「投資には出口戦略が必要」なんて聞きますが、私は「出口戦略なんていらない」と考えています。
というのも、
- 投資資産も、現金も、基本的には同じモノだから
- よって、『貯金には出口戦略がいらない』のと同じように、投資にも出口戦略はいらない
と考えているためです。
『出口戦略には遺産相続対策もふくまれる』のであれば、『投資にも出口戦略が必要』だと言えますが、それは投資資産にかぎった話ではなく、すべての資産に言えることなので、
- 投資だけに必要な出口戦略はない
と考えています。
とくに深く考えることなく「みんなが「出口戦略を立てておけ!」と言っているから出口戦略が必要だと思っている。」という方は多いかと思いますので、この記事が出口戦略について改めて考えるきっかけとなれば幸いです。
<目次>
- インデックス投資に出口戦略なんて無い
- 必要のない現金保持は機会損失につながる
- お金は特別扱いされているが…
- すべての資産が変動するんだったら『増えそうな資産』を持っておけばいいじゃない
- 誰にでも通用する正解なんてない
- まとめ:インデックス投資に出口戦略なんて必要ない。私にとってはね
インデックス投資に出口戦略なんて無い
『インデックス投資に出口戦略なんて必要ない』という考えは、インデックス投資に関しては、より強く当てはまることだと思っています。
一般的に、出口戦略と言えば、
- 資産額が目標の金額に達したら売却する
- 特定の時期がきたら売却する
- 一定間隔で定額(or 定率)ずつ売っていく
の3つが挙げられることが多いです。
そして、インデックス投資をしている方の多くは、3つ目を考えている人が多い印象です。
というのも、インデックス投資家の多くは
- 『株の買い時は分からない』と考えているため、ドルコスト平均法を使って(時期を分散して)投資をしよう
と考えているため、同じように
- 『株の売り時は分からない』ため、時期を分散して株を売ろう
と考えるのは、自然なことでしょう。
また、サラリーマンをしていると『定期的に収入が入ってくる』のがあたり前であるため、
- 定期的に資産を売却することで、定期的に現金が手元に入ってくるほうが安心(というか普通)
という感覚も、『一定間隔で定額(or 定率)ずつ売っていく』という方法が支持されている理由の一つでしょう。
しかし、この方法は万人に当てはまるわけではありません。
『お金があったら全部使ってしまうようなタイプ』の人には、『一定間隔で定額(or 定率)ずつ売っていく』という方法が合っているかもしれませんが、
『必要な時に必要なだけ、お金を使うタイプ』の人からしたら、必要のないルールですし、むしろ害悪ですらあります。
というのも、
- 可能な限り投資し続けることが、期待リターンを最大化する方法だから
です。
必要のない現金保持は機会損失につながる
インデックス投資をしている(特にドルコスト平均法で購入している)多くの投資家は、
- 売り時も買い時も分からないけれど、長い目で見れば株価が右肩上がりで上がっていく
と考えているはずです。
となれば、
- 使う予定のない金は、すべて投資しておくことがベストな選択
だとなります。
よって、
- 現金を使う予定がないのにも関わらず、定額・定率で投資資産を現金化する行為は、リターンを押し下げる行為である
ということになります。
現実には、現金化しないあいだに株価が下落、「もっと早く売っておけば良かった…!」なんて思うこともあるでしょうが、反対に株価が上昇していけば「売らなくて良かった~」となることもあります。
しかし、『長期的には株価は右肩上がり』であり、売り時、買い時が分からない以上、
- 時には損をすることを覚悟して、できる限り現金を少なくして投資し続けるべき
という結論になるわけです。
そもそも、『出口戦略』=『投資資産をお金に変える戦略』=『投資とは、資産を現金化することがゴール』という考え方がなんだかしっくりきていません。
というのも、『お金も資産の1つでしかない』と考えているためです。
お金は特別扱いされているが…
まず、『投資は資産を現金化することがゴール』という考え方が、お金を特別視しすぎているようで、なんだか気に入りません。
確かに、基本的にモノの取引のほとんどは『お金』がベースで行われますので、お金が重要な資産であることは間違いありません。
しかし、現金を特別視している根本的な理由は、
- 「株式を持ち続けるのは怖いけれど、現金化しておけば安心だ」といった間違った考え方がある
からではないかと考えています。
たしかに、株式などの資産は毎日価格が変動し、100万円の値段がついていた株式が数日後には50万円になっってしまうようなことがあります。
よって、「株は価格変動がはげしいから怖い!!現金にしておきたい!」となってしまうのはあたり前かもしれません。
そして、この状況は『株価が半分になった』と表現されます。
しかし、反対から見れば(株式を基準にすれば)、この状況は『お金の価値が倍になった』とも言えるのではないでしょうか。
そう考えれば、「お金は価格変動が激しいから怖い!株にしておきたい!」と考えることもできるのではないでしょうか。
であるのにも関わらず『株は怖い!』となっているのは、お金が『すべての資産の基準』となっているためです。
しかし、よくよく考えてみると、
- 株式は、日々価格は変動するし、持っていればリターンが期待できる
- お金も、日々価格は変動するし(為替、インフレ、デフレ)、持っていればリターン(利息など)が期待できる
と、同じような性質を持っている資産です(もちろん、変動幅は違いますが)
この『お金の価値も日々かわる』という事実は、ここ最近の円安・インフレによって多くの人が身をもって理解したかと思います。
『お金』には、法律によって強制通用力(お金での支払いを、受け手が拒否できない)が定められているため、他の資産とくらべて信頼できるものではあるものの、そこを理解して「お金にしておけば安心だぜ」と考えている人はまれでしょうし、今の時代において「強制通用力のない株は怖い…」なんて考える必要はないでしょう。
過去を振り返れば、お金なんてしょせん金(ゴールド)の代替品でしかなく、お金が信用されていないような時代もありました。
(エルサルバドルのように、安定しない通貨が信頼されていないのは今でも同じですし)
よって、お金を特別視してはならず
- 『資産をお金に変えることがゴール』だと言わんばかりの出口戦略なんて必要ない
という結論になるわけです。
すべての資産が変動するんだったら『増えそうな資産』を持っておけばいいじゃない
とはいえ、レストランに株式を持っていき「この銘柄で食事代を支払うわ」といっても通用はしませんので、どこかのタイミングで資産を現金化する必要があるのも事実です。
この点については、
- 貯金を下ろす(現金を手にする)のと同じように、株式を現金化すればよい
と考えています。
うえでも書いた通り、
- 可能な限り投資し続けることが、期待リターンを最大化する方法
- よって、余剰資金をすべて投資しておく
ことが期待リターンを最大化するための方法です。
よって、
- 『現金が必要になった時に、ATMでお金をおろす』のと同じように『お金が必要になった時に、株式を売る』
とするべきで、これによって、機会損失を最小限にでき、期待リターンを最大限にすることができます。
とはいえ、「今日はお金を使う予定がないから、財布はカラでいいや~」とならないのと同じように、ある程度のお金は持っておきたいですし、
株式は現金よりも価格変動リスクが大きく、現金化には多少の時間がかかりますので、しばらく生活できるだけのお金は確保しておいた方が良いでしょう。
『どれくらいのお金が必要か』は、簡単に答えられる問題ではないためここでは考察しませんが、『収入がなくなっても半年くらい生活できる額』となるのが一般的です。
(収入がなくなっても生きていけるように失業手当があるので、個人的には「もっと少なくてもいいかな~」とは思います)
よって、
- 半年生活できるだけの現金を確保しておき、残りはすべて投資しておく
- 現金が不足してきたら、その都度株式を現金化する
というのが、私の考え方です。
とはいえ、あくまでも『私は』という点に注意が必要です。
誰にでも通用する正解なんてない
私は『セミリタイア』という異常な目標を立てて投資をしています。
そのためには、
- 投資リターンを最大化しなければならない
- 投資によるリスクを許容しなければならない
と、厳しい条件を満たさなければなりません。
そのために、ここまで『期待リターンを最大化するためには~』という前提で話をしてきたわけです。
よって、
- そんなに投資リターンを求めていない
- リスクを負いたくない
と考えている人にとっては参考にならない箇所も多くあるでしょう。
私の資産が株式(投資信託)に集中しているのは、
- 株式は、過去に大きなリターンをもたらしてきたから
- 株式は、今後もリターンをもたらしてくれると『予想』しているから
なわけですが、あくまでも『予想』に賭けているだけです。
つまり『この先、株式からはリターンが得られない』なんて事態が起きるたとしてもおかしくないわけです。
よって、株式に対するよほどの信頼がない限り『全力で株式投資!』という選択は、暴落などがあったときに「大丈夫だろうか…」と不安に襲われることとなり、場合によっては生活に支障をきたしてしまうことになるかもしれません。
そのため、私のような『全力で株式投資!』は簡単にはおススメできません。
このことから、
- 「株式投資しているけど、やっぱり株式は怖いわ」「現金の方が安心かな」と思う方であれば、出口戦略を考えるべし
なんてことも思います。
しかし、だからといって『現金一択』なんて選択をしていると『ハイパーインフレによってお金の価値が紙くずになる』ような事態もありえますので、『現金にしておけばOK!』と考えるのも危険です。
よって、
- リスクを回避したいのであれば、様々な資産を持っておくべし
- 資産は、自分の思う『信頼できる資産』を多めにしておくべし
と、自分自身で『自分にあった資産の持ち方』を見つける必要があり、このことから
- 出口戦略が必要な人には必要かもね
とも思うのでした。
まとめ:インデックス投資に出口戦略なんて必要ない。私にとってはね
といった感じで『インデックス投資に出口戦略なんて必要ない』という私の考えを記事にさせてもらいました。
まとめると、
- 株式を売るタイミングが分からない以上、できるだけ株式のまま持ち続けるべし
- 『お金』も『株式』も同じようなものなので、『資産の現金化がゴール』とするべからず
- 現金が必要になれば、その時に株式を現金化するべし
- ただし、『期待リターンの最大化』が万人に向いているわけではない
といった感じになりました。
しかし、書いていて
「『必要な時に投資資産を現金化する』という出口戦略を取っている、と言えるのかもしれないなぁ…」
なんてことも思いました。
とはいえ、
- 『現金が必要な時に貯金を下ろす行為』のことを、『貯金の出口戦略』とは言わない
のも確かなので、「やっぱり出口戦略なんてないのだ!」という結論とさせて頂きます。
本記事の内容が、本ブログの賢明なる読者達に届けば幸いです。
------
あなたのクリックが本ブログの順位を左右します!以下バナーをクリック頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!
以下は関連記事です。よろしければご参照ください。
ツイッターでは記事の公開を通知したり、投資に関係するニュースを取り上げたりしています。よろしければフォローをお願いします!