「アメリカのマネーストック(通貨の供給量)が、1870年から4度しか起きていない大きな減少をしている」
という記事があったのでご紹介。
※なお、ここでの『マネーストック』はM2(市場全体で流通している通貨の総量)を指しています。
この記事では、Rventure Consulting(不動産投資会社)の CEO 兼創設者であるニック・ゲルリ(Nick Gerli)のツイートを取り上げ
- アメリカのマネーストックが前年比で2%の下落をした
- 1870年以降でマネーストックが2%以上の下落をしたのは(今回を除くと)4回しかない
- 4回とも、失業率が2桁を超える大恐慌が起きていた
ということ紹介しています。
WARNING: the Money Supply is officially contracting. 📉
— Nick Gerli (@nickgerli1) 2023年3月8日
This has only happened 4 previous times in last 150 years.
Each time a Depression with double-digit unemployment rates followed. 😬 pic.twitter.com/j3FE532oac
なお、その4回の大恐慌は以下の通りです。
- 『1873年恐慌』では、アメリカでは将来有望と見られていた鉄道産業に大量に投資資金が集まり、これを抑えるために金利を上昇させたところ、主要銀行が破綻し、1879年まで続く不況が発生した
- 『1893年恐慌』では、小麦の不作とブエノスアイレスでのクーデターによって、投資家が資金を引き揚げたことによってベアリング・ブラザーズ銀行で取り付け騒ぎが起き、15000社が破産する事態にまで広がった
- 1921年にあった『戦後恐慌』では、第一次世界大戦による需要増によって好景気となっていたが、戦争の終結によって需要が縮小。日本では株価が半分から3分の1にまで暴落し、169の銀行で取り付け騒ぎが起きる事態となった。
- 1930年代にあった『世界恐慌』では、アメリカの好況により異常なほどの投機ブームが発生。FRBが金利を6%にまで上昇したことにより株価の下落が開始。ダウ平均が最大で89%という史上最大級の暴落をした。
どれもこれも、
- 金利が上昇
- 銀行の破綻
- 取り付け騒ぎ
といった、最近の報道でよく聞く単語が並んでいますね。
また、
- マネーストックが大幅に減少したのは1930年代以来である
という事実も、現在の異常性を際立たせます。
怖い怖い。
マネーストック(通貨の流通量)が減少すれば、『景気の悪化』や『投資に回る資金の減少』が起こると考えるのが自然であり、規模がどうあれ『景気の後退』が待っていると考えるべき状況にあるといえるでしょう。
そんなわけで、『一時撤退』なんてことも考えてしまっている人も多いのではないでしょうか。
しかし、私は撤退しません。
過去にあった『マネーストックの大幅減少』時には、100%の確率で市場が大荒れとなったことは事実です。
しかし、たったの4回しか起きていない事象を元に「今回もそうなる」と考えるのは軽率です。
また、1929年にあった世界恐慌の時でさえ、
- 株価が元に水準に戻る1954年まで、配当金の再投資をすることで年平均6%のリターンを得ることができた
ということが、ジェレミー・シーゲルの調査で明らかになっています。
これは、株価の暴落によって配当利回りが上昇し、配当金の再投資によって、それまでよりも多くの株数を手にすることができるようになったためです。
配当金の再投資をしているだけ6%ものリターンを得ることができたので、ここに『労働収入を使った投資』を加えれば、かなりのリターンが手に入ることになります。
もちろん、素晴らしい投資家であれば、『暴落前に売り』『底で買い』をすることで、それを大きく超えるリターンを手に入れることができるでしょう。
しかし、ほとんどの個人投資家は、そのようなタイミング投資で成功することはできません。
よって、『153年で4回しか起きなかった危機的な状況にある』とはいえ、ほとんどの投資家にとって、それに臆することなくタンタンと投資を続けることが最善な方法だと言えるでしょう。
『暴落』を覚悟しつつも、これまでと変わらず投資を続けていきましょう。
参考記事
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