライが2%以上減少したことは5度しかない
- 過去の4例のケースではすべて、2桁の失業率をともなう大恐慌が起きた
としています。
WARNING: the Money Supply is officially contracting. 📉
— Nick Gerli (@nickgerli1) 2023年3月8日
This has only happened 4 previous times in last 150 years.
Each time a Depression with double-digit unemployment rates followed. 😬 pic.twitter.com/j3FE532oac
とはいえ、このうちの2件は中央銀行すら存在しなかった時代の話であり、マネーサプライの減少が最後にあった1933年と現在とではまったくもって環境が違っており、このデータを鵜呑みにしていいとは思えません。
しかし、(冒頭でも書いた通り)反対から見ると、
- 90年以上起きていなかった事象が発生している
- ゆえに、今後なにが起きてもおかしくない…!
とも言えるでしょう。
なお、個人的には先の3つのグラフを見て、
「新型コロナ対策で急激にマネーサプライを増やしたから元に戻ってきただけで、とくに驚くべきことはではない」
「ただし、マネーサプライが少し下がってはいるものの、もっと下げる余地が十分にある」
と感じています。
マネーサプライの減少は株価に影響を及ぼしますので、一般的には
- 『マネーサプライを新型コロナ対策以前に水準にまで戻す』ようなことがあれば、株価は大きく下落する
と考えられるでしょう。
しかし、
マネーサプライの減少は2022年末ごろから始まっており、それでも株価は好調に推移しています。
残念ながら『投資の常識』が通用しないことは往々にしてあります。
また、『市場を予想するための指標』は数えきれないほどに存在しており、現時点で『ポジティブを指している指標』もあれば『ネガティブを指している指標』も存在しているため、一つの指標だけを使って先を読むことはできません。
かといって、指標による多数決によって未来が決まるわけでもありません。
よって、個人投資家ができることは
「もしかしたら暴落があるかもしれない」と覚悟を決め
「暴落があっても売らないぞ」と決意することしかありません。
『個人投資家によるタイミング投資』がリターンを押し下げる結果をまねくことは、様々な機関による調査からハッキリしています。
とくに、積み立てインデックス投資1っ本でやってきた個人投資家が、急に市場のタイミングを読もうとしたところでうまくいくはずがありません。
様々な指標がどのような状況を示唆しようとも、株価がどれだけ大きく動こうとも、これまで通りタンタンと継続することがインデックス投資によるリターンを確実なものにする方法であると肝に銘じましょう。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
------
あなたのクリックが本ブログの評価を決定します。以下バナーをクリック頂けると嬉しいです。よろしくお願いします^^
ツイッターでは記事の公開を通知したり、投資に関係するニュースを取り上げたりしています。よろしければフォローをお願いします!