過去に、
「投資は、長期間になればなるほど危険だ」
「だって、明日のことはだいたい分かるけど、30年先のことは分からないでしょ?」
といった言葉を聞いて
「なに言ってんのwww」
と、一蹴したことがあります。
(おそらく荻原博子さんのお言葉)
しかし、最近になって
「それも一理あるのか~」
と、やっと理解してきました。
というのも「長期投資は危険だ」という考えは、集中投資に対しては特に、考えようによってはインデックス投資にすら当てはまるからです。
例えば、あなたが『トヨタ自動車だけに集中投資している』とした場合、
明日や明後日にトヨタ自動車が破綻している可能性は限りなく低いと言えますが、
30年後には会社自体が消滅している可能性は十分にあります。
つまり、
- 投資する期間が長くなればなるほど、投資資金がゼロになるリスクが高くなる
と言うことができます(配当がなかったら)
実際に、
- 2021年に、倒産した日本企業の平均寿命は23.8歳
であったため、
- すべての企業は、24年後に半分以上の確率で倒産している
ということが分かります。
こりゃー「長期投資は危険だ」と言いたくなりますね。
上場企業の寿命
とはいえ、『平均寿命23.8年』は、『日本のすべての企業』であるため、個人投資家がおもに投資する『上場企業の平均寿命』ではありません。
というわけで、確認しますと…、
- 2017年時点で、日本の上場企業の平均寿命は89歳
であることが分かりました。
「長期間になればなるほど危険だ」であることに変わりはないものの、ずいぶんとイメージが変わりましたね。
アメリカ企業の寿命
とはいえ、
「日本の企業になんか投資しないよ!」
「アメリカ企業の情報をよこせ!」
という声も聞こえてきそうなので紹介します。
なんと、
- 2017年時点で、NY証券取引所に上場している企業の平均寿命は20歳未満
でした。
「アメリカの個別企業への集中&長期投資はあぶない!」
と叫びたくなる結果です。
各証券所の上場企業の平均寿命
ちなみに、日経新聞が各市場の平均寿命を比較してくれているので紹介します。
日本企業は、ダントツで長寿ですね。
短くなってきたアメリカ企業の寿命
とはいえ、寿命の短いアメリカ企業も、昔から短命だったわけではありません。
クレディスイスの調査によると、S&P500の企業の寿命は
※参考:Credit Suisse Equity Research
のように、ここ60年ほどで驚くほど短くなってきています。
それもそのはず、アメリカではGAFAに代表されるようなハイテク企業が次々と生まれてきており、時代の変化についてこれない企業は消え続けているためです。
日本の上場企業(寿命89歳)に就職すれば、同じ会社で定年まで迎えられる可能性はそこそこありますが、
アメリカの上場企業(寿命20年未満)に就職しても、(転職しなかったとしても)定年までに数回は所属会社が消滅することになります。
アメリカは「安定したサラリーマン人生を送りたいよ…」と考える人からしたら厳しい世界ではありますが、この新陳代謝が活発であるからこそ、強いアメリカ企業が生まれているのではないでしょうか。
投資でリターンを上げるためには、『強い企業』に投資する必要があります。
そして、その『強い企業』は短命になりつつあります。
よって、
- 投資は長期になればなるほどリスクが高くなる
という結論は正しいものと言えそうです。
が、これはあくまでも『集中投資(個別株投資)』に限った話です。
インデックス投資しようよ
紹介した通り、そこらへんの企業が数十年先も生きのこっている可能性は低いです。
しかし、イチ企業がしょっちゅう倒産しようとも、世界中の企業が倒産する可能性は限りなくゼロに近いです。
ある企業が倒産すれば、その企業の顧客は同業企業の顧客となるだけです。
そうなれば、あらたな顧客を手に入れた同業企業は、スケールメリットの効果を得ることでより効率的に利益を上げられるようになることでしょう。
しかし、『倒産する企業』『ライバルの倒産によって得する企業』を、見つけることは困難です。
そこでインデックス投資の出番です。
インデックス投資を通じて、すべての企業に投資していれば『イチ企業の倒産はメリットにすらなりうる』とも言えるため、
- インデックス投資であれば、長期投資によってリスクが増すことはない
わけです。
…が、これはあくまでも数年、数十年単位での話のことです。
残念ながら、
明日や明後日にインデックス投資が死滅していることはないが、
数十億年、数百億年先に、インデックス投資が滅んでいてもおかしくない。
ということから、
- インデックス投資であっても、長期になればなるほどリスクが高くなる
ということも理解しておいた方が良いでしょう。
冗談のように聞こえますが、少しだけ本気です。
このように「いつ、なにがあってもおかしくない」と考えておくことで、実際に『なにかがあった時』に落ち着いた行動がとれるのではないかと、私は思うからです。
また、
- 一見「おかしい」と感じた主張であっても、条件によっては『正しい主張』である
- 「ただしい」と思っていた主張も、条件によっては『おかしい主張』である
ということが頻繁にあることも、忘れないようにしたいものです。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
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