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『資本主義はどう終わるのか』

「これから、資本主義は長期にわたって苦しみながら朽ちてゆく」

と主張する、ドイツのマックス・プランク社会研究所の名誉所長であるヴォルフガング シュトレークが書いた著書『資本主義はどう終わるのか』が非常によい本だったので、自分のメモもかねて紹介します。

 

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先進国の主流は『格差を広げる資本主義』『格差を抑える民主主義』の組み合わせとなっています。

この組み合わせは、過去にはバランスのよい組み合わせでしたが、いまでは通用しなくなっていると著者は主張しています。

 

そして、その理由を『グローバル化』にあると指摘しています。

 

具体的には、グローバル化以前の世界では、

民主主義(国家)の中に資本主義(企業)が存在していたため、資本主義が調子に乗り(過剰なほど大儲けし)そうになっても、民主主義の力(税制など)によって大儲けしている企業からお金を集め、弱者への分配を推し進めることができ、大きな問題が発生することはなかったが、

グローバル化が進んだ現代では、

民主主義(国家)の外に資本主義(企業)が出ていくことになったため、いきすぎた資本主義を民主主義が止めることができなくなった。

と主張しています。

 

言い換えると、

  • 昔は、国家(民主主義)の中にマーケット(資本主義)があった
  • 今は、マーケット(資本主義)の中に国家(民主主義)がある
  • よって、国家がマーケットを制御できなくなった

となります。

 

例えば、

  • アップルは、アイルランドに子会社を設立し、そこに利益をあつめて節税している
  • グーグルは、オランダやバミューダに複数の子会社を設立して課税を軽減している
  • アマゾンは、ルクセンブルクに子会社を設立し、同国の税優遇措置を受けている

といったことが知られているわけですが、こういった状態にあるため、これら企業に

「お前ら儲けすぎだからもっと税金を払えや!」

「その税金は貧困層に配るんじゃい!!」

とアメリカの民主主義が迫ったところで、

「私、アメリカにはあんまりお金を持っていないんで払えんのですわ」

と回避されてしまうわけです。

 

これら企業だけでなく、2016年に大きな話題となりかけた『バハマ文書』や『パナマ文書』でも明らかにされたように、多くの大企業がタックスヘイブンを利用した節税しています。

 

これ、身近な例を出すと、税金の安い国に移住したYoutuberなんかもそうで、日本人相手に金儲けをしておきながらも、日本の民主主義による圧力を受けません。

「Youtuberは、むちゃくちゃ儲けているからYoutuber税を上げよう!」と日本人の多くが支持する法案がでてきたところで、海外にいるYoutuberから税金を取ることはできません。

 

つまり、グローバル化によって、企業が容易に民主主義のコントロールから逃れられるようになったわけです。

 

んで、民主主義のコントロールが効かなくなった資本主義は、好きなだけ暴れることができるようになり、それによって格差が拡大していく状況となってしまいました。

 

しかし、資本主義が暴れすぎると、

  • 格差の拡大により貧困層が増加
  • 消費の縮小によって経済成長の停滞
  • 富裕層と貧困層の分断による社会の不安定化

などにより、社会全体が劣化していくこととなり、資本主義の持続が困難となってしまいます。

 

この『自社にとって不利な民意が膨らんできたら他国へ移る』ができてしまう以上、この傾向を止めることは難しいです。

というのも、

「有利な税制を準備するから、ぜひともうちの国にきてくれ!」

という国は後を絶たないためです。

 

そこで、トマ・ピケティは著書『21世紀の資本主義』で、

「世界で足並みをそろえた税制(資産税とか)を考える必要がある」

と提言していますが、国家間での争いが絶えず「うちの国さえ良ければいいんじゃー!」という声が大きい現代において、これが実現する可能性は低いように思えます。

 

先述した『バハマ文書』は、「海外に逃亡して節税しているような企業をこらしめるべきだ!」と、資本主義の暴走を止めるきっかけの一つとなってもよい事件でした。

しかし、そうならなかった現実からは、多くの人はこの状況を「大きな問題はない」と認識していると言えます。

 

よって、これからも資本主義が暴走していくことが予想できます。

 

というわけで、まだまだ格差は拡大していきそうな予感を感じさせられる著書『資本主義はどう終わるのか』でした。

 

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さて、そんなことを考えさせられる『資本主義はどう終わるのか』を読んでいた思ったのは、

「投資するならグローバル企業だな」

ということです。

 

グローバル企業であれば、民主主義によって自社にとって都合の悪い決定が下されるようなことがあったときに、『他国へ移る』という手段が取れますが、内需頼りの企業ではそうもいきませんからね。

 

これをインデックス投資で実現するのであれば、

  • 小型株含む全世界株式に投資する『SBI・V・全世界』や『VT』ではなく、大・中型株のみを対象とした『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』に投資する

なんていう手段が考えられるかもしれません。

 

…と、一瞬思いましたが、『小型企業だからこそ特定の国に縛られず好き勝手に移動できる(究極がYoutuberのような人々)』という面もありそうですね。

 

やはり、そう簡単に『儲かる投資先』を見つけることはできないようですw

 

というわけで、今回参考にさせてもらった本はこちら。

なんとたったの4620円!これを買わない手はないですね!

ね!ね!

 

…というわけで、『図書館の偉大さを改めて感じるほどの価格』であることにも納得できるほどに素晴らしい名著だったので、紹介させてもらいました。

 

 本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。

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