JPモルガンによる『長期市場予想2024年版』が出ていたので紹介します。
つい最近、こちらの記事で
「2024年のリターン予想なんて記事を読んでもいいことなんかない!」
なんて書いたばかりですが、知的好奇心を満足させるためにも確認していきましょう。
ざっとポイントを並べると、
- 期待リターンは過去10年間の実現リターンを超える
- グローバル株式の期待リターンは7.8%
- グローバル総合債券の期待リターンは5.1%
- 米国以外の先進国市場の見通しは引き続き魅力的
- 円高(ドル安)が進むと予想
- 世界のGPD成長率は2.4%
- 新たな資本が市場に登場することが予想されるため、アクティブ投資家にとっては魅力的な環境となる
といった感じになります。
為替の話
まずは為替の話。
JPモルガンのレポートには
長期的には、純粋な金利や成長格差ではなく、資本フローの変化が通貨の道筋を決定づけると考えられます。
ユーロ圏と日本では、この変化の最も明確な証拠が見られます。この好転は、名目成長率、金利、株式市場の著しい低迷期の終わりを告げていると考えます。
海外からの資本流入だけでなく、国内資産にとどまっている国内資本にもけん引される形でドル安に。
といったことが書かれています。
ざっとまとめると、
- 金利や成長の格差とか関係なく、ユーロや日本に資金が集まってきているから、ドル安(円高・ユーロ高)になるよ。
との予想です。
12月半ばにはすでにその傾向が出ていますが、2024年も引き続き円高になっていくと考えているようです。
株式の話
続いて株式の話。
米国の利益率が底堅いとしても、他の先進国市場で得られるリターンは、それに比べて依然として魅力的と考えます。
日本では、失われた20年における企業の停滞と過剰貯蓄が歴史のかなたに消える中、自己資本利益率(ROE)が回復しつつあるとみています。
ということで、
- アメリカ市場はイマイチな予想
- 日本市場は好調になるんじゃなかろうか
との予想です。
代表的な資産クラスのリターンはこんな感じの予想。
米国は比較的に低いリターンが予想されています。
円ベースで見た資産別のリターンはこんな感じ。
ドルベースだとこんな感じ。
米国大型株式の期待リターンを比べると
- 円ベース :4.40%
- ドルベース:7.00%
と、円高になることを予想しているため円ベースでの期待リターンが残念な値となっています。
GDP成長率の話
前述の通り、2024年は日本株式にとっては良い年となると予想されているわけですが、だからといって「日本は他国よりも経済的に成長する!」と予想しているわけではありません。
というわけで、国別GDP成長率予想を。
見ての通り、
- 日本のGDP成長率予想は先進国の中でもっとも低い
となっています。
というわけで、
- 為替や資金の流入によって日本市場が好調となることを予想しているが、強い経済成長を見込んでいるわけではない
と、少々残念な予想です。
とはいえ、『これまで日本市場は過小評価されていた』からこそ、2024年には資金流入が予想されており、それによる株高を見込んでいます。
想定されるリスク
なお、現時点では少なくとも以下のリスクを想定しているようです。
画像中の文字が小さいし、かといって全部書き出すと大変なのでタイトルだけ列挙します。
- 巨額な財政支援と債務の持続可能性への懸念
- 気候や環境の悪化
- ロシア・ウクライナ紛争の加速または拡大
- 米中貿易摩擦の再燃再生可能エネルギー投資による欧州のエネルギー自立
- AI(人工知能)の導入が加速
- 予測以上に堅調な投資・設備投資サイクル
- 米国のデフォルト(債務不履行)
- 基軸通貨としての米ドル離れが加速
- 第二のパンデミックまたはワクチン耐性のある変異種の出現
- インフレ期待が織り込まれ、金融引き締め政策が長期化
- 量的引き締めが市場の大規模な歪みを招く
- ゼロ金利からの移行後の金融混乱
個人的には、ここに書かれているような『予想されるリスク』はあまり心配しておらず、どちらかというと『誰も予想すらしていないリスク』が表面に出ることを恐れています。
『予想されるリスク』はある程度は市場に織り込まれているはずですが、『誰も予想すらしていないリスク』は織り込まれていないからです。
誰も予想していなかったパンデミックやウクライナ侵攻が大きく市場を揺るがしたように。
例のフロンティアの図
んで、JPモルガンの予想が例の図にまとめてあります。
最後に…
さて、このような記事を紹介させてもらっておいて何ですが
「本当に市場が予想通りに動くのなら楽に大金持ちになれるが、投資の世界はそんなに甘くない」
ため、この予想を参考に「〇〇に投資じゃあああ!!」と考えないでください。
もし仮に、この予想が本当に正しく、多くの人がそれを信じるのであれば、こういった記事がでた瞬間に株価に反映されることになるため、2024年のリターンはまったく違ったものになるでしょう。
残念ながらそうなっていない(本予想の発表によって株価が大きく動く)ことからも、
「こんな予想は大してあてにならんよw」
と考えている投資家が多いということが想像できます。
それでもこの記事で予想を紹介している目的は、
- 「他人の予想を信じた投資なんか、おやめなさい」と言いたい
- ただの娯楽
の2点です。
私はこういった『投資情報』を調べるのが趣味ですが、それを自身の投資に活かすことはほぼしていません。
『投資に関する情報収集』の目的は『娯楽』ですが、『投資』の目的は『資産形成』だからです。
例えば、ウォルト・ディズニーのCEOが入れ替わってから株価が上昇したのを見て
「さすがボブ・アイガー!!」
と興奮することはあっても、ウォルト・ディズニー株を買うことはありません。
つまり、娯楽としての投資関連情報収集と、投資は完全に切り分けているわけです。
個別銘柄で戦っている投資家にとって情報収集は死活問題につながりますが、
すべてを諦めたインデックス投資家にとって情報は娯楽以外に役に立ちません。
というわけで、JPモルガンの予想を紹介してきたこの記事の結論は
「へ~」
とさせていただきます。
どんな予想が出ようとも、粛々と、ルールを守り、インデックスを積み立てていくのみです。
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今回紹介したJPモルガンの予想はこちらです。
全文は英文で150ページありますが、興味ある方はぜひチャレンジしてみてください。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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